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2021/03/30

ここはヴェローナ。

3月15日と16日に宝塚大劇場にて星組公演「ロミオとジュリエット」A・B日程を見てきました。(前記事のつづきです)

15日に役替わりA日程を見てこの上なく満足したのですが、甘かった。
翌日に見たB日程はA日程と世界観がちがいました。A日程に満足したからこそ役替わりによる異なる世界観を楽しめたのかもしれません。

B日程は先にライブ配信を見ていたので、如何なるものかはわかっていたつもりだったのですが、カメラが追う映像と実際の舞台を見るのとではやはりちがいました。
プロローグで舞台に伏せた死(愛月ひかるさん)が顔をあげた瞬間にゾゾゾッと鳥肌が立って、そこから別の世界に引き込まれてしまった感覚。
ヴェローナという街に淀む瘴気や恐怖や憎しみといった人々の精神を蝕むものが凝り固まって妖美な存在となって人を死へと導いている。そんな禍々しいものが操る世界で生きている人びとの物語が進行しているようでした。
A日程の天華えまさんの死はプリミティブで人間の怯えを増幅させて愉しんでいるような怖さで、Bの愛ちゃんの死は高知能で無慈悲に無力な人間を絡め落としていく怖さがありました。

A日程では、なぜ?と思わずにいられない登場人物たちの言動に心をかき乱される物語を見たのですが、B日程では、目に見えないもの、運命とか偶然とか論理的ではないものに操られてしまう人間の果敢なさを見せられた気がしました。責任の所在がちがうといいますか。

Bの「僕は怖い」では、愛ちゃん(愛月ひかるさん)の死と琴ちゃん(礼真琴さん)のロミオのシンクロ度に目が離せませんでした。ほんとうに死に操られているようにしか見えないロミオ。背後から操る死の指先にビクッと反応するロミオ。琴ちゃんは後ろにも目があるの???とびっくりしました。トップさんと2番手さんが息ピッタリって好きだわぁと思いました。

死に意思があるとしたら、命を奪う相手は無作為に選んでいるのか、それともこの人間と狙っているのか。どっちだろう。
私には愛ちゃんの死はロミオの命に吸い寄せられているように思えました。ロミオの魂が発する怯えがなによりも好物なのだろうなと。その魂の匂いや手触りをたしかめようとしているみたい。
そしてロミオの命をたいらげたら、ジュリエットというドルチェがついてきたかんじ?

A日程とB日程、死の居方がちがうことで物語の見え方が変わったのも面白かったです。
A日程は街を支配するドグマに抗うことができない人間たちの悲劇が見えましたし、B日程は運命に操られる人間たちの葛藤の物語のようでした。
また、ABで赤青のパワーバランスがちがったのも、物語を別の視点から見せてくれたように思います。

(昨日のライブビューイングでまた脳みそが膨張してしまったのでいったんここまででアップします)

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