あの日すれ違った道は。
7月29日と30日そして8月3日に宝塚大劇場にて宙組公演「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」を見てきました。8月3日は千秋楽でした。
(お盆に大雨に新型コロナの感染拡大等々に振り回されているうちに東京公演の初日を迎えていました)
千秋楽は2階から、30日は前方センターで観劇(お隣にはひっそりとOG娘役さんがお座りでした)。
初見の頃は思ったほど奇人ではないホームズにもの足りなさを感じていましたが、おちゃめで誠実な真風ホームズも見慣れて楽しめるようになっていました。
ショーも苦手なところから目を逸らすタイミングも覚えてひたすら多幸感に浸り夢の中にいる心地で過ごした数時間でした。
両作品とも中堅から下の出演者に見せ場が用意されているのも楽しめた理由の一つだったなと思います。
生徒さんたちのステップアップを喜ぶことができるのも宝塚を見つづける理由であることをしみじみと感じる公演でした。
千秋楽には恒例の胸元のコサージュ、そして退団者のアドリブや見せ場に拍手。
パレード後に並んだ時には退団者にスポットも当たっていて、スタッフさんの心づくしに温かい気もちになりました。
愛しい生徒さんたちが卒業していくのがこの公演でよかったと思えたことが私にとってなによりも幸せなことでした。
毎年40人の生徒(と呼ぶ劇団員)を受け入れる宝塚歌劇団ですから、毎年それくらいの生徒さんが退団していかれるのは経営システム上仕方のないことだとは思っています。
彼女たちの有限で尊い時間を売り物にするというある意味とても残酷ともいえるシステムで成り立つ世界。
そこに惜しみなく青春のすべてを懸ける彼女たちへのリスペクトと、その輝ける時間を個人の楽しみのために消費していることに対する罪悪感とで、言葉では言い尽くせない思いが胸に渦巻いているのですが、それゆえに幸せに卒業の日を迎えてほしいと願い、そののちも1人ひとりが誇りをもって新しい人生を歩んでゆかれることを心から願わずにいられません。
そして始まったばかりの東京公演が千秋楽まで無事に上演され、退団される皆さんを無事に見送ることができますように。
昨今さまざまな舞台の公演中止のニュースを聞くたびに、そう切に切に願わずにいられません。
そのためにもどうか、客席もご協力をと。
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