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2021/09/30

新しい冒険へ。

9月26日東京宝塚劇場にて宙組公演シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」千秋楽を見てきました。

やはり東京宝塚劇場には魔法があるようです。
「シャーロック・ホームズ」の登場人物たちの独唱がとても胸に響きました。音楽のテンポが心地よかったです。
モリアーティに夢の中で追い詰めら
れるシーンもエコーが強めにかかって幻想シーンだとわかりやすくなっていました。
回数を重ねることで役者同士の芝居の方向性も定まるのかセリフの間や強弱なども微調整されたかんじですごくハマっていてノーストレスで物語世界を堪能しました。

221Bの「退屈だ~~」の場面で、真風ホームズがやっていた「退屈だお化け」ってなんなんですかね笑。ずんワトスンに無茶ぶりしたかと思ったら「私が退屈だ大魔王だ」ってなんなんなん???笑。ぜんぜんわからなかったけれど面白かったです笑。
そしてそれを受けてのららハドスンさんの「プンプン大魔王だからね」が可愛くて可愛くて。

221Bに過去の依頼人が押し掛ける場面、退団者の七生眞希さんのマシューズ内務大臣のまわりを秋音ソールズベリー首相閣下たちがぐるぐるして順々にハグしてました。七生マシューズ身動きとれず為すがまま笑。うんそういうところだよねって思いました。
この場面はオペラグラスを使っていたので全体を把握していないのですが、もしかして同じく退団する遥羽ららちゃんも皆からハグされていたのかな。

ラストの退団者の美月悠さんの牧師さまと星月梨旺さん七生眞希さんの墓守のところに日雇い労働者に扮した真風ホームズさんがスコップを担いで近づく場面では、ムラの千秋楽とおなじく真風さんが東京宝塚劇場の土?を掘って3人に渡していたんですけど、さらに何かキラッとする小さなものを3人お1人お1人に渡してらっしゃいました。
オペラグラスで見ても私の座席(1階下手)からはよく見えなかったのですが、1シリング銀貨じゃないかなと教えていただきました。
たしかに白っぽくて小さくて丸くてキラッとしてたし、真風さんの摘み方もそんなかんじだなと思いました。なにより冒頭でイレギュラーズに1シリングずつ渡していた時と同じ変装をしていますし。
まぁ真相は退団者の皆さまのみが知る、かなぁ。(もう知る手立てがないのが寂しいです)
ムラでの初見のときは、退団する人が墓守って??と戸惑ったのですが、最後の公演で真風さんと自由に交流できる場面を作ってくれて、生田先生ありがとうございましたという気持ちです。

「デリシュー」はやっぱりあっという間のショーでした。
ただもうこれが最後だと思うと七生眞希さんから目が離せなくてずっとオペラグラスでロックオンしていました。
薄紫の燕尾服にトップハット。苺のショートケーキをもってくるくる。緑と白のストライプシャツにカンカン帽。ステッキと思いきやのキャンディケーン。薄紫のシャツに白いジレとパンツ。ピンクのマカロンペンライト。仮面をつけていてもすぐにわかる後頭部を愛でていました。黒のシャツとパンツに金色のジャケット。相手役の娘役さんを見つめる表情。♪アモールアモールアモールからは胸がいっぱいでした。虹色の薔薇の薄紫の綺麗な衣装をまとった笑顔。胸元のお花。黒燕尾。組んでいる優希しおんさんをみつめる瞳。七生さんをみつめる優希さんの瞳。羽根扇を揺らして真風さんを迎えるときのお顏。客席に向ける笑顔。

私にとって七生眞希さんはひ孫みたいな存在かなと思います。
親のような責任もないし、孫みたいにお小遣いをあげる必要もない笑。たまに逢えて笑顔を見るととてもうれしい。
心にそんな存在をもっていられたことがとてもしあわせでした。
もう次の宙組を見に行っても彼女に逢えないのだなぁと思うと心の中に洞ができたような気持ちです。

物議を醸した「フォレノワール」も洗練されたことに加えて客体に見えていた演者たちが能動的に爛れた愛を愉しんで見せるようになっていたことで大劇場より見やすくなっていました。
東京公演では全体よりも卒業される方を追うので精一杯だったせいもあるかもしれません。
が、その中に美少年が紛れているのを見るとやっぱり気持ちが凍りました。こういう中にいるのでなければそのビヨルンのような出で立ちと美しさを愛でることもできたのに。大人同士のプレイに混ぜてはなりません。
仮面の歌手と盲目の少女も、ビアズリーかバルビエの絵のようで絵的にはとても好みで心惹かれるのですが、なぜこの世界観の中に在るのかと。それと歌っている内容が狙っているのだと思うけれど嗜虐的に思えて心が受け容れるのを拒絶してしまってました。
どうしてこんなにあれもこれもを入れ込んでしまったのだろう。バルビエが魔夜峰央になっちゃったごちゃごちゃ感。
詩的で幻想的なエロティシズム漂う場面にもなったはずなのに、こどもっぽい露悪趣味の悪巫山戯を見ているようで心が醒めてしまう。
コスチュームや舞台セットも好きだったのに。きっと「好き」な部分が多かったからこそその中にある受け入れ難いものに失望が大きかったのだと思います。

この公演がトップ娘役としての大劇場お披露目だった潤花ちゃん。明るくて華やかで八重咲きのピオニーのようで楊貴妃もやれちゃうんじゃないかと思いました。真風さんと中国ものをぜひ!
フレンチカンカンの場面と黒に金の衣装で銀橋を渡る場面がとくに好きでした。

それから2番手の芹香斗亜さんがすごく活躍されていた公演だった印象です。
コケティッシュで愉快なマリー・アントワネット様があのモリアーティ教授と同じ人だなんて、これぞ宝塚の醍醐味。
どすの効いた声や猫なで声もなんでもござれでわっかのドレスで退屈だわ~~ってお行儀悪くしゃがみこんだりとっても自由で面白かったです。
千秋楽もとっても自由で、マカロン男爵たちが重そうにしているバーベルを軽々と持ち上げてしまったり、ヴィオレット辺境伯のご子息たちの歌を聴いて皆で泣いてみたり、「ほめられ鯛」になっちゃったクレープ公爵に雪のような粉砂糖を振りかけたらもっと素敵になるわよと雪組への異動に餞のおことばをかけてあげたかと思ったら何か言うことはないのと催促。無茶ぶりに応えた和希クレープ男爵からの「NEVER SAY GOODBYE!」が聴けました。
ピンクのドレスの娘役さんに囲まれて大階段に登場するところは毎回ときめきました。

大きくかまえてさみしさも笑顔もうけとめてくれる真風さんと軽快なキキちゃん(芹香さん)のコンビの対比が効いている作品でした。
キキちゃんとの1・2コンビも、潤花ちゃんとのトップコンビも真風さんの包容力で成り立っているのだなと。安定感が半端ないと思いました。
それがちょっと久世星佳さん時代の月組っぽいなぁという気もして「バロンの末裔」がさらに楽しみになりました。

黙って佇んでいたら最高にザ男役な真風さんなのに、カーテンコールで退団者がひと言ずつの場面で、遥羽ららちゃんが「ほっとしてお腹がなっちゃいました」と言ったら「お腹なっちゃったの~~~?」ってほいくえんのせんせいみたいに応じるところが、もうたまらなかったです。私のマスクの下の顔は溶けちゃってたと思います。
千秋楽まで無事に終えたことを客席と一緒に三本締めで祝ってくれるのもなんかいいなと思います。客席と舞台の上があの一瞬フラットになれた気がするなんともいえない特別な感じがして。
ものごとをまとめあげる時の真風さんのクレバーさバランス感覚のよさに千秋楽はいつも私は感動してるなぁと思います。

東京公演千秋楽が終わって私は心に秋風が吹いていますが、宙組の皆さんは次の公演に向けて気持ちを切り替えているのだろうなぁ。そう思うと本当にリスペクトしかないし、そうやって幾年月過ごして来られた退団者の皆さんももう前を向いて進んでいかれているのでしょうね。
どうか新しい人生に希望の光が満ちていますように。

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