待っていてくれるんだな。
10月23日に博多座にて、宝塚歌劇月組公演「川霧の橋」「Dream Chaser -新たな夢へ-」のソワレを見てきました。
(幸さんのセリフの語尾が記憶していたのとちがっていたので、前回の感想のタイトルを修正しました汗)
この日は中日とのことで、10月11日の初日と翌日のマチネ以来の観劇だったのですが、もの凄い進化を遂げているなと感じました。
舞台の上のひとつひとつのセリフや感情が真っすぐに心に届いてきて私は冒頭からラストまで入り込んで見ていました。
初日もとても感動したのですが、1点引っ掛かるとしたら「おみっちゃんはあれで2年待つの凄いなぁ」だったのですが、今回は「いやぁこの清さんになら初心な娘は勘違いしちゃうわ、初心でない私もコロリだわ~」と思いました。
暁千星さん演じる清吉の雰囲気が大きく変わった気がします。危なっかしい捨てておけないような色気が出たといいますか。
おみっちゃんを見る目の輝きに、この瞳にロックオンされたら敵わないわと思いました。
告白されて豆鉄砲を喰らった鳩になったところから、清さんが行ってしまってウフフってなってるおみっちゃんがとても可愛くて。
清さんの雰囲気が変わったことでおみっちゃんの反応も変わったなと思いました。
この日のことを思い出すたびにきっと、おみっちゃんもまんざらではない気持ちになっちゃって、待っていなくちゃと思ってしまうのじゃないかな。
あの一瞬に絆されてしまったのよね。
そう見えると、その後の幸さんの真摯な想いをなかなか受け入れられないのも納得でした。
一瞬の夢見心地と約束は守らなくてはと思う少女らしい律義さのために自分の将来を決定づけてしまった、愛情についてなにもわかっていない娘なのだなぁと思いました。
そんなおみっちゃんをずっと思っている月城かなとさん演じる幸次郎は、なんていうのか、やっぱり融通の利かない頑固者だけど信用のおける人だなと思います。
自分の大工道具を自分の手で大事に手入れして仕事をする人柄は、きっと愛情の面でも同じなのではないかなと。おみっちゃんのことも大事に大事に想い続けているのだろうなぁ。
口下手は直した方がいいかもと思いましたが、大人になった彼はそこもちゃんとわかっていますよね。
回り道をしたけれど、やっぱり2人にとって必要なことだったのだなと思いました。
一緒に見た方が初見だったのですが、1時間半とは思えないくらい長く感じだとおっしゃっていました。
私も初日にそう感じたのを思い出しました。つまらなくて長いのではなくて、ヒロインたちの境遇が幾度も変化していき、まだこれで終わりじゃないんだ、どうなっていくんだろう?と思うポイントが何回もあったのに1時間半しか経っていないことに驚いたのです。
それぞれ登場人物たちの情報もてんこもりでしたし、登場人物たちそれぞれの場面が主人公たちの結末にちゃんと意味を成していたことも驚きでした。
日本もの人情ものということで、最近見た宝塚の作品に比べて登場人物が心情を歌ったり踊ったりする場面が少なめだったので、その分の時間で情報がいろいろ盛り込まれていたというのもあったかもしれません。
説明台詞がほとんどなくて、状況や関係性が会話形式で描かれていたことで、たくさんの登場人物にセリフがあったことも情報量が濃いと感じた理由かもしれません。そのセリフ自体は短いものであっても。
「お嬢さん、水溜りがあります」のひと言で、お組さんがどんな育ちの人なのかが浮かび上がって鳥肌でした。
その育ちこそがあの大火の日の行動につながるし、その行動がその後の人生が変わってしまうきっかけともなっていて心で唸るしかありませんでした。
おみっちゃんの家のお隣のお常さんとの関係性も秋鯵のセリフのやり取りでわかりましたし、同じように茅町の人びとの関係や杉田屋さんの内の人間関係や序列もセリフで理解できました。そうそう意外と大事な権さんの職業も。
女性たちの上方言葉で清さんと権さんが大阪で再会していることも説明なしでわかりました。これは日本物ならではの効果でしょうか。
脚本を書いた人のセンスの冴え、そして観客を信じて書かれた脚本だなということもしみじみと感じます。
今回の再演にあたって、初演と演出をほとんど変えていないとのことですが、それも良かったのかもと思います。
この日は、初演の主演コンビ剣幸さんとこだま愛さんがご観劇で、カーテンコールで挨拶された月城かなとさんに大きな拍手をおくっていらっしゃるのが後ろからよく見えました。
月城さんがお2人がご観劇であることを、お稽古場でいただいたお言葉を交えながら紹介されていました。そのお言葉は月城さんにとって宝物なのだなぁという印象をうけました。
一瞬柴田先生のお顏が浮かんだこともおっしゃっていて、こうして宝塚は続いていくんだなぁと感慨深かったです。
月城かなとさんと海乃美月さんのプレお披露目がこの作品でよかったなと私も幸せな気持ちにさせていただきました。
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