決して言いはしないサヨナラだけは-NEVER SAY GOODBYE -。
2022年2月からの宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」の配役が発表になったので、初演のルサンクを引っ張り出して、おさらいと予習を兼ねて、登場人物を書き出してみました。
それから時代背景も。
初演を見た時の記憶をたどると、対ファシズムというよりは、内紛による人間模様を描いた作品という印象が強く、登場人物たちの属性や関係性がわからないとストーリーが飲み込みにくかったと思うので、自分の頭の中を整理するためにそれも書き添えました。
とくにPSUC(プスク)とPOUM(ポウム)などは、両方とも同じ人民戦線側なんですけど内部で対立しているので。
初演当時は、和央ようかさんの怪我は大丈夫かしら、もしも和央さんが休演することになってしまったらどうなるのかしらと不安を抱えながら見ていました。
こんなにミュージカルナンバーに溢れた大作のアンダーをやれる人も正直組内にはいるように思えませんでした。2番手の大和悠河さんとでも8期離れていて他の追随をゆるさない大きな存在でしたから。
それからフランク・ワイルドホーン氏による楽曲は良いものばかりでしたが、ストーリー的に私には未消化の部分がありました。
①ジョルジュが内戦の真実をフィルムに残すことよりも、カメラを銃に持ち替えて義勇兵として戦う決意にいたる心情、②バリバリの新進劇作家だったキャサリンが後半は辛気臭い女性になってしまったこと、が腑に落ちずに終わった気がするので、そこが再演を観劇することでクリアになるといいなと思います。
それにしてもいまルサンク巻末のシナリオを見ますと、役名ではなくて生徒名になっていたり、じっさいの舞台で見たシーンやセリフが載っていなかったりでかなり大慌てで入稿されたのかしらと思います。
そのあたりも含めて、再演は変わるのかなと思いますが、とりあえずですが公式サイトにアップされた登場人物に初演のときの属性等を書き添えてみました。
(公式サイトにアップされた再演のキャスト表には名前がない人物も含みます)
<ハリウッドで登場する人びと>
【ジョルジュ】(真風涼帆)フランスから来たカメラマン。ポーランド生まれ。「僕はデラシネ、根無し草だ」。
【キャサリン】(潤花)アメリカ人の社会派シナリオライター。映画「スペインの嵐」原作者。
【ヴィセント】(芹香斗亜)バルセロナ出身の闘牛士。映画「スペインの嵐」に出演のため渡米。
【マーク】(寿つかさ)映画「スペインの嵐」プロデューサー。
【パオロ】(松風輝)ラジオバルセロナのプロデューサー。映画「スペインの嵐」スペインロケの打ち合わせのため渡米。
【エレン】(天彩峰里)映画「スペインの嵐」主演女優。
【ヘンリー】映画「スペインの嵐」に出演。エレンの相手役。(2022年キャスト表に名前なし)
【ピーター】(春瀬央季)シナリオライター仲間。キャサリンとともにモスクワへ世界作家会議に向かう途中バルセロナに立ち寄る。
【ベティ】(小春乃さよ)シナリオライター仲間。
【ミリー】(湖々さくら)シナリオライター仲間。
【ジョン】(秋音光)シナリオライター仲間。
【デイヴ】(秋奈るい)シナリオライター仲間。
【パティ】(花宮沙羅)シナリオライター仲間。
【ボブ】(水香依千)シナリオライター仲間。
【ニック】(希峰かなた)シナリオライター仲間。
<バルセロナで登場する人びと>
【アギラール】(桜木みなと)人民オリンピック組織員会宣伝部長。PUSC(統一社会党)幹部。ソヴィエトが後ろについている。
【コマロフ】(夏美よう)ソヴィエト文化省の諜報員。
【アニータ】(瀬戸花まり)占いをする女性。
【母親】(花菱りず)市民。市街戦で息子(マリオ)を撃たれる。
【マリオ】市街戦で被弾する少年。(2022年キャスト表に名前なし)
【ラ・パッショナリア】(留依蒔世)マドリード包囲戦において「ノーパサラン!(やつらを通すな)」のスローガンで有名な政治指導者、ドロレス・イバルリ。「ラ・パッショナリア」は受難者または情熱の花の意味。
【イザベラ】(小春乃さよ)歌い手。
【市長】(若翔りつ)バルセロナ市長。
【リベラ】(澄風なぎ)POUM(統一労働者党)党員。
【フリオ】POUM党員。(2022年キャスト表に名前なし)
【テレサ】(水音志保)ヴィセントの恋人。踊り手。
《センチュリア・オリンピアーダ》
【マックス】(紫藤りゅう)オランダ人。レスリング選手。
【ビル】(瑠風輝)英国人。高跳びの選手。
【ビョルン】(鷹翔千空)スウェーデン人。フェンシングの選手。
【ハンス】(風色日向)ノルウェー人。フェンシングの選手。
【ナセール】(優希しおん)アルジェリア人。ボクシングの選手。
【タリック】(亜音有星)モロッコ人。ボクシングの選手。
《闘牛士》
【ホアキン】(秋音光)
【ラモン】(秋奈るい)
【カルロス】(水香依千)
【アントニオ】(穂稀せり)
【ファン】(真名瀬みら)
【ペドロ】(雪輝れんや)
<現代に登場する人びと>
【ペギー】(潤花)キャサリンの孫。
【エンリケ】(奈央麗斗)ヴィセントの孫。
<時代背景>
第一次大戦後のスペインはいったんは軍事独裁政権になるも選挙により共和派が勝利し国王が退位、ソヴィエトの影響力のもと人民戦線(社会主義連合政権)による共和国となっていた。
一方ハリウッドの映画業界でも共産主義思想に理想を見出す者も少なくない時代でもあった。(のちの赤狩りにつながる)
1936年7月ハリウッドからスペインに渡航した主人公たちは、フランコ将軍がモロッコで挙兵したという報せを聞く。これがスペイン内戦の発端であった。
当時バルセロナには世界22か国から人民オリンピック(オリンピアーダ・ポピュラール)に参加するため選手が集まっていた。
人民オリンピックとはナチス・ドイツのプロパガンダに利用されるベルリン・オリンピックに対抗してバルセロナで開催される予定のもう一つのオリンピックだったが、開会式のリハーサル翌日(開会式当日)にスペイン内戦が勃発したため中止となった。
内戦は、共産主義であるソヴィエトや国際旅団(義勇兵)が支援する「人民戦線」対、ナチス・ドイツやムッソリーニのイタリアなどファシズム国家が軍事支援する「反乱軍」(フランコ将軍が率いる)との戦いで、スペイン各地で戦闘が繰り広げられた。
人民戦線側は思想的にも一枚岩ではなくいくつもの政党により成り立っていたため統一性に欠けていた。(PSUCがPOUMを粛清する)
やがて人民戦線側が劣勢となり、1939年1月バルセロナが陥落、3月に首都マドリードが陥落し反乱軍が勝利、スペインはフランコ独裁政権の時代へ向かっていく。
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