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2024年7月の2件の記事

2024/07/29

どいつもこいつも

7月24日に博多座にて劇団☆新感線の「バサラオ」を見てきました。

脚本家が怖い 

久々に脚本家って怖いと思いました。
緻密につくりあげられた世界観、その中で自在に戯れる感覚を味わいました。
イメージを具現化する演出、役者の力量にも感服でした。
終演してもしばしこの世界に浸っていたい、そんな作品に出会いました。
とはいえ短期間でリピートするには気力体力がそうとう必要なボリューム(内容)だったので映像でリピートしたいなぁと思います。(出ますよね??)

裏切り寝返り。敵と思えば味方に味方と思えば敵に、戦途中でも入れ替わり、こんどはどっち??? 登場人物たち皆がおのれの義を貫くゆえなんだけども。
どいつもこいつもロックだなぁ。
あ、いまのいいな、と思った次にはとんでもなく外道なふるまいにうげぇ、のドライブ感。

ヒュウガ/生田斗真さん

冒頭で生田斗真さん演じるヒュウガが歌っていた「眩しさと傷みは似ている」が観劇中ずっとあたまに残っていて、それって憧れのロックスターを見ていた時の感覚とおなじだなぁと。
憧れたロックスターのイメージが物語を背負ったらこんな感じになるのかなぁと思いました。
それにしてもあれだけ美しいの顔がいいのと連呼され、そのことが理由となり動機となる役を納得させて物語を成立させる生田斗真さんの凄さときたら・・。美しいと自ら言い他人に言われて刹那も揺らがない気力がもう、尋常ではないと思いました。(これが背負っているひとの迫力なんだ・・)

カイリ/中村倫也さん

カイリを演じる中村倫也さんの芝居の巧さはこれまた凄いなぁと思いました。
とんでもなく複雑で面倒で難しい役を齟齬なくあのラストに持っていった力量に驚きでした。
誰よりもいちばんいろんな人物と絡んでいて、その時々に見せる顔に違和がなくて、次々に変わる状況とも矛盾がない。おかしいじゃんとか納得できないとかにすこしもならなかったこと。それが不思議。凄すぎ。
エグい人物しか出てこない作品でしたが、いちばんマトモそうな顔をしていちばんエグかったのがカイリだったんではないかと。
あれとかあれとかあれとか・・・。その人物がどう行動するか、結果どうなるかも読んで布石を敷いていたってことですよね。ひぇ~怖い。
それは村にいるときからはじまっていて、再会は必然ってこと? 《犬》として諸国を渡り歩いていたのだからヒュウガの動向も知らないわけがないですよね。ひぇ~怖い怖い。
(ヒュウガがエリザベートならカイリはトートで、ヒュウガがトート閣下ならカイリはルキーニ、みたいな・・。《グランデ・アモーレ》ですよね)

サキド/りょうさん、アキノ/西野七瀬さん、クスマ/村木よし子さん

3人の女性リーダーたち、女大名サキド(りょうさん)、朝廷の戦女アキノ(西野七瀬さん)、朝廷側の落武者集団の女傑クスマ(村木よし子さん)は三者三様の性格と矜持で自分の意思で戦う姿がよかったです。
女性だからと黙らせられたりしない世界観。男性たちのなかで女性性を一身に引き受ける『紅一点キャラ』じゃなくて本当によいなぁと思いました。

派手好みの女大名サキドはハンサムで凄味があって最高でした。美と粋を追求する意気地《サキド好み》がゆえにヒュウガを意識せずにいられないんだろうなぁ。
アキノはトンデモアブナイ戦女(いくさめ)。自分のこだわりを追い求め一般的な価値には無頓着(ゆえに孤立してるけどそれも無頓着)。権力者にはこのうえなく手駒にしやすいタイプ。サキド様がおのれの美意識から常ならぬ道を選択するのに対してナチュラルボーンの逸脱者。彼女をほうっておけないカコ様(中谷さとみさん)の気持ちわかる~と思いました。
クスマはいちばん義理人情に篤い人間的な「いいひと」。だからこそ葛藤するし良心に縛られる。そこがほかの登場人物たちとは一線を画しているんだなぁと。ほんと傍若無人に好き勝手やる人たちに囲まれて分が悪すぎるけどその選択もクスマらしいなぁと思いました。(ゴノミカドの皇子とともに倒幕のために戦う天皇の忠臣クスマってクスノキサシゲですよね? え、まってもしかしてサキドってキドウヨ? ではキタタカ時?? ・・といまになって気づく・・)

ゴノミカド/古田新太さん

古田新太さんのゴノミカドは後醍醐天皇がモデルなのはまちがいないと思うのだけど、古田さんのゴノミカドでこれまで私のなかで曖昧模糊としていた後醍醐天皇の解像度が上がったような気がします。
凡人にも親しみやすい物言いやふるまい(ヤカラ文化の人びとに響きそうな)とはうらはらの知略。ポピュリズムを利用する専制君主みたいなアンビバレンスを平然と内在させて、苦労人らしいあたまの切れがあるかと思えば頑迷なところもあり、もはや何ものにも共感不能なかんじ。愚帝と見せてじつは尋常ではない切れ者?かと思いきややっぱり・・?(器が大きいのかそうではいのか、そこも自由自在なのか)
この人物と渡り合うキャラクターを作り上げようとしたらそりゃあトンデモないひとたちになるわ・・と思いました。
主人公のヒュウガやカイリもかれに対抗できるトンデモなスケールがないと納得できないですもん。
一昨年「薔薇とサムライ2」を見たとき、古田さんは後進に禅譲されるのかなぁなんて思ったのですが、いやいやいや。誰にも替わることができない取り扱い注意な不敵のゴノミカド古田さんを見られて大満足でした。

キタタカ/粟根まことさん、タダノミヤ/インディ高橋さん

執権キタタカの粟根まことさんは冒頭で世界観、登場人物たちの関係性を見せてここからはじまる物語への導入を助けてくれてやっぱり凄い役者さんだなぁと思いました。彼が悪の敵役なのかと思っていたら、あ——れ——? 彼よりもよっぽど酷いひとたちがいっぱい出てくる?? 物語の水準点みたいな役?
インディ高橋さん演じるゴノミカドの皇子タダノミヤは笑っていいのか悲しんでいいのか戸惑ってしまう不思議な存在。きっとその時の自分の心次第で変わる、そんな気がしました。

ひとときの夢を見ました

酷い登場人物ばかりで嫌な気持ちになりそうなのに不思議とそうはなりませんでした。
たぶん何ものにも媚びていないキャラばかりだったからかなぁ。キタタカの家来たちも自分の意思で追従しへつらってはいてもいやらしく媚びてはいない。
それから春をひさぐ者も登場しないのも大きいなぁ。
性愛が絡まないとこんなに女性は自由。女性に媚びさせない、女性だからと見下さず憐れまず対峙する男性たちのカッコ良さを感じました。
おそらくこの作品が好きだったいちばんの理由はこういうところだったんだと思います。現実では味わえない心地よさをしばしの時間味わえたからかなぁと。
叶うならこの物語の登場人物たちのように思うがままに生きてみたい。
そんな夢のひとときを見たような気がします。

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2024/07/14

召しませ花を

宝塚大劇場にて、6月25日と30日千秋楽の宙組特別公演「Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-」を見てきました。

命の輝きに心ふるえました。
どの曲もどの曲も口ずさめるものばかり。
次々に繰り出されるナンバーごとに、かつてのタカラジェンヌを通して見た夢がオーバーラップして、懐かしさとともにいま舞台に立っているタカラジェンヌたちも長い長い宝塚歌劇の歴史を背負ってここにいるのだなぁとしみじみと思うそんな時間を過ごしました。
この世界観を作り上げてくださったサイトー先生にありがとうございますと心から思いました。

モン・パリ~Le Grand Escalier~パリ・メドレー~花詩集

「Le Grand Escalier(大階段)」というショータイトルの通り、幕開きから大階段を使った息もつかせぬ勢いで繰り出されるパリ・メドレーは「パリ祭@大劇場」ともいうべき圧巻の華やかさでした。
明るい照明に映えるトリコロールカラーの青白赤の衣装を纏った宙組タカラジェンヌたちの輝きに感動しました。
歌い継ぐ1人1人が表舞台に立っていなかった間も鍛錬を怠らなかったことをうかがわせる出来栄えで素晴らしかったです。
名曲が活きる演出も心が浮き立ちました。
この作品唯一のオリジナル曲であるテーマソングの「Le Grand Escalier」も吉田優子先生らしい如何にもな宝塚レヴューの主題歌でほどよいノスタルジアと安心感に浸って耳と心を委ねることができました。

エスカイヤ・ガールス

圧巻のパリ・メドレーにつづいて湖々さくらさん愛未サラさん美星帆那さんの娘役トリオで銀橋を歌い踊る「エスカイヤ・ガールス」は、そのキラキラに思わず涙でした。80分のショーだからできたのかなと思いますが、いままでこういう若手娘役さんの場面ってなかったなぁと。でもずっとこんな場面が見たかったんだと、頑張っている娘役さんたちが輝く場面があるのはいいなぁと思いました。

まことの愛(ダルレークの恋)

瑠風輝さんが上手からせり上がり銀橋を渡りながらの「まことの愛」(ダルレークの恋)は、辺りを払うような歌声にドラマティックな物語の情景が浮かび引き込まれました。
本舞台で踊っていた娘役さんたちの中から1人サッシュ(勲章)を付けたロイヤルな「ダルレークの恋」のヒロインと思しき天彩峰里さんが瑠風さんに駆け寄り銀橋でいだきあう演出もドラマティックで惚れ惚れしました。
瑠風さんも天彩さんも一瞬で世界観をつくり出せて素晴らしいなぁと思いました。

夜霧のモンマルトル

桜木みなとさんが中心で歌う「夜霧のモンマルトル」では、このナンバーといえば!のトップハット&ケインの紳士がズラリ。いい眺めでした。
下級生が多いせいか動きが若いなという印象をうけましたが、舞台に立ってこそ得るものがきっとあると思うので、大劇場公演の11日間を経て東京公演では臈闌けた紳士に変身しているといいなと楽しみです。
その中でなんとなく身のこなしが好きだなと思う人がいて目で追っていたのですが、列の移動の時に追い切れず誰だったのか確かめられませんでした。
(たぶんその後列から外れて歌っていた人だと思うので真白悠希さんかなと思うのですが、千秋楽は席が下手すぎてわからず・・)
東京公演ではあれが誰だったのかも確かめつつ、ほかの人たちももっと見たいと思います。

夢人~BLUE ILLUSION~ENDLESS DREAM

Jungleの場面はザ・サイトーワールド!! どこを見たらいいのか誰もかれもが魅力的であたまが噴火しそうでした。

まず美しく妖しい鳥さんと思しき4人の娘役さんたち。
これは「BLUE・MOON・BLUE」でいうところの"うさぎちゃん”たちですよね? サイトー作品につきもののアイドル的娘役さんたち。
登場とともに目を惹く水音志保さん、山吹ひばりさんの美しさ、そして今回おぼえた渚ゆりさん、結沙かのんさん。
彼女たちをずっと見ていたいのですが、蛇に扮した鷹翔千空さんが怪しすぎて妖しすぎて・・娘役さんたちに横抱きにリフトされたときのポーズはどういうこと?? あの体勢でブレることなく手は妖しく動いていて・・これなにごと?? 娘役さんたちも見たいのにどうしても鷹翔さんを目で追わずにいられない・・どちらも見たいのにと葛藤しました。
銀橋で美しい娘役さんたちを従えた鷹翔さんの蛇が旅人の芹香斗亜さんに絡む場面は脳内からなにかが溢れ出しました。
「夢人」ってピュアファンタジーのイメージだったのですが、こんなに妖艶な世界で歌われて・・あたまが混乱し追いつきませんでした。

そして「夢人」からの「BLUE ILLUSION」の前奏でさらにあたまがBarrrrrn。
「BLUE・MOON・BLUE」は宝塚歌劇にはまったばかりの頃に映像で見て衝撃をうけた大好きな作品で、そのナンバーを生で体験できる興奮と、「夢人」のあとにこの曲がおなじシーンでつづく驚きで、自分を落ち着かせるのが大変でした。
独特の世界観の舞台セットに照明に、舞台上の妖獣のみなさん、妖花のみなさん、鳥さん、蛇さん・・に情報処理が追いつきません。(3回見たのですが未だ全容がわからず・・) (大きな火の鳥?不死鳥?ガルーダ?が上がっていきましたよね??)
妖鳥の春乃さくらさんの妖しいまなざしにズキュン。
苦邪組七姉妹の悪い春乃さくらさんが大好きだったのでこの春乃さんに射抜かれました。(いつもニコニコしているイメージなので振り幅にやられるのかな)
春乃さんにあたる赤い照明、蛇の鷹翔さんにあたる緑の照明、どうなっているの???
このシーンはスカイステージの舞台裏番組でぜひ映像を見ながら解説してほしいです。
妖獣の男役さんたちのロングヘア―も新鮮に感じました。
「BLUE ILLUSION」を歌う妖獣の嵐之真さんもこんなにちゃんと意識して見たことがなかったので新鮮でした。宙組も歌える方がたくさんいるんだなぁなどといまさらなことに関心しました。
とはいうものの、誰か1人だけをまじまじと見ている余裕もなく、妖しい蛇の鷹翔さんに、芹香さんを誘う春乃さんに、美しい鳥たちに、妖しい歌声を響かせる花たちに、激しく飛び回る妖獣たちにと次々に目移りして目が回っていました。(これぞイリュージョン?)(東京公演では2階席から見れたらいいなぁ)

「BLUE ILLUSION」からの旅人芹香さんが歌う「ENDLESS DREAM」は、こんなに贅沢なことがあっていいのかと。20年前の自分におしえてあげたい気持ち。これをいまの宙組で見ているんだ・・と「いま」とこの場面に思い焦がれていた「過去」が自分のなかで幾度も行き来して憧れ立つ心地でした。

フィエスタ アイ・アイ・アイ

と・・しみじみと浸っている間もなく、亜音有星さん大路りせさん泉堂成さんがキラキラのラテンの衣装で陽気に歌い踊って銀橋を通っていきました。
ここからは底抜けに明るいラテンのシーンに。(展開が早いのもこの公演の特徴かな)

カルナバル・デ・リオ!!~ソル・エ・マル~シナーマン

「カルナバル・デ・リオ!!」(RIO DE VRAVO!!)で風色日向さんと山吹ひばりさんが、「ソル・エ・マル」(ノバ・ボサ・ノバ)で天彩峰里さん松風輝さん秋奈るいさんが銀橋を渡った後は、舞台センターから芹香さんが登場して「シナーマン」を熱唱。
楽曲1曲で長い尺をたっぷりもたせて観客の視線を一身に浴びる、「PAGAD/Sky Fantasy!」を見ることが叶わなかった私は、これぞトップスターな芹香さんの姿に感無量。芹香さんが歌い切った後は「ノバ・ボサ・ノバ」らしく全員で飛び跳ねて盛り上がって終わるのだろうと身構え?ていたら、曲調が変わって「黒きバラ」(花詩集)に。
ええ~~~なぜに~~?と思いながらも真名瀬みらさんの歌声に惹き込まれ・・これはこういうショーなんだなと。(ようやくわかってきました)

幸福を売る人~パッショネイト!~CONGA!!~Aye Carammba~サザンクロス・レビュー

「幸福を売る人」(華麗なる千拍子)を瑠風さんが軽やかに歌い銀橋を渡ると次は春乃さくらさんの「パッショネイト!」(パッショネイト宝塚!)でした。
春乃さんの全力「パッショネーイ!!!」には思わず頬が緩んでしまい、2回め3回めの観劇では来るぞ来るぞとこのシーンを待ちわびていました。あっという間の場面なんですけど笑。
そこからの桜木さんセンターの「CONGA!!」が最高。そこに芹香さん春乃さんが加わっての宙組ほぼ全員による「Aye Carammba」はまさに「祭り」のフィナーレのような熱い盛り上がりで、その熱い旋風に客席の私も巻き込まれたかのような陶酔の中詰めでした。
見ている私の息も上がりきって息切れしそうなところで「サザンクロス・レビュー」鷹翔さんと若手男役さんたちが中心だったと思います。
もちろんアップテンポでノリの良いラテンナンバーなのはまちがいないのだけど、あれ?この曲ってこんなにせつなかったっけ?と思いました。「サザンクロス・レビュー」では哀愁のナンバーといえば言わずと知れた「星の海」で「サザンクロス・レビュー」はノリノリのラテンナンバーという認識だったのですが。あれ?なんでこんなに沁みるんだろうと。明るいラテンナンバーなのに「CONGA!!」や「Aye Carammba」とはちがうどこか刹那的な・・「祭り」はいつか終わることを知る者の哀切とでも言ったらいいのか。これが草野ワールドなのかなぁ?
ラテンナンバーと言ってもこれだけ立て続けに聴くとそれぞれにちがうなぁ。派手派手でノリノリなだけじゃないんだなぁとこれまで思いもしないことを感じました。

ラ・ヴィオレテラ

あんなに上がっていた息はいつの間にか落ち着き、耳には春乃さんが歌う「ラ・ヴィオレテラ」(ラ・ベルたからづか)。
『召しませ花をすみれ花』—— 『よろこびの花いつか咲きましょうあなたの胸に』
もう言葉にならないもので胸がいっぱいでした。なにかが溶けていくよう。表現するってこういうこと?春乃さんと娘役さんたちの声に癒されました。
(ラテンの場面にいなかった娘役さんたち、ここに出ていたのね——とプログラムを見て気づきました)

エル・アモール

つづくのは哀愁をまとった風色日向さんの「エル・アモール」(哀しみのコルドバ)。
そういえば初見のときはこの「エル・アモール」の場面まで風色さんに気づいていなかったんですよね。なんかときどき知らない番手スターさんがいるなぁと(そんなわけない)。「エル・アモール」で風色さんじゃんって。
あまりに堂々とスター然としている人がいて知っている風色さんの印象と結びつけることができなかったといいますか・・私が知っている風色さんじゃない風色さんがいました。
この数か月間で最も成長を遂げた人かもしれません。

グラナダ~コルドバの光と影

「グラナダ」の前奏はやった!と思いました。若翔りつさんの歌もとてもよかったです。
踊るピカドールたちの背後にある紗幕からマタドール姿の桜木さんが登場したときはひゃほーーー!!と思いました。
ムレータと剣を操る桜木さん最高にかっこよかったです。
1人で歌う「コルドバの光と影」(哀しみのコルドバ)も惹き込まれて見て聴いていました。
闘牛自体はその残酷さに嫌悪感があるので複雑ではあったのですが、あまり残酷には描かれていなかったかなと思います。トロ(牡牛)役の鳳城のあんさんがビスチェ風の女性的な衣装だったのであれ?牝牛じゃないよね?とそれに気を取られたのもあるのかな。桜木さんのフォームの美しさに釘付けだったからかな。
(スペイン的場面はカッコ良くて大好きなんですが、必ず闘牛がセットになるので極力残酷にならない演出を希望です)

WELCOME TO MANHATTAN~ゴールデン・デイズ

「WELCOME TO MANHATTAN」(マンハッタン不夜城)もわぁこのナンバーが聴けるのかぁと気分が跳ねあがりました。
「BLUE・MOON・BLUE」もですが大和悠河さんが大好きだったので生で見ていない下級生時代の作品のナンバーを聴けるのは感無量でした。とくに「マンハッタン不夜城」は解像度が低い時代のスカイステージでしか見たことがなかったのでひとしおです。
芹香さんがとってもラフでカジュアルな服装で登場したのに驚きました。ダウンタウンボーイの設定なんですね。
春乃さんの赤ずきんちゃんみたいな魔法使いがキュートで、舞台上で大勢でわちゃわちゃとても楽しい場面でした。
そこからの「ゴールデン・デイズ」は感動でした。こんなに一言一言歌詞を噛み締めて聴いたことはなかったかも。

ザ・レビュー

「ゴールデン・デイズ」の盛り上がりに区切りがつくと下手から亜音有星さん大路りせさん山吹ひばりさんが登場。イントロは「ザ・レビュー」です。
この曲を聴くと「Amour de 99!!」が思い出され当時の宙組の情景が思い浮かびました。あの頃、そして今、綿々とつづく宝塚歌劇がここにあるのだなぁと朗らかに歌いながら銀橋を渡る3人の未来を思って心の中でエールを送っていました。

アイ・ラブ・レビュー~TAKARAZUKA FOREVER

続いて瑠風さんと鷹翔さんによる「アイ・ラブ・レビュー」(ザ・レビュー)。瑠風さんがクラシカルに歌い鷹翔さんが跳ねるようなリズムで歌う。同じ曲でも味が違って面白いなぁと思いました。表現力のある2人だからこそだなぁと。
銀橋から瑠風さん鷹翔さんの紹介ポーズを受けてはじまるラインダンスは「TAKARAZUKA FOREVER」(ザ・レビューⅡ)。いつになく1人1人の顔がよく見えるラインダンスだなぁと思ったのですが、私がいつもより見ていたのかなぁ。命がキラキラ輝くこの素晴らしい光景をいつまでも見ていられますようにと願いながら見ていて目が離せなかったのかもと思います。

愛の旅立ち~セ・マニフィーク~未来へ~世界に求む

「愛の旅立ち」(ザ・レビューⅢ)は目も耳も心もすべてを芹香さんに集中。ひとつひとつの言葉を表情を心の奥深くに染み込ませました。
しみじみとした場面から一転しての桜木みなとさんセンターの男役群舞「セ・マニフィーク」は圧巻でした。
この安定感。桜木さんもセンターで大人数を率いるに相応しい男役さんだなぁと思いました(宙組は実力者大渋滞だなぁ)。千秋楽の前髪とってもカッコ良くて釘付けでした。全員白の替わり燕尾服も目に眩しかったです。
つづく春乃さくらさんセンターの娘役場面も素敵でした。心にそよぐ涼風のよう。「夢を売る妖精」(夢を売る妖精たち)の春乃さんの澄んだ歌声が心のなにかを溶かすようで涙がでました。
春乃さんと歴代の宙組のトップ娘役たちの頼もしさがオーバーラップしてさらに涙腺が緩みました。
そこからの「未来へ」(エクスカリバー)のイントロで私の情緒はえらいことに。芹香さんを囲む宙組生の顔、顔、、、いまここにあるものすべてが。
そして「世界に求む」(王家に捧ぐ歌)のデュエットダンスでもう胸がいっぱいでした。
このときのカゲソロ、プログラムを確認したのですが志凪咲杜さん?108期??まったくのノーマークでした。オーディションで勝ち取ったのかなぁ。これから注目したいと思います。これからも宙組の下級生に活躍の場が与えられますように。

シトラスの風~宝塚メドレー

パレードのはじまりは、愛未サラさんエトワールの「シトラスの風」の主題歌から、階段降りは宝塚の名曲メドレーでした。
宙組の皆さんに精いっぱいの拍手を送りました。
千秋楽では組長の松風さん芹香さんの挨拶に拍手が鳴りやまず、芹香さんが長い長いおじきをされていたのが印象的でした。
花道ちかくの席だったのですが、カーテンコールのたびに居並ぶ下級生の笑顔にしあわせをもらえました。
どうぞこの宙組の皆さんが一歩ずつ前に進んでいけますようにと心から願いました。

観劇を終えて

観劇直後は胸がいっぱいで、この胸に溢れるものが何なのか、自分でもよくわからず文章にもできませんでした。
時間をおいてようやくここまで書くことができました。
いまいちばん思うのは、彼らは素晴らしい表現者である。ということです。

彼女たちに対していろんな人がそれぞれの立場からいろんなことを言われていますが、私には舞台から見えるものしかわかりません。
私はこの公演のパレードから見える宙組生の人員の少なさに心が痛みました。
この人数で大劇場公演を成功させるため1人1人に課せられた役目はどれだけ重いだろうと。
この1~2年はとくに上級生には単純に通常の倍とかそんな負荷がかかっていたのではないかと。常に余裕のない中で自分の役目を果たしながら人に指示をする指示されることがなにをもたらすものか想像すると胸が痛いです。
それを物理的に是正できなかった劇団の責任はもちろん感じますが、やらなくてはならないことは何がなんでもやらなくてはいけないと、物理的に無理なことでも心厳しく臨むべきだと教えてきた先達たちにも、同時にそれを是として過剰に求めたファンにも責任はあると思えてなりません。
また、自分が好ましくないと思うタカラジェンヌに対して憶測に憶測を重ねて不特定多数の人の目に触れる場所で誹謗しそれに同調するような向きがあるのをいまにおよんでも感じます。そんなファンのあり方がどれだけ彼女たちを追い詰めているかと思うとたまらなくなります。
彼女たちが無用に追い詰められストレスフルな状況下におかれることがないように。
これまでのトークやインタビューなどから窺い知れる彼女たちの芸の精進のために自分を律する強さが、どうか健やかな環境の下で発せられますように。どうかどうか健やかな心で精進できる環境でありますようにと心から願います。

この公演を観劇して、命はこんなにも眩しく輝くものなのだと感じました。
命がこんなにも輝くものだからこそ、それを手放すしかなかった人のことを忘れてはいけないのだと心から思います。

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