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2025/03/25

まさに殿下はパッショネイト

3月14日と20日に博多座にて宝塚歌劇花組博多座公演「マジシャンの憂鬱」「Jubilee」を見てきました。

お芝居もショーもやっぱり楽しい。
21日には遠方から観劇のために来福した友人たちと、ひとこちゃん(永久輝せあさん)が「ザ博多座」(博多座情報番組)で博多の楽しかった思い出として語っていた能古島にも行きました。
お天気も良くて菜の花がまもなく満開という感じでした。千秋楽の頃には島内のたくさんの桜が見頃になっているのではないかなと思います。
そのあとはお昼に博多駅で「めん鯛まぶし」を食べて新幹線と在来線に乗って門司港観光と盛りだくさんな大人の遠足を満喫しました。
地元に住んでいるけど知らないことばかりで誰よりもはしゃいでしまった気がします。遠方から友人が訪れる博多座公演は私にとって特別なイベントだとあらためて思いました。(来年はどの組が来てくれるのかなぁ)

さて肝心の公演についての感想です。
「マジシャンの憂鬱」は初日の硬さもなくなり、正塚作品特有のテンポ感もよくなっていっそう面白くなっていました。
正塚作品にありがちな「特性ゆえに自己肯定感低めのヒロインと彼女に対して支配的な面が垣間見える主人公」という関係性が初演ではもうすこし濃く感じられていた気がするのですが、星空美咲さんのヴェロニカは自分を顧みて落ち込むことはあってもそこまで自己肯定感が低くはなさそうだし、永久輝さんのシャンドールも相手の心を手玉にとるような感じが薄いので、わたし的には抵抗なく作品を楽しめた気がします。
人を食ったような抗いがたい魅力にあふれていた初演の瀬奈さんシャンドールと比較してしまうと博多座版はあっさりしている印象はあるのですが、そこが令和らしくて安心して見られるゆえんかなと思います。
初演の時は初演が最高だったけれど、いまはこの博多座版が好きだなと思います。

永久輝さんのシャンドールと聖乃あすかさん演じる皇太子ボルディジャールとの掛け合いもとても面白かったです。
さいしょは革新的で聡明な皇太子なのだなと思っていたら、場面を追うごとにちょっとあれ?となり、だんだん様子がおかしくなっていく感じが「気のせいではない」と確信した頃にはスパークしていて、くすくす笑いが大笑いへとエスカレーションしていくかんじがたまりませんでした。
2回目3回目の観劇ともなると「来るぞ来るぞ」というくすぐったさに耐えきれなくなる可笑しさで、「ボルディジャール待ち」とでもいう状態に陥っていました。
彼と礼儀正しくお付き合いできるシャンドールは本当に忍耐強くて紳士だなぁ。可笑しみはあるものの皇太子ボルディジャールもとても紳士で2人揃ってドタバタにも品があるのが素敵だなと思いました。

シャンドールもボルディジャールも自分の人生を一生懸命に生きている。ちょっと青臭さもあるのが博多座版ならではかな。まだまだたくさんの未知が2人の行く手には広がっている。そんな印象も受けました。
シャンドールとヴェロニカも、ボルディジャールと皇太子妃マレーク(美羽愛さん)も、それぞれに初々しさを感じるカップルだなぁとも思いました。
永久輝シャンドールの「好きですよ、あなたが」に(え?ええ?私?)となってるヴェロニカも愛おしいし、ボルディジャールの深い愛を感じて「このまま思い出すことができなくてもあなたを愛していていいですか」と尋ねる美羽マレークも愛おしくて、ふふふとなってしまいます。(きっと目尻がでろ~んとなっていると思います)

愛おしいといえば、ほかの人びととはテンポがちがう柴門ゆりやさん演じる司祭さんも。とてもおっとりとしていて驚いて大の字に気絶したり、そのテンポゆえ大事なことを言おうとしているのになかなか聞いてもらえなかったり・・。抜け目ない人びとの中でひとり俗世間とは異なる空気感を漂わせているのが面白かったです。この世界にはいろんな人が一緒に生きていて、いろんな価値観があるという正塚ワールドの人だなぁと思いました。
シャンドールの家に居候している友人たちも、ヴェロニカの同僚たちも、酒場にいる人びとも、貴族や王室に仕える人びとも、それぞれがちょっと個性的でちょっと利己的でそれぞれに自分の人生を生きているかんじも、正塚ワールドだなぁと思いました。

「Jubilee」もまた、舞台のひとりひとりがその瞬間「生きている」こと、舞台に立つことの歓びに満ちて、その命のエネルギーを浴びるような心ときめくショーでした。
クラシカルでありながら元気いっぱい、美しく崩さないダンスで魅了するのが永久輝さん率いる花組の特長になるのかなぁと思ったりもしました。
綺麗なターン、一直線に上がった脚。ひとりひとりが誰よりも高く、より美しくという矜持をもって舞台に立っているような、その姿が清々しくて惚れ惚れと見ていました。
生まれたばかりのこの永久輝さんを中心にした花組がこれからどのように円熟していくのか、その様を見届けたいなぁと思いました。

ことしの私の博多座花組公演観劇も残すところ千秋楽の1回となりました。
その後のロスがいまから思いやられます。
基本的に観劇は遠征のため組によっては縁遠くなりがちなのですが、こんごも花組を見つづけたいなと思いました。こんごだけに。(マジ鬱だけに)

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