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2025年4月の2件の記事

2025/04/23

しのぶることのよわりもぞする

4月8日9日、18日に東京宝塚劇場にて宙組公演「宝塚110年の恋のうた」「Razzle Dazzle」を見てきました。

1月終わりの宝塚大劇場以来2か月半ぶりの宙組観劇でした。8日と18日は1階席、9日の三井住友カード貸切公演は2階席から観劇しました。
1階席で観劇した日はお芝居最後の客席降りでお名前を覚えたての下級生と触れ合うことができて楽しかったです。(2ヶ月半でお名前がわかる生徒さんが増えました!)

「宝塚110年の恋のうた」を見て宙組生の和物化粧が大劇場公演より格段に美しくなったなぁと思いました。
2018年の日本物レヴュー「白鷺の城」の男役さんたちは白塗りというよりも日本物のお芝居に近いお化粧だったので、今回のようなしゃべ化粧の宙組男役さんたちを見るのが新鮮で。
さすがに星組花組で日本物レヴューの経験がある芹香斗亜さんは大劇場公演から格別の美しさでしたが、次期トップの桜木みなとさんのお化粧(とくに目元)が以前よりも目を瞠るほど綺麗になっていて嬉しかったです。

大劇場公演で芹香さんが歌った「恋の曼陀羅」「琴時雨」と七夕の場面の一連がとても心に沁みて(鷹翔千秋さん水音志保さんの「恋の笹舟」風色日向さん山吹ひばりさんの「星逢一夜」がとくに好きでした)、東京公演観劇を待ちきれずBlu-rayも購入しましたが、18日の観劇では亜音有星さんの「砌(龍の宮物語)」に心奪われてしまいました。歌い方がかわったかしらと思うほど歌もとても胸に響きましたし、シケから滴るような色気、赤い口紅も目尻のラインも魅惑的でうわっと思ってそれからずっと亜音さんから目が離せなくなっていました。(大劇場のときからこんなでしたっけ・・?!)

日本物のレヴューはことさらに激しい動きがあるわけではないのだけれど、それだけに演者から醸し出される一瞬のきらめきによって見える世界が変わることがあるのだなと身をもって経験した気がします。(長らく宙組ファンなため日本物レヴューをリピート観劇する経験そのものがすくなくて気づかないでいままで過ごしてしまったかも)
宙組は組の立ち上げ前の香港公演以来20年以上日本物のレヴューの上演がなかったので、今回のショーは組ファンの私にとっても貴重な経験でした。
お化粧も含めて宝塚の日本物レヴューの華やかさや艶はほかではなかなか見られないものだと思いますので、この先もずっとつづいてほしいなぁと思います。

遠征中の4月8日の観劇後に演出家の谷正純先生の訃報を知ることとなり、芹香さんたち93期は谷先生の日本物レヴュー「さくら」で初舞台を踏んだのだったなぁと、その初舞台公演の後もののお芝居はこれまたトップスターの安蘭けいさん演じる主人公が騙し騙されるハッピーエンドのミュージカルコメディだったなぁと思ったり。
奇しくも初舞台公演とおなじく日本物レヴューと後もののハッピーエンドのミュージカルコメディで卒業していく芹香さんを思ってしみじみとあはれを感じたりしました。
去りゆく人びとが残してゆくものがこれから先の宝塚でも引き継がれていきますようにと願いました。

そしてあらためて芹香さんの退団公演が「Razzle Dazzle」で良かったなぁと思いました。
いまでも思い出すと涙ぐんでしまいそうになる「金色の砂漠」のジャー。自分が与えられる幸福と自分では与えられない幸福の狭間で平穏と秩序と愛のために彼が選んだ未来。
宙組デビューの「天は赤い河のほとり」でいまめくエジプトの将軍ラムセスの「ふたり並んでミイラになるまで」に心臓を射抜かれたこと。
2作目の「異人たちのルネサンス」以降はちょっとネジを巻きすぎたような役が多かったなぁという印象ですがそれもよき思い出。
そんないろいろが思い出されてこれが見納めなんだなぁと切なくもなりつつ、このとぼけた感じのレイモンドが愛おしくて、映画を愛する仲間たちに触発されて自分の未来を自分で決めていく彼を心で応援しながら、彼を応援するエキストラの仲間や彼と関わる人びとを愛しく思いながら、その思いを卒業していく芹香さんといま一緒に舞台に立っている宙組生に重ねて彼女たちのここからの未来が明るいものでありますようにと願っていました。

2階席に座った日はオペラグラスでラズルダズルのお客たちを見ると、それぞれがクラブの客として背景を持って舞台で小芝居をしている姿に目が離せなくなりました。上手側テーブルのレイモンド(芹香さん)たちを見なければと思うのに、ついついあちらのテーブルこちらのテーブル、階段の上やバーカウンターで談笑している人たちを隅々まで見てしまって・・もう目が足りない!となってしまいました。
映画撮影のシーンでもそうなのですが、舞台の上のひとりひとりが役として活き活きと演じている姿がストーリーの内容とも重なってなんだかとても幸せな気持ちでした。

お芝居終わりの客席降りでは、満面の笑みで両手タッチしてくれた生徒さんが「110年の恋のうた」の歌うま神社でソロで歌っていた風翔夕さんだ!とわかり、そのお隣は奈央麗斗さんだ!とわかる自分が嬉しかったです。
じつはここ数年でお顔がわかる生徒さんがたくさん卒業してしまい、もともと顔覚えが悪い私は一時大半の生徒さんがわからなくなってしまっていたのですが、またすこしずつお顔がわかるようになってきたことが嬉しくて。
別の日は背後で踊っていた風羽咲季さんに対して手を出そうとするもタイミングを逸しておたおたしていたにもかかわらず笑顔で応じてくださり、そのあまりのチャーミングさに頭のなかにお花が盛大に飛びまくりました。

「宝塚110年の恋のうた」の神がき(歌うま神社)の日替わりナンバーもいまの宙組生を知る貴重な機会となりました。
8日と9日は風翔夕さんが「My Life Your Life」(JIN-仁-)を、18日は天彩峰里さんと志凪咲杜さんが「石を割って咲く桜」(壬生義士伝)を歌っていました。
風翔夕さんはこの場面ではじめて認識したのですが、前述のようにその後の「Razzle Dazzle」の客席降りの際に、さっき歌うま神社で歌っていた生徒さんだと気づきお名前と顔を覚えることができました。
志凪咲杜さんは「Le Grand Escalier」のデュエットダンスで研3にしてカゲソロを歌っていた生徒さんとしてお名前だけは知っていたのですが、姿を認識したのははじめてでした。
天彩峰里さんはその次の祇園の場面でセンターでチョンパで現れるのを知っていたので、歌うま神社に登場すること自体に驚きました。その日の祇園の場面は天彩さんはセンターではなく下手前方に立ちチョンパになったので、なるほどこうするのかーと思いました。
芹香さんトップ時代の作品はたくさんの宙組生にスポットが当たるようになっていた気がします。おかげでまたあらたに生徒さんたちを知ることができました。日本物の経験とともにこれも芹香さんが宙組のためにのこしてくれたものだと思っています。

タカラジェンヌは役を演じる前にタカラジェンヌという虚構を演じているわけですが、その虚構を生きている時間が幸せと思える時間でありますように。
もうじき宝塚を卒業する芹香さん、水音志保さん、葵祐稀さんにも、宙組生の全員にもそう願っています。
そして卒業される3人のこれからに幸多からんことを。

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2025/04/13

真にあなたはグレート

3月30日に博多座にて「マジシャンの憂鬱」「Jubilee」の千秋楽を見てきました。
初日と千秋楽を含め4公演を見ましたが、お芝居もショーもひたすらに心を委ねて楽しめた公演でした。

「マジシャンの憂鬱」は花組時代からショースターとして観客の心を自在に掌握してきた瀬奈じゅんさんがトップ3年目、歌唱力抜群のトップ娘役の彩乃かなみさんや下級生時代から実力を認められていた2番手の霧矢大夢さんをはじめとして役者が充実していた当時の月組に充てて作られた、難易度が高い作品だと思います。
舞台上で大事件が起きるわけでも恋愛模様がドラマティックに盛り上がるわけでもなく、過去にあったことや登場人物の心情を観客が理解することで笑いが起きたりほっこりとした感情を生む・・そんな作品でした。その機微がつたわらないと観客は何を見ているかわからないまま流れてしまう難しさがあると思います。

今回の博多座の演目が発表になったときは、新トップが就任したばかりの花組でハードルが高そうだなと思ったのですが、見事に演じきった今回の博多座メンバーには称賛の気持ちでいっぱいです。
こんなにストレスなしに見られた公演もなかなかないなぁと思います。正塚先生の作品なのになぁ。(マンスプ気味だったり女性の自尊心を傷つけてから持ち上げるなどする愛情表現が苦手なんです・・心を支配しやすそうなキャラをヒロインにするあたりも)

「マジ鬱」初演も若干そういうところもあった気がするのですが、17年ぶりの再演ではそれを感じずに見ることができて、なにがちがったのかなぁと考えましたが、やっぱりいちばんは2025年のいまの感覚を持つ生徒さんたちが演じたからではないかなぁと思っています。

だとするなら、おなじく正塚作品の「薔薇に降る雨」をいま演じたらどうなるのか見てみたいなぁ。とも思いました。
(あえて言わせてもらうと)主人公が「顔だけの最低男」だったあの作品が、2025年のいま上演されたらどんな感じになるのだろうと。
ヒロインにとっては過去も現在もキラキラした存在で、ビジネスパートナーには信頼されて、彼に助けられた人びとにはヒーロー的存在の主人公、そんな輝かしい主人公がフィアンセに対してはリアルに最低であるあるすぎて、下手な取り繕いもまたリアルで、その小さな綻びを前に佇む男女のなんともいえない空気が15年以上を経たいまも記憶に残っています。(おそらく作者の筆がいちばん走ったターンじゃないのかなぁ・・)
そのあたり、いまだったらどう見えるのかなぁと思ったりするのでした。
年経るゆえの愉しみとでもいいましょうか。
(フィアンセの名前がフランス人なのにヘレンだったりとか、いろいろツッコミたい作品でもあったのですが)
と・・世迷言はこれくらいにして今回の舞台の感想を・・。

永久輝せあさんは身のこなしのひとつひとつが美しいなぁと思いました。
お芝居では1910年代っぽいコスチューム(ダウントンアビーの初期くらいかな)、シルクハットにインバネスコートにスリーピース、ベルベットジャケットなどどれもがとてもお似合いでした。(宝塚のこの年代の衣装のバリエーションはほんとうにすごい!)
シャンドールがさりげなく柱(壁?)によりかかるポーズは毎回美しいなぁと惚れ惚れして見ていました。
ショーではザ・宝塚な夢夢しい衣装を着こなし(戴冠式でフレディ・マーキュリーが思い浮かんでしまったのはそのバレエ的な身のこなしゆえでしょうか・・)、黒燕尾でのターン、真っすぐに高く上がる脚。どの一瞬を切り取っても絵になるなぁと思いました。

星空美咲さんは歌声が絶品。
「マジシャンの憂鬱」は歌唱力抜群の彩乃かなみさんに向けて作曲された数々のナンバーを歌いこなす実力に感服でした。
そしてショーの戴冠式のシーンでの歌唱にも。
長身の娘役さんゆえドレスも映えて、堂々と舞台に立っている頼もしい姿には、「PRINCE OF ROSES」の初日の緊張の面持ちを記憶しているので、「こんなに立派になられて・・」と思わずにはいられませんでした。大劇場公演を見ていないので、トップ娘役として立派につとめあげている姿に感動したりして笑。

聖乃あすかさんがこんなにコメディエンヌだったとは知りませんでした。
近年私が花組で見た公演では、1人だけ時空の外にいてほかの登場人物とはセリフを交わさない役やシリアスな役を演じていたのでとても意外でした。
初見時、階段から登場したいかにもプリンス然とした姿に見惚れてしまったのですが、まさかそのエレガントな皇太子が・・。まさに殿下はパッショネイト笑。
可笑しみもありつつ皇太子妃をエスコートする姿はやはり甘やかで、記憶喪失の彼女への告白シーンにはじんわりと涙してしまいました。
ショーでもたくさん活躍されていて、とくに娘役さんたちの真ん中で美しく輝いていた姿が甘く鋭く印象的でした。
これからにますます期待したいなぁと思いました。

美羽愛さんはお芝居で皇太子妃として登場するまでにかなり時間がありましたが、パーティの客など別の役で舞台に出てくると思わずそのチャーミングな舞台姿を目で追っていました。
記憶を失った皇太子妃が精霊たちとカタコンベで踊る場面は儚くて可憐でと美しかったです。
記憶を失ったまま皇太子の聖乃あすかさんと愛情を交わす場面は名場面だなぁと思いました。
ショーでは極楽鳥として専科の高翔みず希さん凛城きらさんを翻弄するダンスが愛らしくて好きでした。

シャンドールの家の5人の居候たち。ラースロ役の羽立光来さんとジグモンド役の一之瀬航季さんは、舞台と客席の橋渡し的な存在でもあって、2人のセリフや慌てぶりで状況が理解できました。滑舌もよく良い仕事をされてました。
ラースロがシャンドールを気遣うヴェロニカのマネをするシーンはわかっていても可笑しくて楽しみでした。
舞台俳優のヤーノシュ役の侑輝大弥さんもいちいちセリフが芝居がかっていて面白かったです。お顔がはっきりして綺麗なのでモノクロのサイレント映画の俳優も向いているなぁと思いました。(ヴァレンティノみたいに人気が出そうだけど舞台俳優にこだわりがあるのかな)
占い師ギゼラ役の朝葉ことのさん、まずパーティでの歌声に聞き惚れました。グループ芝居でのセリフもいい塩梅で彼女の存在で良い感じにまとまっていて頼もしいなぁと思いました。
自称詩人というレオー役の天城れいんさんはかわいい雰囲気が役にぴったりだなぁと思いました。
シャンドールに別れのことばが言えない場面で、もうすこしシャンドールとの関係性が見えたらなぁと。(これはシャンドールの声かけにも言えるんだけど)
「自称詩人」でいつもメシのことばかり言っている・・それだけの情報でシャンドールに出会う(拾われる)までどんな生活をしていたのかとか勝手に想像できてしまったりして、あまたの空想をめぐらせすぎたかもしれません笑(想像ではちょっとランボーが入ってました)

専科の高翔さん、凛城さん、そして副組長の紫門ゆりやさんが芝居ではコミカルな間で楽しませてくれながら、パーティのシーンではまったく別の紳士の役としてとっても粋でロイヤルだったりするのもさすがだなぁと思いました。

下級生にいたるまで皆さんが素晴らしかったです。
私の脳内ではもうこれは「エリザベート」できちゃうんじゃない?ってなっていました。永久輝トート、星空シシィは当然。フランツは聖乃さん?(いやこんなに面白い殿下がやれるんだからルキーニもできちゃうんじゃない?)などなど。エルマー、マデレーネ、リヒテンシュタイン侯爵夫人、・・とどんどん脳内劇場がはじまって大変です。
いつか現実になる日がくるのでしょうか・・?

このメンバーに星組から極美慎さんも加わるのかと思うと花組眩しすぎない??と心配と期待でまた足を運ばずにいられなくなりそうです。

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