« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »

2025年5月の3件の記事

2025/05/19

阿修羅城でお待ちしております

お誘いいただき5月15日に宝塚大劇場にて星組新人公演「阿修羅城の瞳」を見てきました。
かつてないほどのチケット難事情ゆえに初日が明けても手元にはチケットが1枚もなく、本公演を観劇することなく新人公演を見ることになるかもと思っていたのですが、運よくチケトレで連休最終日のチケットが手に入り、辛うじて新公が初見という事態は免れることができました。
毎度のことながら初見は原作との擦り合わせやさまざまな情報処理で忙しくて物語に身を委ねて楽しむというよりは、なるほど!そういうことか!(原作を)こうしたのか!という驚きと納得と解釈など心より頭で楽しんだかんじでした。
一度そういう見方をしていたおかげで新公は登場人物を中心に観劇することができました。(本公演もそんなふうに観劇したいのですが現時点でチケットがどこにもありません)

新公当日は朝の新幹線に乗りお昼頃に宝塚着。
友人が13時公演を見ている間に数年ぶりの宝塚の殿堂へ。受付で友の会カードを提示しようとしたらアプリのクーポンを求められて、時代が変わっていることに驚いてみたり。
時間がたっぷりあるのでじっくりと見学していたら、13時公演をご観劇ではありませんか?と親切にお声をかけていただいたり。
久々で一つ一つが新鮮で楽しかったです。
それからリニューアルしたカフェテリア「フルール」へ。こちらもあれこれ物珍しく礼真琴さんの愛称をもじった公演デザート「黒ごまこっつ餡」とドリンクバーでブルーキュラソーシロップとカルピスソーダを合わせて「AZUL風♡」とひとり悦に入りながら空色のドリンクにしてみました。
13時公演の終演を待ち友人たちと合流して腹拵えを済ませて、いざ新公へ。

終演後の感想は凄いものを見せていただいたなーでした。
皆さんお上手でこれ新人公演?となんども思いました。本公演の半額のチケット代が申し訳ない気持ちさえしました。

病葉出門役の稀惺かずとさんは口跡明瞭で早口の江戸言葉がかっこいい。せりふが聞き取りやすくて惚れ惚れ。ずっと聞いていたいと思うような声質と口跡で役者として素晴らしい宝物をお持ちだなぁと思いました。
闇のつばき役の詩ちづるさん、さいしょのうちは渡り巫女の中に入ってしまうと埋もれちゃうなぁと思ったりもしましたが、阿修羅に転生してからの気迫が凄くて見入ってしまいました。銀橋での歌唱が素晴らしかったです。

安倍邪空役の大希颯さんもせりふ回しがお上手で語られる出門への執着や動機が自然と納得がいくかんじ。恵まれた体型ゆえでもありますがすべてが大きいと感じさせる邪空でした。銀橋で歌い上げたナンバーは声量もあって声帯に天然のエフェクトをかけているのかと思う声でロックだぁと思いました。
美惨役の鳳花るりなさん、本公演を観てこの美惨という役は小桜ほのかさんだからできる役じゃないのかなぁと思ったほど娘役を超えた役作りだったのですが、鳳花さん見事にやりきったなぁと思いました。はっきりとした目鼻立ちにヴィランメイクが映えてとても迫力がありました。
阿餓羅と吽餓羅を演じた瞳きらりさん、詩花すずさんもお上手で新公じゃないみたいと思いました。

彩紋ねおさんの鶴屋南北は憎めないかんじが好きでした。戯作者として佳い本を書きたい欲が強すぎて思考がイッてるけど一座の皆からはそれなりに愛されてるんだなと思って見ていました。
青風希央さんの俵蔵さんはきっといそうな一座の綺麗な女方でした。たしかに大きいけど。過剰にコミカルに演じていないところは好感を持ちました。

凰陽さや華さんの安倍晴明も明るい人柄で、あの桜姫のお父さんであることがすごく納得でした。娘とタッグを組むところも楽しそうだなと思いました。死んでいないことを突っ込むしぐさとかも面白かったです。桜姫役の乙華菜乃さんとは同期なのかな。
乙華菜乃さんの桜姫は驚き&大好きでした。さいしょの登場で出門にねちっとウィンクをしたところから、あれ?と思いましたが、登場のたびに笑いをさらって目が離せなくなりました。あえて本役の詩さんとはちがうアプローチをしているようなかなり振り切った桜姫で、間のよさ舞台度胸のよさで笑いをとっていくのが天晴れで思わず拍手をしていました。途中からは登場のたびに来た来たーとなり、しだいに来るぞ来るぞーと登場を待ちかねるようになっていました笑。
今回でしっかり認識できたのでこれからの乙華さんにも注目していきたいなと思いました。

賀茂白丞と賀茂南雀役の朝稀さいらさんと桃李拍さんは、本役の朝水りょうさんと蒼舞咲歩さんが笑いをさそっていた公家っぽいおっとりとした話し方にさらに声の高低で個性をつけていて面白かったです。
(声が高い方が朝稀さんで低い方が桃李さんで合っているかな)
桜姫とその一味?は登場のたびに心うかれました。
安倍毘沙門と安倍大黒はともにイケメンで眼福でした。
毘沙門の樹澄せいやさんは「記憶~」の新公の井坂さんですね。
大黒役はこのイケメンは誰だろう?とずっと思っていて後で確認したのですが、馳琉輝さんなんですね。初舞台ロケットで気になっていた人だぁ~と思いました。これから注目していきたいです。

渡り巫女は本公演よりもアイドルっぽい印象で既視感があるなぁと思ったのですが、「記憶にございません!」の田原坂46でした笑。新公らしくてよかったと思います。
鬼御門三界衆はとても元気はつらつで新公らしくて好きだなぁと思いました。
グループ芝居に良い意味で新公らしいフレッシュさや一緒に作り上げている雰囲気が感じられたところも良い新公だったなぁという印象になっています。

久々に新公を見たのですが(コロナ禍以降で初かなぁ)、そうできる作品だというのもあると思うのですが、本公演とはちがう自分たちの舞台を作り上げた印象が強い新人公演だったなと思います。
星組新人公演のメンバーの底力と意識の高さを感じることができた素晴らしい公演でした。
これを見ることができたことに感謝です。記憶に残る素晴らしい体験でした。

| | | コメント (0)

2025/05/12

近頃都に流行るもの

5月6日に宝塚大劇場にて星組公演「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」を見てきました。

超絶人気のトップスター礼真琴さんの退団公演であり、また劇団☆新感線の人気作品「阿修羅城の瞳」の宝塚歌劇化ということも重なって、演目発表当時からチケット入手困難な公演となることはわかっていました。
わかってはいましたが、実際想像以上にとんでもないチケ難公演で、取次ぎも抽選もことごとく落選し初日が明けても1枚もチケットが確保できていない状態でした。そんななかGW中にチケトレでどうにか1枚入手できたので、GW最終日の人混みをかき分けて新幹線で日帰り観劇してきました。
座った席はほどよく見やすい列の1階センターで、もうこれっきり生で見ることは適わないかもしれないと思い、悔いが残らないようにと気を張って礼さんの姿を追いました。

「阿修羅城の瞳」は、3時間の新感線版を1時間半にまとめているので、なるほどここを端折るのかーそうだよねーここは削るよねーと納得しつつも、私はその端折られた部分が好きだったんだなーと思いました。
あえてお間抜けなカッコ悪いところを見せて油断させておいてのカッコ良さとか、劇団☆新感線の登場人物あるあるの振り幅を愉しんでいたんだなーと。
星組版はストーリー上重要ではなさそうな部分(お遊び的なところや芝居の元ネタを知っていると面白いところなど)を削って綺麗に収められているのだけど物足りなくもあったのは、その削った部分を私は愉しんで見ていたからかもしれないなと思いました。
とは言ってもその手のカッコ悪さとか笑いを私は宝塚に求めてはいないしなーとも思いました。

じっさいの出門とは真逆なのだけども「四谷怪談」の伊右衛門を見たくなるような、女性を口説かせたら凄そうと思える幸四郎(染五郎)さんの出門のこなれ感も新感線版の魅力でした。
が、礼さんにそれを求めるかというとそれも違って。じゃあ見たい礼さんって?などと自問したりも。

礼真琴さんの出門はひたすらカッコ良かったです。つばきに軽口を叩きながらも内に思いがあるところが見えたりもして。新感線版の純情(出門曰く純粋な欲望)とは異なる純情だなぁと。
初見だとどうしても記憶している新感線版との擦り合わせをしてしまって(これは私のさがゆえ)、礼さんならではの良さをしかと感じ取れなかった気がしてなりません(やはり1回では足りない! 2回目からなのです楽しくなってくるのは・・いつも・・)。

暁千星さんのつばきは、思っていた以上に色っぽくて驚きでした。
しなやかに踊って跳躍して拗ねている表情がとても可愛い・・と思っていた月組時代の印象から、拗らせた昏い役、本心を読ませないメタルフレームのメガネハンサムの役とだんだん大人っぽい役が似合ってきてドキドキしていましたが、まさかの女役でしかも色香を含んで礼さんにしな垂れたり、デュエットダンスのように大階段で礼さんと対峙してせめぎ合う役を演じることになるとは・・です。
新感線版の性的なものを感じさせるニュアンスは極力封印してギリギリ宝塚らしさを保っているところも難易度高いのではないかと思いました。

劇団☆新感線から男のロマンと幻想とノリを削いだらこうなるんだな。
というのとそこに如何にして演者が宝塚らしい潔さと美を加えるかが見ものの作品かなぁと思いました。
それを味わうのためには1回の観劇では全然足りないってことも切実に思いました。(というももの現時点でムラは0・東京公演の友の会3次で当選したチケット1枚しか確保できていない哀しみ・・)

新感線版でも好きだった桜姫ですが、詩ちづるさんの桜姫も可愛くてぶっ飛び方は新感線版には及びませんが、そこも宝塚にしてはかなりのぶっ飛び方で好きでした。
私が宝塚で見たいものを頑張っていたのが桜姫かなぁと思いました。(華やかで明るい照明をいっぱい浴びている感じ)
それから鬼が宝塚ならではのコンビネーションで見ものだなぁと思いました。(ぱっと見で誰だかわかったのは鳳花るりなさんだけだったのですが・・)

美稀千種さんの鶴屋南北、ひろ香祐さんの安倍晴明はエピソードや設定がほとんど削られてしまって、仕方がないとはいえ残念に思いました。(好きだったんですそこが・・)
いろいろ削られた結果、極美慎さん演じる邪空の動機や所業がぼやけてしまってスケールが小さくなったのも残念でした。宝塚では描きにくいところだったのでしょうけど、髪型と立ち廻り以外印象が薄くて。邪空のスケールが小さくなった分、毘沙門(天飛華音さん)と大黒(稀惺かずとさん)も割を食ってしまってもったいないなぁという印象でした。
雷王(碧海さりおさん)鳴王(夕陽真輝さん)震王(大希颯さん)の鬼御門三界衆はコミカルで可愛らしくてとても印象に残っています。

美惨、阿餓羅、吽餓羅を演じた小桜ほのかさん、白妙なつさん、紫りらさんは娘役としての高いスキルを備えた方々だけにもったいないというか惜しいというか。ビジュアルや衣装を宝塚化してはダメだったのかなぁと思ってしまいました。
鬼のビジュアルにしてもですが、やはり宝塚には見目好さを求めたくなります。
渡り巫女に華やかな場面をつくるとか、せっかく宝塚で見るのだから原作になくても絢爛豪華な場面はほしいなぁと。
そういうことにチケット代を払いたいなぁと思いました。

1回きりの観劇だったので深い部分まで味わうには至らず、自分勝手に摂取しようと思っていたものとの齟齬を解消しきれないままに終わっちゃったかなと思います。
もし2回めがあれば、ここからどう印象が変わったかを書き残してみたいなぁと。切に思っています。(新人公演は見られそうなのでそこで何か自分の中で見えるものが変わるかも?)

「エスペラント!」は好みのタイプのショーでした。
大勢で色とりどりのラテンっぽいダンスの場面、暁さん中心のバレエ的な場面、黒燕尾とドレス姿のボールルームダンスのような正統派なレビューの場面は音楽も好みで心が華やぎました。
海の場面はストーリーがあるんだろうなぁとは思いましたが、そこはあまり考えなくても華やかで楽しめました。
「阿修羅城~」で出ずっぱりだったせいか、退団公演のショーにしては礼さん出ずっぱりという印象がなかったのは意外だったなと思います。これまで見てきたショーがとにかく礼さんと相手役の舞空瞳さんが踊りまくっていた印象があるからでしょうか。
礼さんの黒燕尾のソロダンスの場面はもっと見ていたかったです。もっとと思っているうちに終わってしまうのがとても寂しかったです。
このショーもリピートすればするほど見どころがありそうで、1回じゃ足りないなぁと切に思いました。

お芝居ショーともに「もっと見たい!」というのがいちばんの感想で切実な願いかもしれません。

| | | コメント (0)

2025/05/01

あじゃらかもくれん

4月15日に福岡市民ホールにてミュージカル「昭和元禄 落語心中」を見てきました。

福岡市民ホールは、福岡市民会館を継承するホールとして今年の3月28日に開館したばかり。「落語心中」はこの福岡市民ホールではじめて上演されたミュージカルとなるそうです。

原作のコミックは10年以上前に単行本の表紙の八雲に惹かれて1巻目を購入したのですが、2巻目は読んでいませんでした。
年配の噺家さんの「あたし」などのやわらかい江戸言葉が好きなので八雲はとてもタイプでしたが、落語をあまり知らないのでいまいち漫画に描かれている落語シーンにピンときていなかったのだと思います。

それから幾星霜・・古川雄大さんの芝居冒頭の老年の八雲は思い描いていた八雲そのもので、その彼が高座にあがっているシーンを見てやっとイメージが掴めたように思います。これを機に2巻以降も読んでみようかなと思いました。
和物の古川さんもTVドラマ以外では見たことがなかったので和服で舞台に立つ古川さんを新鮮に感じました。着流しの後ろ姿に見惚れながら、このキャスティングを考えた人は天才!!と思いました。
若造の見習いの頃から徐々に真打ちにあがってシニア世代まで雰囲気とともに心の有り様も変わっているのがわかりその心のうちを考えるのが面白かったです。
ルパンとはあきらかに違う昭和の雰囲気のインバネスコートの後ろ姿もよかったです。(インバネスじゃなくてトンビだったのかも)

みよ吉役の明日海さんは憑依系のお芝居がさすがだなぁと思いました。
アフタートークで明日海さん自身はみよ吉とはまったく違うというお話をされていたので、その話にうんうんと頷きながら、それでもみよ吉になりきってしまう明日海さんって凄いなぁと思いました。
芸者姿もドレス姿も美しくてそこも「やはり明日海りおさんだなぁ」とあらためて思いました。

助六役の山崎育三郎さんはイキイキのびのびと助六(初太郎)を生きているなぁという印象でした。四国で自堕落に生活しているところなど本当にこの助六という役(人物)が好きなのだろうなぁと思いました。
この舞台にかける意気込みの強さも助六をとおして感じられました。
どうやっても敵わないと思わせられるカリスマ性を助六が見せてこそ、八雲(菊比古)が彼にとらわれ続けることに納得がゆく大変な役だからこその演じ甲斐みたいなものを存分に味わい尽くしながら演じてらっしゃるのかなぁと思いました。
助六が深まれば八雲も深まらないと釣り合わない、そんな難しさと面白さがある作品だなと。
助六と八雲という個性がまったく正反対の男2人を、山崎さんと古川さんというまた個性の異なる2人の俳優が演じる面白さを堪能することができました。

観劇した日はアフタートークショーがあり、助六役の山崎育三郎さん、明日海りおさん、古川雄大さん、与太郎役の黒羽麻璃央さんの4人が登壇されて、育三郎さんが司会役でトークを回されていましたが、えっ大丈夫?なお話をされたりして麻璃央さんを除く3人で円陣を組んで作戦会議?っぽいことをされたり、天然でボケてしまう古川君にツッコミを入れられたりとても楽しいトークショーでした。
4人のうち3人がトート(経験者)で4人ともロミオ(経験者)というお話もされていて、凄いメンバーだなぁと思いました。
次回の「エリザベート」では明日海さんがシシィ、育三郎さんと古川君がトートだなぁと思いながら、そこに麻璃央さんもルキーニで加わったらいいなぁと思いました。

こんなぜいたくなキャストとスタッフで日本のひとつの芸能を題材にしたミュージカルが創られたことが素晴らしいことだなぁと思います。

CAST

山崎育三郎 初太郎 のちに 二代目有楽亭助六
明日海理央 みよ吉
古川雄大  菊比古 のちに 八代目有楽亭八雲

黒羽麻璃央 与太郎
水谷果穂  小夏
金井勇太  松田
中村梅雀  師匠(七代目有楽亭八雲)

阿部裕   江戸落語協会会長
村井成仁  銀治

| | | コメント (0)

« 2025年4月 | トップページ | 2025年6月 »