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2025年8月の2件の記事

2025/08/31

チアーユーアップ!

8月21日に宝塚バウホールにて雪組公演「ステップ・バイ・ミー」を見てきました。
演出家菅谷元氏のデビュー作であり、雪組の注目の若手男役、華世京さんの初主演作でした。

華世京さんのことは入団当初から注目されている男役さんと認識していましたが、コロナ禍以降数えるほどしか雪組を見る機会がなかったため、なかなか舞台上の姿を認識できないでいました。それでも偶々見たCSの番組で物怖じしない明るい雰囲気に惹かれるものがありました。
その華世さんの初バウがいよいよ上演されると知り、これはぜひ見てみたいと思って観劇を決意(決意したからといって簡単に見られるわけではもちろんないですが運よくチケットを手にできました)。
ちょうど星組のあれやこれやや家族のことなどでてんやわんやしていて、前情報も頭に入れることなく観劇したのですが、とても引き込まれる舞台で見に来てよかったと心から思いました。
もとより雪組は上級生はもちろん、下級生もお芝居が巧いなぁと観劇のたびに思うのですが、今回さらにその印象が深まりました。

作品のタイプとしては、激動の時代を生きた人びとをドラマティックに描くという類いではなく、自身の課題や苦しみを抱えて日常を生きている人びとに起きた出来事を通じて、彼らがそれらをどう捉えてどんなふうに向き合っていくか。登場人物たちの心や人生を感じて私自身も背中を押されるような、日々のなにかを肯定的に受け取る糧にできるかもという作品だったと思います。
それだけに「見せる」ことが難しい作品だったと思うのですが、集中して見ることができたのは華世さんや演じた雪組生の力量と魅力によるところが大きいと思いました。
構成の配分も冴えていて、チアダンス、ハロウィーン、プロムなどキャッチ―なシーンの入れ込みが絶妙でまるでショーを見ているような感じで楽しかったです。
10年前の主人公の大学入学からその年のプロム(卒業ダンスパーティ)直前までの学生時代のシーンが展開していたのにそれがそのまま映画のワンシーンとして10年後の今につながる演出も面白いなぁと思いました。
入れ子になっているストーリーに戸惑うことなく見られたのは、演出の巧さと主演の華世さんをはじめとする演者の力量によるものだなぁと思いました。

主人公ユージーンを演じる華世さんは小顔でとてもスタイルがよく、常に目を惹く華やかさのある舞台姿で、はやくから注目されてきたのも肯けました(はっきり申しましてとてもタイプの等身バランスでした)。そのうえでお芝居もダンスも見る人を引き込む力があるバランス型の演者さんだなぁと思いました。
倦んだような厭世気味な現在の青年俳優の姿、恋にも青春にも怖いものなしのまっすぐな10年前の学生の姿(一方で家族の問題も抱えながら)を一瞬で演じ分ける華世さん。
10年前のユージーンの想い人リリーと今の映画の相手役エイミーを演じ分ける星沢ありささんも凄いなと思いました。リリーのときはちゃんとユージーンより年上に見えるんですよ。(華世さん演じるユージーンも彼女より下級生に見える!)と思っていたら連続したシーンなのにある一瞬でユージーンとは面識の浅いエイミーに見えちゃう。
華世さん研6、星沢さん研4? 嘘でしょう?という感じでした。

華純沙那さんが演じていたチアのキャプテンのジェシカが素敵でこちらも目が離せませんでした。強気にずんずん周りの人をチアしていく感じなんだけど弱みもあって(ベンのことが好き)。彼女のおかげで一歩前に踏み出せた人がたくさんいそうなのに(ユージーンもリリーも)自分のことになると奥手?みたいなそんなところも愛おしい人でした。
華純さんはそんなジェシカを本当に素敵に演じていていいなぁと思いました。チアダンスも最高でしたし(チア全員良かったです)、プロムで踊る時もちゃんとジェシカだし。ジェシカ大好きでした。
(華純さん気になって調べたら106期娘役さんなんだなぁ。最近好きになる娘役さんが106期ばかりで・・咲き香る時期なのかなぁ娘役さんの研6って)
エイミーの友人のサラ(愛陽みちさん)とアリソン(白綺華さん)もチアのメンバーも雪組は下級生まで娘役さんが芝居上手なんだなぁと思いました。

諏訪さきさんが演じたベンも良かったなぁと思います。存在(生き様)にメッセージがあって、諏訪さんがそれをちゃんと担ってたなぁと思います。
ユージーンの兄フレッド(眞ノ宮るいさん)もただの嫌われ役で終わらず内面の屈折や成長が見えるのが良いなぁと思いましたし、製薬会社勤務のジャック(咲城けいさん)も突き進んでいた道から降りる勇気があるの良いなぁと思いました。
ご都合主義に思わせない芝居や展開が心地よかったです。
大団円にまとめるのにけっこう端折っちゃったなと思うところもありましたし、やっぱり持つべきものは太い実家だなぁなんて思ったりもしましたが、実家が太い人にしかわからない苦悩もあるよねーと納得もしてしまうのは、演じる人たちがしっかりと埋めているものがあるからだなぁと思いました。専科の英真なおきさんに組長の奏乃はるとさん、真那春人さん、杏野このみさん、桜路薫さんと頼りになる上級生が担っているものも大きく、芝居に没入できた所以かなぁと思います。

若手の演者さんたちの未来に向かって身を正すまっすぐさや清々しさを浴びることができて、なおかつ新公学年の生徒さん主演作としてはかなりレベルの高い舞台を見ることができ、悦びと満足感いっぱいの観劇体験でした。
なにもわからない状態でほぼ直感で観劇を決めたのでしたが、アタリだったなとその時の自分を称賛したい気分です。
(こうなってくると雪組の下級生も応援したくなるな~と思いはじめていて、またまた自分で自分の首を絞めてしまった感もありますが・・遠征控えようと思っているのに・・)

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2025/08/25

軒端の梅よ春を忘るな

8月7日博多座にて、歌舞伎「刀剣乱舞 東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)」「大喜利所作事 舞競花刀剣男士」を見てきました。
「刀剣乱舞」はミュージカルもストレートプレイも見たことがなく、ついていけるかな?と不安もありましたが、松也さんや獅童さんが出演されるので見てみようと思いました。

開演前には緞帳にどのような世界観の舞台であるかが文章にて映し出されていて観劇の助けになりました。また演者の方(舞台を見て「時間遡行軍」の方々と知る)が開演前の客席通路を扮装姿で練り歩き刀を構えて見せてくれたりとはじまる前から気持ちも盛り上がりました。
舞台の冒頭には名乗り?の場面もあり、キャラ立ちもはっきりしていたので登場人物がわからなくなることもなく、ストーリーも有名な鎌倉幕府3代将軍源実朝の暗殺に絡んだものなので、置いて行かれるということもなく愉しむことができました。

尾上松也さんが刀剣男士の年長者?の三日月宗近役と敵役の羅刹微塵の2役であること、河合雪之丞さんが小烏丸と北条政子、尾上左近さんが加州清光と実朝の御台倩子姫のそれぞれ2役なのもわかりましたが、陸奥守吉行役の中村歌昇さんが実朝を、同田貫正国役の中村鷹之資さんが公暁を演じていることは幕間に一緒にお茶をした方に教えていだたくまで気づきませんでした。
土佐訛りで粗野な雰囲気の陸奥守と公家好みで内向的な実朝を演じている方がまさか同一人物とは思いもよらず。
それを知ってからは、歌昇さん(陸奥守)につっけんどんな加州清光と歌昇さん(実朝)の身を案じる可憐な倩子姫のどちらも尾上左近さんが演じていることにときめきました。
クライマックスで舞台に雪積もる鶴岡八幡宮の大石段が登場した時は胸踊りました。大階段を見ると気分が盛り上がるのは宝塚ファンのさがでしょうか。

刀剣乱舞という新作歌舞伎を見て思ったのは、歌舞伎の所作の理解しやすさ、セリフの聞き取りやすさです。
初めて見る世界観をとてもわかりやすく見せてくれて置いていかれることがなかったのは歌舞伎が持っている力、決まり事や所作、セリフ回しのわかりやすさゆえのような気がします。

本編の「東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)」の幕が降りると案内人の武彦さんと押彦さんのコンビが登場して、芝居の結末について(公郷と思しき修行僧について)とこれから始まる所作事について軽快に漫才のようなかけあいで説明されたのがとてもツボにはまりました。説明が終わるとスッと真顔になり所作事の後見に回られたのも素敵。

刀剣男士の演者が役のままで舞い踊る「大喜利所作事 舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)」も見応えがありました。
髭切と膝丸が「三番叟」を踏む。揃いの浴衣に袖を通し、お国にちなんだ民謡を踊る―—同田貫正国のご当地熊本の民謡「おてもやん」のときにひときわ手拍子が大きかったのは九州ゆえかなと思ったり。
河合雪之丞さんの小烏丸の玉蟲、松也さんの三日月宗近の那須与一の物語の舞踊は二重に美味しい演目でした。
中村獅童さんの鬼丸国綱による白頭の獅子が2頭の赤頭を引き連れて激しく毛振りをする場面はこれぞ歌舞伎だなぁと、そして凄くロックだなぁと思いました。
新作狂言のあとに所作事(しかも役に扮しての)がフィナーレのようにあったことでいっそう世界観が身近に感じられて面白く愉しむことができました。
つぎは刀剣男士が歌舞伎役者に扮しなくてはならないなんらかの理由付けで刀剣男士による「義経千本桜」などを見てみたいななどと思いました。

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