カテゴリー「♖ 歌舞伎」の17件の記事

2018/11/14

あらしのよるに。

11月6日に博多座にて新作歌舞伎「あらしのよるに」を見てきました。

原作は読んでいましたから、まちがいなく泣いてしまうのはわかっていましたが・・・。
中村獅童さんのがぶがもう(涙)。
心の中で自分の抑揚で読んでいたものを芝居巧者に感情を込めてセリフにされてはもうどうしようもありませんでした。
見た目は強い狼なのに、心の中は優しいのが獅童さんのビジュアルにぴったり。
狼の本能として山羊のめいを食べたいと思うけれど、そんな自分を恥ずかしいと思い、たいせつなめいに嫌われるのではと身もだえして必死でがまんする姿。
自分はお腹をすかせているのに、めいが美味しい草をたくさん食べられるように見守ってあげる。
めいが安心して自分のそばにいられるように、本当の自分を面に出さぬように必死で耐えている優しさ。
「~やんす」という口癖はコミカルで自分を抑えようと身をよじる姿はせつないやら・・・。
記憶を失ってしまった場面での豹変ぶりはまさに役者さんだなぁと思いました。
(記憶がもどってホッとしました)

なにも知らぬげに無邪気にがぶを慕っていたように見えためいもまた、内心は狼であるがぶを怖いと思う自分を必死で抑えてなにも気にしていないように見せかけていて、そのことに深い罪悪感を覚えて悩んでいたことが3幕でわかって、それもまた心を揺さぶられて涙でした。
その気持ちは女性としてよくわかりました。
疑ってはいけないと思うのにちょっとした挙動に怯えてしまう気持ちとその罪悪感。
尾上松也さんのめいは、すごく中性的でそこがまたなんとも魅力的でした。

みい姫の中村米吉さんが愛らしいくも気高いお姫様で、登場するたびにいいなぁ♡となりました。
めいが打ち明けられない秘め事を持っているのを聴いた場面では、めいを信じて無理強いに告白させないフェアネスにいたく感心しました。
山羊の?上に立つに相応しい立派なお姫様。マイフェアレディ♡
みい姫の登場場面が楽しみでした。

客席には小さいお客様もちらほら見受けられ、客席降りではそんなお客様を可愛いお花に見立てて弄ってみたり。
近道と称して通路ではない客席と客席の間を無理やりに通って行ったり。
花道から小さいお客様をみつけて弄ったり。
がぶが義太夫の方に遊ばれたり。
客席を盛り上げ笑わせる演出やアドリブも満載でお子様が思わず立てる愛らしい笑い声も聞こえて微笑ましい空間になっていました。

絵本が原作でわかりやすい作品になっていましたが、見得を切ったり花道を飛び六方で引っ込んだりと、歌舞伎らしさもふんだんで、やはりこれは歌舞伎演目なんだなと思いました。
歌舞伎だからこその感情表現とこの獣たちの架空のお話の相性も抜群だなぁと思いました。

この作品を博多座で見ることができて本当によかったなと思いましたし、歌舞伎未経験なお若い方にぜひこの作品をすすめたいなと思いました。

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2015/10/10

思えば因果な身の上ぢやなあ。


『三人吉三廓初買』(黙阿弥作、河竹繁俊校訂、岩波文庫)を読みました。

古本で手に入れたのですが、昔の岩波文庫(1938年第1刷、1991年第9刷)なので活字は7.5ptでト書はそれより小さくて4か5pt。ふだん使っている眼鏡ではとても読めないので、つくりましたよ~このためにリーディンググラス(^_^.)(これでこれからはまた小さい文字の本が読める♡) 
旧字旧仮名遣いに難儀したところも活版印刷の9刷めだから潰れたり歪んだり擦れている字もありましたが、舞台の記憶にたすけられたり、なにより物語自体が面白くどんどん読み進みました。

「三人吉三」は玉三郎さんのお嬢で通し狂言を見たことがありますし、さいきんシネマ歌舞伎でコクーン版も見ましたが、原作の文里一重の部分は見た記憶がないなと思っていたら、今は上演しないのですね。
たしかに文里一重の場面を省いて三人に絞ったほうが舞台としては展開がすっきりするかなぁとは思います。でも、読み物としてあったほうが面白い。そこが舞台を見るのと読み物とのちがいかな。
伝吉が殺される場面や三人が刺し違える場面など、舞台での見せ場が、脚本では数行のト書だけだったりするのだなぁとも思いました。

庚申丸(刀)と百両をめぐる因果話は、舞台で見たときもよく出来ているなぁとただただ感嘆しましたが、さらにその庚申丸と百両が、文里さんと一重さんの身の上まで左右しているのが凄いなぁと、黙阿弥さんの頭の中ってどうなっているの???とひたすら驚くしかありませんでした。

そうか、お坊はただたんに悪人だから百両を強奪した訳ではなくて、妹一重のため、恩人文里さんのために百両がほしかったのか。
それぞれの動機や人情がちゃんと描かれていて筋が通っているのがすごい。

さらに、花魁として文里さんの子を産み病床に就いてしまった一重さんや、一重さんが生んだ子どもを引き取って育てる文里さんの妻おしづさんがどうなってしまうのか、先を読むのが面白かったです。
舞台だと文里一重の場面はないままのほうが展開に面白さがあるけれど、かなうなら文里一重のくだりも織り込んで、連続ドラマで見てみたいものだなぁと思います。
それくらいよくできた脚本に驚くばかりでした。

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2015/09/27

元のもくあみとならんとの心なり。


河竹登志夫著『黙阿弥』(講談社文芸文庫)を読みました。

なぜ二代目河竹新七が『黙阿弥』と名を改めたのか。
旧幕時代から明治半ばの移り変わる時代の中を歌舞伎の狂言作家として生きた河竹黙阿弥の心の奥の真の思いを、黙阿弥の孫である著者がたくさんの資料を読み込んで解き明かす本でした。

本邦の演劇(歌舞伎)を西洋の先進国のように上流の人びとが観賞する高雅で社会的地位の高いものにしようと新政府のお偉方が「演劇改良」の名の下に、彼の脚本演出にお門違いな口出しをする。
さらには、彼の役者の意向を汲み宛書をするやり方を「俳優の奴隷」と指弾し、歌舞伎の様式にのっとった時代物を「無学」と蔑む。
それでも歯向かうことはせず忍従を貫く黙阿弥さん。

一つには、人気狂言作家となるまでに、同じ作家や役者、座元などといった人びととの人間関係にもまれてきた彼自身の経験から、相手の気持ちに副い、他人との諍いを避け、慎重に用心深く生きるということが処世術として身についていたこともあると思う。(役者に親切、見物に親切、座元に親切の「三親切」が彼の金科玉条だったそう)

もう一つはやはり時代かなぁと。
武士たちが攘夷だ佐幕だ勤皇だと国の頂をかけて争っていても、江戸の町人や芝居小屋の人びとにしてみたら、将軍の世から天子様の世に変わろうと顔色を窺う相手が変わるだけのことで、時代に応じた商売をしていくのはいたっていつもどおりのことなんだなぁと。
どんなに羽振りのよい役者でも、お上のご機嫌を損ねたら家は潰され家財は壊され、お江戸追放の憂き目。抗えない身分制度の中で生きてきた人びとの感覚が黙阿弥さんにも備わっているのだなと。
「俳優の奴隷」だの「無学」だのと見下されても、狂言作者である以上はいまをときめく権力者に歯向かったりはしない。芝居を守ること小屋を守ることは何にも替えられない大切なことだから、それがなくなっては狂言作家として生きられないから。職業が即ちアイディンティティーそのものの時代の人なんだなぁと。

けれど、そんな人前で感情を露わにし激昂することのない彼であっても、内心は思うところがあったに違いない。
それこそ一字一句にもこだわる江戸狂言作家としての矜持や美学が。
芝居のわからぬ政治家や学者の先生方こそ何ものぞと。
いまは黙っているけれど、いつかまた私でなければならない日がくるならばと。
隠居名の「黙阿弥」に込められた彼の真意――『元のもくあみとならんとの心なり』。
なるほどなぁと納得でした。

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2015/07/30

思えば果敢ねぇ身の上だなァ。

Kichiza7月20日、仕事帰りに中洲大洋にてシネマ歌舞伎「三人吉三」を見ました。

黙阿弥ってすごい、、ってやっぱり思っちゃいますねぇ。
三人吉三は10年ほど前に博多座で、お嬢玉三郎、お坊段治郎(月乃助)、和尚獅堂で通し狂言を見て、やっぱり黙阿弥さんすごいって思ったんですよね~。

あのときは、玉三郎さんのお嬢がいちばんの見物でもあり、とにかく素晴らしく、そして様式美を堪能しましたが、シネマ歌舞伎のこの三人吉三は、コクーン歌舞伎の演出ゆえか、はたまた演じる勘九郎さん、七之助さん、尾上松也さんの若さゆえか、とてもリアルな三人吉三を堪能しました。

面構えが若造なんですよね。
美しさよりも荒削り。
このあたりは映像ゆえになおさら感じられた気がします。

彼ら3人が大川端庚申塚の前で、義兄弟の契りを交わして、
「思えば果敢ない身の上だなァ」と見栄を切ったときの表情のアップを見た瞬間、うわっと切ないものがこみ上げてきました。
この若さ。
こんなに悪ぶっているのに。
捨て犬が心細げにふるえて寄り添っているのを見たときのような胸の痛みが・・・。

5歳でかどわかされて旅芸人に売られて育ったお嬢、
母を早くに亡くして極道者の父親のもとで捻くれて育った和尚、
武家に生まれながら幼い頃にお家断絶、仇討ちを言い聞かされて育つも果たせぬままに虚しく浪人のお坊、
いわば社会の孤児である3人。
だれかのかけがえのない存在になりたかった魂が3つ。

どうせいつかは惨めに果敢なくなる身の上。
ならばその命を義兄弟のためにと。
その見かけや言動とはうらはらの純粋さに胸が痛くなりました。

勘九郎さん、七之助さん、松也さん、お若い3人だからこそ。いまのお3人だからこその激しさ、迫力、疾走感、純粋さを見ることができた気がします。
できることなら生で見たかった!という口惜しさ。
けれども映像だからこそ、時間を置いてまた見れる。
そのとき私はどんな感想を抱くのかを楽しみたいなぁと思いました。

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2014/08/17

お姉様は私がお可愛うございましょう。

7月14日(月)、東京宝塚劇場宙組公演の休演日に東銀座へ行き
歌舞伎座七月大歌舞伎の夜の部を見てきました。

「悪太郎」、綺堂の「修禅寺物語」、鏡花の「天守物語」を見ました。


右近さんの悪太郎、可笑しかったです。
そして身体能力凄すぎです。
(なんであんなことできるの?)

狂言の「悪太郎」よりもさらに設定ディテールが明瞭なのは歌舞伎ならではかな。
舞台化粧とお衣装がついているのが新鮮でした。
狂言の大らかさはそのままに、さらに豪快で憎めないキャラになっているようでした。

迷惑な人にはちがいないのだけど、こういう人を笑える懐の深さ、寛容さこそ、
現代に必要なんじゃないかな。
なんて思いました。


「天守物語」を見たいと思ってチケットをとったので、岡本綺堂の「修禅寺物語」も
併演されると知ってうれしかったです。

夜叉王と姉娘の桂、ともに倫を外れても己の望むものを求めずにいられない業を背負った
父と娘のそれぞれが放つ一瞬の輝きを見せるところが見所だと思いますが、いまいち、
それが曇ってしまったというか、なにを見せたいのかが鮮明でなかったような・・・?

あの場面(夜叉王の「苦痛を堪えてしばらく待て」)で笑いが起きてしまうのは
やっぱり間が悪いのだと思います。
あとやっぱり迫力不足かなぁ。
夜叉王の業と桂の輝きがクローズアップされる大事な台詞だけに残念に思いました。
あそこで戦慄を味わいたかったなぁ。

またいつか見られるチャンスがあったら、そこがどう見えるかを楽しみにしたいと思います。


「天守物語」は、もうこの世界観が好きで好きで・・・。
そこにある世界を、この目で見、そこに気持ちをやれる至福。
富姫と亀姫の愛嬌あふれる言い合い、女童や侍女たちの戯れ言が
目の前で繰り広げられるさまに、涙が溢れました。
あちらの世界へ行きたくて。

3階の下手から見下ろすように見ていたのに、いいお芝居というのは
席など関係なく集中できるものなんだなぁと思いました。
舞台の上の1人1人が鏡花の世界にきれいに生きていて見蕩れました。

富姫の目線は明快。
自分の慾望も他人の慾望もまっすぐにお見通し。
可笑しいものは笑う。
道理に適わないことはぴしゃりと指摘する。
潔い人だ。
物事を深く読むことができるけれども、むやみに複雑にしない。
平らかに解き明かす。

そんな彼女だから図書之助の心の涼しさに心を打たれるのだろう。
そして、そんな彼女をもってしても恋は。
平らでない道をあえて選びすすませる。
理よりわが身より相手を思う。だから恋は美しい。
恋ゆえに闇に身動きできなくなる。

そんな心を愛でるところに美があり芸術があり感動があるのだなぁ。
この美しき世界を愛でる気持ちがあるかぎり、生きていかれる気がします。

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2014/03/27

迦陵頻伽の迎えのように。

Nihonbashi
3月27日、グランドシネマ「日本橋」を見てきました。

泉鏡花原作のお芝居。
日本橋の芸者のお孝さんを玉三郎さん、清葉さんを高橋惠子さん。

清葉さんはお孝さんにとって天女のような存在なのかなぁ。
なりたかった存在が清葉さんなのかなぁ。
張り合っているように見えるけど、ただそれだけではなくて、いつも彼女の心の裡には清葉さんが存在するんだなぁ。
泣きました。 お孝さんの心がせつなくて。

(お孝さんと清葉さんの関係に「長い春の果てに」のステファンとクロードが思い出されました)

高橋惠子さんの清葉さんは、ただ優しいだけじゃない凜とした女性でした。
彼女が神々しければ神々しいほど説得力がでるのだなぁと思いました。
その企みのない毅然としたまっすぐな横顔は天女でした。

(TOHOシネマズ天神にて)

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2013/07/05

うれしやな。

6月13日、六月博多座大歌舞伎を見ました。

3月から6月初旬まで、宙組公演を追いかけて、
その間にはかなめさん特出のベルばら(大劇)や
ゆうがさん出演のOG公演(フォーラム)があったりもして。
なんだか抜け殻のようになって、咳も1ヶ月続いたり、身体もあちこち痛んだりしていたので
正直、あきらめていたのですが、日比谷に遠征中に録画していた、NHKローカルの
猿之助さんと中車さんのトーク番組を見て、その日の夜にやっぱり見に行くことにしました。

仕事はお休みだけど、和文の講座に行く日だったので、夜公演を。
体力がないので幕見にしようと思って、チケットカウンターへ。

見たいのはもちろん、四ノ切。
でも和文が終わるのが15時前。それから遅いランチをしても
19時半の開演まで時間があるなーと思っていたところに
チケットカウンターのおねえさんに、その前の五三桐はよろしいですか?
とすすめられ、あっさり見ることに決めました。
それならせっかくだから、その前の口上も見よう。
それならいっそ小栗栖の長兵衛も見よう。
ってなって、けっきょく夜公演の全部を幕見で見ることにしました(^^;

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2012/07/02

しったんしったん。

梅実る頃…のはすが、
いつの間にやら7月に入り、梅雨も終わりの蒸し暑さ。

6月の博多座は大歌舞伎公演中でした。
9日に夜の部を見て、やっぱりもう一度芝雀さんの踊りが見てみたいなーと思い
見るなら昼の部の娘七種だなーと思い
でも5時間はしんどいなー 
そうだ幕見ができるんじゃん。

ってことで、19日に生まれて初の幕見を体験してまいりました。

「春調娘七種」と「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場1幕」で1,400円なり。
休憩15分を挟んで約1時間。お席は3階下手。
これいいわ(^^)。

「春調娘七種」は、曾我五郎を歌昇さん、曾我十郎を錦之助さん、静御前を芝雀さん。

私の知る曾我兄弟といえば、
 ♪富士の裾野の夜はふけて~あやめも分かぬ五月闇~
 ♪来たれ時致今宵こそ十八年の恨みをば~いでや兄上今宵こそただ一撃に敵をば~
で兄弟が敵討ちをする物語。
それがなんで静御前と踊っているのかはさっぱりわからんでござる~\(^o^)/

あ、2人は身を隠して父の敵を討つ時節を狙っている、そういう頃の1コマなのですね。

華やいだ春の陽気。
若菜摘みの姫。
鼓と舞。
のどか~~~。

なのに心に秘めた敵討ち。
このミスマッチの妙(笑)。

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2012/06/20

時は今。

6月9日(土)に「六月博多座大歌舞伎」夜の部を見てきました。
三代目中村又五郎さん、四代目中村歌昇さんの襲名披露公演でした。

同行の友人と昼の部夜の部どっちにしようかと迷いましたが、
仁左衛門さんの光秀と、お猿さんが可愛い「靱猿」が歌舞伎ではどうなるのか
見てみたいねってことで、夜の部を見ることにしました。

鶴屋南北作「時今也桔梗旗揚」二幕(本能寺馬盥の場、愛宕山連歌の場)
仁左衛門さんが武智光秀(明智光秀)、梅玉さんが小田春永(織田信長)でした。
わざわざ名前を変えて本が書かれたのはどうしてでしょうね?

春永は、真柴久吉(羽柴秀吉)から贈られた、馬盥に水を張り轡に錦木を活けた生け花を
忠誠の証と誉めるのに対し、光秀が花の色が移ろう紫陽花と昼顔の生け花を贈ったことに
難癖をつける。
春永の心には、自分の栄華が永く続くものではないという思いがどこかにあるのかな。
頂点を極めたからこそ盛者必衰の思想が打ち消せず、彼の心を蝕んでいるのかも。

そんな折、他でもない光秀にこの生け花を贈られて、心の暝い部分が表出したような。
狙って贈ったのではないなら、光秀ももうこの時点で春永の気持ちが
わからなくなってるような気がする。

心の闇に支配されつつある春永は、久吉みたいな、わかりやすーい人が好きみたいなの。
腹を探らなくても、すぐわかる気がするタイプが。(ホントに久吉がそうかは知らないよ)
尻尾があるなら、思い切り振って見せることができる、
お望みとあらば、おのれの馬鹿さ加減を曝け出して見せられるタイプが。

しきたりや理にのっとれば、いつだって光秀の言うことがが正しい。それはわかっている。
そうじゃなくて、お前は俺をどう思うのか。
それが、春永が相手に対して知りたいことなんだろうな。
しばしば、人を信じられなくなっている、王座にいる人がそうであるように。

けど、それを問いかける術をもたないから、あんなシチュエーションで
光秀を試しているような気がする。

でも光秀は育ちがいいから。
腹に据えかねても、あんな場で態度には出せない。
馬盥に注がれたお酒を飲めと言われて飲み干して、
光秀が前から欲しがっているのを春永も知っているはずの名刀が
目の前で他の人に授けられるのを黙って見て、
昔、わずかなお金で売った奥さんの切り髪を満座の前で見せられ恥辱に震えても
じっと堪えている。

その堪えているところが、春永が光秀を信じられない所以なのだろうな。
本心を曝け出さないところが。
人の心って本当にさまざま。
久吉ならば、上手に座興にしてしまって、笑われても春永を満足させる言動をとるんだろうな。

ひとつひとつのことが、
春永と光秀の心が、立ち位置が擦れ違ってしまっていることを表していてつらい。
昔はその知識と教養こそが春永をたすけたのでしょうに。

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2012/03/05

はらいそはらいそ。

2月25日は博多座二月花形歌舞伎の昼の部を見てきました。
1週間以上前になるので記憶もあいまいですが、
思いつくままに。

演目は「天竺徳兵衛新噺」通しで3幕でした。

2幕が、本筋と関係なさそうなんだけど…(笑)
でもすごーーーーーく面白かったです。

小幡小平次って幽霊役者の「小平次」と同じ人?
だから沼に沈められたのか~!
沈めても沈めても上がってくるところが凄かったです。
アンドレなんて目じゃない(笑)。

殺された小平次と、彼を殺めた女房のおとわの二役の亀治郎さんが凄かったです。
殺害場面も凄かったけど、幽霊と悪婆の早替わりがスペクタクル~
あのしつこいくらいの、くるぞくるぞ!感がとってもすごくってクセになりまする~
こういうのを見ると、「また見たい!!!」って思います。
見たのは、楽前日の土曜日だから2度目は見れなかったけど…残念。

春猿さんのおまき(小平次の妹)が可愛かったです。
びびびびびーって言ってた(笑)。
兄の死よりも一目惚れの相手のことで頭がいっぱいとか(笑)。

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