カテゴリー「 \ 宙 組 !!/」の297件の記事

2017/10/11

オルタナティブス。

9月12日の観劇に続いて、9月18日に宝塚大劇場宙組公演「神々の土地」と「クラシカル・ビジュー」を見てきました。

「神々の土地」は1週間のインターバルを置いてからの観劇で、自分なりに見どころや好きな箇所などを噛みしめて見ることができました。
それぞれの登場人物の目線から出来事や主人公たちを見るとどう見えるのかなと考えながら見るのが楽しかったです。

ドミトリーは悪く言えば、根回しもしないで独善的に物事をおしすすめた挙句に失敗した見込みの甘い男で、彼によって心をかき乱された女性2人は、最終的には彼ではなくて自分が置かれている立場を選び、非業の最期を迎え、皮肉にも彼だけが生き残るんだなぁ。
そんなドミトリーを主人公に物語を描く意味とはなんだったんだろうなと思います。

ドミトリーは観念的なことには饒舌になるのに、イリナとの核心的な部分になると寡黙になってしまう。
「お互い自分の信念に従って生きよう」と言うけれど具体的なことは言わない。
彼の信念ってなんだったのか、イリナの信念ってなんだったのか、3回見たけれど(その後ライブビューイングを入れると4回)私にはわからないままでした。

イリナを愛しているのに正面からは一度もアプローチせず、イリナの言わんとすることを先取りして独りよがりに自己完結して、誰の気持ちもはっきりと確かめもせずにオリガとの結婚を決めてしまう。
それでいてラスプーチン暗殺に至るくだりでは、まったくオリガのことを忘れ去っていますよね。
オリガのことはその程度ってことなんだなと。
「俺を信じろ」と言っておいて、信じたオリガの心を踏み躙っている。
オリガはイリナに負けたのではなく、ドミトリーの未熟さと身勝手さに負けたのですよね。

そんなドミトリーとともに生きる道よりも、自分の置かれた立場のまま運命を受け入れることを選んだ2人の女性。
こうして時間を置いて考えると、2人の女性の決断は至極納得がいく気がします。
軽々しく信念とか言う男性を信じちゃダメってことですよね。
劇場ではまぁ様の麗しい見た目と切なげな歌に騙されていました。

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2017/09/17

美しいものを見ることには価値がある。

9月12日に宝塚大劇場にて宙組公演「神々の土地」と「クラシカル・ビジュー」を見てきました。

「神々の土地」は上田久美子先生の大劇場作品でした。
ある時代のある場所で、生きて、愛して、永遠に訣かれた人びと。
その時そこにあったものに思いを馳せてしまう物語りでした。

主人公のドミトリーは宙組トップスター朝夏まなとがこれまでの経験と技量を注いで挑戦している役どころだなぁと思いました。
研16のトップさんをもってしてもこれは難役だなぁと。
主人公が感銘を受ける都度に鳴り物が入る訳ではないし、葛藤や陶酔をダンスで表現するのでもない。ひたすら芝居力が要求されるなぁと。
微妙な間の持たせ方一つで意味が伝わったり伝わらなかったりしそうだなと。
主人公ドミトリーはその曖昧なもののために彼自身が描いた未来からドロップアウトしてしまったように読めました。

開演アナウンスの挿入の仕方が通常とはちがうのも上田久美子先生のこだわりでしょうか。
冒頭の爆弾テロルでセルゲイ大公が倒れ次の場になる前の暗転中に開演アナウンスが挿入されていましたが、その朝夏さんの口調が妙に私のツボに入ってしまいました。
本来開演アナウンスにはお客様へのウェルカムな気持ちが込められているものですが、作品の世界観に合わせてかどこまでも陰鬱な空気を漂わせた口調で、冒頭から作りこんでいるなぁと。それが私のツボにハマってしまって笑ってしまいそうになるのを堪えるのが大変でした。
いやいや、こういう世界観にこれから入っていくのね、という心構えができました(笑)。

帝政ロシア末期の難しい時代背景、登場人物それぞれの立場の複雑さ、それぞれの価値観。
何世紀もかけてはまり込んだ迷宮の出口を探す人びとの立場や心情を読みながら見るのはとても面白かったです。
開演アナウンスに続く場の招待客のおしゃべりで作品に必要な設定情報はほとんど網羅されていたし、ジナイーダの冗談交じりの軽口「よけいなことをしてくれたものだわ」がただの軽口じゃあなかったんだということが後のちわかる展開だとか。
なんどもほぉぉ~ってなりました。

その立ち位置を読みつつ、彼らの発する言葉の意味を読みつつ、一つ一つのエピソードに居合わせた主人公がその時どう考え何を決したかを読みながら見るかんじでした。
そうして頭でも考えながら答え合わせをするように見ていると主人公たちの気持ちはだいたいわかったような気持にはなりましたが、見ているその時にカチッとはならないのが少々もどかしかったです。
読み物としてはとても面白いけれど舞台としてはどうなんだろう。こういうのもありなのかな。
というかんじです。
セリフの意味も微妙な間の意味も、幾とおりにも受け取れてその中から正解を探しながら見ていく感じで、いろんな解釈ができそうで。
そこは見た私が好きに考えていいのだろうか?

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2017/02/19

描きたかったのは。

2月16日に宝塚大劇場にて宙組公演「王妃の館」と「VIVA! FESTA!」を見ました。

ミュージカル・コメディ「王妃の館」。
原作は知らないのですが、傲慢で陳ねたように見えていた主人公が実はピュアな迷える子羊で・・・という田渕先生の定番的ともいえるお話で個人的にとても好きなテイストでした。

誰かを傷つけて後悔するところとか・・あらっと思うほどとても素直なんですよね(笑)。
朝夏まなとさん演じる北白川右京さんも実咲凜音さん演じる桜井玲子さんも。
真風涼帆さん演じる太陽王ルイ14世までも(笑)。

そのほかの個性的な登場人物たちもみんな好い人ばかり。
困っている人がいたら協力してあげて(自分たちがカモられている側なのに)、泣いている人がいたら慰め励ます言葉をかけてあげて(自分が迫られて困っていた側なのに)。
皆がやさしいからつい涙ぐんでしまう。そんなお話でした。
じっさいのパリ観光でこんなにお人よしばかり揃っていたら怖い目に遭ってすってんてんにされちゃうぞって感じなんですけどcoldsweats01
そこはやさしい虚構(うそ)といいますか(笑)。

寛容さの中で安心していられたら誰しも安心して自分もまた人に寛容でいることができるよねとそんなことを思ました。
でも現実は猜疑心でたくさん傷ついてしまうから。
誰もが癒されずに抱えている心の痛みや傷を癒すひとときが劇場全体にそっと訪れているようなそんな空間を共有している気がしました。

北白川右京役の朝夏さんはとにかくノリノリで一挙手一投足が可笑しかったです。持ち前の長い腕や脚と身体能力でちょっとした仕草でも笑いが起きてしまう。
笑いの間がとてもお上手で、客席が安心して笑うことができる雰囲気をつくってらっしゃいました。
そういうところも温かくてやさしい作品だなぁと思いました。

ルイ14世役の真風さんのビジュアルにはもう心撃ち抜かれる思いがしました。宝塚の真骨頂ですよね。
あの存在感と華、ビジュアルがあったればこそ、この作品が宝塚として大劇場公演として成立していると思いました。

そしてさいごはクレヨン役の蒼羽りくさんに攫われてしまった私の心(笑)。

メインキャストはすごくうまくハマっていると思うんですけど、ホテルの従業員や現地の人や観光客などはもっと意味のある使い方をしてほしいなぁと思いました。

ホテル従業員が皆同じ制服でしたが、シャトーホテルのロビーに15~6人のベルボーイとベルガールが固まってるってことがあるのかなと思いました。
フロント係にドアマンにベルガール(ボーイ)にメイドにと、制服を変えてちゃんとホテル業務をしててほしいなぁと思いました。業務が違えば個々に所作が変わったり性格付けができるし、そのうえでメインキャストの宿泊客と絡む様子があればメインキャスト其々の性格も見えたりして面白いのにと思います。

また観光地を通行する人びとも同色の服の同じ年格好にしないで、肌の色髪の色服装などさまざまに設定してほしいなぁと思いました。
現代のパリ観光ならいろんな国籍の人がいるはずなのに。奥行のない舞台になってしまっている気がしました。
ここもメインキャストの日本人観光客と彼らのちょっとしたやりとりで場所やどういう状況なのかとかの情景が見えると、名所の画像を映し出すよりよほど面白いのにと思いました。
メインキャスト以外の使い方次第でちょっとした見所をあといくつか増やすことができたんじゃないかなぁと。
場面の一瞬一瞬を大事にしてほしいと思いました。宝塚はその一瞬を見に来ているファンも多いのだから。

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2016/12/10

あなたこそ待ち焦がれた愛しい死-“Azrael ”。

11月29日、宝塚バウホールにて宙組公演「双頭の鷲」を見てきました。

有名なジャン・コクトーの戯曲をミュージカルにした作品。面白くないはずがない。引き込まれて見てしまいました。
どうして彼はそう言うのだろう。あのときどうして彼女はああ言ったのだろう。たくさんの何故?を抱きながら見る作品の面白さ。そのわけは見終わった後にゆっくりと考えたい。
11時と14時半公演を続けて見てしまって、しまったと思いました。もっとゆっくりとインターバルを持ちたかった。そうでないなら1回だけ見てじっくりと浸っていたかった。
あのときの顔はそういうことだったのか。あのときあの言葉を選んだのは―― 考えれば考えるほどなるほどと思う、そんな作品でした。

それだけにパパラッチが憶測をごちゃごちゃと語るのが邪魔だなぁと感じてしまいました。
主役たちが心情を歌うのもいらないくらいだなぁと思いました。余白を埋めすぎな感が否めませんでした。見ている私に想像の余地を残してほしかったな。
歌詞が聞き取りにくい部分もあったりして、言葉の裏にあるものを覗くのが面白いのだからセリフで明瞭に聴きたかったと残念と思えるところもありました。
作品が良いのでこちらもより高いところを求めてしまいます。

舞台美術は脚本演出の植田景子先生の美意識そのものって感じ。ちょっと過多にも私には感じられました。(景子先生はまだ足りないわと思っているかも(^-^;)
2幕で、お互いを愛し愛されることを知った2人がこれまで受け入れられなかったものを受け入れると、それまで色のなかった世界(部屋)に色が加わる演出がわかりやすく素敵だなぁと思いました。

齋藤恒芳先生の音楽は作品にぴったりで盛り上げてくれましたが、彼の音楽にはあんまり言葉をいっぱい載せないほうがいいのになぁと思いました。気の利いた少量の美しい日本語が合うのにな。
音楽自体に魅力があるのだから、ちょっと情報が過剰だなぁと思いました。愉しむ余地がほしいなと。
それにしても、みりおん(実咲凜音さん)もずんちゃん(桜木みなとさん)もあの曲をよく歌いこなせるなぁと思いました。歌っているうちに迷子になりそうな曲ですよね。

作品はどう見ても王妃が主役だなぁと思いました。
王妃役のみりおんが相手役の轟さんに遠慮なく相対しているなぁと思いました。思いきりが素晴らしい。
そして王妃姿が彼女史上でもっとも美しくて感銘的でした。景子先生の美意識と相手役の轟さん、そして彼女のキャリアとこの作品に挑む緊張感等々のなせる仕業でしょうか。
ワンショルダーのブラックドレスの後ろ姿やヘアスタイルが彼女の魅力を引き立てていました。
ハープアップに乗馬服も魅力的でした。
(もしかすると高身長揃いの宙組が彼女には気の毒だったのかもしれないなという気もしてきました)

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2016/12/09

悲しみが追いかけて深い海に落ちた。

12月3日と4日、福岡市民会館にて宝塚歌劇宙組公演「バレンシアの熱い花」と「HOT EYES!!」を見てきました。

ショー「HOT EYES!!」の感想は先に書きましたので「バレンシアの熱い花」について書きたいのですが、当然のことながら私の脳裏には2007年の同作品の記憶が鮮やかにありますので、それとからめた感想になると思います。


今回の「バレンシアの熱い花」を見終わっていちばんに思ったことは、この9年で宙娘の芝居が変わったなぁということでした。情感を上手に出せるようになってるなぁと思いました。
そのうえで、主要3人の女性役のキャスティングがいい。3人のコントラストがはっきりしてるのが効いているなぁと思いました。

伶美うららちゃんのイサベラが大人っぽくていかにも酒場で生きている女に見え、フェルナンドが他人の目を欺くための「遊び相手」に彼女を選んだことがわかりました。
イサベラも男心をくすぐるのは商売。身なりもよく羽振りもよくてお店にお金をたくさん使ってくれる上得意のフェルナンドと好い仲にならない手はない。
そこまでの関係だったら辛い思いをしなくてもよかったのに。

好きになってはいけない相手を好きになってしまうことはいつの世もあることだし、そのせつない気持ちを責めることはできないけれど。
けれどもやっぱりどうしてフェルナンドはイサベラに愛を告白したその口で待たせている婚約者がいるなんて言うのかな~と思ってしまいます。
そこを受け入れられるかどうかがこの作品の肝なのだよなぁと思います。

その婚約者とフェルナンドが住む世界は自分が住む世界とはちがうのだという残酷な事実を、愛の告白と同時に突きつけられたイサベラ。
あんな予防線を張られて。

もちろんフェルナンドとイサベラが結婚して幸せに暮らせるなどとは思わない。
そのくらいの現実は知っているけれども。
それでも私はフェルナンドを擁護する気になれない。

彼の中では女性には2種類あって、傷つけてもいい女性と傷つけてはいけない女性がいるのだなぁ。
大切にしなければいけない人間と、ぞんざいに扱っても良い人間がいて、それは生まれや育ちで決まるという考えの下で理解される物語なんだなぁ。そこが私は受け入れられないなぁ。
なのでフェルナンドは嫌いです。

一つ気づいたのですが、2人の別れの場面で今回の全国ツアー公演ではイサベラの「私の宝物の時間だった」というセリフがなくなっていました。
9年前は「あなたと過ごした時間はほんとうに楽しかったわ・・・私の宝物の時間だった・・・・・・さようなら」でしたが
今回は「あなたと過ごした時間はほんとうに楽しかったわ・・・さようなら」でイサベラは踵を返していました。

9年前のイサベラはこの夢夢しい台詞を言うことで、彼女の中の純情な乙女心が強調されて(演じていた陽月華ちゃんの個性とあいまって)いったいこの健気な娘とマルガリータとどこが違うの?と見ていてよけいに悲しくなったのだなぁと思いました。
「楽しかったわ」で終わらせることで、退き際をわきまえなければいけない世界に生きるイサベラという女性の立場が際立ったように思います。

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2016/12/07

愛と夢いっぱいに思いきり振りまきたいよね。

12月3日と4日、福岡市民会館にて宝塚宙組公演「バレンシアの熱い花」「HOT EYES!!」を見てきました。

ほんとうは3日の2公演だけのつもりだったのですが、ショーがあまりにも楽しくて4日はキャナルシティ劇場で「黒執事」12時公演を見終わったあとタクシーで15時公演に駆けつけてしまいましたcoldsweats01
全国ツアーならではの熱い客席。
舞台の上も客席も幸せな興奮がビシバシッ!! 思わぬ奇跡も起こっちゃいますよね。

このホールは古いけれど1階から3階最後列までワンスロープなので、全国ツアー恒例の客席降りで2階3階がおいてけぼりにならないのが好き。
さらにまぁ様は2階前の通路で投げキス連発で客席を煽るしで、盛り上がった客席は皆で手ぶりを合わせてまぁ様の指さし「最高!」戴きました。

真風さんにいたっては3階の客席まで来てくれて、指さし+ウィンク+投げキス+目線とすごくて。まさか2番手さんが3階まで来てくれると思っていなかった客席は沸きに沸きました。
福岡市民会館は通路が多くて複雑なのですが、3日マチネでは通路を1本まちがってしまった真風さんが3列目と4列目の間(通路ではないけど感覚が広め)を通って本来の通路へ戻ったりするものだからもうheart024列目の人羨ましすぎる。
ロケットがはじまる前には舞台に戻れてギリギリセーフ(笑) そこで終わらず袖に入る時には悪戯な照れウィンクまで残していくものだからその残像でクラクラしちゃいましたheart04 ほんとうにステキ。
(真風さんに落ちそうで真剣にヤバかったです。ひ孫ちゃんの顔を思い浮かべて耐えましたcoldsweats01

その後はずっとテンションがあがっていたせいか、真風さんの「エキゾチックアァァァィイズ」では思わず笑いがこみあげてしまいました。それも私だけではなかったようで周りの人たちも(笑)。あの一体感と興奮は忘れられません。
3日のマチネでそれだったものですから、その日のソワレも翌日の公演も私は真風さんばかり見ていたようで、こうして感想を書こうにも細部を思い出せないのです・・sweat01
ほんとうに人生なにが起きるかわからないものです・・・(神様ありがとう)

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2016/10/08

子どもに子どもは育てられない。

9月21日東京宝塚劇場にて宙組公演「エリザベート」を見てきました。
前後の祝日の影響か平日なのに11時と15時半公演の日だったので運よく2公演見ることができました。

博多座で東宝版「エリザベート」を見たあとだったのでどうしてもシシィにもの足りなさを感じてしまいました。宝塚版はトートが主役であちらはシシィが主役ですから仕方のないことですが。
とはいえ、みりおん(実咲凜音さん)は歌唱力も芝居も安定しているので安心して耳をゆだねることができるのは有難いなと思いました。

みりおんシシィは人を巻き込み国を巻き込むようなダイナミックなエゴイストではなくて比較的こぢんまりとしたエゴイスト。自分1人で抱えているかんじ。
15歳のときに抱いた自意識をそのままに60代まで生きたらそりゃあ生きづらいよねという感じでした。

結婚式翌日のゾフィーたちとの場面がとても好きでした。
「馬に乗ります」「ダメよ!」で一瞬ぽっかーんな間が可愛くて(笑)。ダメって言われるなんて思ってもいなかった感じが。
リヒテンシュタインに口を開けられるところもとても可愛いくてみりおんシシィのあの場面を見るのがムラの時から毎回楽しみでした。

ゾフィーもリヒテンシュタインもとても正しい。この田舎から来た娘をいかに皇后らしく教育しようかと初日の早朝から気負っているのに対して、なにもわかってなさそうなみりおんシシィ(笑)。
ここはみりおんが元来もっているチャーミングさがすごく出ているなぁと思いました。
その、世のおしゅうとめさん気質の人たちをイラッとさせちゃう性質がシシィにとてもマッチしていて見ていて小気味良かったです。
シシィとゾフィーの絡みをもっと見たいなぁと思いました。じっさいには2人が絡むのはこの場面だけなのですよね。

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2016/08/17

いまに死にたいときがくる。

8月8日と9日宝塚大劇場にて宙組公演「エリザベート」を見てきました。

7月末に観劇したときの印象とはまるでちがう「エリザベート」でした。
場面から場面に地脈が通じてさいごにそれが吹き上がったような。
私はこの「エリザベート」がたまらなく好きになりました。

トートに躊躇がなくなり強くなった感じがしました。物語世界を支配している感じ。
唯一支配しきれないのがシシィなのだなと。

結婚式の翌朝、シシィの寝室に来襲するゾフィーのデフォルメ加減が絶妙でした。
リヒテンシュタインも女官たちもあくまでゾフィーの側にいる者たちなのだと見えるように演じられていて、宮廷でのシシィの孤立がはっきりと浮き彫りになったようでした。

フランツもシシィの気持ちを察することができず「母の意見は君のためになるはずさ」などと言う。
そのときのシシィの絶望感たるや ――― おなじセリフなのに、なぜこんなにも前回と180度ちがって見えたのだろうと不思議でした。

ゾフィーが支配する宮廷で孤立し、フランツも頼りにならないと絶望したシシィが「私だけに」と歌い始める心の流れがとても自然に感じられました。
短剣を見つけてからそれを鞘に納めて気絶するまでの流れ、緩急のつけ方が素晴らしくて引き込まれ鳥肌が立ちました。

気絶したシシィの手から短剣を取り上げて「返してやろうその命を――」と歌うトートはまだ余裕に満ちているように見えました。
これはあくまで小手調べのようなものでシシィを試しただけなのかも。
見ている私がそうであるようにトートの心のうちにもまた、シシィという他とは異質ななにかをもつ1人の少女に予測できない期待があるような、そんな感じを受けました。

まさに愛と死の輪舞の始まり――

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2016/08/02

君の港はどこなんだい。

7月28日に日帰りで宙組宝塚大劇場公演『エリザベート』2公演を見てきました。

私にとっては見たこともないような不思議な印象の『エリザベート』でした。

シシィに死の影を感じない。
ゾフィーは厳しいけれど筋が通って公平。
フランツはマザコンではなく超愛妻家。
そこらへんの2世代同居よりもよほどうまくいきそうな雰囲気。

「いろいろあったけれど、最後にはお互いわかりあえました」という結末でもおかしくなさそう。

フランツとシシィの愛情物語が鮮やかなのでトートに付け入る隙がない。
イライラする闇の帝王。ハートが脆く繊細なのはトートのほうかも。
シシィに対してトートが弱い印象で、シシィがトートをもとめることがあるのだろか?と思っているうちに終幕を迎えてしまいました。

鏡同士なのはゾフィーとシシィで、ルドルフとシシィは似ている気がしない。
強い祖母、強い母親、母の言いなりの父親の中で自分の意思は誰にも伝わらずどこにも救いがないルドルフ。

そんなルドルフにはトートも本領発揮。やっと闇が広がる~~♡
私が知っている『エリザベート』に近いのはこのへんだなぁと思いました。

新しい『エリザベート』に挑戦しているのかもしれないけれど、私はエリザベートを見たぞという満足感のほうを得たかったなぁと思いました。

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2016/06/16

嵐もこわくはない。

ミュージカル「エリザベート」。
いろんな見方があるだろうし解釈もあるでしょうけど、私は深い孤独を表現するエリザベート役者が好きです。

エリザベートの孤独とはなんなのか。
それはありのままの自分でいると周りの人たちからまったく受け入れてもらえないことじゃないかな。
誰ともわかりあえない感覚。
子どもの頃は母親や親戚たちに。
本人としては悪いことをしようと思っているわけではないのに、やりたいことをやりたいようにやるとすべてを否定されてしまう感覚。
不幸なことに彼女のやりたいことっていうのが、穏やかな秩序ある生活をしたい人たちには迷惑でしかないことばかり。
それもどうしてもやらなくちゃいけないっていうよりも、いまやりたいと思ったことをやらずにいられなくてやってしまうこと。
非難されるのもしかたのないこと。
そしてやりたくないことを我慢してやるのはもっと嫌。そこはとてつもなく頑固。

唯一彼女を理解できるはずの同じ血を持つ父親は、やっぱり自分のしたいことしかしない人だから、子どもたちの養育は妻に任せていつも家を空けている。
帰ってくれば一緒にやんちゃなことをやってくれるからエリザベートは父親が大好きだけれど、気まぐれな父は自分が可愛がりたい時にしか可愛がらない人。
少女時代のエリザベートは、母親たちのおぼえめでたい姉を尻目に、いま夢中になれる冒険(危険な遊び)や空想に逃げながらも、内心では自分を認めてもらいたい承認欲求の強い子どもだったのではないかな。

そんな彼女の承認欲求を大いに満たしたのが皇帝からの思いがけない求愛だったのだろうと思います。
セロトニンの分泌増加でどんな問題ももう彼女を悩ませたりしない。
まさに嵐もこわくはない。
だから、先のことなど考えずに求婚を受け入れることができたのだと思います。その先にあるのは実家以上に彼女がありのままでいることが許されない場所なのに、そんなことは考えもせず。
フランツ・ヨーゼフの言葉も都合の良いところしか脳みそに入って来ないみたい。
彼に求められた高揚でそれ以外のすべてが見えなくなっている状態だろうなぁ。それほどあのときの彼女にはその事実が重要だったんだろうな。
でもそんな幸福感に満たされた時間は一時的なもの。その先には長い忍耐の時間が待っているもの。それを『責任』と呼ぶのだけども。

当然のように宮廷では彼女のやることなすことすべてが否定される。
「皇后だから」という理由で自分の行動原理を変える気などまったくないエリザベートにとってはすべてが耐え難い。
カルメンが「カルメンはカルメンなんだ」と言うのと同じように、自分基準で生きる生き方を変えられないし、たぶん納得いかないままに変えようとしたって心を病んでしまうだけ。
境遇に適応するためには適切なカウンセリングと根気強い愛の支えが必要な人だと思います。

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