カテゴリー「 \ 宙 組 !!/」の304件の記事

2018/04/24

力をつけながら、その力を使わぬ自制心をもてと。

4月22日と23日に宝塚大劇場にて宙組公演「天は赤い河のほとり」と「シトラスの風-Sunrise-」前楽と千秋楽を見てきました。

「天は赤い河のほとり」は私にとってひたすら宙組を愛でる作品になっていました(笑)。

お祭りとかオロンテス河の戦いとか帰還した兵士と家族の再会を見るのが特に好きでした。
3月に観劇した時には芝居の見どころがわからなくて宙組芝居が見られないと暴れたくなりましたが、いつのまにか皆がちゃんと役づくりして物語世界に生きてた。
それを見ているだけで楽しくて感動してうるうるしてました。
そうそうこれ。ベルばらや王家でも見ていた懐かしいこれ。宙組らしいこれ。

また観劇回数を重ねる毎にまどかちゃんの成長を凄く感じました。
真風さんに安心してついていってる仔犬みたいな可愛さとたしかな頼もしさ。

マッティワザの「将は兵の前で不安な顔を見せるな、お前ならできる~」からのユーリの「ザナンザ皇子、ティト、私に力を」からの全軍への号令でブワッと涙腺が緩みます。
凛々しいまどかちゃんが素敵です。

その頃真風さんとキキちゃんは銀橋でドカッボカッってやっていてそれも好き。
楽は超下手席だったから銀橋の真風さんの表情が見えました。なんだユーリのこと好きなんじゃん、って思いました。なかなかわかりにくいキャラだから。

ユーリはカイルの母の昔語りから1人の女性を生涯愛し抜こうと心に誓った話しを聞きながらカイルに惹かれているのがわかります。
生まれて初めて間近で見る本物の王子様が自分にだけ語りかけてくれている。そりゃあ惹かれないわけがない。
でも好きになっちゃいけないって思っているような表情もしててせつな可愛いなと。
んで、カイルはどう思ってんねんと気になってました。表情が読み取りにくくて。

「たとえば妃となって私を喜ばせるとか」というカイルに誠実さはないですよね、あの時点では。
健気な女の子の心を弄んでて私の中では好感度↷

そんなカイルに心を伝えることを説くユーリはまっとう過ぎるくらいまっとう。狡猾さも汚さも知らない女の子。
のちに「綺麗事でやってみようと思います」という彼女の性格に初めからブレがないのが凄い子だなと思います。
厄介なタイプを好きになってしまう子だなとヒヤヒヤもさせられますが(ラムセスのどこが不満なの??)、この子実は相手の生き方考え方を変えられるエナジーがとてつもなくある子なんですよね。
それは後々わかるんだけど。
たしかに原作ではそうなんだけど、この舞台のカイルがユーリによってどれだけ変わったのかが見えにくいのが残念だったなぁと思います。
どのタイミングでどれくらいずつ傾いていったのかとか見えたらなぁ。

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2018/04/13

苦しみもその罪も私が作ったただ一つの人生。

4月9日と10日に宝塚大劇場にて宙組公演「天は赤い河のほとり」と「シトラスの風-Sunrise-」を見てきました。

「天は赤い河のほとり」は原作を読み終わってから見ると、小柳先生はあの長い原作のテイストを変えずに脚本化しているんだなぁと感じました。
いわゆる少コミな部分を宝塚らしく言い換えているところも小柳先生グッショブと思いましたし、長い原作を昇華させるセリフも見事だなと思いました。
駆け足ではあるけれど丁寧に演じれば感動できるように作られている。
宝塚において少々の脚本の粗はいつものことだし、大事なのは役者がその感動を伝える芝居ができるかどうかなんだとあたらめて感じました。

2週間前に見た時に感じたのは、主演のカイルを演じる真風さんが真ん中の場面がどうも締まらずぼんやりとしてしまうということでした。
それでか物語の前半は登場人物の誰にも共感できないまま耳障りの悪い言葉だけが印象に残っていました。
場面がすすみ星風まどかちゃん演じるヒロインのユーリがカイルのもとを離れてエジプトに行くと霧が晴れたように面白くなるなぁと思っていました。
9日に2週間ぶりに見て、やっぱり真風さんの芝居がピンと来ないなぁ。微妙にズレたまま噛み合わずに場面がおわっちゃうなぁ。こんどの新生宙組には芝居以外の楽しみを探したほうが楽しめるかなぁ。と思いましたです。正直。
ショーのほうは2週間前にくらべて余裕も感じられて歌も安定されてたのでショーを楽しめればいいかなと。

そうしたら翌10日の11時公演はなにかがカチッとはまったような気がしてあれれ? なんだか真風さん楽しそうです。
なんだか柔らかくて大きいカイルになっている気がしました。
真風さんって独特のテンポがあると思うんですけど、そのテンポに組子が合わせられるようになったのかな?
それとも真風さんが変わった? はたまた見ている私が真風さんのテンポを掴めるようになった?
なんだかわからないけど芝居の呼吸があっている気がして見ていて楽しくなりました。
物語りの中で皆が役として自由になった気がして。
なによりまどかちゃんのユーリの自由度が増している気がしました。そうするとよりカイルの器も大きく見えます。相乗効果かな。
終盤のユーリとカイルの銀橋場面もいたく感動してしまい、あれれ?
ラストの国を思うカイルとユーリの言葉がそのまま組を思う2人の気持ちに思えたりして。
(こうなった私はちょろいですからね・・笑)
どうやら私の中のズレが解消したようで、そうするとお芝居がどんどん面白くなり、15時公演ではさらに楽しくなり次の観劇を楽しみにムラを後にすることができました。

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2018/03/31

未来を託されたもの。

3月20日と21日に宝塚大劇場にて宙組公演「天は赤い河ほとり」「シトラスの風」を見てきました。

「シトラスの風」は再演が繰り返されてきたことでこなれた名場面がいくつもあるのがやはりいいなぁと思いました。
プロローグでシトロンカラーの衣装を身に着けた出演者が舞台いっぱに並ぶ場面は今回の大劇場版ゆえの見どころだと思いました。
幕開きと同時に華やかさにわくわくし、舞台上の出演者の笑顔が眩しくて誰がどこにいるのが探すのもたのしかったです。

気になっていた銀橋の夢・アモール(間奏曲)はこうなるのかーと思いました。
4人というイレギュラーな並び。まぁこれが妥当なのかなぁ。

ステート・フェアーは星風まどかちゃんがひたすら可愛い。歌えて踊れて可愛くて早期抜擢もさもあらんと思いました。
可愛くて見ているとニヤニヤデレデレしてしまって自分の顔から何かが出ているような気がして焦りました。でもニヤニヤをとめられなくて・・・(^^;
まどかちゃんも可愛かったけどあおいちゃん(美風舞良さん)の振り切り方も凄くて思わずくぎづけに。
この場面でパラソルくるくるしているヤングガールはまどかちゃんを除くと狙ったように上級生娘役さんたちなんですね。
皆さん凄いです。愛らしいです(笑)。
ヤングボーイたちも狙ったように澄輝さん、凜城さん、星吹さん、美月さん、春瀬さん、七生さんで。
肘を張って首を振って行進する姿がとっても愛らしくて見ている私の頬も緩みまくってしまいました。
青スーツの実羚さんも脚長さんで素敵だし、家族づれや水兵さんたちも微笑ましいし、大好きだぁと思って見ていました。全編通しても1、2を争うくらいに幸せになれる大好きな場面でした。

上級生まで皆揃ってブンブンにヤングに徹している中、まどかちゃんが恋に落ちるのは大人っぽい真風さん(笑)。
そうか年上好みだったかとなっとくでした。
2人きりワールドも可愛すぎてたまりませんでした。皆に冷やかされるところも微笑ましくて良いカップルでした。

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2018/03/24

ふたり並んでミイラになるまで。

3月20日と21日に宝塚大劇場にて宙組公演「天は赤い河ほとり」「シトラスの風」を見てきました。

お芝居「天は赤い河のほとり」はネットのお試し版で3巻くらいまで流し読みをした程度の知識で臨んだのですが、序盤で世界観についていけずどうしたものかと思っていましたが、エジプトの場面以降は入り込んでおもしろく見ることができました。
ユーリとネフェルティティの場面ではうるっと感動も覚え、いまはもっと何度も見たいなぁという気持ちです。
ユーリ、ネフェルティティ、ナキアの3人を通していつしか私は女性の成長譚として作品を見ていたように思います。

物語りの序盤でキャッチの意図で使われたであろう「私の純潔を奪って」とか「お持ち帰り」とか、はたまた嫌がるヒロインに対する「そんなに喜ぶな」とかが私にはダメでしてぞわっと怖気だってしまい、そこから脱却するのに中盤までの時間を要してしまった気がします。
これは生理的なものなのでどうしようもないかな・・・。
また主人公が女性にモテることを表現するのに集団で主人公を追いかけまわす姫たち・・・という場面も古典的すぎてどうなの?と思います。私はあんまりいい気持にはなれないなぁ。

ストーリー上仕方がない純潔云々の場面も、その主体が他でもない真風涼帆さんであることが私には生々しく感じられてしまって、どうしても夢見心地になれないのです。
思わず心で悲鳴をあげずにいられなかったプログラムの表紙の真風さんの笑み。こんな×××しい口許をした男役さんがかつていたでしょうか?!(反語)。
こんな真風さんにこのカイルという役は禁じ手なんじゃないでしょうか・・・((汗))

ユーリというヒロインもまた序盤は娘役スキルを削ぎ落さないと成り立たない「現代日本のふつうの女の子」で、それを演じているのがまだ娘役として発展途上(体型も含めて)の星風まどかちゃんなので、そこもまた生々しいものを感じてしまっていたたまれない気持ちに陥っていました。
「えっちすけべへんたーい」で私の心は地の底まで落ちてしまってゼロではなくマイナスからのスタートとなってしまい浮上するのに時間を要したみたいです。
カイルと離れ離れになり彼女の成長が見え始めたあたりからは好感を抱けたのですが。それがちょうどエジプトの場面と重なるのかなぁ。

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2018/02/05

望もうと望むまいと。

1月28日と29日に日本青年館ホールにて宝塚歌劇宙組公演「不滅の棘」を見てきました。

見応えのある舞台に満足でした。
愛ちゃん(愛月ひかるさん)と宙組出演メンバーがこの作品をここまで高めてくるとは。

2週間前にシアタードラマシティで観劇した時に、愛ちゃんがそうとう歌を鍛えてこの作品に臨んだことが覗え、大千秋楽まで歌いこめばさらによくなるだろなと思っていましたが、その予想を遙かに超える進化を遂げていました。
歌声に味わいが出てきたなぁというのが率直な感想です。細かいですが、愛ちゃんの「リラック↑ス↑↑↑」の『ス』が好きです。
ドラマシティでここがいま一つと思っていた女装場面も格段に良くなっていて、その場面を最高に楽しめました。

舞台を楽しむにあたって役者の声の良し悪しは重要ですが、そこに課題がある愛ちゃんはこのままそれを克服できなければその先へ進むのは難しいのではないか、と思ってしまうことも正直ありました。
が、それに真正面から挑み応えてきた姿を目の当たりにして、もうこれは報われるところまでちゃんと見届けなければいられないと思いました。
そうなることを願わずにはいられません。


ヒロインの遥羽ららちゃんは歌い方がドラマシティの時よりも初演のふづき美世さんに似ている気がしました。
そして私はやっぱりららちゃん演じるフリーダ・ムハが魅力的で好きだなぁと思いました。
アグレッシブではきはきとものを言い、スタイルが良くてショートボブとボディラインを意識した衣装がとってもお似合いで。
幼くして両親を失い愛されている実感のないままに育って(魅力的な娘だから周りから愛されているんだけど)、つねに前のめりに何かを求めていないといられない女性のようでした。
そこに現れたエロールの自分へのまなざしに愛を感じちゃったんだなと思いました。どういう種類の愛しみかもわからずに。
だけどそれこそが彼女がもとめていたものなんだなぁとも思えます。

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2018/01/20

愛の痛み。

1月10日(水)にシアター・ドラマシティにて宝塚歌劇宙組公演「不滅の棘」を見てきました。
初演をCS放送で見てとても好きになった作品で、いつか生の舞台を見てみたいなぁと思っていたので、愛ちゃん(愛月ひかるさん)のエロールで再演が決まった時はとても嬉しくてすぐに遠征を決めました。

初演では、エロールの厭世的なニヒリズムと独特のナルシシズムに引き込まれた記憶があるのですが、今回の再演ではまったく印象の異なるエロールがそこにいました。
傷ついた魂を抱えて戸惑い愛の痛みに苦しむ愛エロールの姿がとても印象に残りました。

大物感、スター感というタカラジェンヌには有利な持ち味がありながらも課題もある愛ちゃんですが、課題の一つ、歌をそうとう鍛えてこの舞台に臨んだなぁという印象を受けました。声がよく伸びているなぁと思いました。
ドラマシティの楽まで、そして日本青年館の楽まで歌い続けたらさらによくなるだろなという期待が持てました。
欲を言えば表情豊かに裏声を使えるようになるといいなぁと思います。
初演のエロール春野寿美礼さんが印象に残る場面で裏声を駆使されていたので、その記憶が甦ってしまいつい比較してしまうのは否めないかな。春野さんのリラックス♪がいまでも脳裏に浮かんでくるほどなので。

春野寿美礼さんは音色の美しい楽器のような声をお持ちだったので声を聴くだけで場面や感情を理解できる気がして、正直歌詞の細かなところを私はよくわかっていなかったのですが、今回の再演ではこんな歌詞だったのか!という場面が幾つもあり、それが新鮮でした。
宙組版は芝居の感情を丁寧に表現しているのかな。細かいところで演出もちがっているかも?
圧倒されるよりもじわじわ入ってくる感じに心を揺さぶられました。
同じ作品なのに演じ手が変わることで受け取るものも変わるのが再演の面白さだなと思いました。

長身で抜群の等身に真っ白なスーツやテールコートにトップハット、17世紀風コスチュームのどれもが良く似合っていた愛ちゃん。いやもうさすがだなと(笑)。
キザる愛ちゃんのしぐさや表情に懐かしい人が重なり私は少々感無量。
白いファーコートにソフト帽は似合いすぎてとても堅気には見えないなと(笑)。きゃーというより息をのんでしまいます。
世界を股に掛ける著名なシンガーというにはお行儀が良すぎて崩れたところがなく、隙がない着こなしが美貌の若頭みたいだなと思いました。
とてもソリッドでステージで女装するキャラではない気がするんですよね。
あの場面は春野さんだから活きた気がするので、愛ちゃんには愛ちゃんの個性を活かした意表をつくステージシーンに変更しても面白かったんじゃないかなと思います。

愛エロールは女性の扱いに手慣れているけど自ら望んで女性と親密になっているようには見えなかったです。目的のために女性を利用しているような。女誑しの甘さより端正さが勝るなと思いました。
甘い蜜よりも火遊びを求める女性が集まってきそう。

花組版は有無を言わさず感性で納得させられるのが魅力でしたが、この筋道重視でやや重い芝居のかんじが宙組らしいなと思いました。凰稀さん時代朝夏さん時代の宙組を見てきた私には馴染み深いかんじがします。
そして男役のキザりや目線のやり方、舞台化粧やスーツの着こなしには大和さん時代大空さん時代の香りを感じました。
そんな宙組の血脈を宿す愛ちゃんに強い思い入れを抱いてしまう私はやはり宙組ファンなんだなぁとしみじみ思いました。

(次の大劇場公演「シトラスの風」で湖月わたるさんの位置=3番手ポジションに立つ愛ちゃんを想像してワクワクします)
(逆にそうならなかったらどれだけガッカリするでしょう。。。なんのための「シトラスの風」再演かってなると思います)
(頼みます。ほんとに(>人<。)

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2017/12/17

アンタイトル。

11月19日宙組7代目トップスター朝夏まなとさんが宝塚を卒業しました。
同時に私にとって宙組を見る楽しみの1つであった伶美うららちゃんも宝塚を卒業しました。
私は地元の映画館でその最後の公演の千秋楽をライブビューイングで見ていました。

レトロな老舗映画館のスクリーンで見る上田久美子先生作演出の「神々の土地」はまるで名画のようでした。
映画館の廊下やレストルームに掛かっていた往年の映画女優さんたちのポートレートにも負けない伶美うららちゃんの「麗しのイレーネ」にうっとりして、無冠であってもその輝き美しさは宙組の永遠だったよと心の中で語りかけていました。
うららちゃんの未来に幸あれと思いつつ映画館を後にしました。

それから幾日か過ぎ、うららちゃんの今後の動向がネット等で届いてきました。
凰稀かなめさんも出演される「越路吹雪に捧ぐ~トリビュートコンサート」への出演。
かなめさん主演の朗読劇で共演もするそうな。
そしてかなめさんのLIVEイベントにゲスト出演。
私はいまになって彼女の在団中には感じなかった感情が溢れてきてモヤモヤしています。

うららちゃんがトップ娘役としてかなめさんの隣に立つ「目」はなかったのだろうか・・・。
卒業後に一緒にお仕事をする2人にそんなことを考えてしまう自分を止められません。
あの時ああでなかったら。エリザ20周年公演の構想がなかったらもしや。いやいやいやいや。
そうしたら花乃まりあちゃんが宙で就任する可能性もあったかも・・・いやいやいやいや。
そしたら実咲凜音さんや朝夏さんの活躍を否定することになってしまうからダメでしょ。。。
いやいやダメダメもやもやもやもや。

すべてはタイミング。
トップスター構想、演目予定、周年イベントetc.
娘役はいろんなことに左右される。
わかってはいることだけど。
もうしばらくモヤモヤしていようと思います。

伶美うららちゃんはその姿も好きですが、深い落ち着いた声が私はとても好きです。
豪華なコスチュームが活き、舞台が華やぐ麗人オーラは彼女の持つ稀なる魅力だと思います。

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2017/10/11

オルタナティブス。

9月12日の観劇に続いて、9月18日に宝塚大劇場宙組公演「神々の土地」と「クラシカル・ビジュー」を見てきました。

「神々の土地」は1週間のインターバルを置いてからの観劇で、自分なりに見どころや好きな箇所などを噛みしめて見ることができました。
それぞれの登場人物の目線から出来事や主人公たちを見るとどう見えるのかなと考えながら見るのが楽しかったです。

ドミトリーは悪く言えば、根回しもしないで独善的に物事をおしすすめた挙句に失敗した見込みの甘い男で、彼によって心をかき乱された女性2人は、最終的には彼ではなくて自分が置かれている立場を選び、非業の最期を迎え、皮肉にも彼だけが生き残るんだなぁ。
そんなドミトリーを主人公に物語を描く意味とはなんだったんだろうなと思います。

ドミトリーは観念的なことには饒舌になるのに、イリナとの核心的な部分になると寡黙になってしまう。
「お互い自分の信念に従って生きよう」と言うけれど具体的なことは言わない。
彼の信念ってなんだったのか、イリナの信念ってなんだったのか、3回見たけれど(その後ライブビューイングを入れると4回)私にはわからないままでした。

イリナを愛しているのに正面からは一度もアプローチせず、イリナの言わんとすることを先取りして独りよがりに自己完結して、誰の気持ちもはっきりと確かめもせずにオリガとの結婚を決めてしまう。
それでいてラスプーチン暗殺に至るくだりでは、まったくオリガのことを忘れ去っていますよね。
オリガのことはその程度ってことなんだなと。
「俺を信じろ」と言っておいて、信じたオリガの心を踏み躙っている。
オリガはイリナに負けたのではなく、ドミトリーの未熟さと身勝手さに負けたのですよね。

そんなドミトリーとともに生きる道よりも、自分の置かれた立場のまま運命を受け入れることを選んだ2人の女性。
こうして時間を置いて考えると、2人の女性の決断は至極納得がいく気がします。
軽々しく信念とか言う男性を信じちゃダメってことですよね。
劇場ではまぁ様の麗しい見た目と切なげな歌に騙されていました。

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2017/09/17

美しいものを見ることには価値がある。

9月12日に宝塚大劇場にて宙組公演「神々の土地」と「クラシカル・ビジュー」を見てきました。

「神々の土地」は上田久美子先生の大劇場作品でした。
ある時代のある場所で、生きて、愛して、永遠に訣かれた人びと。
その時そこにあったものに思いを馳せてしまう物語りでした。

主人公のドミトリーは宙組トップスター朝夏まなとがこれまでの経験と技量を注いで挑戦している役どころだなぁと思いました。
研16のトップさんをもってしてもこれは難役だなぁと。
主人公が感銘を受ける都度に鳴り物が入る訳ではないし、葛藤や陶酔をダンスで表現するのでもない。ひたすら芝居力が要求されるなぁと。
微妙な間の持たせ方一つで意味が伝わったり伝わらなかったりしそうだなと。
主人公ドミトリーはその曖昧なもののために彼自身が描いた未来からドロップアウトしてしまったように読めました。

開演アナウンスの挿入の仕方が通常とはちがうのも上田久美子先生のこだわりでしょうか。
冒頭の爆弾テロルでセルゲイ大公が倒れ次の場になる前の暗転中に開演アナウンスが挿入されていましたが、その朝夏さんの口調が妙に私のツボに入ってしまいました。
本来開演アナウンスにはお客様へのウェルカムな気持ちが込められているものですが、作品の世界観に合わせてかどこまでも陰鬱な空気を漂わせた口調で、冒頭から作りこんでいるなぁと。それが私のツボにハマってしまって笑ってしまいそうになるのを堪えるのが大変でした。
いやいや、こういう世界観にこれから入っていくのね、という心構えができました(笑)。

帝政ロシア末期の難しい時代背景、登場人物それぞれの立場の複雑さ、それぞれの価値観。
何世紀もかけてはまり込んだ迷宮の出口を探す人びとの立場や心情を読みながら見るのはとても面白かったです。
開演アナウンスに続く場の招待客のおしゃべりで作品に必要な設定情報はほとんど網羅されていたし、ジナイーダの冗談交じりの軽口「よけいなことをしてくれたものだわ」がただの軽口じゃあなかったんだということが後のちわかる展開だとか。
なんどもほぉぉ~ってなりました。

その立ち位置を読みつつ、彼らの発する言葉の意味を読みつつ、一つ一つのエピソードに居合わせた主人公がその時どう考え何を決したかを読みながら見るかんじでした。
そうして頭でも考えながら答え合わせをするように見ていると主人公たちの気持ちはだいたいわかったような気持にはなりましたが、見ているその時にカチッとはならないのが少々もどかしかったです。
読み物としてはとても面白いけれど舞台としてはどうなんだろう。こういうのもありなのかな。
というかんじです。
セリフの意味も微妙な間の意味も、幾とおりにも受け取れてその中から正解を探しながら見ていく感じで、いろんな解釈ができそうで。
そこは見た私が好きに考えていいのだろうか?

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2017/02/19

描きたかったのは。

2月16日に宝塚大劇場にて宙組公演「王妃の館」と「VIVA! FESTA!」を見ました。

ミュージカル・コメディ「王妃の館」。
原作は知らないのですが、傲慢で陳ねたように見えていた主人公が実はピュアな迷える子羊で・・・という田渕先生の定番的ともいえるお話で個人的にとても好きなテイストでした。

誰かを傷つけて後悔するところとか・・あらっと思うほどとても素直なんですよね(笑)。
朝夏まなとさん演じる北白川右京さんも実咲凜音さん演じる桜井玲子さんも。
真風涼帆さん演じる太陽王ルイ14世までも(笑)。

そのほかの個性的な登場人物たちもみんな好い人ばかり。
困っている人がいたら協力してあげて(自分たちがカモられている側なのに)、泣いている人がいたら慰め励ます言葉をかけてあげて(自分が迫られて困っていた側なのに)。
皆がやさしいからつい涙ぐんでしまう。そんなお話でした。
じっさいのパリ観光でこんなにお人よしばかり揃っていたら怖い目に遭ってすってんてんにされちゃうぞって感じなんですけどcoldsweats01
そこはやさしい虚構(うそ)といいますか(笑)。

寛容さの中で安心していられたら誰しも安心して自分もまた人に寛容でいることができるよねとそんなことを思ました。
でも現実は猜疑心でたくさん傷ついてしまうから。
誰もが癒されずに抱えている心の痛みや傷を癒すひとときが劇場全体にそっと訪れているようなそんな空間を共有している気がしました。

北白川右京役の朝夏さんはとにかくノリノリで一挙手一投足が可笑しかったです。持ち前の長い腕や脚と身体能力でちょっとした仕草でも笑いが起きてしまう。
笑いの間がとてもお上手で、客席が安心して笑うことができる雰囲気をつくってらっしゃいました。
そういうところも温かくてやさしい作品だなぁと思いました。

ルイ14世役の真風さんのビジュアルにはもう心撃ち抜かれる思いがしました。宝塚の真骨頂ですよね。
あの存在感と華、ビジュアルがあったればこそ、この作品が宝塚として大劇場公演として成立していると思いました。

そしてさいごはクレヨン役の蒼羽りくさんに攫われてしまった私の心(笑)。

メインキャストはすごくうまくハマっていると思うんですけど、ホテルの従業員や現地の人や観光客などはもっと意味のある使い方をしてほしいなぁと思いました。

ホテル従業員が皆同じ制服でしたが、シャトーホテルのロビーに15~6人のベルボーイとベルガールが固まってるってことがあるのかなと思いました。
フロント係にドアマンにベルガール(ボーイ)にメイドにと、制服を変えてちゃんとホテル業務をしててほしいなぁと思いました。業務が違えば個々に所作が変わったり性格付けができるし、そのうえでメインキャストの宿泊客と絡む様子があればメインキャスト其々の性格も見えたりして面白いのにと思います。

また観光地を通行する人びとも同色の服の同じ年格好にしないで、肌の色髪の色服装などさまざまに設定してほしいなぁと思いました。
現代のパリ観光ならいろんな国籍の人がいるはずなのに。奥行のない舞台になってしまっている気がしました。
ここもメインキャストの日本人観光客と彼らのちょっとしたやりとりで場所やどういう状況なのかとかの情景が見えると、名所の画像を映し出すよりよほど面白いのにと思いました。
メインキャスト以外の使い方次第でちょっとした見所をあといくつか増やすことができたんじゃないかなぁと。
場面の一瞬一瞬を大事にしてほしいと思いました。宝塚はその一瞬を見に来ているファンも多いのだから。

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