カテゴリー「♖博多座」の93件の記事

2022/01/17

角をとってもらってこの子もやっとふつうになれたと思っているでしょう――「ガラスの動物園」

ことしの観劇初めは1月11日、博多座にて「ガラスの動物園」でした。

母親と姉弟。非常階段のあるアパートでの3人暮らし。
アップデートできない親が子どもたちを追い詰めている風景。
なるはずだった自分を娘に重ねて、息子にこうであってほしかった夫を重ねる母親。
自分が願うしあわせしか、娘にも息子にも願うことをゆるさない呪いをかけているよう。
現実を認めない親の願望が息苦しくて病みそう。
そんな作品でした。

麻実れいさん演じる母親アマンダは、本来陽気で生命力があってチャーミングな女性なのだろうということが十分にうかがえました。
たくさんの求婚者がいたことも嘘じゃない。「風と共に去りぬ」のスカーレットのように、きっとコケティッシュでホスピタリティ溢れるサザンベルだったのでしょう。
でもものごとはうまくいかない。魅力的な男性と結婚して幸せな妻となって暮らすはずだったのに。
輝かしい過去とすり抜けた幸せを、自分が娘時代を過ごした昔の南部のやりかたで娘のために手に入れようとしている滑稽さ。
計画をテキパキとこなす行動力も意志の強さも備えているのに。
そのパワーがぜんぶ子どもたちに向けられているのがしんどいなぁと思いました。
すべては子どもたちを深く愛しているゆえなのだろうけど、親子関係が密すぎて自分と子どもとの境界が曖昧で、だからあんな身勝手なことが言えちゃうんだろうなぁと思いました。
私にはとても耐えられない、気がおかしくなりそうな親子関係でした。

倉科カナさん演じる姉のローラは、人の感情にとても敏感な女性。
母と弟が言い争いになるとデザートを運んできたり自分の献身で空気を変えようとするような。
8歳で父親が家を出ていくまではずっと両親の諍いを聞いて育った娘なんだろうなと思いました。
父親が家を出ていっても母の愚痴は止まることはなかったでしょうし、子どもたちへの干渉はそれまで以上に増えたのではないかな。
狭いアパートでは引きこもる自室もなさそうで、ガラスの動物たちの会話に耳を傾けて彼女はつらい時間をやり過ごしたのではないかな。
彼女のお気に入りは13歳になるユニコーン。仲間たちは絶滅して孤独な存在になってもさびしいとも言わず、ふつうの馬たちとも仲良く暮らして言い争うこともないのだそう。
まるでローラ自身のことのようでもあるし、彼女の理想の世界なんだろうなぁと思いました。彼女が語るガラスの動物の話がとても好きでした。
ジムがそのユニコーンの角を誤って折ってしまっても責めもせずに、手術をうけたと思うことにすると言うシーンがとても印象的でした。
その前に、ほかの馬たちとおなじになったわとも言っていて。
健全でポジティブなジムのような人間には、人とちがうことは素晴らしく価値があることなのだろうけれど、ローラにとっては人とおなじである安堵に価値があるのだろうなと思います。

竪山隼太さん演じるジムはとてもポジティブでいい人だなぁと思いました。
自分の過去の栄光も挫折もきちんと分析できていて、それを話す時にも相手に変に気を遣わせない話術があって。
自分の夢や努力を臆せず語るときも、そのちょっと自惚れ屋なところも魅力的だと思いましたし、ローラを勇気づける会話には感動しました。
ローラにとってはそりゃあ眩しくて素敵な人に見えるだろうなぁと思いました。
人の話を聴く時の態度、会話のすすめ方、高校時代に人気者だったのが肯けます。
女性に対してはジェントルにふるまうという社会性も身に着けている人ですよね。たとえ話が退屈でもそんな素振りを見せない。興味のない話題の時はさりげなく話題を変えるとか会話術ももっている。
成功しようと思っている人はちがうなぁ。
ローラと好い雰囲気になっている時に、君が妹だったら自信の持ち方を教えてあげるのにと言っていて、あれ?妹?と思ったけれど、どんどん盛り上がっていって、ふうんと思っていたら・・え~そんな~でした。
現実的に計画を立てて着々と人生を歩んでいるポジティブな彼ですから、そりゃあ奥手なはずはないですよね。
それにしてもそれにしても・・・。作者に一杯食わされた感満載。
ものごと願うようにうまくはいかない、ですよね。

岡田将生さん演じるトムは、ストリーテラーから過去の自分になるときの切り替え、一瞬の真顔が印象的でした。
母と姉を養うためにやりたくない仕事をがまんして続けているのに、その母親に身勝手と非難されてつらいなぁと思いました。
16年前に父親が出て行って、トムはいま21歳。大学には行かずに仕事をしているみたいだけど、彼が働き出してせいぜい3年ほどだと思うのだけど、それまでこの一家はどうやって生計を立てていたのかな。絶対に彼が養わないといけないのかな。
家を出て行きたいけれど逡巡する理由は、やはり庇護が必要に思える姉の存在があるからなのかな。
あんな酷いことを言われても、やっぱり女手一つで自分たち姉弟を育ててきた母に対する拭いきれない愛着を感じているからかな。
姉のローラがガラスの動物園に逃げ込むように、彼も夕食後は息苦しいアパートから逃避して深夜まで映画観で過ごし、3時間の睡眠をとって出勤し職場では詩作に耽り、同僚のジムからはシェイクスピアと呼ばれていたりする。
いつか船員となって家を出ることを夢見ながら。
母の渾身の計画が破綻して、八つ当たり的に責められ酷いことを言われて口論になって。彼の父もこんなふうに言われた末に出て行ったのかなと思いました。

この追憶劇を見るかぎりでは、トムが家を飛び出すのは仕方のないことだと思えるのに、家を飛び出した彼が何年経っても姉の幻影から逃れられずに、こうして追憶を語らずにいられないのはどうしてだろう。
彼が語らないこと、彼が都合の良く脚色したなにかがあるのかしら。
家族というものが不気味なものに思えて、なんともいえない後味の作品でした。

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2021/11/22

もうどこへも行くな。

10月26日と11月3日に博多座にて、宝塚歌劇月組公演「川霧の橋」「Dream Chaser -新たな夢へ-」を見てきました。
11月3日は千秋楽でした。

「川霧の橋」は23日に見た時よりもさらに深まっている印象をうけました。
月組の皆さん本当にお芝居が上手い!
舞台の上の1人ひとりがさまざまなキャラクターたちを魅力的に演じ、それぞれの場面で自分の役目をきっちり熟しつつ自らも光っていて、人の愛おしさに胸をふるわせながら見ていました。
そんな人々について思いつくままに書き残しておきたいと思います。

芸妓の小りん姐さん(晴音アキさん)は女性1人で芸で身を立てて生きているような小粋な姐さん。杉田屋の幸次郎
(月城かなとさん)に想いを寄せながら傍観者でいる道を貫いている健気なところもあり。いまでいうところの「押し活」に近い想いなのかもしれないな。「押し」が幸せに笑っていてくれたら自分も幸せというような。
作中では状況説明も担っている役を、晴音さんはとても巧い塩梅で演じてらっしゃいました。お光(海乃美月さん)が若夫婦となった幸次郎とおよしに出会う場面では「とてもここには居られない」に毎回笑わせてもらいました。

杉田屋の杉太郎(蓮つかささん)は口跡もよくて気持ちよい人。朗らかで気遣いもできてコミュ力あり。大工としての腕は半次や清吉に劣るのかもしれないけど、コーディネーター、渉外担当として良い仕事をしてそう。じつはいないと困る人だと思うので、幸さんもっと大事にしてやってと思いました笑。
「杉太郎です」「千代松です」の場面は面白かったなぁ。
あの場面は一緒にいる千代松(柊木絢斗さん)も口跡よく芝居の間も良いので毎回笑いました。

鳶の小頭辰吉(英かおとさん)は着流しがすらりと似合ういい男でした。恋女房が自分を心配して迎えに来たのが男同士の手前決まりが悪くて叱りつけたりしながらも、寄り添いながら帰っていく姿は微笑ましかったです。
火消しとして纏を担って駆け抜ける姿もいい男でした。

杉田屋の女将お蝶さん(夏月都さん)は祭りのご接待をテキパキと采配する有能な女性。ほかの人より先に発言する人だし、言いたいことはすべて逃さずに言うタイプ。
うん、この人なら悪気なく人を傷つけて気づかないでいそうだなぁって女性を、夏月さんが説得力のある芝居で見せていました。

杉田屋の棟梁巳之吉さん(夢奈瑠音さん)は腕と人柄を見込まれて入り婿になったんじゃないかな。お蝶さんが惚れたのかもね。と思いました。
怒鳴りつけるような人柄ではなさそうなのにまちがいなく徒弟たちに尊敬されていることがよくわかる人物。次期棟梁の選び方をとっても皆を納得させてまとめるタイプなのでしょうね。彼が言葉を発すると場が締まります。

飛脚の権二郎(春海ゆうさん)は、はじめはふつうに酒好きのご近所さんなんだなぁと思っていましたが、じつは大事なところを担っている役でした。
源六(光月るうさん)が幸次郎を遠ざける時に近所の目があることを理由にしていたけれど、酔っぱらった権二郎の「妾宅からのお帰りですか」という軽口で、まんざらそれが口実ではないのだとわかりました。
酔っぱらいの戯言が、それを聴いた人から人への伝聞で、いつの間にかそれらしい醜聞になっていくことは人の世にはありがちすぎて

そんなつまらないことに左右されてしまうのも人生だなぁとほろ苦く思いました。
そして、そんな酒に人生を売っ払って生きているような彼の職業が飛脚だからこそ、江戸から遠い大坂で清吉(暁千星さん)とばったり会い、後半の話へと展開するのだなと。
冒頭の祭りのシーンからすでに質の悪い飲み方をしていて、お酒のためなら恥も体裁もほっぽってしまう性格を春海さんはうまく演じられているなぁと思いました。

お甲(麗泉里さん)は、最初の登場では芸妓姿で「お金よりココ(気持ち)が大事」ときっぱり啖呵を切る気風の良い女性。
大火の後では河原で春を売る夜鷹姿となって「金が命の世の中さ」と世を嗤う。女性が生きて行くには信念などは後回しにしなければやっていけない無念さが滲んでいるよう。
それでもやっぱり心根は気持ちの良い姉御肌の女性のようで、芸妓の頃から妹分のように一緒だったお銀(花時舞香さん)たちを従えている。きっとなにかと目を懸けてあげているんだろうな。
なにより半次にお組の行方についての情報を教えてもお金は受け取らない。その情報はお酒一杯の値というのが彼女にとっての理、それを違えないのが矜持なのだろうなと。たとえ100%理想の生き方は無理でも通すところは通して生きようと抗っている。かっこいいぞお甲姐さん。

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2021/10/27

待っていてくれるんだな。

10月23日に博多座にて、宝塚歌劇月組公演「川霧の橋」「Dream Chaser -新たな夢へ-」のソワレを見てきました。
(幸さんのセリフの語尾が記憶していたのとちがっていたので、前回の感想のタイトルを修正しました汗)

この日は中日とのことで、10月11日の初日と翌日のマチネ以来の観劇だったのですが、もの凄い進化を遂げているなと感じました。
舞台の上のひとつひとつのセリフや感情が真っすぐに心に届いてきて私は冒頭からラストまで入り込んで見ていました。

初日もとても感動したのですが、1点引っ掛かるとしたら「おみっちゃんはあれで2年待つの凄いなぁ」だったのですが、今回は「いやぁこの清さんになら初心な娘は勘違いしちゃうわ、初心でない私もコロリだわ~」と思いました。
暁千星さん演じる清吉の雰囲気が大きく変わった気がします。危なっかしい捨てておけないような色気が出たといいますか。
おみっちゃんを見る目の輝きに、この瞳にロックオンされたら敵わないわと思いました。

告白されて豆鉄砲を喰らった鳩になったところから、清さんが行ってしまってウフフってなってるおみっちゃんがとても可愛くて。
清さんの雰囲気が変わったことでおみっちゃんの反応も変わったなと思いました。
この日のことを思い出すたびにきっと、おみっちゃんもまんざらではない気持ちになっちゃって、待っていなくちゃと思ってしまうのじゃないかな。
あの一瞬に絆されてしまったのよね。
そう見えると、その後の幸さんの真摯な想いをなかなか受け入れられないのも納得でした。
一瞬の夢見心地と約束は守らなくてはと思う少女らしい律義さのために自分の将来を決定づけてしまった、愛情についてなにもわかっていない娘なのだなぁと思いました。

そんなおみっちゃんをずっと思っている月城かなとさん演じる幸次郎は、
なんていうのか、やっぱり融通の利かない頑固者だけど信用のおける人だなと思います。
自分の大工道具を自分の手で大事に手入れして仕事をする人柄は、きっと愛情の面でも同じなのではないかなと。おみっちゃんのことも大事に大事に想い続けているのだろうなぁ。
口下手は直した方がいいかもと思いましたが、大人になった彼はそこもちゃんとわかっていますよね。
回り道をしたけれど、やっぱり2人にとって必要なことだったのだなと思いました。

一緒に見た方が初見だったのですが、1時間半とは思えないくらい長く感じだとおっしゃっていました。
私も初日にそう感じたのを思い出しました。つまらなくて長いのではなくて、ヒロインたちの境遇が幾度も変化していき、まだこれで終わりじゃないんだ、どうなっていくんだろう?と思うポイントが何回もあったのに1時間半しか経っていないことに驚いたのです。
それぞれ登場人物たちの情報もてんこもりでしたし、登場人物たちそれぞれの場面が主人公たちの結末にちゃんと意味を成していたことも驚きでした。

日本もの人情ものということで、最近見た宝塚の作品に比べて登場人物が心情を歌ったり踊ったりする場面が少なめだったので、その分の時間で情報がいろいろ盛り込まれていたというのもあったかもしれません。
説明台詞がほとんどなくて、状況や関係性が会話形式で描かれていたことで、たくさんの登場人物にセリフがあったことも情報量が濃いと感じた理由かもしれません。そのセリフ自体は短いものであっても。
「お嬢さん、水溜りがあります」のひと言で、お組さんがどんな育ちの人なのかが浮かび上がって鳥肌でした。
その育ちこそがあの大火の日の行動につながるし、その行動がその後の人生が変わってしまうきっかけともなっていて心で唸るしかありませんでした。

おみっちゃんの家のお隣のお常さんとの関係性も秋鯵のセリフのやり取りでわかりましたし、同じように茅町の人びとの関係や杉田屋さんの内の人間関係や序列もセリフで理解できました。そうそう意外と大事な権さんの職業も。
女性たちの上方言葉で清さんと権さんが大阪で再会していることも説明なしでわかりました。これは日本物ならではの効果でしょうか。
脚本を書いた人のセンスの冴え、そして観客を信じて書かれた脚本だなということもしみじみと感じます。
今回の再演にあたって、初演と演出をほとんど変えていないとのことですが、それも良かったのかもと思います。

この日は、初演の主演コンビ剣幸さんとこだま愛さんがご観劇で、カーテンコールで挨拶された月城かなとさんに大きな拍手をおくっていらっしゃるのが後ろからよく見えました。
月城さんがお2人がご観劇であることを、お稽古場でいただいたお言葉を交えながら紹介されていました。そのお言葉は月城さんにとって宝物なのだなぁという印象をうけました。
一瞬柴田先生のお顏が浮かんだこともおっしゃっていて、こうして宝塚は続いていくんだなぁと感慨深かったです。
月城かなとさんと海乃美月さんのプレお披露目がこの作品でよかったなと私も幸せな気持ちにさせていただきました。

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2021/10/12

俺はいつでもいいぞ。

10月11日の博多座宝塚歌劇月組公演「川霧の橋」「Dream Chaser -新たな夢へ-」の初日と10月12日のマチネを見てきました。
この公演は月組新トップコンビ月城かなとさんと海乃美月さんのプレお披露目公演です。
そして2年8ヵ月ぶりの宝塚歌劇博多座公演です。

まずは、月城さん海乃さん、おめでとうございます。
そして、、
遅ぇぜ、いつまで待たせるんでぃ!――― ではなくて笑
ようこそ博多へ!!!
久方ぶりに宝塚歌劇が博多座で上演されるこの日を待ちに待っていました。

「川霧の橋」はほんとうによく出来た脚本で、初日終演後は唸るしかなかったです。
あの紆余曲折が、2人には必要だったんだなぁと納得しかなくて。

さいしょの求愛で結ばれていたら、おみっちゃんは愛されることしか知らない傲慢な娘のままだったかもしれないし、幸さんはおみっちゃんの気持ちを重んじて「俺ァいつでもいいぜ」と待てる男にはなっていなかったかもしれない。
あの言葉がするっと口からでる幸さんの人間の器の大きさに私は痺れました。その言葉が口にできるまで、いったいどれほど傷ついてきたのだろう彼は。
「おまえが欲しい」という自分本位の愛から、「俺ァいつでもいいぜ」という相手を尊重できる愛に至るまでに。
おみっちゃんも、自分が求められたことにのぼせて、その心の本音を見誤ってしまう初心な娘から、ひとの心の痛み苦しみ —— 幸さんの苦しみ、自分の心、そして清さんの苦しみまでも―― がわかる女性となって、幸さんと結ばれてほんとうによかったなぁと思えました


2人が結ばれたことを心から喜びたい気持ちになれたこともいい作品だったなぁと思うのですが、私はこの町に生きる人々が出逢った人1人ひとりを見捨てないことがたまらなく好きで泣きたいような気持ちになりました。誰しも自分のことで大変な人々なのに。
またあの人たちに逢いたいなぁ。
―― と思いながら、今日は眠りにつきます。

(またゆっくりと感想を書けたらいいな)

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2021/01/12

ローマです。

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2021年の初観劇は1月9日、博多座で上演のミュージカル「ローマの休日」でした。

ほんとうは前日1月8日のマチネを見るはずだったのですが、積雪によるバスの運休により地下鉄の駅に辿りつけず、またタクシーも出払っていてつかまえられず、雪道を徒歩で4km歩くことはできずに観劇できませんでした。
風雪の増す中小一時間雪だるまになりかけながらバスを待っていたのに、バス停を1つ1つまわられていたバス会社の方に運休を告げられ呆然・・。
数日前から大雪の予報が出ており、一緒に観劇する友人が山越えしてくるためずっと心配していたのですが、まさか私の方が身動きできなくなるとは・・・なにがおきるかわかりませんです。
(あとで考えたら、こんなときこそ配車アプリを使えばよかったのでした・・!)

なんとか帰宅して気を取り直し、博多座に電話をすると別日に振替えてくださるということで、翌日1月9日ソワレの観劇となりました。

楽しみにしていた「ローマの休日」は期待の大きさに対して、あれ?となったのは正直否めませんでした。
それほど映画を繰り返し見た人間ではないのですが、見せ方や見せるところがちがうんじゃないかと思いました。

アンとジョーの心が近づき変化していく過程、投げやりで口から出まかせだけで生きていたジョーの葛藤と変化していくさま、アーヴィングとの友情、王女をとりまく人びとの思い、そして自分がすべきことを自覚し覚悟を決めたアンの威厳とせつなさ・・それらをもっと感じたかったなぁと思ってしまいました。思っていたよりもあっさりしている印象でした。
見たいところはここからなのに・・の前でシーンが終わってしまって。演出と私の感覚が合わないといいますか。

全体的に熱量も伝わってこないなぁとも思いました。コロナ禍というのも関係があったのかもしれません。客席のリアクションも薄いなぁと感じましたし。笑いどころはたくさんあったにも関わらず・・笑い声も控えてしまうのはしょうがないのかな。(昨年の「ダンス・オブ・ヴァンパイア」や「シスター・アクト」みたいに客席参加型のフィナーレがついた作品のようにはいかないですよね。お祭り好きの博多座だけにリアクションを控えめにすると極端になってしまうのかな)

イタリア人の誇張の仕方も好い感じがしないなぁと思いました。
映画には製作当時のアメリカとイタリアの格差(戦勝国のアメリカに対し敗戦国であるイタリアは社会情勢も不安定)やアメリカ人に向けたローマの名所などが描かれていますが、いまこの時代に日本人がその当時のアメリカ人視点の誇張した“イタリア人”を演じるのは面白いと思えませんでした。イタリア人役の人びとがイタリア語らしきものを話す演出も、片言を話すのも、この作品のテーマを損なっていると思います。
主人公たちがローマの異邦人であることを表現するとしてももっとほかにやり方があるだろうにと思いました。

もっとロマンチックに、もっとエモーショナルに描けたはずだよなぁと思えてなりません。
アーヴィングの出し方も・・・。傍観者でいてほしいところで出張ったり、(内面的に)寄り添ってほしいところであっさりしていたり。
これはもう私とは感覚が合わないとしか。

朝夏まなとさんのアン王女は、コミカルな間がいいなと思いました。客席を向いてニカッと笑うところが私のツボでした。
ジョーのパジャマやガウンを着る場面は、映画だと袖や丈が長いのが萌えだったはずなんですが、朝夏さんはふつうに着てる(笑)。なんならガウンなんてカッコイイくらい。これはこれでこのアン王女もありかな。
大使館に戻って決意を述べる場面は、顔をあげ凛とした立ち姿に決意が見えて王位継承権第一位の王女様なんだろうなと思える気概が感じられて感動的でした。

加藤和樹さんのジョー・ブラッドレーは、思い通りにいかない人生を背負った男性像がリアルだなぁと思いました。なんでも適当で口から出まかせばかりで誠意の欠片もないような彼が、アーニャのために一獲千金のチャンスを手放す決意を大騒ぎする訳でもなく淡々とするところもリアルで好きでした。ほかの誰に気づかれなくともアン王女だけに向けられた友情に変えた恋心と誠意がつたわりました。

良い作品なんですよね。名作の名に恥じない。
だからこそ私の感覚と合わないのが残念でした。
あとやっぱり生オケは良いなと思いました。

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2020/01/16

我らはいますべてがほしい。

ことしの観劇初めは1月7日の「ダンス・オブ・ヴァンパイア」博多座千穐楽でした。
赤いハンカチを持って行くようにと言われていたので、真っ赤なカットクロス持参で初参加。すごく楽しかったです。

作品ファンが多いのも「ソング・オブ~」じゃなくて「ダンス・オブ~」なのも納得。
そしてはじめて見る作品なのに時折かんじる既視感。原作の映画を私は見たことがある気がする。はるかむかしに。
そしてそれをリスペクトした創作物たちにも触れたことがあるはず。

それにしても山口祐一郎さんの華と真ん中オーラは凄いなぁ。
声の調子が万全ではないみたいで歌詞が聞き取りにくいのが残念でしたが。すごくテツガク的なことを歌っているような気がする・・わからないけど・・と思いつつ。でも私にはよく聞き取れないのですっぱり諦めて、ここはこの贅沢なエンターテイメントをたのしむことにシフトチェンジ。
山口祐一郎さんの歌でヴァンパイアダンサーの佐藤洋介さんがアクロバティックなパフォーマンスで魅せるシーンはほんとに贅沢だなぁと思いました。

圧巻は出演者ほぼ全員がヴァンパイアになって踊るシーンでしょうか。
——我らはいま、すべてが欲しい——
この尽きることのない欲望は、まさにいまの私たちの姿ではないかと。
どれだけ欲しがるのか。奪い尽くして貪り尽くして次の獲物を求めて彷徨う。まさにこの世界はヴァンパイアだらけ。
ああやっぱり伯爵の歌の歌詞ももっと感じたかったなぁ。深い知性とウィットに触れることができたのでは。ゆうても勝手な期待ですけど。
いつかまた見る機会があったら、こんどは伯爵目線で堪能したいなぁ。

ヒロインのサラ役の桜井玲香さん。乃木坂46の人らしい。
アイドルも変わったなぁ。媚びずに真っ直ぐに自分の実力で勝負するんだなぁ。
お風呂が大好きで、自由に憧れてて、伯爵の招待に応じて家を飛び出して行く。目的のためならリスキーなことも厭わない。というかリスキーなことにワクワクするタイプの女の子を迷いなくストレートに演じているなぁと思いました。
はかりごとのない、誰かを先に行かせて様子を見るより自分が先に行きたい子なんだなぁサラは。
「わたしはまだ何も知らない16の乙女だけれど」とかもったいぶったりもしないのね。その潔さ、好きかもと思いました(笑)。
少なくともそういうことに価値を見出す女の子ではないのねと。やりたいことはやってしまう。怒りたいときは怒る。人の気持ちを慮って病んでしまうような女の子ではないみたい。NOと言える女の子。

東啓介さん演じるアルフレート。
いつの間に危険を冒してまで救出に行こうとするほどサラを好きになったの? 彼女の何を知っているの? という役ですね(笑)。
サラにとってはいいお友達止まりな気がする。お人好しで大いなる勘違いをしてる。だからこそあのラストですよね。そのあたり、2枚目の俳優さんが演じると混乱してしまう気がします。
教授とのかけあいがコミカルで可笑しかったです。もっと2枚目半になるといいなと思いました。

伯爵の息子のヘルベルト役の植原卓也さん。ダンスがキレッキレ。ビジュアルも良かったです。なによりあのコスチュームを着こなすのが凄い。
わけありで生きにくい人(?)なんだろうけど、アルフレートにセクハラして笑いをとるのはもう前時代的だなぁと思いました。

作品のテイスト自体が前時代的ではあるんだけど。そこにいまの風をどう吹き込んでいくかが鍵な作品かなぁ。
すごく深いナニカがありそうなのに、たんなるダンスで盛り上がるだけの作品にしちゃうのはもったいないと思います。
それをどうたのしむかは、見る人しだいですけども。

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2019/03/07

君はそういう幸せを追っているのか。

2月2日から25日まで博多座で上演された宝塚宙組公演「黒い瞳」の感想のつづきです。

「黒い瞳」の出演者が発表になったときに私が予想した配役と実際の配役がちがったのが、ミロノフ大尉、ベロボロードフ、ズーリン、パラーシカでした。
私の中で、ワイルドな髭面のコサックのベロボロードフと澄輝さやとさんが結びつかなかったのです。
あき様(澄輝さん)は軍服だろうと勝手に思って、ミロノフ大尉かなぁズーリンかなぁと・・・。
それがまさかのベロボロードフ!

初日はやはり澄輝さんが浅黒い肌で髭を生やしていることに違和感がありましたが、いつしかカッコよくて見惚れていました。
あのコサックの衣装に髪型にお髭でカッコイイのはもう神の技かと。
無造作にしているようでめちゃくちゃオシャレだと思いました。
フロプーシャ(春瀬央季さん)と並ぶと眼福極まりなかったです。(ははぁさては大将面食いだなと思いました)

ニコライ、プガチョフ、ベロボロードフ、フロプーシャの4人の反乱軍本陣の幕舎の場面、好きでした。
大将と貴族の若造を訝し見る2人の目線の圧が場面の緊張感を作りだしていたなぁと思います。
プガチョフも内心居心地が悪かったのではないかしら(笑)。だからさっさとあの場を離れてでて行こうとするのでは…。

プガチョフの挙兵前からの知り合いでずっと一緒にやってきたのに、世間知らずの貴族の若造をやたら依怙贔屓する大将に不満を持つのはわかるなぁ。
おたがい昔からの知己だと思っていたのに疎外感を感じてしまいますよねぇ。
ニコライの姿を見るたびにベロボロードフのイライラが増しているようでした。(嫉妬か?)
それが裏切りの動機の1つなんじゃないのかなぁ。
(プガチョフも無頓着だから・・・そのへん。理想高き人にありがち)

プガチョフを裏切りズーリンに斬られてしまうけれど、この人(ベロボロードフ)にはこの人なりの一貫した行動原理があったのだと思いました。


蒼羽りくさんが演じたマクシームィチは、ミロノフ大尉の部下で国境警備隊の一兵卒。純朴で人の好さそうな若者像がりくちゃんにとても似合っていました。
赴任してきたニコライの荷物を運んだり、パラーシカに呼ばれて暴れる山羊をなだめに行ったり。
このまま平和な時が続いていたら家族をたいせつにする兵隊上がりの農民として暮らしていけたのかな。
いやそれはやっぱり無理かな…時代が場所が生まれがそれをゆるさないだろうから・・・。

コサックでありながらミロノフ大尉の部下になった経緯はわからないけど、彼以外にもいるように描かれていたので仕事を得るため政府軍の国境警備隊に入隊しているコサックは少なくはなかったのかな。
そういう彼らのもとにコサックの長プガチョフの蜂起の知らせがもたらされる。気持ちは大きく揺らいだことだろう。
コサックの仲間が身内がこのロシアでどんな扱いをうけどんな暮らしをしているか。
世直しの英雄プガチョフの天下になったらきっと…と。大きな希望を感じたのだろうなと思います。

けれどもミロノフ大尉にひとかたならぬ温情をうけたとみえるマクシームィチは、自らのアイデンティティと大尉や恋仲のパラーシカを思う自分の気持ちとの間で大きく揺れ動いているのが伝わってきて見ていて辛かったです。
恋人に「生きているんだぞ!」と絶叫するシーンはニコライとマーシャとも重なり、幸運な主人公とはちがう彼の境遇がなおさら憐れを誘いました。

政府軍に見つかったらどんな無惨な目に遭うかわからないのに命懸けでパラーシカの頼みを聞いてニコライのもとにマーシャの手紙を届けに来るマクシームィチ。
プガチョフ軍に捕らえられたミロノフ大尉たちを正視できずにそっとその場から離れて行くマクシームィチ。
善良な彼だからこそ敵対する人たちにも思いをかけずにいられなくて、それゆえ苦しみ深く傷ついているのだなぁとりくマクシームィチを見ていて胸が痛くなりました。

シヴァーブリンの凶弾からニコライを庇った時のりくマクシームィチの微笑みを浮かべた表情は、ニコライを守り切った安堵に満ちていてやっと自分を認めることができたようで涙を誘われました。
ずっと罪悪感とアイデンティティとの狭間で苦しんでいた彼にようやく安らぎが訪れたようで・・・。

雪のコサックとして踊るりくちゃんは微笑みを浮かべて幸せそうで、きっとマクシームィチの魂も雪の大地に浄化してすべてを優しく包んでいるのだろうなぁと思いました。千秋楽が近づくにつれ、さらにさらに透明感が増していた印象です。

雪のコサックは、ベロボロードフだった澄輝さんやプガチョフ役の愛ちゃんたちも微笑みを湛えて浮世のすべての執着から解き放たれ、真ん中で互いを愛おし気にみつめあうニコライとマーシャを祝福するように優しく踊っていて、その姿に舞台美術の白い世界やロシア民謡の黒い瞳のアレンジの音楽も相俟って、見ている側の心も浄化されるようなカタルシスを感じました。
だから見れば見るほど好きになっていった気がします。

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2019/03/02

やつのさいごの顔を見守ってやりたいんだ。

2月25日、宝塚歌劇宙組博多座公演が千秋楽を迎えました。

初日から3週間とちょっと、かつてないほどの頻度で観劇しましたが、この日の舞台は出演者全員の集中力が凄まじくて、どこを切り取っても至高の千秋楽だったと思います。

プガチョフ役の愛月ひかるさんが「次はいつ、どんなかたちで逢えるかな、俺たちは」というセリフを発する場面の無音の客席に、劇場中が身じろぎもせず集中しているのがわかりました。

それを受けたニコライ役の真風涼帆さんも何か込みあげるものを堪えているように見えました。
政府軍がプガチョフを追い詰めていると聞き、マーシャにどうしても奴の最期の顔を見守ってやりたいんだとニコライがその心情を吐露する場面も、いつもに増して思いが込められているように思いました。
私はそこに真風さん自身の愛ちゃんへの気持ちが重なっているように感じられて胸がいっぱいになりました。

「口笛を吹き雪の上に歌を書こう」と歌いながら絞首台に向かうプガチョフの歌い終わりに鳴り止まない拍手。
真風さんも次のセリフを言うまでの尺を長めにとって客席の思いを受け止めてくれていたように思います。
主演の真風さんの気遣いがそこここに感じられた舞台でした。
(宝塚ファンが大事にしたいことをわかってらっしゃるなぁと思います。足らなくもなく過剰でもなくバランス感覚が絶妙)

愛ちゃんの底力と真風さんのトップとしてのキャパシティ、そして宝塚ファンの愛を感じた心に残る千秋楽でした。

どんな苦しい役であってもその役として苦しめるところが愛ちゃんの凄いところだと思います。
漠然と曚い雰囲気を醸し出すだけではなくて、ちゃんと板の上で苦しむことができる強さを愛ちゃんは持っている人だなぁと思います。

この博多座公演中に出逢った人から、どうして愛ちゃんはもっと早く本気を出さなかったの?と言われたけれど、私はいつだって愛ちゃんは本気で自分と向き合っていたと思っています。なかなか結果に結びつかなかったけれど、それがようやく実を結んだのだと思います。
遅いとか詰めが甘いとかは本人がいちばん感じているだろうし、それでもなお自分の弱点と向き合い続けている愛ちゃんが好きです。
だからこの博多座で愛ちゃんが見せてくれたものはとてもうれしかったですし、きっとこの次もこの先も輝いて見せてくれると信じています。
この先も良いことばかりではないことは彼女がいちばんよくわかっていると思います。
それでも進む勇気を愛ちゃんは持っていると信じています。
その姿を私は見届けたいと思います。


以下は公演期間中に書けないでいた「黒い瞳」についての感想です。

続きを読む "やつのさいごの顔を見守ってやりたいんだ。"

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2019/02/11

世間で君のことをなんと呼んでいるか知っているか。

2月2日(土)、宝塚歌劇宙組博多座公演「黒い瞳」「VIVA! FESTA! in HAKATA」の初日があけました。
初日から2月11日までほぼ1日おきに8公演を見た感想です。

「黒い瞳」は初日から完成度が高く見応えがありました。
“まかまど”こと真風涼帆さんと星風まどかさんのトップコンビには純愛ものが似合うなぁとしみじみ。

真風さん演じるニコライは、漠然とした表面的な華やかさや称賛に憧れる人生の経験値の浅い初々しい青年士官が、運命の出会いと恋によって、さらに恋人とわが身が命の危険に晒される酷しい経験を通じて、心逞しく成長する様が鮮やかでした。
「ウエストサイド・ストーリー」のトニーにも感じましたが、恋に落ち純粋に相手を想う役がとってもはまる方だなぁと思いました。大人っぽい外見とはうらはらに。そのギャップが魅力だなぁ。
初日から日を追うごとにお坊ちゃま感が増していて、好きだわぁと思います。そのお坊ちゃまが試練を経て責任ある大人になっていく感じがより鮮明になって。

大尉の娘マーシャを演じるまどかちゃんは、もうひたすらに愛らしい。まさに柴田作品のヒロインという印象。
冒頭の雪の少女の愛くるしさと躍動感溢れるダンスからがっちりと心を掴まれました。目を奪われます。
中盤までは、両親や恋人に従順な娘の印象ですが、愛のために大胆に行動するところからが見せ場かな。
ペテルブルクへの道を急ぐダンスも素晴らしい。トリオにリフトされるところはとても印象的でした。
踊れる娘役さんいいなぁ。
エカテリーナに陳情する場面もその必死さが伝わってきて毎回うるうるしてしまいます。

愛ちゃん(愛月ひかるさん)演じるプガチョフは冒頭から物語の手綱を握る役。トップさんと拮抗する2番手男役さんの大きさと華が必要な役。
愛ちゃんとうとう声変わりしたの?と初日に思って以来、日を追うごとにさらに低い声に余裕が出てきた感じ。声量も凄いですし、雄叫びのような太い声に艶が出ています。
愛ちゃんの低音に酔い痴れる日がくるとは。と胸を熱くしました。

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2018/11/14

あらしのよるに。

11月6日に博多座にて新作歌舞伎「あらしのよるに」を見てきました。

原作は読んでいましたから、まちがいなく泣いてしまうのはわかっていましたが・・・。
中村獅童さんのがぶがもう(涙)。
心の中で自分の抑揚で読んでいたものを芝居巧者に感情を込めてセリフにされてはもうどうしようもありませんでした。
見た目は強い狼なのに、心の中は優しいのが獅童さんのビジュアルにぴったり。
狼の本能として山羊のめいを食べたいと思うけれど、そんな自分を恥ずかしいと思い、たいせつなめいに嫌われるのではと身もだえして必死でがまんする姿。
自分はお腹をすかせているのに、めいが美味しい草をたくさん食べられるように見守ってあげる。
めいが安心して自分のそばにいられるように、本当の自分を面に出さぬように必死で耐えている優しさ。
「~やんす」という口癖はコミカルで自分を抑えようと身をよじる姿はせつないやら・・・。
記憶を失ってしまった場面での豹変ぶりはまさに役者さんだなぁと思いました。
(記憶がもどってホッとしました)

なにも知らぬげに無邪気にがぶを慕っていたように見えためいもまた、内心は狼であるがぶを怖いと思う自分を必死で抑えてなにも気にしていないように見せかけていて、そのことに深い罪悪感を覚えて悩んでいたことが3幕でわかって、それもまた心を揺さぶられて涙でした。
その気持ちは女性としてよくわかりました。
疑ってはいけないと思うのにちょっとした挙動に怯えてしまう気持ちとその罪悪感。
尾上松也さんのめいは、すごく中性的でそこがまたなんとも魅力的でした。

みい姫の中村米吉さんが愛らしいくも気高いお姫様で、登場するたびにいいなぁ♡となりました。
めいが打ち明けられない秘め事を持っているのを聴いた場面では、めいを信じて無理強いに告白させないフェアネスにいたく感心しました。
山羊の?上に立つに相応しい立派なお姫様。マイフェアレディ♡
みい姫の登場場面が楽しみでした。

客席には小さいお客様もちらほら見受けられ、客席降りではそんなお客様を可愛いお花に見立てて弄ってみたり。
近道と称して通路ではない客席と客席の間を無理やりに通って行ったり。
花道から小さいお客様をみつけて弄ったり。
がぶが義太夫の方に遊ばれたり。
客席を盛り上げ笑わせる演出やアドリブも満載でお子様が思わず立てる愛らしい笑い声も聞こえて微笑ましい空間になっていました。

絵本が原作でわかりやすい作品になっていましたが、見得を切ったり花道を飛び六方で引っ込んだりと、歌舞伎らしさもふんだんで、やはりこれは歌舞伎演目なんだなと思いました。
歌舞伎だからこその感情表現とこの獣たちの架空のお話の相性も抜群だなぁと思いました。

この作品を博多座で見ることができて本当によかったなと思いましたし、歌舞伎未経験なお若い方にぜひこの作品をすすめたいなと思いました。

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