カテゴリー「♕ 星組」の43件の記事

2022/06/04

夢見た大人じゃなくても。

5月24日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」「Gran Cantante!!」を見てきました。
イープラスの貸切公演でした。

この公演は初日開けて数日後の4月26日にマチソワしたのですが、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたため4月30日より公演中止となっていました。
果たして2度目の観劇は叶うのか?と心配だったのですが5月19日より公演が再開され観劇することができました。

お芝居もショーも「礼真琴」を満喫。
「めぐり会い~」の銀橋でルーチェ(礼真琴さん)が
歌う「Love Detective」、これぞ礼真琴。でわくわくしました。

「めぐり会い~」は前回見た時よりも演じている皆さんが楽しんでいるのが伝わりました。
そして私はロナン(極美慎さん)が好きかも。忘れていたオタク心をくすぐられたみたいです

前回見た時はアニス(水乃ゆりさん)がツボり、今回はアニスに加えてロナンが刺さりまくりました。

親の言いなりになるように育てられてしまった人なんだなぁ。
親が示す価値以外を認められないように洗脳されて、それに当てはまらない人を見下すような人に。
オンブルパパ(綺城ひか理さん)めちゃストイックそうだもんなぁ。
フォション(ひろ香祐さん)みたいに、好きな時に好きなだけお菓子を食べる生活なんて考えられなかったんじゃないのかな。
ローウェル公(輝咲玲央さん)を筆頭にローウェル家とオンブル家では家風が違い過ぎるよねと思います。

コーラス王(朝水りょうさん)も大切な娘を預けるにあたって、悪者から命を守ることのみを要件とするならオンブル家が最適と思ったはずなのだけど、娘に甘々な父親の気持ちが加味された結果、ストイックなオンブル家に預けるにはしのびず、のびのびと笑顔いっぱいに成長できそうなノンキな親戚の家庭が最良と選択したのかなと思います。
その感覚こそがやっぱり、コーラス王とオーウェル公が血縁のゆえんでは?
オンブルパパは「血」というけど、血がつながっていれば良いというわけではなくて、血がつながっているゆえの価値観や性質の相似こそがこの決定をもたらした気がします。
オンブルパパには気の毒だけど・・・。

そんな報われないオンブルパパとオーウェル公とコーラス王の若い頃のスピンオフが見たくてうずうずしています。
この関係性に疼きます。
もちろんオルゴン伯爵やマダム・グラファイスも登場して。それにそれぞれの奥方たちもどんな女性か知りたいなぁ。

王女の侍女かと思いきや、剣術の使い手らしいアージュマンド(瑠璃花夏さん)はコーラス王が遣わした侍従兼武官かなにかなのかな。
王女にも自分で自分の身を守れるように剣術の指南もしているのですよね。
だから危急に及んでもアンジェリーク(舞空瞳さん)は果敢に道を開くことができた。
そんな自らの手で剣を振るって窮地を打開するアンジェリークとアージュマンドを目の前にして、ジュディス(小桜ほのかさん)はどんな気持ちだろうと思うと胸がきゅっとなりました。

軽い気持ちで見ることができて、笑いながらもキャラクターの心情を思い、時にはっとさせられたりうるうるさせられる作品に心が解されました。

ライトテイストなお芝居の後には、息つく暇もないような、これでもか、な“ザ礼真琴ショー”「グランカンタンテ」。
リミットなしの「礼真琴」のパフォーマンスが圧巻。
あまりに集中して見て聴いて感じて終演後はぐったり。良い意味で。

「ボニータ」をはじめどの楽曲も、こんなふうに歌って踊ってショーアップされたら本望でしょうと思いました。
礼さんに呼応するように、星組生のパフォーマンスも前回見た時よりもレベルアップした印象で、どの場面も見ごたえがありました。

終始クオリティの高いショーで大満足でしたが、個人的には「ニンジン娘」みたいな場面がもう1こくらいあってもいいかなぁ。とも思いました。
凄すぎて背筋が伸びすぎカチコチになってたので。(お芝居が「めぐり会い~」でよかった~~~)

でもこんなショーが見られるのもいまの星組だからこそ。
礼さんと星組を堪能出来て大満足。高揚して終演後に逢ったヅカ友さんに思いを語りまくってしまいました。
ここにありちゃん(暁千星さん)が加わるなんてもう。。想像しただけで見逃せない思いです。

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2022/05/04

グランカンタンテ。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

ショーはそのタイトルどおり、礼真琴さんが歌い歌い踊るショーでした。
懐かしいスペインものの柴田作品の主題歌や挿入歌を次々に歌い継いでいく場面は宝塚ファンとして心躍りました。
(わたし的にはタニウメで聴いたあの歌を、礼さんと美穂さんで聴いてることに妙なテンションの上がり方をしたり・・笑)
礼さんが大階段で「オンブラマイフ」を歌う場面は圧巻。
クオリティの高いショーを見たなぁ。これなら何回も見れるなぁ。と思いました。(といっても残るチケットはあと1枚なんですけど)

観劇から1週間たってしまったのですが、感想を書こうと思ったら、これが意外と細部を記憶していない・・涙。
全編スパニッシュだったせいかな。礼さんが凄かったのは間違いないんですけど。
鮮明に思い出せる場面は、瀬央ゆりあさんが銀橋で「ニンジン娘」を歌っていた場面。
瀬央さんの後ろで踊っていた極美慎さんの表情だったり。
それから礼さんが闘牛士の場面での牛さんの瀬央さんだったり。
ワッカのドレスの万里柚美さんだったり。太鼓を叩いてた華雪りらさんだったり。
天寿光希さんと音羽みのりさんが歌っている場面もあって、ああ退団されるんだなぁと思ったり。
フラメンコの掛け声がカッコイイと思ったり。
せり上がりして銀橋を渡る極美さんのお顏だったり。
見ている時は夢中で愉しんだんですが、場面の細部をほんとうに覚えていない自分に愕然。

ちょっと言い訳をさせてもらうと、「礼さんとその他大勢」か「礼さんと美穂圭子さんとその他大勢」なシーンが多くて、記憶力の弱い私には難易度が高くて・・。全編スパニッシュというのも記憶が混乱する原因かな。
礼さんだから成立してるショーだと思いますが、星組には素敵な人がいっぱいいたはずなのに、あまりピックアップされていなかった? されていたのに記憶がない?・・どっちだろう。
検証するためにも、もう1回見たいです。(どうか叶いますように・・涙)

美穂圭子さんの歌も素晴らしかったですが、ずっと歌われている印象で。ここぞという場面であの歌声を披露されるほうが記憶に残った気がします。
星組のいろんな人の歌声も聞きたかったなぁ。とくに娘役さんの。

パフォーマンスは本当に素晴らしかったのですが、礼さんと美穂さん以外のパフォーマーの顔があまり見えないショーだったかも・・と思いました。
でも、私の勘違いかもしれないので、もう1回絶対見たいです。
どうか早く公演が再開しますように。切に祈ります。

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2022/04/30

ハウダニット。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」 (タイトル長いけど、どこを省いていいのかわからない!)は、2011年に柚希礼音さん主演で上演された「めぐり会いは再び」のシリーズ3作目で、2作目で登場した礼真琴さん演じる末っ子のルーチェの10年後を描いた作品になっていました。

1作目2作目は地方貴族オルゴン伯爵家のお嬢様の花婿選びの顛末を描いたものでしたが、今回はそのオルゴン家の次男で末っ子のルーチェが訳あって王女様の花婿選びに参加する物語。舞台を彼が住む王都に移して、なぜかスチームパンクの世界観に。この世界線では文明が発達するとこうなるってことかな。

今作の上演発表時にまず気になったのが、1・2作目に出てきた人たちはどうしているのかな?でした。
その気になる面々もちゃんと登場。
音羽みのりさん演じるレオニードがあの困難な恋を成就させてしっかり?ちゃっかり?オルゴン伯爵夫人になってた!(奇人のお兄様押し切られたか!)
持ち前の行動力は健在だし、なにより懐かしい姿が見られてうれしかったです。

万里柚美さん、役名が変わっている?と思ったら、リュシドールと再婚して伯爵夫人ではなくなったからか。お行儀指南というかもはや王家のご意見番ですね。
執事のユリウス(天寿光希さん)は変わらずオルゴン家に仕えてて安心しました。相変わらず女優がお好きなんだな。憧れのエメロード様(美穂圭子さん)にも会えてよかったです。

ていうか、あのエルモクラート(真風涼帆さん)が振り回されていた大女優のエメロード様はこの方だったのか!衝撃。(これは端から手玉にとられていたな)
当時モラトリアム全開だった彼はどうやら劇作家をやめて実家に戻り、いまや辺境伯のご領地を治めているらしい。
そしてそこには某弱小国第24王子の従者ケレス(芹香斗亜さん)がいるらしくて、人生なにかおきるかわかりませんねーという。
そんな細かいところも盛り込んでくれるのは、シリーズを見てきたファンにはうれしいです。
ただ一つだけ、オルゴン伯爵役で英真なおきさんが出演されていないのが本当に残念だなぁ。

さていつの世もどこの世も、都というのは若者が夢を抱いて屯しては失意を味わう場所らしくて。
ここでも萎んでしまいそうな夢を必死に守る若者や教わるべき先達を失い形骸に固執する者、大人や世間に傷ついて逃げ込んで来た者たちが戯れ言やため息を共有しあっている。
心に傷を抱えて前に進めないルーチェも。みんなこのままではいられないとわかっていながら子犬のようにグルーミングしあって巣穴の外をうかがっている。
そんなところから物語ははじまりました。

ストーリー運びは単純で、見ている観客は謎解きなどしなくても登場人物たちが勝手に王女様の正体も真犯人もバラしてくれる。それもけっこう早いうちに。
だから、あとは主人公たちがどうやって学びと覚悟を得て逃げていたものを受け容れるか、を見ていくことになるのだけど。

いちばんの見どころは役者のキャラ立ちだなぁと思いました。
でもそこがなかなか難しいのだなぁと。
私が初見で思ったのは、初演の方たちのキャラ立ちは尋常じゃなかったのだなぁということでした。
とはいえ、私が見たのは初日があけてまだ数日のところ。これから1人ひとりがどんどん個性を発揮していくともっと面白くなるはず!と思います。
このお芝居にかぎっては、意味もなくカッコイイとか、訳もなくラブリーとか、そういうのぜんぜんオッケーだと思うので。

オンブルのみなさんとか花婿候補のみなさんとか、もっともっと美味しくなると思いました。脚本にはそういう場面も用意してあるし。
力自慢の彼(役名お名前わからずすみません)とか騎士の彼(碧海さりおさんですよね)とか。自己紹介の伏線を回収する場面は見得を切るくらいの勢いでやっちゃってもいいのじゃないかなぁ。おお!あの人ね!って応援したいです。第128王子のリドル(咲城けいさん)は強いの?弱いの?笑。
オンブルの追手のみなさんも、せっかく銀橋を使うのだからもっと派手に照れてもいいような笑。
わちゃわちゃしてる場面が多いので、礼真琴とその他大勢にならないで芸名の自分をもっとアピールしてこ笑。と思いました。

私がいちばんもっと美味しくやれるはず、と思ったのは宰相オンブル(綺城ひか理さん)。
ギャップ萌えできるなんてこんなに美味しい役があるでしょうか。
最初はどれだけ憎々しく印象づけるか。
そこからの「気流の関係で機体が大きく揺れることが予想されます」的な気持ちを存分に味わわせることができるキャラ。
だって動機がアレですよ? こんなことで? こんなことある?みたいな。
なっ・・っ・・そんなにもコーラス王(朝水りょうさん)のことがっ???って見ていて照れちゃいました。
美味しくやれる余地がいっぱい残っていると思うんです。
あの脚本をどれだけ埋めたり足したりできるかが役者の手腕だし面白いところだと思います。
そしてラストのコーラス王には、オンブル様への愛をもっと見せてほしいなぁ。相思相愛よろしくお願いします。

息子のロナン(極美慎さん)も同じく。
もっといけ好かなくってもよろしくってよと思います。
オムツをしている時分から「向かうところ敵なし」だったみたいな印象を与える人に見えたらいいな。内心はどうあれ。
美貌はいうことなし。さらにもっと過剰なほどの自信を自分を守る鎧のように身にまとっているといいな。
でもほんとうは・・なんて。こんなに美味しく描かれているキャラがある?って思います。
でもでもどんなに健気な一面があろうとも小憎らしさだけは絶対に失わないで。それが最大の魅力だから♡

本来は宰相オンブルのようなキャラクターを得意とする輝咲玲央氏が今回は「ノンキな親戚」に回っているのも見どころだと思いました。
(オンブルがほんとに悪宰相なら輝咲さんにキャスティングされているのだろうなぁ)

ノンキな親戚チームはさすがだなと笑。
ローウェル公爵(輝咲玲央さん)、意地っ張りの若い2人を心配してこんな計画に手を染めるなんてほんとにノンキでお人好しなんだから。
しかも見込んで助言を求める相手があのレオニードだし。「国家機密」を担っているのにほんとうにお気楽な公爵様笑。
ローウェル公が能天気であればあるほど、オンブル様がムキ~ってなるのもわかる気がします。
王の甥ってだけでなんの取り柄もないくせに~!って。(ローウェル公がコーラス王の甥ってことは、王女様とはいとこ同士? コーラス王はずいぶん遅くに一人娘を授かったのだな。そりゃあ可愛くて心配もするかぁ)

フォションお兄様(ひろ香祐さん)はこんな方だったのかぁ。こりゃあかんたんに妹にクスリを盛られるなぁ笑。
クスリを盛られても目が覚めたら「爽やかな目覚めだわ♡」とかノンキに思っていそう。

こんな大らかで寛容な親戚に囲まれて育ったからレオニードも自分に正直に突き進める女性に育ったのだろうなぁ。
アンジェリーク(舞空瞳さん)も預けられたのがローウェル公でよかったのではないかな。
宰相のところだと窮屈で自由もなかったのじゃないかな。ルーチェとも出会えてなかったかも。

さてこの国では母親は早世しがちみたいで、コーラス家、オルゴン家もそうだったし、オンブル家も母親はどこ?でした。
新公外の星娘たちがひとまとめに花婿選びの審査員と仮プリ(仮のプリンセス)だったのは美味しくないなぁ。
顏覚えが致命的に苦手な私にはつらかったです。誰が誰だかになって。
といってもいまさら役は変わらないので、ならば星娘たるもの、半歩前へ押し出し強く主張してくださるとうれしいです。

中堅どころがわちゃわちゃしているなかで、105期が美味しいなと思いました。
双子のポルックス(詩ちづるさん)とカストル(稀惺かずとさん)、とっても可愛かったしお芝居もお上手だなぁと。
鳳花るりなさんも冒頭の回想シーンでの子ども時代のアルビレオ、お顏がよく見えてセリフも良いお声。(アルビレオは歌うまさんの役でしたね)
大希颯さんのフラーウスも、ルベル(天飛華音さん)やカエルレウス(奏碧タケルさん)と一緒の3人組で。双子と絡むところは長身が活きてました。

星組を見に行くと必ず目が吸い寄せられる水乃ゆりさん、今回はレグルス(瀬央ゆりあさん)、ティア(有沙瞳さん)、セシル(天華えまさん)と一緒に探偵事務所に屯するルーチェの大学時代からの友人アニス役。発明、実験、計算が大好きでかつちょっと生きづらそうなものを持っていそうなキャラが新鮮でした。ハネた三つ編み姿も可愛くて目がとろけました。

アージェマンド役の瑠璃花夏さんは、初演のリゼット役の白華れみちゃん味があってなんども目を凝らして見てしまいました。
(そしてそしてもしかしてまさかのアージェマンドがタイトルロール???笑)
可愛らしくてお芝居もお上手で良いキャラを出してて、これから注目したいなと思いました。

そしてけっきょく聖杯は怪盗ダアトに盗まれてしまったのですよね。
ダアトの正体と盗まれた聖杯のゆくえを追う物語は、いつか見ることができるのでしょうか。
その時は、バートル探偵事務所のみなさんと、ルーチェとアンジェリーク、そしてアージェマンドが活躍してくれるかなぁ。

終わってみるとみんなで大騒ぎした末に大団円という馬鹿馬鹿しいけど罪のない作品でした。
こんなお芝居を2500人もの観客が一緒に見てほっこり涙ぐんだり笑ったりしているって、なんて尊いんだろうとしみじみ思いました。

そしてこれを書いていた4月30日、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたということで公演中止となってしまいました。
宙組大劇場公演につづいて星組も・・・涙。
陽性になった方が罹患症状など残らず無事に復帰されますように。
一日も早い公演再開を心から祈っています。
(どうか2度目の観劇が叶いますように!)

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2021/12/14

薄紫のとばりの向こう。

宝塚歌劇団星組の愛月ひかるさんが、宝塚を卒業される12月26日まで残り2週間を切りました。

私にとって愛ちゃん(愛月ひかるさん)は宙組のホープだと思っていた人で、専科への異動はショックが大きかったです。
いろいろ思い起こすと、愛ちゃんにはいろんな夢を見せてもらったし、いろんな感情を抱かせてもらったなぁと思います。

真風涼帆さんが宙組のトップになったら、愛ちゃんに「花の業平」の藤原基経役とか来ないかなぁぜひ博多座で♡と勝手に思い描いたりしていました。
そんな無邪気な空想をしている頃に発表された同期であり花組2番手のキキちゃん(芹香斗亜さん)の宙組異動も青天の霹靂でした。愛ちゃんは2番手じゃないんだなぁと。(時系列でいうとこちらが先ですね)
じっさいに真風さんトップお披露目公演「天は赤い河のほとり」を見てみるとキキちゃんの軽妙さがとても好きになり、同期でキキ業平&愛基経やらないかなぁ博多座で♡と無邪気に想像したりもしていました。(懲りない)

いま星組に異動して立派に2番手をつとめている愛ちゃんを見ていると、ここに至るまでの時間がもうすこし早ければちがった道もあったのかなぁなんて思ったりも。
とはいえいまの愛ちゃんの透明でやわらかな表情を見ると、もうどんな繰り言もいらない気がするのですが、ひとつだけ。

卒業に際してCSの番組やDS配信などで愛ちゃんがしきりに語っている、下級生時代にもっと上級生に教えを請えばよかったという思いについて。
それだよなぁと思うのです。
愛ちゃんがどうというのではなくて、宙組の気風が関係していたりするのかなぁ。

宙組は約20年前に既存の4組からメンバーが集められてできた組で、集まったメンバーが元の組ではこうだったと主張しあったら収集がつかなくなるので、皆で新たなルールをつくっていこうとしたと元組長さんたちがおっしゃっていたのを公式メディアで聴いたり読んだりしたことがあります。
それぞれが別の組で受けた指導が異なるために、組全体の和を優先しようとすると、上級生が下級生を強く指導するということができにくい環境になっているのが問題だと。

和央ようかさんトップ時代の雑誌等を読むと、トップさんと下級生たちが分け隔てなく遊びに行ったりして楽しそうだなぁと思っていました。反面、舞台では上級生と下級生(他組経験者と宙組育ち?)ではっきりと分かれていた印象も強かったです。
組替えしてきたスターさんが気づいた点を指摘されても、指摘を受ける側が慣れていなくて戸惑ったりでなかなか定着していかなかったのかなと思います。

貴城けいさんは1年足らずの在籍でしたが、「日本物の雪組」で学んだことを日本物に慣れない宙組の下級生たちに残していこうとされたようで、通りすがりの下級生のお化粧も気になれば指摘されていたそうです。
それに食いついていったのが早霧せいなさんと言われていて、現在唯一宙組出身でトップスターになった方なんですよね。

上級生のほうから積極的に教えていく組もあれば、「見て学ぶ」気風の組もあると聞きます。ちがいはあれど、それぞれの組ごとにスターの育て方、生み出し方として確立したものがあるように思います。
そのちがいで組替えした後に齟齬がおきることもあるのかもしれません。そこをどうしていくかが長年の課題だったのかな。
タカラジェンヌとして楽しく在籍することと、期待を受けてスターになるために強く意識付けさせられて競争社会の中で厳しくストイックに稽古に打ち込むことを両立させるのは大変だろうなと思います。

下級生時代から抜擢続きの人は自分自身が期待に応えるのに精いっぱいで下級生に目を配る余裕がないのかなという印象を受けることもありますが、そんな方も学年が上がり余裕が出るにつれて下級生に自分がもてるものを伝えようとされているなぁとうかがえるようになっていくのを感じます。

人にもよるし学年や立場にもよるし、いつでもどこでもウェルカムではないかもしれないけれど、そこにいるのは宝塚を愛している人なのだからきっと教えを請いに来た下級生を無下にはしないのではないかなと思うのですが、それが難しい環境だったのかなぁ。愛ちゃんの性格だけがそれを阻んでいたとも思えないなぁ。

DSで物怖じせずに自分からいろいろ発信してくる蒼舞咲歩さんを愛しげに見つめながら愛ちゃんは下級生時代の自分を思い起こしているのかなぁと思いました。
いまの下級生にとっての愛ちゃんがそうであるように、下級生時代の愛ちゃんが教えを請いたかった人も輝ける星のような存在で、こんなふうに自分にまなざしを向けてもらうことは難しいことだったのかなぁ。

素直じゃないなぁと思えて、そのくせ正直者の愛ちゃんが私は好きでしたけど。
愛ちゃんが蒼舞咲歩さんみたいな性格だったら史上最強だったかもしれません笑。なぎ倒していきそう。
明るくてガッツのある蒼舞さんも素敵ですが、蒼舞さんを見つめている愛ちゃんがやっぱり好きですよ私は。

話が蛇行していますが、愛ちゃんは愛ちゃんのままでやっぱり好きなのですが、これからの宙組について思いをめぐらせると。
現在の真風さんも就任5年目に入るベテラントップさんで、ほかのスターさんたちもそれぞれに自分の個性を極めてらっしゃって何があってもどーんと受け止めてくれそうな気がします。
下級生にとってはいまこそ伸びるチャンスかもしれないと思います。
どうかこの機を逃さずに宙組からたくさんのスターが生まれますようにと願ってやみません。

そして愛ちゃんが愛情を残していく星組も、これからも見続けていきたいです。
(私自身のリソースは限られているのですが・・)

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2021/11/15

愛はさらにさらにさらに強く。

11月1日に宝塚大劇場にて星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の千秋楽を観劇し、引き続き行われた「愛月ひかるサヨナラショー」を見てきました。

開演間にまず座席に貼り付けてあったペンライトに、とうとうこの日が来てしまったかと覚悟をあらたにしました。
お隣には愛ちゃんを「誰がために鐘は鳴る」の新人公演から応援されている方が座られていましたが、ペンライトを手に取り添え書きに点灯する曲として「幸せの鐘の鳴る日」とあるのを目にしたとたん、「泣きそう・・」と目を潤ませていらっしゃいました。
ちなみにですが、添え書きにもう1曲「エル・ミ・アモール」とあったのを私は「マノン」のナンバーだと思ってしまって、曲がはじまって、あ、これじゃないやと思いバッグにしまってしまったのでした涙。
(「シークレットハンター」の主題歌は宝塚の曲でも1・2を争うくらい好きな曲なのですが、日本語タイトルの「大切な人」で覚えてしまっていました・・涙目)

私は「誰がために鐘は鳴る」の頃はあまり宝塚を見ていない時期でもあり、CS
でも本公演、新人公演ともに見たことがなくて、記憶に間違いがなければ、サヨナラショーではじめて愛ちゃんが歌うのを聴きました。楽曲自体はタカラヅカ・スペシャルなどで何度か歌われていて知っているのですけど。
初新公で「誰がために」のロバート、しかも大空祐飛さんの役とは。プレッシャーも含めて大変だっただろうなぁ。それがこんなに堂々と情感を込めて歌えるようになって・・と新公を見てもいないくせに涙目の私。
私ですらこうなのですから、お隣の方はどんなに万感胸に迫っていらっしゃったことかと。聴きながらハンカチで目元を拭っていらっしゃる様子が窺えました。

つづいて流れてきたイントロに、え?え?と。これはシークレットハンター?? そっか初舞台公演! そっか星組公演!!
この時点でペンライトの添え書きの「エル・ミ・アモール」が「シークレットハンター」の主題歌のタイトルだとは気づいていなかったもので驚きとともに、大好きな曲をまさか愛ちゃんの歌声で聴けるとは思っていなかった私の鼓動は跳ね上がりました。
こんなふうに1曲1曲がきっと誰かの心に刺さっていたのだろうなといまになって思います。たくさんの人の心に爪痕を残していたのですよね、愛ちゃんは。

そして大階段の真ん中に立つ愛ちゃんの背後から男役さんたちが、「マノン」より「マドリードへ」のボレロ調アレンジの曲に合わせて降りてきて、黒燕尾の男役群舞へ。
逆三角形の頂点に愛ちゃん。愛ちゃんにピタリと揃えてくる星組男役さんたち。ザ・男役の美学。
黒燕尾の群舞が美しいのはカタチ以上に心映えが重要なのだということをあらためて見せてくれる黒燕尾でした。
愛ちゃんに向かって静かに熱いエナジーが注がれていることを感じることができる黒燕尾の群舞は息をのむほど美しかったです。
(この1回のために皆でお稽古を繰り返してくれたのだなぁ・・)

退団同期の皆さんが銀橋を渡りながら「Bouquet de TAKARAZUKA」の主題歌を歌い継いだ後に、まさかのこれは!!??
それが「うたかたの恋」のプロローグだとわかった瞬間、私はお隣の方にすがりついていました。まさかのまさか。
愛ちゃんが「うたかたの恋」が大好きということは下級生時代から聞いていましたし(それもちょっとやそっとの好きさ加減じゃないってことも)、専科異動から星組異動と激動だった2019年暮れの「タカラヅカ・スペシャル」で「うたかたの恋」のプロローグを舞空瞳ちゃんと演じたときには、心から良かったと思いました。これだけでも星組に異動できてほんとうに良かったと。
まさかふたたび、それも大劇場の大階段で!「うたかたの恋」のルドルフを演じる愛ちゃんを見ることができるとは。それもトップ娘役の舞空瞳ちゃんがマリー役で。しかも2発目の銃声まで聴けるとは。誰にお礼を言えばよいでしょう???(通りもんを贈答させていただきます!)
宝塚大劇場の大階段に白軍服で佇む愛ちゃんの姿、しっかりと脳裏に焼き付いています。

それからまた星組生で歌い継がれる「You Are My Sunshine」。「Ray」のこの場面大好きだったなぁと思い出してうるうる。
大階段の真ん中でトップの礼さんが美声を響かせ最高潮に達したところで、上手袖から愛ちゃん登場。裾の長い白い変わり燕尾? 後ろについているのはモフモフのフェザー? なんて素敵な。愛ちゃんだから着こなせる愛ちゃんのための衣装だぁ涙。
愛ちゃんを交えて星組生全員で歌う「You Are My Sunshine」のなんて温かいこと。みんなみんな好い人すぎて胸がいっぱいで泣いてしまいそうでした。

そして礼さんはじめ舞台の全員が白い衣装。あっ。
つぎは「不滅の棘」だと。これは私でも予測できました。
愛ちゃんと星組の皆さんが「バンバン」を歌い盛り上がりながら幕がおりた瞬間、ああよかったと思うことができました。
幸せそうに輝く愛ちゃんを見ることができて心がいっぱいになりました。
こんなに素敵なサヨナラショーで愛ちゃんを送り出してくれる星組の皆さん、関係者の皆さんの愛を感じることができました。
短い期間ではあったけれど、どうか愛ちゃんが在たことが星組の財産になっていますように。
東京公演のサヨナラショーはライブビューイングで見る予定ですが、またあの感動を味わえるのは幸せに思います。
どうか無事に千秋楽まで東京公演が上演されますように。心から心から祈ります。

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想い出はすべて宝石。

10月31日と11月1日の宝塚大劇場星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の前楽と千秋楽を見てきました。

「モア―・ダンディズム」はやはりあっという間のショーでした。
そのときはすっかり忘れていたのですが前楽はハロウィーンで、プロローグの大階段で礼真琴さんが「Happy Halloween!」と叫ばれて、ひゃあぁぁぁぁ♡となってしまい、それからもうパレードまでそのままのテンションで見てしまった気がします。
さらに油断していたらハードボイルドのキメで超クールに「Trick or treat...!」とつぶやかれてえっ?!いまTrick or treatっておっしゃった??ひゃぁぁぁぁ♡となってしまいました。

それを反芻する暇もなく次々と繰り広げられるクオリティの高いショーを楽しんでいたら、テンプテーションの場面で礼さんが「お菓子くれなきゃ」、愛ちゃん(愛月ひかるさん)が「いたずらしちゃうぞ」と。
このときもまったく予想していなかった私は不意打ちを喰らってしまって、こんなことがあっていいの???と現実を受け入れるのに時間を要しました。そ、そんなかっこよく言われましても・・と頭はパニック。だって「ダンディズム」ですよ?! クールでエレガントにそんな可愛らしいことを?? ちょっと素敵すぎて酸欠状態になりました。

学習能力を置き忘れてしまっていた私は、「ラ・パッション」の銀橋渡りで瀬央ゆりあさんが曲中で「パン・・」「パン・・」とおっしゃっているのに「えっパン???」と頭をハテナ?でいっぱいにしてよくわからないままノリノリで手拍子をしていたところ、「パンプキン大好き」と情熱的にキザっておっしゃったのでずずずーっと座席から滑り落ちそうになりました。
ここまで来たら少しは察しろって話ですが、本当にそんなふうに考えを巡らす暇もないくらい勢いのあるショーだったのです。
それに、礼さんたちがここぞという一瞬にバチッとアドリブをキメられるのに対して、瀬央さんはけっこう強引といいますか独特のテンポ感で発せられ、まさかという思いもありました。(独特のテンポ感といえば真風さんにも通ずるものがあるかもしれません。これもひとつのスター性なのかも??)

そんな感じで前楽はすこしも湿っぽくならずに高揚感のまま観劇を終えることができました。

「ダンディズム!」といえば「キャリオカ」の場面が大好きなのですが、今回の「モア―・ダンディズム」にもその場面があって本当に見ていると気持ちが高揚しました。
男役の端正な美しさ、娘役のしなやかな華やかさが舞台いっぱいに広がってこれぞ宝塚で見たかったもの♡と思いますし、構成の緩急も絶妙で天才~~~と思います。
強弱の「強」のところをどれだけ強く打ち出せるかが勝負なところでもあるので、いまの星組にこそピッタリな場面だなと思います。それだけいまの星組には男役にも娘役にも光る人が多いのだと実感しました。

「ダンディズム!」といえば“その2”、の「ハード・ボイルド」は、昭和から平成に年号が変わる直前に公開された昭和のやくざ者をオマージュした映画の主題歌(PARADISO)に乗せて男役たちがストライプスーツとカラーシャツといういかにもな出で立ちで歌い踊る場面。
歌詞はハードボイルドというより感傷的で自己陶酔的で聴いていてこそばゆくもあり。反社をこんなふうに解釈したかった時代だったかもと思います。
そして初演の頃ってちょうど濵マイクシリーズが流行っていた頃でもあったなぁと。映画に夢が詰まっていた過ぎ去った時代に憧れてオマージュしたくなっていた時代だなぁ。
憧れをそのままストレートに表現するのは気恥ずかしい時代だったのだけど、宝塚はあっけらかんと真っ直ぐに具現化しちゃってたんだなぁ。なんてことを思うのです。それができるのが宝塚で、作り手の夢を詰め込める世界でもあったのだなぁと(それはいまもかな)。
そして2021年のいま、それをどうだカッコイイだろうってやっちゃえるのが宝塚。それを成立させているのがいまの星組の力なんだなぁと思いました。
こそばゆさもあるけれどカッコイイからいっかって思います。つくづく宝塚歌劇って類まれな世界だなぁ。
オマージュのオマージュのさらにオマージュを成立させてしまう世界。

「おもいでは薄紫のとばりの向こう」「ゴールデン・デイズ」そして「アシナヨ」は、もう大劇場でこうして愛ちゃんを見ることはないのだなぁと思うと、千秋楽は言葉にならない気持ちが押し寄せてきました。
白や薄紫の浮世離れしたファンタジーの王侯貴族みたいなコスチュームがここまで似合う人は宝塚でも稀有だと思います。
ドラゴンだってやっつけてお姫様を救出できそう。流浪したってこの高貴さは失われることはなさそう。
この個性が宝塚にとってどれだけ価値があるか。
こんなに宝塚らしいタカラジェンヌが去って行ってしまうんだなぁ。
もって生まれたものも大きいと思いますが、それだけじゃない。長い年月をかけて自分のなかに蓄え、輝ける日々のすべてを賭して学び努力して、ここにこうして表現されているものなのだなぁと思うと、その指先、髪艶、肩幅、表情、etc.すべてが愛おしく胸に詰まりました。

「アシナヨ」で、礼さんに肩に手を添えられる場面は、愛ちゃんの表情がまるで娘役さんみたいだなと思っていましたが、千秋楽は男役も娘役も超越した「慈しみ」が光となって発せられているようでした。「愛」と「死」が融和すると「慈しみ」になるのかな。
そして愛ちゃんをそんな存在にしている礼さんに心からありがとうと思いました。
こんなに愛に包まれて卒業していく愛ちゃんを見ることができるなんて。

もうじき愛ちゃんにとってさいごの東京公演が初日を迎えますが、星組の皆さんとファンの皆さんの愛に包まれて幸せな公演期間を過ごせされることを心から願っています。
そして星組生として大劇場よりもさらにクオリティの高い舞台をめざし、さらに男役を極めてほしいなと願っています。

(サヨナラショーについて書きだすとまた長くなりそうなので、ひとまずこれで)

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2021/11/08

どれもみんな愛しい。

10月31日と11月1日の宝塚大劇場星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の前楽と千秋楽を見てきました。

「柳生忍法帖」は前回見た時に、ゆら(舞空瞳さん)の恋心が唐突に感じられたので、今回は十兵衛(礼真琴さん)が鶴ヶ城の門前に登場してからずっと彼女の様子が気になって見ていたのですが、彼女は沢庵和尚に反論する十兵衛の口上を真剣な顔で聞いていました。
まるで憎しみの表情にも似た恐いほど真剣な面持ちが、私にはなんだかせつなく愛おしく感じられました。

芦名一族の再興という目的のためには自己を犠牲にして当然という中で生きてきたゆらにとって、
十兵衛の言葉はあまりに衝撃的で容易には受け入れられなかったんじゃないかと思います。
堀一族の女たちの命を差し出して徳川を守らなくてはという局面に、彼女たちを見殺しにしてなんのための武士道かと言い放つ十兵衛から視線を逸らすことができなくなってしまったように見えました。なんとか平静を保とうとはしている様子だけれど。
彼女のこれまでの人生を全否定するような言葉を放った十兵衛に耐えられぬほどの苦しみを与え、その言葉は間違いだったと思い知らせることで自我を守ろうとしたのだと思うけれども、どんな苦しみの中でも揺るがぬ十兵衛の優しさを目の当たりにしてしまい、彼女はわかってしまったんだなと思いました。
自分が本当に望んでいたことを。十兵衛に揺さぶられ惹かれていたことを。芦名再興という名目のために自分が犯してきた罪も。
そんなゆらの最期がかなしくて愛おしくてたまりませんでした。
(あの場面を思い出すと頭の中に「アシナヨ」が流れてきて涙腺が・・彼だけが弔ってやれる人・・涙・・)

堀一族の女たちの運命は過酷すぎるものですが十兵衛みたいな信頼できる師を持てたことは羨ましくもありました。
武家の娘や妻として生きていて、女ゆえの代償(性的なことに限らず)
を一切求められない絆で結ばれた関係を持てるなんて、彼女たちにとってはなかったことではないかなと思います。家族思いの堀主水だって殿様が改心したら娘を差し出しても良いって言っている時代ですから。
安心して自分のままで向き合っていられる“先生”。生きる上でそんな尊敬できる人を持てることは本当に幸せなことだなと思います。
「先生、先生」と童心に返ったみたいに自分を見てほしいというように十兵衛にまとわりつく彼女たちを見ていると、やっぱり泣きたいような愛おしいような気持ちになりました。
そんな彼女たちとの触れ合いから十兵衛の中にも彼女たちがそんなふうにしていられるこの時を守りたいと思う気持ちが芽生えているのではないかなと
思いました。見返りなどいらない彼女たちが幸せでいてくれればよいという思いが。

見返りは求めず注がれる愛情、十兵衛のこともそんなふうに育て見守る人がいることも見ていて嬉しくなりました。
沢庵和尚(天寿光希さん)、千姫様(白妙なつさん)、そして宗矩様(朝水りょうさん)♡ 好きだなぁと思いました。

愛ちゃんこと愛月ひかるさん演じる芦名銅伯のラスボス感は凄かったです。あまり表情を変えないのにその身の内には沸々と湧きあがる情念のようなものや、なにかとてつもないものが冷えて凝ってあるような。
まだ黒髪の麗しい頃には、ともに戦い散っていった芦名の者たちの辛苦や無念を思って感情を昂らせ泣きもしていたのに。齢100歳を超えたいまでは妄執だけで存在しているように見えました。

打って変わって双子のあの方は、同じお顏でありながら毒気のない苦し気な慈しみのまなざしで千姫を見つめ、堀一族の千絵(小桜ほのかさん)を見つめておられました。
法衣の頭巾がまるで狂言の美男鬘のようにも見えてそのアセクシャルな魅力に私は心奪われました。
かつての彼も泰平の世を築くためには1人の女の絶望は仕方がないことと口を塞ぎ黙らせた側の人。しかしこたびは、天下泰平のためになにがなんでも成し遂げようとしてきた天台相承を己の執着と見極めたなのだなぁと。こんなに偉大な大僧正であっても齢百歳を超えても、人との出会いによって悟ることがあるのだなぁと思いました。

仏法も武士道も同じところに行きつき、こうであってほしいという理想が描かれていることになんともいえない悦びがありました。心のうちにすこしずつ澱のようにたまっていたかなしみが癒されるような感覚を得ました。
こういう瞬間のために私はフィクションを求めているのかもと思います。

ラストの十兵衛が歌う歌には、彼という人が如実に表されているなぁと思います。なにかを探し求めて彷徨うことができる根底には、人を人として信じ慈しむことができる優しさがあるからだなぁと思いました。
その十兵衛と礼さんが重なって礼さんの優しさを感じた気がしました。そして礼さんや出演されていた皆さんのこの先の幸せを願いたい気持ちになりました。



「モア―・ダンディズム」そして愛月ひかるサヨナラショーについても書きたいことがあったので、記事タイトルを「アシナヨ」の歌詞からつけたにもかかわらず、「柳生忍法帖」の感想が長くなってしまってたどり着けませんでした・・。
10月からずっと観劇とプライベートで目まぐるしくてなかなかPCに向かうことができません。
星組のショーのことはもちろん、月組博多座公演千秋楽についてや花組「バロックロック」そして宙組「プロミセス・プロミセス」に全国ツアーとこれから観劇する舞台についても感想を書き残しておこうと思うのですが、記憶が朧になるまえに。
(続きは後日にきっと書くつもりです・・)

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2021/10/21

俺は人でいい。

10月16日に宝塚大劇場にて星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」を見てきました。

「柳生忍法帖」はとってもエンタメでした。
原作を読んだことがないので、どんどん展開するストーリーにどうなるのかな??と思いながら見ていました。

主人公は言わずと知れた剣の天才柳生十兵衛(礼真琴さん)。
非道な藩主に弄ばれ、そのために肉親を失い居場所をなくした女たちの無念を晴らすため、指南役を引き受ける。

ヒーロー(十兵衛)が弱きをたすけるストーリーではあるんですけど、可哀想な人をただ守るんじゃなくて、無力な彼女たちが力をつけ強く生きられるように鍛え、学びを与えるという視点が素敵だなと思いました。あくまでも主体は彼女たちという体で。
女たちを叱咤激励しながらそっけなくも温かいまなざしを向ける十兵衛がいいなぁ。きっと十兵衛のことをそんなふうに育てた人がいるのだろうなぁと思いました。
おそらく生まれて初めてひとりの人間として扱われ、学びの場を与えられて生き生きとしている女たちの姿もいいなぁと思いました。

女性にとって地獄の世の中は、男性にとっても地獄だなと思いました。
力のある親の子どもに生まれなければ惨めに虐げられて生きるしかない地獄。
力を誇示する者に逆らえば、人間らしく生きることもできず、死ぬことでさえ人としての尊厳を貶められる地獄。

芦名一族も、過去の恨みを晴らして自分たちが復活するためにどんな非道なことでもする時点で、自分たちを滅ぼした者たちと同じなんだよなぁと思いました。
彼らの目指す先には救いがないなぁと。

そんな中で人々と触れ合いながら十兵衛が到達する境地がうれしかったです。
けっきょくのところお坊ちゃまなのだけど、それでも、たとえ現実は簡単にその希いどおりにはいかないものだとしても、ONE FOR ALLではなくALL FOR ONEを標榜して行動するヒーローを見たかったのだなぁ私は。
大野先生の書く本は、途中はまぁいろいろあれでもラストは(この世の中は、人間は)棄てたものじゃないなと思えるところが好きです。

礼真琴さん演じる十兵衛は、独りで求道しながら生きている人なんだけど、彼にはちゃんとその成長を見守りつづけている人がいるんですよね。
それが礼さん自身の立場とも重なって好きでした。
恋愛心理はおそらくどうでもよくて、特上の異性から好きと言われたらそれで一つの達成(上がり)なのが、大野先生の前作「エル・ハポン」でも感じたけれど少年漫画的だなと思いました。
「双六」なんですよね。それはそれでいっかと思えるエンタメ作品に仕上がっている感でした。

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2021/08/07

いちばん大切なものを手に入れた。

愛ちゃんこと愛月ひかるさんが「柳生忍法帖」「モア―・ダンディズム!」の千秋楽(2021年12月26日)で退団することが発表されました。
予感はありつつ外れてほしいと祈っていたのですが、現実になってしまいました。
ようやく世界が愛ちゃんに追いついたところだったのに。

人にも物事にも正直に本音で向き合う愛ちゃん。
甘くコーティングされた関係性を見ているのが好きな人には敬遠されてしまうのかなと悲しく思った頃もあるのですが、いま彼女を認めてくれる人がこんなにいることが素直にうれしいです。

先月バウホールで見た愛ちゃん主演の「マノン」は、学年の若い役者同士ならなんとなくほわほわと埋まって夢のような物語で終わっただろうところを、相手役の有沙瞳ちゃんともども
実直に緻密に演じて、エゴとエゴが絡んで導きあった因果が見える作品になっていました。
これまで愛ちゃんが演じてきた役やその役づくりを思い返すと単純な人物造形にはとてもならなかったのだろうなぁと思います。なにも考えていないなにも思っていない無心の役がいちばん演じにくいだろうなぁと。
ただ存在し動き見つめるだけで見る側の想像を掻き立て成立させてしまう圧倒的
真ん中タイプの役者さんもいますが、愛ちゃんも有沙瞳ちゃんもキャラクターを演じることに長けた役者さんで、これまでの来し方を経ていまがあるのだなぁとしみじみ思いました。

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2021/07/19

未来なんか君にやる今を僕にくれ。

7月5日と6日に宝塚バウホールにて星組公演「マノン」を見てきました。

愛ちゃん(愛月ひかるさん)の主演舞台を見るのは2018年の「不滅の棘」以来。星組での主演は初です。

1回目の観劇後に思ったのは、「なにゆえこのペアでマノンなんだろう?」でした。研15の愛ちゃんと研10の有沙瞳ちゃんで。
この2人の主演なら大人な恋愛を描いたものが見たかったなぁと。

愛ちゃん演じるロドリゴは貴族の若様。次男坊なので領地は継げないから将来は聖職者になるか軍人になるかかな。品行方正で将来を嘱望されている10代の学生。故郷に帰る途中で友人を待っている間に追われている少女を匿う。
少女の名はマノン(有沙瞳ちゃん)、自分を修道院に入れるという親の元から逃げ出し近衛兵の兄を頼ってマドリードに行くのだと言う。
出逢ったばかりのロドリゴに一緒にマドリードで暮らそうと誘ってしまう娘です。そりゃあ親は彼女を修道院へ入れようと考えるよねと思いました。

そんなことも思い至らないロドリゴ、純粋培養で育ったのか。出逢ったばかりの自分に躊躇もなく体を寄せてくる彼女にすっかりその気にさせられてしまって。
一目惚れなのはわかるけど、自分にかんたんに許すことをほかの男にだって許すだろうとは考えないのかな。
自分の気持ちを愛だと思っているけれど、支配欲と独占欲を勘違いしているだけじゃないのかな。
裏切り者のマノン!と罵るけれど支配させてくれないマノンに逆上しているだけじゃないのかな。
順風満帆な未来も自分を信じてくれる友人も家族もなにもかもすべて棄てて彼女のもとに奔る理由はなんなのかな。
すべては人としての未熟さゆえなんだろうか。

マノンはヒロインとしては面白味がないなぁと思いました。
カルメンのように強烈な自分を主張するわけでもない。貞操観念が希薄で享楽的で抑制がきかずに流されやすいだけ。魅力的とは思えないなぁ。男性には魅力的なんだろうか。都合がよいから?
その場面その場面でいちばん自分の欲望を叶えてくれる男性を見極める本能に長けていて、関心を引くのが巧い娘。
出逢ったあのとき、彼女の本能が選んだのがロドリゴ。若くてハンサムで見るからに裕福な名家の子息。
でもずっと彼女を満たし、いちばんであり続けるには彼はリソース不足だったから、その不足している部分を自分の働きで補おうとしたということだよね。ロドリゴと楽しく戯れて暮らせるならお金持ちの男の相手をしてもかまわなかった。
それをロドリゴが受け容れられれば彼女的には問題はなかった。彼がプライドと独占欲で計画をめちゃくちゃにさえしなければ。
今際の際でロドリゴに殊勝な口調で愛を告げるのは、自分のためにここまで来てくれた男性は彼しかいないからだよねと思います。

主演の2人が芝居ができるだけに綺麗事で誤魔化せないものが見えた気がします。
けっして純愛カップルではない、それぞれのエゴとエゴが招いた破滅が。
カタルシスはどこにもない作品だなぁ。
なにを描きたい作品だったのか。主演の2人は何を表現したかったのか。
見ればわかるという作品ではなく、見る人の心に問いを残す作品なのかなと思いました。

綺城ひか理さんが演じたロドリゴの友人ミゲル。
ロドリゴのために手を尽くす良き友なのに裏切られてしまう人。あのとき自分が遅れて来なければと責任を感じてしまっているのでしょうか。
彼が真摯であるほどロドリゴの不道徳さと後戻りが出来ないところまで来てしまった立ち位置が際立ちます。
綺城さんは前作のロミオ(礼真琴さん)に続いて今作ではロドリゴ(愛月ひかるさん)に裏切られてしまう親友の役なんだなぁ。
フィナーレ冒頭の歌とダンスがとてもカッコよかったです。

マノンの兄レスコー役の天飛華音さん、「エル・アルコン」のキャプテン・ブラックの人ですよね。今回も舞台センスの良い人だなぁと思いました。
それにしてもマノンといい、兄のレスコーといい、どうしたことでしょうこの兄妹は。レスコーは近衛士官だというしマノンの身なりにしても使用人たちがいることにしても、貴族ではないとしてもそれなりに良家の子女でしょうに。享楽的な性格ゆえに身を亡ぼして親はたまらないだろうなぁ。
でもロドリゴへの献身的ともいえる協力やマノンとの兄妹仲の良さを見ると、裕福でも家庭は複雑で頼りにくかったり露悪的にふるまってしまう訳があったりしたのかなぁと考えてしまいます。
本当に悪いやつならお金を仲間に渡さず着服してロドリゴを見捨てて遁走したでしょうに。命など懸けずに。

ロドリゴとマノンの隣人でマノンの援助者フェルナンド役の輝咲玲央さん、レスコーがマノンのパトロンにとみつけてきたアルフォンゾ公爵役の朝水りょうさん。ともに色気のあるおじ様役が素敵でした。
フェルナンドはマノンにつれなくされても嬉しそうなちょっと卑屈で歪んだ感じのあるお金持ち。アルフォンゾ公爵は高慢で男の沽券を傷つけられたら執念深く相手を追い詰める自己愛の強いヤバイ人。とそれぞれいわくのありそうな人物造形が面白かったです。英真なおきさんのDNAを継いでいそうなデフォルメの効いた悪役っぷりが星組らしいなと思いました。

レスコーの恋人エレーナ役の水乃ゆりさんはどこにいても目に付く華のある娘役さんでした。
エレーナは享楽的で教養のない街の女という雰囲気ですが、きっと感性や性格は悪くない娘なのだなぁと思いました。レスコーに、お金のために自分がお金持ちの相手をしても平気かどうかと訊いて膨れる場面はとても好印象で、そのときのレスコー役の天飛さんのつれないけれど彼女を思っているのがわかるリアクションも良くて、ここからレスコーへの見方が変わった気がします。
主演の2人とは対照的ともいえるカップルで微笑ましく、このあとのエレーナを思うと胸が痛みました。

ロドリゴが誤って撃ち殺したロペス(彩葉玲央さん)をはじめ彼が愛と呼ぶエゴを貫こうとしたために何人もの人が不幸になっているのだなぁ。
マノンの心を手に入れたと満足したあの一瞬(それすら私には思い違いに思えるけれど)の代償として。

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