いまのおぬしとたたかうために。
3月18日に博多座にて「巌流島」を見てきました。
理屈っぽいチャンバラという印象でした。
武蔵と小次郎を戦わせるために設定を考え理屈を考えましたというかんじ。
最初から最後までボーイズクラブの理屈だなと。
社会性がなくこだわりの強い人物が主人公という昭和の任侠もののようなテイストで。
親も子も妻も存在せず自分の好きなことだけに打ち込むことができる世界。ある種の理想なのかな。
友か敵かの関係性。ホモソーシャル全開。男の絆バンザイの世界観。
ナルシシズムと自己満足。
そういったものが描かれていると思いました。
キャストのなかで唯一女性の凰稀かなめさんが2役で女性の役を演じていましたが、男たちの思想を肯定するために存在する役でがっかりしました。
セリフと殺陣で劇場空間を支配する横浜流星さんをはじめとする役者さんたちの能力は凄まじいなと思いましたが、それから舞台セットの代わりの映像も面白く全国のいろんなホールを回るのにこれはいいなぁと思いましたが、脚本的にはあまり語りたい舞台ではありませんでした。
<CAST> (2023/03/20更新)
横浜流星(宮本武蔵) 侍らわぬ者。自己問答に周囲を巻き込む華が見事。リアル武芸者でした。
中村隼人(佐々木小次郎)侍らう者になろうとしてならない道を選んだ人。口跡とイントネーションが歌舞伎の人だなと思いました。スローモーションの殺陣が美しかったです。
猪野広樹(辰蔵) 自らの主を自らで選ぶ人。
荒井敦史(甲子松) どこにいても己が生きるべきスキマをみつける目敏さのある人。
田村心(伊都也) 己の良心に従う人。愛されて育った人なんだろうと思いました。
岐洲匠(英卯之助) 最終的に侍らうことに己の生き方を定めた人。つねに自分の美学を探している人のようでした。
押田岳(捨吉) 愛すべき可愛い人でした。ヒロイン的存在。
宇野結也(水澤伊兵衛) 静かな人かと思ったら実は怖い人でした。
俊藤光利(秋山玄斎/和尚) 俗で荒々しい野武士と仏に仕える和尚の物腰、同じ人とは気づきませんでした。
横山一敏(弥太右衛門/柳生宗矩) 宗矩の言葉に肯けました。
山口馬木也(藤井監物) 大変な食わせ者でした。
凰稀かなめ(おちさ/おくに) 人としての描かれ方がなおざりな気がしました。もっと葛藤を見たかったです。
才川コージ(望月甚太夫/大瀬戸隼人) 凄い跳躍を見た気がします。
武本悠佑(辻風一之進/細川忠利) きれいなお顔に思わず二度見してしまいました。
上川隆也 語り