カテゴリー「♖ コンサート」の7件の記事

2025/02/05

This is me(唯一無二)/礼真琴 日本武道館コンサート

1月19日に日本武道館にて礼真琴コンサート「ANTHEM-アンセム-」を見てきました。

歌もダンスも破格の比類のなきタカラジェンヌ礼真琴さん、そのコンサートならばきっと凄い体験ができるだろうなと、これはぜひ行ってみたいと思うものの、日本武道館ってどうやって行けばいいの?会場はどんな感じ?といつも通う劇場とはちがうアウェイ感がハードルでした。

行きたい気持ちと不安で葛藤していたところ、かつて同じジェンヌさんを応援していた都内在住の知人がつい先ごろ礼真琴さんに激落ちしたと聞いて、とんとん拍子に一緒に行くことになり憂いなく武道館までたどり着けました。(知人は18日の初日も見ていたので中の雰囲気や内部の気温のことなども細かに教えてもらえてほんとうに助かりました! ちなみに彼女は全通でした)

コンサートは想像以上に素晴らしかったです。
不安の1つには、私は礼さんのCDも聞いていないし近年の流行りの歌などまったく知らないのだけど、その状態で楽しめるのかな?というのもあったのですが、まったくの杞憂に終わりました。じっさいコンサート前半で使用された宝塚以外の楽曲は知らない曲ばかりでしたが、礼さんと星組メンバーのグルーヴィーなパフォーマンスですべての楽曲を愉しんでいました。

とりわけ印象に残っているのは、副組長さん(白妙なつさん)の可愛さ。小桜ほのかさんのいつもとはちがうアイドルのような歌唱。ほんとうにタカラジェンヌってなんにだってなれちゃうんだなぁと思いながら。
礼さんと暁千星さんが向かい合い手を握り合って「ぼくたちは同じ星座だと信じてるから」と歌うナンバーはとてもエモーショナルで幸せな気持ちになりました。
トロッコにのってサインボールを投げまくりながら愉しそうに歌う礼さんも印象的でした。力いっぱい投げてもまったく声がブレないのは凄いなぁと思ったり。

日替わりのトークコーナーでは、その日選ばれしメンバー4人が「ANTHEM(応援歌)」に因んで、礼さんに背中を押されたエピソードを礼さんを前に礼さんのものまねをしながら披露するというもので、エピソードを披露するメンバーが礼さん役で、礼さんがそのエピソードを語る本人役になってて、そのやりとりも含めてとても面白かったです。(小桜ほのかさんだけは礼さんのものまねはされなかったのですが、それもまた小桜さんらしくて笑)
エピソード自体はとても真面目で「いい話」な内容なんですが、皆さんエンターテイナーだなぁと笑。
皆さんそれぞれにとても礼さんリスペクトなのがよくわかりましたが、とりわけ鳳真斗愛さんが熱狂的に礼さんフリークなのがじゅうぶんすぎるほどつたわりました笑。

後半の宝塚ナンバーのターンのさいしょは、星組のメンバーたちが1人ひとり、礼さんがかつて演じた役の扮装でその役のナンバーを歌いだし途中から礼さんと向かい合いみつめあってともに歌い、そして礼さんがひとりで歌い聴かせるという構成でとても胸が熱くなりました。下級生1人ひとりの礼さんへのリスペクトをひしひしと感じとれました。これは宝物になる経験だなぁと。
初々しい人もいれば、柳生十兵衛に扮した天飛華音さんなどは思わず「巧っ」と思うのですが、礼さんが歌いだすとやっぱり圧巻レベルで、しみじみと礼さんの凄さを感じる場面でもありました。

10数名の礼さんがかつて演じた役と絡んだ最後には皆で「BIG FISH」のナンバーを歌い上げて、そこからがらりと舞台が暗転。
礼さんが1人で「VIOLETOPIA」の孤独を歌い踊る場面は圧巻でした。暗転からライトが当たってそこには2階建てのセットに礼さんの演じた役に扮した星組メンバーたち。
さいごにすべてが愛おしいと歌う礼さん。
「VIOLETOPIA」という劇場の光と影を幻想的に描いたショーの終盤のソロダンスで使用されたナンバーゆえに、礼さんが演じた役の扮装をした星組メンバーを背景にして礼さんがその歌詞を歌う光景に鳥肌がたちました。
役たちと星組生たちと宝塚への礼さんの思いが重なって見えて・・。

つづく「ヴィランズ・メドレー」ともいえる場面も礼さんの悪い魅力炸裂で見ている私は魂がどこかに抜けて出でてました。
2~3曲で終わるのではなくて、「BIG FISH」の魔女の歌(都 優奈さん)や「ディミトリ」で礼さんと敵対したアヴァク(暁千星さん)のソロも含めて6曲ほどをとことん歌舞と舞台美術を駆使して見せる演出が素晴らしかったです。
はじまりの「バラ色の人生」(オーム・シャンティ・オーム)は咥え煙草で斜に構え酷薄な流し目の礼さんが最高にクールでした。
そして暁さんのレッドにティリアンとして対峙する「宿命」(エル・アルコン-鷹-)ではレッドを気魄で凌駕していくさまが圧巻でした。
「私から憎しいを奪うな」(モンテ・クリスト伯)はもう、うひょう~で。闇落ちした礼さんと礼さんをとりまく邪悪な雰囲気の星組メンバーズ。とりわけ礼さんにすがりつく天飛華音さんはいったい・・?! ほんとうにもうタカラジェンヌって何にでもなれちゃうんだなぁと思いました。
ここまで悪の華を見せながらも嫌悪感を抱かせないのも大優勝だなぁと思いました。
「マダム・ギロチン」(THE SCARLET PIMPERNEL)の振り付けはゾクゾク。とてもショーらしい振り付けで、コンサートならではの場面だなぁと思いました。

そしてそして礼真琴さんのトート。こんな「最後のダンス」を聴ける日がこようとは・・滂沱。
個人的に歌いあげ系のミュージカルナンバーが苦手なもので、こういう抜け感のある「最後のダンス」は大好物でした。
この体験から「死ぬまでに礼さんの『エリザベート』ガラ・コンサートを見たい(聴きたい)!」という夢ができました。(どうかどうかよろしくお願いします!)

つづく「栄光の日々」(THE SCARLET PIMPERNEL)のあとはまた宝塚以外のナンバーでしたが、とても元気をもらえる曲ばかりでした。
その中で「soul」という曲が礼さんが作詞したものだそう。

アンコールの1曲目は「星を継ぐ者」(龍星)。礼さんにとってとてもとても大切な曲を満を持して歌ってくれました。この曲を歌える喜びのような、いまだからこその礼さんの言葉にできない感情をかんじることができた気が勝手にしました。
そして「グレイテスト・ショーマン」の「This Is Me」。ラストにこの曲なのがまたなんとも言えない気持ちで聴きました。(これを礼さんが歌っているんだ・・いろんなことが思われて・・ことにこの数年の・・これは泣く・・)

こんな体験をこれから何回できるだろうと思うくらいの素晴らしい演出や振付や構成。そしてそれにじゅうぶんに応えた礼さんと星組生に心からの拍手を贈って高揚感に酔いながら武道館を後にしました。
さいしょはどうなるかと思った日帰り遠征でしたが、本当に実行してよかったと心から思いました。

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2024/04/04

生きている。

3月30日、キャナルシティ劇場に望海風斗ドラマティックコンサート『Hello,』に行きました。
幸せな気持ちと元気を持ち帰った気がします。

オープニングから、「POP STAR」「真夏の世の夢」「あゝ無情」とアップテンポの懐かしのヒットソングを伸びやかにノリノリに歌って客席の心を鷲掴みに。
これは楽しいコンサートになると客席全員が確信したところで・・まさかの「お祭りマンボ」笑。この歌ってこんなにグルーヴィーだった??こんなにドラマティックだったっけ???となんだか訳がわからないままに巻き込まれていて面白かったです。
博多では「わっしょい」ではなくて「おっしょい」らしいと小耳に挟んでこられたようで、謎の「おっしょーい!」「おっしょーい!!!」のコール&レスポンスにも笑いました。このコール&レスポンスはエンディングまで都度都度リプライズされて盛り上がりました。
(※じつは博多祇園山笠はタイムレースなので、「おっしょい」は最初だけで実際には短縮形の「オイサ!オイサ!」の連続なのですが笑)

観客の心をがっつり掴んだところで、なんとこんどはソフト帽をかぶりジャケットを羽織って「勝手にしやがれ」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より「愛は枯れない」の男役メドレー。
望海さん曰く、雪組プレ100周年「Greatest Dream」に出演されて以来『男役スイッチを手に入れた』そうです笑。
斜に構えたら瞬時に切り替わるスイッチ、いいですねー笑。
こうして聴いてみると、男役の歌声といつもの歌声ってこんなにも違うんだと驚きました。(声帯の使っている場所がちがう?🤔)

つづく洋楽メドレーは、カーペンターズにABBAにスティーヴィー・ワンダーにプレスリー。
なんでも歌えて凄いし、リズム感も最高に良くて楽しかったです。ミクロの単位、刹那の単位までピタッときて(主観)もう気持ち良いったらなかったです。
とくに「ハウンドドッグ」はいままで生で聞いた中でいちばん好きかも! もう何を聴いても最高でたまりませんでした。

さらに好きだったのがこれに続く「摩天楼のジャングル」(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ)のクールなダンス。
からの「Love Can't Happen」(グランドホテル)は男爵の心情や舞台の情景が思い浮かんで涙が出そう。
そして「アマポーラ」。望海さんの繊細で豊かな声にうるうると感じ入っていたら・・あれ? もしかして望海さんの喉にエヘン虫?
困り顔になりながらも音は外さず、でも本当にヤバいみたいで、どうするのかなと思っていたら曲を止めることもなくメロディにのせて「♪(アマポーラ―)〽お水を飲ませて~」とセットの陰にお水を取りに行き歌の合間に数回給水。それでエヘン虫はいなくなったようですが戻しに行くタイミングがなかなかないみたいでペットボトルを手にしばし困惑顔・・そのうち諦めて小道具のようにスタイリッシュに持ってらっしゃいました(さすが)。
望海さんの様子がおかしいことに気づいたバンドマスターのキーボートの方も、望海さんの動きに合わせて演奏を止めずに繋いでいたのもさすがだなぁと。まさにライブだなぁと思いました。

次のナンバーは望海さんの持ち歌「Look at Me」でキャスト全員でにぎやかに盛り上がる場面でしたが、皆さん手に手に自分のペットボトルを持っていて、それに気づいた望海さんが「やさし~みんなやさし~」と感激されていたのが印象的でした。(本当に思わぬハプニングにドキドキされていたのでしょうね)

続いてのミュージカルナンバーのコーナーはアップスタイルにロングドレスのいでたちで、まずは「ジーザス・クライスト・スーパースター」のマグダラのマリアのナンバーから。
ミュージカルナンバーを歌う望海さんは、ポップスを歌う時とはまた違った迫力があり素晴らしかったです。
「ディア・エヴァン・ハンセン」から「Waving Through a Window」。この作品は知らなかったのですが、どこか心にひっかかるものがあったので見てみたいと思いました。
その次が今年主演されたオリジナルミュージカル作品「イザボー」から「Queen of the Beasts」、見ていない作品なのでどんな心情を歌っているんだろうなぁと思いながら聴きました。(今月早くもWOWOWで放送されるとか?)
そして「ドリームガールズ」の曲で「Listen」。じつはさらっと聴いてしまったのですが、舞台では歌われていなかった曲だとか??(わかってなかった・・汗)

アンコールはガラッと雰囲気が変わってTシャツにデニム姿で登場。
アンジェラ・アキさんから提供された楽曲「Breath」は、昨年宝塚で悲しい出来事があって以来抱え込んだ思いを書き付けてアンジェラさんにお渡しして、そこから書いていただいたものそうです。
明けない夜を過ごしている人への思いが込められているように私には感じられました。
そしてエルトン・ジョンの「Your Song」、あまりにも有名な。
『How wonderful life is while you're in the world』と歌う望海さんの歌声が心に深く沁みました。

さて、福岡公演にはスペシャルアンコールがありまして、歌う楽曲は「〇〇マン」か「〇〇アン」のどちらか、どいうことだったようですが、この回は「ドン・ジュアン」より「俺の名は」でした。
自分が演じた作品が再演されるのが夢だったそうで、今年この「ドン・ジュアン」と「Gato Bonito!!」が再演されるのが決まったことが嬉しいと語ってらっしゃいました。

望海さんの誠実さと温かさを感じて心の中をいっぱいにしてもらったおよそ100分のコンサートでした。

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2022/12/02

Just Look at Me!

11月23日にキャナルシティ劇場にて行われた「望海風斗20th Anniversary ドラマティックコンサート Look at Me」に行ってきました。

望海さんのコンサートは去年に引き続き2度目、そして今年望海さんの舞台を見るのは、博多座ガイズ&ドールズに続いて2回目です。
またまた福岡に来てくださって本当にありがとうございますと思います。
今回のコンサートも大満足でした。

今回の構成は、企画した音楽番組が打ち切りになってしまった演出家のヒカリさん(望海さん)が、本当にやりたかったショーをイメージしてみたという筋立てで趣向の異なるいろいろなナンバーを披露するというかんじ。どんなジャンルも歌える望海さんならではでした。

初っ端からブロードウェイミュージカルの名曲を歌いこなす望海さん凄かったです。
そのナンバーが使われたミュージカルそのものは、いまの時代に見るとついていけなかったりもするのだけど、やっぱり名曲は名曲。それを望海さんが歌って聴かせてくれることが至福でした。
私は望海さんの声も好きなんだけど、リズム感がすごく好きなんだなと思いました。
気持ちよく風を切り波に乗っているような全身で楽しめる音楽と歌声が最高。
「All That Jazz」「Luck Be A Lady」は痺れました。やっぱりカッコイイ望海さんが好き。

続いては懐かしい邦楽のナンバーをリディスカバリーするコーナー。
前回のコンサートでも思ったのですが、望海さんは歌で言葉を伝える力が素晴らしいなと。
聞き慣れたナンバーなのに、こんなことを歌っていたんだとしみじみ歌詞の世界観に浸りました。
「薔薇より美しい」ってこんな情景と心情を歌っていたんだ、「ビューティフルネーム」ってこんなにグルーヴな名曲だったんだと。
すでに東京公演をなんども見ていた望海さんファンのオトモダチが「アヤコが嫁に行ってしまう・・」と涙目でしょぼしょぼしていた理由がわかった「秋桜」。リアルな情景まで浮かんでしまって、ひととき沁みますね、これは。応援を続けてきた人にはたまらない、いろんな思い出がよみがえるのではないでしょうか。
と勝手に想像して私もしょぼしょぼしました。

それからこれまで望海さんが公演で歌ってきたナンバーのコーナー。
こんなロックな「最後のダンス」が聴きたかった!とあがりまくり。
コーナーの1曲だからドレスにフィンガーウェーブにシンプルなパールのヘアアクセサリーで男前に歌っていたのも印象的で、素敵イイイィ♡と心で悲鳴を上げていました。
今回はコーナーごとにヘアスタイルもコスチュームも印象がまったく違うのもいろんな魅力や夢を見ることができて素敵でした。
「最後のダンス」に感動して思わず夢見てしまったのですが、望海さんの歌唱で力強い「私だけに」を聴いてみたいなぁと。宝塚版とも東宝版ともちがう「私だけに」を。できればドイツ語で。
思いっきり「Nein!」と拒絶してほしいなぁ。

そしてそして、今回めちゃびっくりしたのが「パレードに雨を降らせないで」(Don't Rain On My Parade)。
まさか望海さんの歌声で聴けるとは。この曲とっても難しくないですか? 日本語で歌詞をつけられないタイプの曲だと思うし英語で歌うのも難しい曲だと思っていたので、こんなふうにコンサートで生で聴けるとは思ってもいなくてえっ?この曲?とびっくりして、でもさらに望海さんのヴォーカルもすごくドライブ感があってマグナムのシャンパンシャワーを浴びたような気分を味わいました。
望海さん最高です。祝20周年!
望海さんの歌も、バンドの演奏も、ダンスも。全てが上質でよき時間を過ごせたなぁと大満足です。
来年は「DREAM GIRLS」博多座公演もあるし、これからの望海さんのご活躍をさらに楽しみにしています。


四方山ですが、望海さんファンの方から「なんでもいいのでペンライトを持ってきてね」と言われていたのですが、家にあったのが唯一マカシャン(例のデリシューのマカロン型ペインライト)だったので、「なんでも?」と思いつつアンコールで皆さんがペンライトを振っている時に恐る恐る振っていたのがバレてしまったみたいで望海さんから軽く指摘が・・(ほかにもマカシャンの仲間がいらしたのかな)。緑系のライトが多い中でピンクがいかんかったかなぁ。。

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2021/09/23

この青い星の上で。

9月19日に北九州芸術劇場大ホールにて「REON JACK4」を見てきました。
4年前「REON JACK2」を福岡市民会館で見てちえちゃん(柚希礼音さん)のパフォーマンスに感動。機会があれば次も見たいと思っていました。
その翌年開催された「REON JACK3」は残念ながら福岡公演がなく観劇することはなかったのですが、数年ぶりに「REON JACK4」が上演されると知り開催地を確認すると北九州があるではないですか。
これは見に行かねば。

YOSHIEさん(ストリートダンス)、宮尾俊太郎さん(バレエ)、クリスティアン・ロペスさん(タンゴ)というジャンルの異なるダンスのトップパフォーマーと全力で競演するちえちゃん、そして佐藤隆紀さんと「マタ・ハリ」のラドゥとアルマンで熱唱するちえちゃん。凄すぎん? もしかして私が思う以上にグレートでアメージングな人だったのねと焦りました。

ちえちゃんが宝塚の下級生や共演者からリスペクトされていること。その理由。わかってはいたけどわかっていなかった。
先日たまたま東京宝塚劇場の宙組公演でちえちゃんと観劇が被ったのですが、舞台上の皆さんがほんとうに嬉しそうで。いつもよりたくさんターンしてるよね?って思うくらいに。自分が見て憧れていた人に見てもらえたらそりゃあねと思ったのですが、その凄さを私はまだまだ理解していませんでした。(いまもだぶん全容の半分も理解していないはず)
まさに超弩級。踊るスーパードレッドノート。(←言ってみたかった笑)

でもちえちゃんが尊敬されるのは、パフォーマンスが凄いからってだけじゃないってことも、そのパフォーマンスから感じました。
ものごとに取り組む姿勢そのもの。その清廉さ誠実さひたむきさゆえに尊敬され愛されているのだということが。
どの共演者もその道を究めた方でちえちゃんよりも技術面では上をいく人たち。そういう方たちとそのジャンルで真っ向から競演しようとすること自体なかなかできることではないなぁと思うし、取り組む上でつねに本気で逃げがないところ。踊ることに対する喜びや愛、そして舞台の上のこの時間をどんなに大切にしているかがストレートに感じ取れて、感動しました。

その凄い人がファンのことを真摯に考えて公演を構成してくれているんですよね。そのことにも感動しました。
このコロナ禍でいかにして舞台の上から無言でいなければいけない観客とコミュニケーションをとるかに心を砕いているのも見て取れました。それゆえの自分ツッコミとか笑。

佐藤隆紀さんとのトークで、2人からの質問に対して客席がペンライトの色でレスポンスするというコーナー(?)で、佐藤さんと共演するとしたら①カルメンとホセ ②スカーレット・ピンパーネル(ショーヴランまたはマルグリットとロベスピエール)のどちらが見たいかという質問をすることに決まったのですが、佐藤さんが①の人は青を、と言った瞬間にちえちゃんから速攻で異議が入りました。
ちえちゃん的には最初が赤、次が青、とテッパンで決まっているんだそうです笑。(たしかに宝塚的にも正解な気がします笑笑)
そうそう、ちえちゃんってそうだったかも笑。自分の中の決まり事には厳格だったかも・・となんだか可笑しくて。
舞台上で自然体で存在するというか自分を飾らずに正直に出してくるところ?笑、好きだなぁと思いました。舞台上でも変わらぬ関西ことばとかも。

ここまで自分がずっと「ちえちゃん」と書いていることにも不思議な気持ちです。
「柚希さん」と書いちゃうと雲の上の人っぽくなりすぎて私の中で畏怖の念が勝って何も書けなくなってしまうから「ちえちゃん」になっちゃうのかな・・と自己分析。
別に「ちえちゃん」でも「柚希さん」でも尊敬の気持ちに変わりはないのですけど。「ちえちゃん」と(心の中で)呼べるのも魅力なのかなぁ彼女の。
真摯な努力の成果としての素晴らしいパフォーマンスと懼れずに正直な自分を見せられるところ。それがちえちゃんの魅力だなぁと思います。

SHUN先生振付のダンスは大人でかっこいいなと思いました。
とくにこれほどの大人なパフォーマーが揃うと圧巻だなぁ。1人1人のパフォーマーが洗練されているからこそでもあるなと。
求められれば最高をめざして突き進むアーティストをどこで止めるか判断するのは起用する側の責任だと思いました。
見る側としては最高のものを見たい。それには総合的なコンセプトを外れないこともまた重要。
「REON JACK4」はちえちゃんを通していまを生きる肯定的なメッセージがつたわってきました。
それぞれの場面がどういうコンセプトでどんなストーリーであるかはとても大事だと思います。弱い立場にある人が尊厳を傷つけられていることを当たり前だと思ってしまうストーリーを見たくはないので。

アンコールのナンバーの最後に出演者全員で歌われた「青い星の上で」に涙が出そうになりました。
昨年コロナ禍で一切の舞台がストップした時期にちえちゃんの呼びかけで宝塚OGの皆さんがリモートで歌い継いだ曲です。
なんでもない頃は聞き流してしまっていた歌詞が心に響きました。
大きな愛にあらためて気づかせてくれて心からありがとうと思いました。
そして、ちえちゃんの今後のますますのご活躍を期待しています。

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2021/08/25

街の灯りちらちら。

8月21日に北九州ソレイユホールの望海風斗コンサート「SPERO」に行きました。

登場時のフィンガーウェーブの望海さん、とてもお似合いでときめきました。
えっもしや?と思っていたらやっぱり「シャレード」のイントロダクションだったときは何かの血が滾りました。
「Misty」のジャズヴォーカルの表現力も素晴らしくて聞き惚れました。どんなジャンルでも自在にヴォーカルをコントロールできる人なんだなぁ。
望海さんトップ時代に「ジャズマニア」が見たいと思っていましたが、いまからでも見たい!とあらためて思いました。

ミュージカルナンバーはどれも圧巻でしたが、なかでも「星から降る金」は涙が出そうなくらい歌詞が胸に沁みました。
J-popの場面ではなんだか懐かしいメロディが・・。これ堺正章さんだっけ? ああこんな歌詞だったんだ。この詞(フレーズ)の後にこうくるんだ・・と。よく耳にした曲だったけれど、言葉のひとつひとつをこんなに耳で聞きとって情感を味わったことってなかったです。(あとで確認したのですが作詞は阿久悠さんなんですね)

MCで望海さんもおっしゃっていましたが、雪組トップスターになられてから博多座公演も西回りの全国ツアーもなかったのが残念でした。あったら通ったのになぁ。
コロナ禍のため「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」も「fff-フォルティッシッシモ-」もチケットを持っていた日に休演もしくは観劇を断念せざるをえなくて、縁がなかったのも本ッ当――に残念でした。
(退団直後にルキーニを演じられたエリザベート・ガラコンサートは幸運にも観劇できたのですけど、それだけに本当にあの現役時代の縁のなさはなんなのだろうと・・涙)

トップスター時代はご縁が薄かったのですが、これからさらに活躍されると思いますので、未来のご縁に期待します。
SPERO DUM SPIRO!
そして福岡でまたコンサートを! ぜひまたJAZZを歌ってください!

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2021/04/27

長い旅路の果てに掴んだ お前の愛。

4月22日に東急シアターオーブにて、「エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート」を見てきました。

花乃まりあさんがシシィを演じると知って、どうにかして見たいという思いと時節柄を慮る気持ちに揺れながら抽選に申し込み、幾たびかの先行抽選で辛うじて手にすることができたチケットを手に観劇が叶いました。
これまでエリザベートのガラコンを見たことがなく、そのコンセプトも概要もよくわかっていなかったのですが、キャストの豪華さにびっくり。明日海りおさんのトート! 北翔海莉さんのフランツ! ルキーニ役の望海風斗さんにいたっては宝塚退団後初の外部出演!! ルドルフは七海ひろきさん?! そりゃあチケットがなかなか取れないわけです。しかも宝塚のコスチュームで上演されるとは。
観劇が現実となって事の重大さに気づいた次第でした。

タカラジェンヌの愛し方には、その可能性を信じて見つづけていくというのもあると思いますが、その期待に応え尽くし夢を見せ尽くして卒業していく人もいれば、可能性を残したまま卒業していく人もいて、花乃まりあさんは私にとって後者のジェンヌさんでした。もっと彼女に夢を見ていたかったんです。
結論から言うと、本当に見に来てよかったと思いました。私の中のなにかが成仏できた感じがしました。偉大なる自己満足ですが。

娘役さんはとくにですが抜擢も早ければ卒業も早くて、人間的にも咲ききるまえに去っていかれるのがもったいないなぁと思うことがしばしば。
宝塚と言う閉じられた花園に適応することに命を費やしてやっとその目に映る世界が開けたかなぁと思う頃に卒業される。
宝塚とはそういうところと言われてしまうかもしれないけれど、その世界を愛するあまりに過剰な約束事を信じ込ませて囲いの中に押し込め私たちファンがその青春を消費する、それでいいのかなと心が痛くなることがあります。
いつも心のどこかに彼女たちへの申し訳なさがあるゆえにか卒業後のしあわせを切に祈らずにいられない。しあわせそうな姿に安心する。身勝手な想いです。

でもしかし。
私がそんな身勝手な罪悪感にとらわれているあいだも、宝塚の卒業生の皆さんはその命と芸を磨きつづけていたのだなと目が覚めるような素晴らしい舞台を見ることができました。

7年前、黄泉の貴公子の印象だった明日海りおさんは、いま堂々たる帝王でした。
中大兄やエドガーを経てのいまの明日海さんのトートなんだなぁと。経験を重ねることで同じ役を演じてもこんなに深みが増すんだなぁと思いました。
時間と空間を支配し、流し目ひとつで心を撃ち抜く威力に見ていてワクワクが止まりませんでした。このトート閣下大好き!となりました。
歌にも余裕が感じられて巧みに歌い方を変えたりされてました。ミルクのさいごの歌いあげ方も好きだったなぁ。

そしてすこしも悪びれることなく負の感情や悦びの感情を見せるトート閣下でした。
エリザベートに拒まれてこんなに傷ついた顔をするんだ。一瞬垣間見せるむうっと不貞腐れたような表情には見覚えが。この表情にいつも私はきゅんとしてしまうのです。
彼女を不幸に導く企みを巡らす時こんなに邪悪にほほ笑むんだ。そんなに彼女を愛しているんだと思うトート閣下でした。

自分から死に誘っておきながら「まだ私を愛してはいない!」とエリザベートを突き放す場面はいつも観劇しながらこれはどういうことだろうと考えてしまう場面なのですが、このガラコンではすんなりと腑に落ちていました。
それくらいエリザベートに愛されたがっているトートに見えました。
自分が望む完璧なかたちで愛されないとゆるせない我儘な駄々っ子のようなトート。すこしの瑕もゆるせず思い通りでないと傷つくトート。
私の性癖に刺さり過ぎるトート閣下でした。

そのトート閣下がエリザベートの愛を得て抱き寄せる時のなんと満足気なこと。ラストの昇天の場面でこんなにも自身が救われたように見えたトートを私は知りません。
ウン・グランデ・アモーレ!
死が人を、人が死をこんなにも愛し求めて結ばれたんだ——

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2017/04/25

誰も教えてくれない。

4月19日の夜、福岡市民会館にて柚希礼音さんのコンサート「REON JACK2」を見てきました。

チケットが取れたら見に行こうかなという軽い気持ちで柚希さんファンの知人にチケットをお願いしていたのですが、素晴らしいパフォーマンスの数々に魅入られてきました。

宝塚では他組のファンなので、星組だったちえちゃん(柚希さん)の舞台はこの十数年の間に年に1度見るか見ないかの頻度でしたが、その頻度だけに見るたびに目を見張る成長を見せられて凄いひとだなぁと思っていました。
宝塚退団後に初めて見た今回のパフォーマンスでも、共演するトップパフォーマーの皆さんと切磋琢磨してさらに自身を高めている姿に感動しました。

幕開きから数曲はダンサーズを従えた柚希さんヴォーカルのグルーヴなナンバーがつづき、普通にアーティストのコンサートみたいだなぁと思いましたが、客席がきちんと着席しているのが宝塚ファンらしくてお行儀がいいなぁと思いました。私はもうスタンディングのコンサートはしんどいなぁと思っているのでよかったです(笑)。

大貫勇輔さん、SHUNさん、ロペスさん、YOSHIEさんとのダンスパフォーマンスはさすがちえちゃん!凄い!の連続で、まさにこんなちえちゃんが見たかった!と思うパフォーマンスをつづけざまに見られて興奮しました。

大貫さんは梅芸「ロミオ&ジュリエット」で拝見したばかりでしたが、この公演ではより自由に高い跳躍を見せつけていらっしゃいました。跳躍して滞空中に向きを変えるという猫のような筋力にはただただ呆然としてしまいました。

つなぎ服のマニッシュな柚希さんと同じつなぎ服のSHUNさんと大貫さんが目まぐるしく相手を替えながらスピーディに踊る場面はひたすら呆気にとられるばかりでした。足さばきもリフトも凄すぎて。
ロペスさんと真紅のスリットドレスの柚希さんがペアで踊ったタンゴも圧巻でした。言葉が出ない。感動を拍手で表すしかありませんでした。

福岡だけの出演のストリートダンサーのYOSHIEさんのキレには私の緩い動体視力では動きを捉えきれなくて、こちらも呆気にとられるしかありませんでした。
そしてそのYOSHIEさんとペアで踊る柚希さん。世界一のストリートダンサーについていく彼女の気概、気力そして能力がブラーヴァでした。

どんなジャンルでもその道のトップパフォーマーに負けじとついていこうとするところ。
ありがちな、自身は元宝塚っぽくしてて、その道の素晴らしい方々のパフォーマンスに拍手~!ってスタンスじゃなく食らいついていくところがちえちゃんだなぁと思いました。
それでいて元宝塚らしいスッとした品の良いところは自分の持ち味にしているところが素敵で、だからこそ私のようなライトな宝塚ファンも楽しめるなぁと思いました。

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