後生もいらぬ。
御園座公演「綺譚桜姫」、クセになる作品でした。
ショーではない作品でクセになるのって、「マラケシュ-紅の墓標-」以来かも。
「戯伝写楽」もかな。
でもちょっとタイプがちがう。私の中では。
「戯伝写楽」は笑顔のラストだったけど
「綺譚桜姫」と「マラケシュ」は呆然としてしまうラスト。
どうなってしまったんだろう主人公は。
死んでしまったの。生き残ったの。
そこが見る者にゆだねられているから
見終わってもいつまでも世界観から抜け出すことができなくて
自分なりの結論を求めて、何度もくりかえし体験したくなるところが
クセになるかんじです。
現し世を流離う一粒の砂。
儚く小さな個の苦しみ痛み悲しみに心を寄せて
やがて風に消えていく荻田ワールド。
「綺譚桜姫」もそんなかんじなんだけど
いつもの荻田先生の作品にくらべて「抗い」の部分が強く心に残りました。
それは桜姫だからなのか
いまこんな時勢への荻田先生の思いからなのか
大和悠河だからなのか。
すべてが絡み合って、心に残って離れません。
(ねたばれします)