あじゃらかもくれん
4月15日に福岡市民ホールにてミュージカル「昭和元禄 落語心中」を見てきました。
福岡市民ホールは、福岡市民会館を継承するホールとして今年の3月28日に開館したばかり。「落語心中」はこの福岡市民ホールではじめて上演されたミュージカルとなるそうです。
原作のコミックは10年以上前に単行本の表紙の八雲に惹かれて1巻目を購入したのですが、2巻目は読んでいませんでした。
年配の噺家さんの「あたし」などのやわらかい江戸言葉が好きなので八雲はとてもタイプでしたが、落語をあまり知らないのでいまいち漫画に描かれている落語シーンにピンときていなかったのだと思います。
それから幾星霜・・古川雄大さんの芝居冒頭の老年の八雲は思い描いていた八雲そのもので、その彼が高座にあがっているシーンを見てやっとイメージが掴めたように思います。これを機に2巻以降も読んでみようかなと思いました。
和物の古川さんもTVドラマ以外では見たことがなかったので和服で舞台に立つ古川さんを新鮮に感じました。着流しの後ろ姿に見惚れながら、このキャスティングを考えた人は天才!!と思いました。
若造の見習いの頃から徐々に真打ちにあがってシニア世代まで雰囲気とともに心の有り様も変わっているのがわかりその心のうちを考えるのが面白かったです。
ルパンとはあきらかに違う昭和の雰囲気のインバネスコートの後ろ姿もよかったです。(インバネスじゃなくてトンビだったのかも)
みよ吉役の明日海さんは憑依系のお芝居がさすがだなぁと思いました。
アフタートークで明日海さん自身はみよ吉とはまったく違うというお話をされていたので、その話にうんうんと頷きながら、それでもみよ吉になりきってしまう明日海さんって凄いなぁと思いました。
芸者姿もドレス姿も美しくてそこも「やはり明日海りおさんだなぁ」とあらためて思いました。
助六役の山崎育三郎さんはイキイキのびのびと助六(初太郎)を生きているなぁという印象でした。四国で自堕落に生活しているところなど本当にこの助六という役(人物)が好きなのだろうなぁと思いました。
この舞台にかける意気込みの強さも助六をとおして感じられました。
どうやっても敵わないと思わせられるカリスマ性を助六が見せてこそ、八雲(菊比古)が彼にとらわれ続けることに納得がゆく大変な役だからこその演じ甲斐みたいなものを存分に味わい尽くしながら演じてらっしゃるのかなぁと思いました。
助六が深まれば八雲も深まらないと釣り合わない、そんな難しさと面白さがある作品だなと。
助六と八雲という個性がまったく正反対の男2人を、山崎さんと古川さんというまた個性の異なる2人の俳優が演じる面白さを堪能することができました。
観劇した日はアフタートークショーがあり、助六役の山崎育三郎さん、明日海りおさん、古川雄大さん、与太郎役の黒羽麻璃央さんの4人が登壇されて、育三郎さんが司会役でトークを回されていましたが、えっ大丈夫?なお話をされたりして麻璃央さんを除く3人で円陣を組んで作戦会議?っぽいことをされたり、天然でボケてしまう古川君にツッコミを入れられたりとても楽しいトークショーでした。
4人のうち3人がトート(経験者)で4人ともロミオ(経験者)というお話もされていて、凄いメンバーだなぁと思いました。
次回の「エリザベート」では明日海さんがシシィ、育三郎さんと古川君がトートだなぁと思いながら、そこに麻璃央さんもルキーニで加わったらいいなぁと思いました。
こんなぜいたくなキャストとスタッフで日本のひとつの芸能を題材にしたミュージカルが創られたことが素晴らしいことだなぁと思います。
CAST
山崎育三郎 初太郎 のちに 二代目有楽亭助六
明日海理央 みよ吉
古川雄大 菊比古 のちに 八代目有楽亭八雲
黒羽麻璃央 与太郎
水谷果穂 小夏
金井勇太 松田
中村梅雀 師匠(七代目有楽亭八雲)
阿部裕 江戸落語協会会長
村井成仁 銀治