カテゴリー「♖ 観劇」の530件の記事

2024/07/14

召しませ花を

宝塚大劇場にて、6月25日と30日千秋楽の宙組特別公演「Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-」を見てきました。

命の輝きに心ふるえました。
どの曲もどの曲も口ずさめるものばかり。
次々に繰り出されるナンバーごとに、かつてのタカラジェンヌを通して見た夢がオーバーラップして、懐かしさとともにいま舞台に立っているタカラジェンヌたちも長い長い宝塚歌劇の歴史を背負ってここにいるのだなぁとしみじみと思うそんな時間を過ごしました。
この世界観を作り上げてくださったサイトー先生にありがとうございますと心から思いました。

モン・パリ~Le Grand Escalier~パリ・メドレー~花詩集

「Le Grand Escalier(大階段)」というショータイトルの通り、幕開きから大階段を使った息もつかせぬ勢いで繰り出されるパリ・メドレーは「パリ祭@大劇場」ともいうべき圧巻の華やかさでした。
明るい照明に映えるトリコロールカラーの青白赤の衣装を纏った宙組タカラジェンヌたちの輝きに感動しました。
歌い継ぐ1人1人が表舞台に立っていなかった間も鍛錬を怠らなかったことをうかがわせる出来栄えで素晴らしかったです。
名曲が活きる演出も心が浮き立ちました。
この作品唯一のオリジナル曲であるテーマソングの「Le Grand Escalier」も吉田優子先生らしい如何にもな宝塚レヴューの主題歌でほどよいノスタルジアと安心感に浸って耳と心を委ねることができました。

エスカイヤ・ガールス

圧巻のパリ・メドレーにつづいて湖々さくらさん愛未サラさん美星帆那さんの娘役トリオで銀橋を歌い踊る「エスカイヤ・ガールス」は、そのキラキラに思わず涙でした。80分のショーだからできたのかなと思いますが、いままでこういう若手娘役さんの場面ってなかったなぁと。でもずっとこんな場面が見たかったんだと、頑張っている娘役さんたちが輝く場面があるのはいいなぁと思いました。

まことの愛(ダルレークの恋)

瑠風輝さんが上手からせり上がり銀橋を渡りながらの「まことの愛」(ダルレークの恋)は、辺りを払うような歌声にドラマティックな物語の情景が浮かび引き込まれました。
本舞台で踊っていた娘役さんたちの中から1人サッシュ(勲章)を付けたロイヤルな「ダルレークの恋」のヒロインと思しき天彩峰里さんが瑠風さんに駆け寄り銀橋でいだきあう演出もドラマティックで惚れ惚れしました。
瑠風さんも天彩さんも一瞬で世界観をつくり出せて素晴らしいなぁと思いました。

夜霧のモンマルトル

桜木みなとさんが中心で歌う「夜霧のモンマルトル」では、このナンバーといえば!のトップハット&ケインの紳士がズラリ。いい眺めでした。
下級生が多いせいか動きが若いなという印象をうけましたが、舞台に立ってこそ得るものがきっとあると思うので、大劇場公演の11日間を経て東京公演では臈闌けた紳士に変身しているといいなと楽しみです。
その中でなんとなく身のこなしが好きだなと思う人がいて目で追っていたのですが、列の移動の時に追い切れず誰だったのか確かめられませんでした。
(たぶんその後列から外れて歌っていた人だと思うので真白悠希さんかなと思うのですが、千秋楽は席が下手すぎてわからず・・)
東京公演ではあれが誰だったのかも確かめつつ、ほかの人たちももっと見たいと思います。

夢人~BLUE ILLUSION~ENDLESS DREAM

Jungleの場面はザ・サイトーワールド!! どこを見たらいいのか誰もかれもが魅力的であたまが噴火しそうでした。

まず美しく妖しい鳥さんと思しき4人の娘役さんたち。
これは「BLUE・MOON・BLUE」でいうところの"うさぎちゃん”たちですよね? サイトー作品につきもののアイドル的娘役さんたち。
登場とともに目を惹く水音志保さん、山吹ひばりさんの美しさ、そして今回おぼえた渚ゆりさん、結沙かのんさん。
彼女たちをずっと見ていたいのですが、蛇に扮した鷹翔千空さんが怪しすぎて妖しすぎて・・娘役さんたちに横抱きにリフトされたときのポーズはどういうこと?? あの体勢でブレることなく手は妖しく動いていて・・これなにごと?? 娘役さんたちも見たいのにどうしても鷹翔さんを目で追わずにいられない・・どちらも見たいのにと葛藤しました。
銀橋で美しい娘役さんたちを従えた鷹翔さんの蛇が旅人の芹香斗亜さんに絡む場面は脳内からなにかが溢れ出しました。
「夢人」ってピュアファンタジーのイメージだったのですが、こんなに妖艶な世界で歌われて・・あたまが混乱し追いつきませんでした。

そして「夢人」からの「BLUE ILLUSION」の前奏でさらにあたまがBarrrrrn。
「BLUE・MOON・BLUE」は宝塚歌劇にはまったばかりの頃に映像で見て衝撃をうけた大好きな作品で、そのナンバーを生で体験できる興奮と、「夢人」のあとにこの曲がおなじシーンでつづく驚きで、自分を落ち着かせるのが大変でした。
独特の世界観の舞台セットに照明に、舞台上の妖獣のみなさん、妖花のみなさん、鳥さん、蛇さん・・に情報処理が追いつきません。(3回見たのですが未だ全容がわからず・・) (大きな火の鳥?不死鳥?ガルーダ?が上がっていきましたよね??)
妖鳥の春乃さくらさんの妖しいまなざしにズキュン。
苦邪組七姉妹の悪い春乃さくらさんが大好きだったのでこの春乃さんに射抜かれました。(いつもニコニコしているイメージなので振り幅にやられるのかな)
春乃さんにあたる赤い照明、蛇の鷹翔さんにあたる緑の照明、どうなっているの???
このシーンはスカイステージの舞台裏番組でぜひ映像を見ながら解説してほしいです。
妖獣の男役さんたちのロングヘア―も新鮮に感じました。
「BLUE ILLUSION」を歌う妖獣の嵐之真さんもこんなにちゃんと意識して見たことがなかったので新鮮でした。宙組も歌える方がたくさんいるんだなぁなどといまさらなことに関心しました。
とはいうものの、誰か1人だけをまじまじと見ている余裕もなく、妖しい蛇の鷹翔さんに、芹香さんを誘う春乃さんに、美しい鳥たちに、妖しい歌声を響かせる花たちに、激しく飛び回る妖獣たちにと次々に目移りして目が回っていました。(これぞイリュージョン?)(東京公演では2階席から見れたらいいなぁ)

「BLUE ILLUSION」からの旅人芹香さんが歌う「ENDLESS DREAM」は、こんなに贅沢なことがあっていいのかと。20年前の自分におしえてあげたい気持ち。これをいまの宙組で見ているんだ・・と「いま」とこの場面に思い焦がれていた「過去」が自分のなかで幾度も行き来して憧れ立つ心地でした。

フィエスタ アイ・アイ・アイ

と・・しみじみと浸っている間もなく、亜音有星さん大路りせさん泉堂成さんがキラキラのラテンの衣装で陽気に歌い踊って銀橋を通っていきました。
ここからは底抜けに明るいラテンのシーンに。(展開が早いのもこの公演の特徴かな)

カルナバル・デ・リオ!!~ソル・エ・マル~シナーマン

「カルナバル・デ・リオ!!」(RIO DE VRAVO!!)で風色日向さんと山吹ひばりさんが、「ソル・エ・マル」(ノバ・ボサ・ノバ)で天彩峰里さん松風輝さん秋奈るいさんが銀橋を渡った後は、舞台センターから芹香さんが登場して「シナーマン」を熱唱。
楽曲1曲で長い尺をたっぷりもたせて観客の視線を一身に浴びる、「PAGAD/Sky Fantasy!」を見ることが叶わなかった私は、これぞトップスターな芹香さんの姿に感無量。芹香さんが歌い切った後は「ノバ・ボサ・ノバ」らしく全員で飛び跳ねて盛り上がって終わるのだろうと身構え?ていたら、曲調が変わって「黒きバラ」(花詩集)に。
ええ~~~なぜに~~?と思いながらも真名瀬みらさんの歌声に惹き込まれ・・これはこういうショーなんだなと。(ようやくわかってきました)

幸福を売る人~パッショネイト!~CONGA!!~Aye Carammba~サザンクロス・レビュー

「幸福を売る人」(華麗なる千拍子)を瑠風さんが軽やかに歌い銀橋を渡ると次は春乃さくらさんの「パッショネイト!」(パッショネイト宝塚!)でした。
春乃さんの全力「パッショネーイ!!!」には思わず頬が緩んでしまい、2回め3回めの観劇では来るぞ来るぞとこのシーンを待ちわびていました。あっという間の場面なんですけど笑。
そこからの桜木さんセンターの「CONGA!!」が最高。そこに芹香さん春乃さんが加わっての宙組ほぼ全員による「Aye Carammba」はまさに「祭り」のフィナーレのような熱い盛り上がりで、その熱い旋風に客席の私も巻き込まれたかのような陶酔の中詰めでした。
見ている私の息も上がりきって息切れしそうなところで「サザンクロス・レビュー」鷹翔さんと若手男役さんたちが中心だったと思います。
もちろんアップテンポでノリの良いラテンナンバーなのはまちがいないのだけど、あれ?この曲ってこんなにせつなかったっけ?と思いました。「サザンクロス・レビュー」では哀愁のナンバーといえば言わずと知れた「星の海」で「サザンクロス・レビュー」はノリノリのラテンナンバーという認識だったのですが。あれ?なんでこんなに沁みるんだろうと。明るいラテンナンバーなのに「CONGA!!」や「Aye Carammba」とはちがうどこか刹那的な・・「祭り」はいつか終わることを知る者の哀切とでも言ったらいいのか。これが草野ワールドなのかなぁ?
ラテンナンバーと言ってもこれだけ立て続けに聴くとそれぞれにちがうなぁ。派手派手でノリノリなだけじゃないんだなぁとこれまで思いもしないことを感じました。

ラ・ヴィオレテラ

あんなに上がっていた息はいつの間にか落ち着き、耳には春乃さんが歌う「ラ・ヴィオレテラ」(ラ・ベルたからづか)。
『召しませ花をすみれ花』—— 『よろこびの花いつか咲きましょうあなたの胸に』
もう言葉にならないもので胸がいっぱいでした。なにかが溶けていくよう。表現するってこういうこと?春乃さんと娘役さんたちの声に癒されました。
(ラテンの場面にいなかった娘役さんたち、ここに出ていたのね——とプログラムを見て気づきました)

エル・アモール

つづくのは哀愁をまとった風色日向さんの「エル・アモール」(哀しみのコルドバ)。
そういえば初見のときはこの「エル・アモール」の場面まで風色さんに気づいていなかったんですよね。なんかときどき知らない番手スターさんがいるなぁと(そんなわけない)。「エル・アモール」で風色さんじゃんって。
あまりに堂々とスター然としている人がいて知っている風色さんの印象と結びつけることができなかったといいますか・・私が知っている風色さんじゃない風色さんがいました。
この数か月間で最も成長を遂げた人かもしれません。

グラナダ~コルドバの光と影

「グラナダ」の前奏はやった!と思いました。若翔りつさんの歌もとてもよかったです。
踊るピカドールたちの背後にある紗幕からマタドール姿の桜木さんが登場したときはひゃほーーー!!と思いました。
ムレータと剣を操る桜木さん最高にかっこよかったです。
1人で歌う「コルドバの光と影」(哀しみのコルドバ)も惹き込まれて見て聴いていました。
闘牛自体はその残酷さに嫌悪感があるので複雑ではあったのですが、あまり残酷には描かれていなかったかなと思います。トロ(牡牛)役の鳳城のあんさんがビスチェ風の女性的な衣装だったのであれ?牝牛じゃないよね?とそれに気を取られたのもあるのかな。桜木さんのフォームの美しさに釘付けだったからかな。
(スペイン的場面はカッコ良くて大好きなんですが、必ず闘牛がセットになるので極力残酷にならない演出を希望です)

WELCOME TO MANHATTAN~ゴールデン・デイズ

「WELCOME TO MANHATTAN」(マンハッタン不夜城)もわぁこのナンバーが聴けるのかぁと気分が跳ねあがりました。
「BLUE・MOON・BLUE」もですが大和悠河さんが大好きだったので生で見ていない下級生時代の作品のナンバーを聴けるのは感無量でした。とくに「マンハッタン不夜城」は解像度が低い時代のスカイステージでしか見たことがなかったのでひとしおです。
芹香さんがとってもラフでカジュアルな服装で登場したのに驚きました。ダウンタウンボーイの設定なんですね。
春乃さんの赤ずきんちゃんみたいな魔法使いがキュートで、舞台上で大勢でわちゃわちゃとても楽しい場面でした。
そこからの「ゴールデン・デイズ」は感動でした。こんなに一言一言歌詞を噛み締めて聴いたことはなかったかも。

ザ・レビュー

「ゴールデン・デイズ」の盛り上がりに区切りがつくと下手から亜音有星さん大路りせさん山吹ひばりさんが登場。イントロは「ザ・レビュー」です。
この曲を聴くと「Amour de 99!!」が思い出され当時の宙組の情景が思い浮かびました。あの頃、そして今、綿々とつづく宝塚歌劇がここにあるのだなぁと朗らかに歌いながら銀橋を渡る3人の未来を思って心の中でエールを送っていました。

アイ・ラブ・レビュー~TAKARAZUKA FOREVER

続いて瑠風さんと鷹翔さんによる「アイ・ラブ・レビュー」(ザ・レビュー)。瑠風さんがクラシカルに歌い鷹翔さんが跳ねるようなリズムで歌う。同じ曲でも味が違って面白いなぁと思いました。表現力のある2人だからこそだなぁと。
銀橋から瑠風さん鷹翔さんの紹介ポーズを受けてはじまるラインダンスは「TAKARAZUKA FOREVER」(ザ・レビューⅡ)。いつになく1人1人の顔がよく見えるラインダンスだなぁと思ったのですが、私がいつもより見ていたのかなぁ。命がキラキラ輝くこの素晴らしい光景をいつまでも見ていられますようにと願いながら見ていて目が離せなかったのかもと思います。

愛の旅立ち~セ・マニフィーク~未来へ~世界に求む

「愛の旅立ち」(ザ・レビューⅢ)は目も耳も心もすべてを芹香さんに集中。ひとつひとつの言葉を表情を心の奥深くに染み込ませました。
しみじみとした場面から一転しての桜木みなとさんセンターの男役群舞「セ・マニフィーク」は圧巻でした。
この安定感。桜木さんもセンターで大人数を率いるに相応しい男役さんだなぁと思いました(宙組は実力者大渋滞だなぁ)。千秋楽の前髪とってもカッコ良くて釘付けでした。全員白の替わり燕尾服も目に眩しかったです。
つづく春乃さくらさんセンターの娘役場面も素敵でした。心にそよぐ涼風のよう。「夢を売る妖精」(夢を売る妖精たち)の春乃さんの澄んだ歌声が心のなにかを溶かすようで涙がでました。
春乃さんと歴代の宙組のトップ娘役たちの頼もしさがオーバーラップしてさらに涙腺が緩みました。
そこからの「未来へ」(エクスカリバー)のイントロで私の情緒はえらいことに。芹香さんを囲む宙組生の顔、顔、、、いまここにあるものすべてが。
そして「世界に求む」(王家に捧ぐ歌)のデュエットダンスでもう胸がいっぱいでした。
このときのカゲソロ、プログラムを確認したのですが志凪咲杜さん?108期??まったくのノーマークでした。オーディションで勝ち取ったのかなぁ。これから注目したいと思います。これからも宙組の下級生に活躍の場が与えられますように。

シトラスの風~宝塚メドレー

パレードのはじまりは、愛未サラさんエトワールの「シトラスの風」の主題歌から、階段降りは宝塚の名曲メドレーでした。
宙組の皆さんに精いっぱいの拍手を送りました。
千秋楽では組長の松風さん芹香さんの挨拶に拍手が鳴りやまず、芹香さんが長い長いおじきをされていたのが印象的でした。
花道ちかくの席だったのですが、カーテンコールのたびに居並ぶ下級生の笑顔にしあわせをもらえました。
どうぞこの宙組の皆さんが一歩ずつ前に進んでいけますようにと心から願いました。

観劇を終えて

観劇直後は胸がいっぱいで、この胸に溢れるものが何なのか、自分でもよくわからず文章にもできませんでした。
時間をおいてようやくここまで書くことができました。
いまいちばん思うのは、彼らは素晴らしい表現者である。ということです。

彼女たちに対していろんな人がそれぞれの立場からいろんなことを言われていますが、私には舞台から見えるものしかわかりません。
私はこの公演のパレードから見える宙組生の人員の少なさに心が痛みました。
この人数で大劇場公演を成功させるため1人1人に課せられた役目はどれだけ重いだろうと。
この1~2年はとくに上級生には単純に通常の倍とかそんな負荷がかかっていたのではないかと。常に余裕のない中で自分の役目を果たしながら人に指示をする指示されることがなにをもたらすものか想像すると胸が痛いです。
それを物理的に是正できなかった劇団の責任はもちろん感じますが、やらなくてはならないことは何がなんでもやらなくてはいけないと、物理的に無理なことでも心厳しく臨むべきだと教えてきた先達たちにも、同時にそれを是として過剰に求めたファンにも責任はあると思えてなりません。
また、自分が好ましくないと思うタカラジェンヌに対して憶測に憶測を重ねて不特定多数の人の目に触れる場所で誹謗しそれに同調するような向きがあるのをいまにおよんでも感じます。そんなファンのあり方がどれだけ彼女たちを追い詰めているかと思うとたまらなくなります。
彼女たちが無用に追い詰められストレスフルな状況下におかれることがないように。
これまでのトークやインタビューなどから窺い知れる彼女たちの芸の精進のために自分を律する強さが、どうか健やかな環境の下で発せられますように。どうかどうか健やかな心で精進できる環境でありますようにと心から願います。

この公演を観劇して、命はこんなにも眩しく輝くものなのだと感じました。
命がこんなにも輝くものだからこそ、それを手放すしかなかった人のことを忘れてはいけないのだと心から思います。

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2024/06/16

倒せドラゴン

6月5日と6日に東急シアターオーブにて宝塚歌劇星組公演「BIG FISH」を見てきました。

東京のみの上演だったので観劇は難しいかなと思っていたのですが、おなじ原作の映画が好きだったのと、それを礼真琴さん主演で上演するのならやはり見てみたいと、思い切って上京することにしました。

礼真琴さんと星組メンバーのパフォーマンスに圧倒される

いやはや礼さんが凄いのは知っていましたが、ここまで凄いとは! 何を歌っても踊っても見ていて聴いていて心地よかったです。
いつもわくわくする未知の世界に連れて行ってくれる礼さん、その礼さんが演じるエドワード・ブルームの語る物語にどんどん引き込まれました。
彼の語りにわくわくするかウソっぽく感じて鼻白むかで見ているほうの気持ちはぜんぜん違うんじゃないかなと思います。

礼さん以外の出演者も歌も芝居も達者な人揃いで終始感嘆しながら見ることができました。
パフォーマンスに関してストレスなく見ることができたぶん物語そのものに没入することができたのですが、それゆえに心がざわつく箇所がいくつかありました。

映画よりもかなり保守的な脚本

原作となる小説は読んだことがないのですが、おなじ原作の映画に比べるとかなり保守的になっている印象を受けました。それは現代パートの女性の描かれ方と父の息子の関係性に濃く表れていたと思います。(映画よりもミュージカルのほうが10年も後に制作されているのに・・です)

小桜ほのかさん演じるサンドラが私はしんどかったです。
エドワードの自分語りに登場する若き日のサンドラ(詩ちづるさん)以上に夢物語のようなサンドラで。

映画を見ていて、カールが実際は5mではなくて2mの大男だったように、サンドラもエドワードが語る夢のような南部の美少女が、いまは現代を生きるリアルな妻であり母であることで私はホッとするところがあったのです。
小桜さんのサンドラは「カールが実際に5m、いやそれ以上の大男だった」くらいの夢夢しさでした。

1人の女性として現実を生きて、夫エドワードの言動に困ったり息子ウィルとのあいだで板挟みになりながらもエドワードを愛していることに揺るぎのない彼女の強さと人生の深みが滲むリアリティのあるサンドラとして「屋根はいらない」という比喩を聴きたかった。
小桜さんは実力のある娘役さんで、可愛らしい少女から「RRR」の悪辣な総督夫人までも見事に演じることができる方なので、きっと演出の意図通りに演じているのだと思います。
澄んだ美しい歌声で「私の中の2人」「屋根はいらない」を熱唱するサンドラはいまだに夢の中に閉ざされているように感じられて心がざわざわしました。(現実的な生活力は放棄して愛という依存で束縛する人だなぁと。『彼女には自分がいなければ』と思えるパートナーはそれがいいのだろうけど息子は・・)

星咲希さん演じるウィル(極美慎さん)の妻ジョセフィーンも見ていてだんだんしんどさを感じました。
世界を飛び回るTVジャーナリストの彼女がこんなマタニティドレスを選ぶのかな?とか、知的で相手をリスペクトし公正な感覚で夫やその家族に細やかな気遣いで接している彼女に対して誰もギブしていなくて、このままアラバマのこの家族の価値観に合わせていって大丈夫なのかなと。

身重なのに夫ウィルに対してひたすらギバーでいることもしんどかったです。妻というよりは母親のようでした。
ウィルには知的で彼の心を紐解く母親と夢々しいまま年を重ねた守ってやらなければならない母親の2人の母親がいるみたいでした。
自分のことで頭がいっぱいなウィルがジョセフィーンの優しさや有効なアドバイスを当たり前のように受け取ってその割に素っ気ないのも・・。もっと彼女のことをリスペクトしたらいいのにと思いました。

ジョセフィーンにしてもサンドラにしても現代パートの女性としてのリアリティに欠けるのは演じている彼女たちが宝塚の娘役ゆえというのもあるのかもしれません。
彼女たち宝塚の娘役が旧態依然の女性観を体現することから解放されないと、私は宝塚を見ること自体がしんどくなるだろうなと思いました。

父と息子

さらに物語全体に流れる「父と息子」の関係をことさらに特別視する雰囲気もしんどかったです。

「オフィスに閉じこもって仕事/俺にはとても無理さ/じっとしているのは死んでいるのと同じ」「芝刈りや料理や洗濯は向いてない俺じゃない」と、セールスの仕事で数週間家に帰らないエドワードが幼いウィルに向かって、自分が留守のあいだはお前が大黒柱として家と母親を守れと言うのもしんどかったです。自分はやりたいように生きて家に残す息子には呪いを掛けるんだと。
おそらく朝鮮戦争に召集されているのでエドワードは1930年代の生まれかなと思います。ジェンダー意識が強いのはこの世代の人なら普通かもしれませんが、2024年のいま舞台であえてこのセリフを使う必要があるのかな?と疑問でした。
なによりウィルが拗らせているのはこの父親のせいでしょう。

そんなウィルが、妻の妊婦健診につきあい超音波検査でお腹の子が「息子」であると知ったときの流れも胸がざわざわしました。
息子ってそんなに特別なんだ。
「父親と息子」の関係の構築はウィルにとって雲をつかむようなでも焦がれてやまない命題なんだろうなぁ。
満たされなかった子どもの自分を息子を介して満たしていこうとしているみたいだなと思いました。

ウィルの気持ちはとてもわかる気がしました。
エドワードは1対1ならとても面白くて素敵な父親だったけれど、成長して客観的な視点を持つと疑問も湧くし、世間を気にする視点を持つようになれば父親のことを恥ずかしく感じることもわかります。
でも根本は父親のことを好きだからこそ、そう思う自分が父親に対して申し訳なくなるジレンマもあるでしょう。つらいなと。

ウィルは賢い子どもだったし、優秀なまま大人になりいまは報道関係の職に就き世界中を回りニューヨークに住んでいる。
妻のジョセフィーンもおなじ業界の人で、結婚式の招待客も彼が交友関係をもった大学や業界の人びとなんだろうと思います。知的でリベラル寄りの。
そんな彼らに父親がどう思われるか・・? アラバマの片田舎でセールスマンをしながら家族を養ってきた父。いつもの荒唐無稽な自慢話さえしなければ彼には誇れる父親のはずです。
だからどうか自分の晴れ舞台である結婚式の場では黙っていてと願い、約束を取り付けたのに反故にされてしまった。
彼にとってはいちばんデリケートな話題を衆人の前で自分主体の話としてしまう父親に心底うんざりしてしまったよねと思いました。どうでもいい人ではない、本当は尊敬したい相手だからこそとても複雑なんだよねと。

映画だと老いて自分のホラ話の粗をさらに見え見えのホラ話で取り繕うみっともなく哀れにすら見える父親が、実は本当にビッグな人だったんだと認めることができた、そういう息子の心の救済の話だったんだ思うんですが、礼さんのエドワードは老いてもちっともみっともなくも哀れでもなく、むしろ素敵なので見る側が補正してしまって、少々ウィルに分が悪いなと感じました。

女の子もドラゴンと戦っていい

エドワードの語りパートの演出や各々の演者のパフォーマンスも面白くて楽しくて、殊に可愛い可愛い「アラバマの子羊」と「時が止まった」の流れが大好きでした。
憎々しいドン・プライス(蒼舞咲歩さん)や狼男のサーカス団長(碧海さりおさん)や大男カール(大希颯さん)、子ども時代のウィル(茉莉那ふみさん)などなど皆個性的でキャラが立ってて愛おしかったです。
弔問に現実の彼らが訪れるところはなんとも言えない気持ちになりました。
音楽はどれも素敵で時間が経っても口ずさんでしまうものばかり。
たのしいたのしいだけではないのが、きっとこの作品の魅力なのかなと思います。
深い作品だからこそ、いろんな見方で心に刻んでいていいよねと。

♪倒せドラゴン~城を攻めて~と反芻しつつ、女の子だってドラゴンと戦っていいんだぞ、戦わなくてもいいけど、と思いながら帰路に就きました。

CAST

エドワード・ブルーム/礼 真琴 どのナンバーも最高でした。礼さんの歌声で聴けて幸せでした。
ジェニー・ヒル/白妙 なつ 終盤からの出番ですが、その説得力たるや。さすがでした。
ベネット/ひろ香 祐 ブルーム家の家庭医でエドワードの友人。なんども聞いているエドワードの自慢話を面白がって笑ってくれる良い人でした。
サンドラ・ブルーム/小桜 ほのか 澄んだ美しい歌声に聞き惚れました。エドワードの声色をまねるところも巧いなぁと思いました。
ドン・プライス/蒼舞 咲歩 登場するたびに笑ってしまう間の良さ、コミカルで憎めない憎まれ役でした。
人魚/希沙 薫 優雅な手の動きに登場のたびに思わず見入ってしまいました。
ウィル・ブルーム/極美 慎 父への複雑な感情がよくわかりました。愛しているからこそわかりたいし理解してほしいんだなぁと。
エーモス・キャロウェイ/碧海 さりお 怪しくて胡散臭くて狼男になると愛おしくて大好きなキャラクターでした。
ザッキー・プライス/夕陽 真輝 お兄さんのドンの引っ付き虫で、いつも兄に倣って罵倒にもならない罵倒「魔女好き男めー」で去っていくのに笑いました。
魔女/都 優奈 凄く圧のある魔女でした。「RRR」に続いて歌声が聴けて嬉しかったです。
ジョセフィーン/星咲 希 こんなにセリフが多い役をされているのをはじめて見たかもしれないのですが、お芝居がとても巧い方でした。
ジェニー(若かりし頃)/鳳花 るりな 映画とはちがうところで登場するので、さいしょはあのジェニーとは気づいていませんでした。2度目に登場した時にあああー!となりました。歌もお上手だし、いろんな場面でアンサンブルで踊っているのも目にとまりました。
サンドラ(若かりし頃)/詩 ちづる 「アラバマの子羊」可愛かったー。ヤング・ウィルとエドワードを窘める場面もツボでした。
カール/大希 颯 エドワードと2人で旅に出るときのナンバーが好きでした。あの高さで姿勢で歌えるの凄いなぁと思いました。

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2024/06/09

未来がこわい

5月25日に博多座にてミュージカル「クロスロード」を見てきました。

やまみちゆかさんのパガニーニの漫画を面白く読んでいたので、パガニーニがどのように描かれているのだろうと興味津々で観劇しました。

まず思ったのは「ツインリードヴォーカルみたいだなぁ」ということです。中川晃教さんのアムドゥスキアスと相葉裕樹さん(Wキャスト)のパガニーニによる歌のバトルが繰り広げられている印象でした。
お2人以外も歌唱力に定評のある方々がキャスティングされていて、それぞれに難しい楽曲に立ち向かっている印象。
音楽に聞き惚れるというよりはスポーツ観戦のようなハラハラドキドキ感。歌い切ったパフォーマーに「よっしゃ!」と言いたくなる感覚でした。
いますこし楽曲に華やかさがあるともっと楽しめるのになぁと思いました。

才能があるゆえに自分の不出来がわかるのは辛いだろうなぁ。それをわかってもらえず期待される辛さも。パガニーニが闇落ちしてしまうのはわかる気がしました。
芸術に身を捧げて限りない高みを目指すのはある意味で悪魔と契約するようなものかなぁ。
ほかには誰もたどり着けない場所に1人で居るのは孤独だろうなぁなどと思って見ていました。

契約関係を結んだアムドゥスキアスとパガニーニはその後芸術的な問題で相反し、芸術とは音楽とは創造とはということがテーマになるのかな?と思っていたのですが、アムドゥスキアスとの契約は既定の演奏回数に達したらパガニーニの魂を自分のものにする、演奏は私(アムドゥスキアス)のためにだけに演奏する、ということで、なんか悪魔せこくない?と感じてしまいました。いやいやそもそも悪魔ってそういうものなのかな。
アーシャ(有沙瞳さん)の練習のために弾くのはカウントされるのに、母親が歌っていた子守歌を舞台で演奏するのはカウントされないというロジックもよくわからんなーと思いました。論理的に抜けがあるからこそ悪魔なのかな。
中川晃教さんはノリノリで楽しそうだなぁと思いました。

音楽的には凄いなと思いつつ、戯作としては期待ほどの面白味はなかったかなぁ。
とくにモヤったのはパガニーニと母親テレーザ(春野寿美礼さん)の関係性の描かれ方です。悪魔と対比させる母親という属性だけで存在していて生身の人間ではないなぁ。
テレーザの子どもはニコロ(パガニーニ)1人ではないし、子どもらを食べさせ育てなくてはいけないという現実のためには打算も必要だっただろうと思うのだけど、そういうことは見ようとしないし描かないんだなぁと思いました。
パガニーニのコンサートを後方の安価な席で見ているテレーザが隣に座ったアムドゥスキアスにわが子ニコロへの母の愛情を示す場面にはうるうるしましたが、そこに至るまでのテレーザの描かれ方がモヤりました。
娘であればこういう見方はしないだろうなと。これは息子にとって都合の良い物語だなぁと思いました。

パガニーニのパトロンであるイタリアの女大公であるエリザ(元榮菜摘さん)もまた都合良く描かれた登場人物だなぁと思いました。
ナポレオン・ボナパルトの妹である彼女に取り入ろうとする人びとに囲まれ傲慢に振る舞うこと、パガニーニの才能を気に入って独断で宮廷楽長に任命したり彼を兄ナポレオンに会わせようとすること。
決して望んだわけではない途方もない権力と立場を得たことと、それと引き換えに失ったものを惜しみ苛立つ心境はとてもわかるなぁと思いました。
パガニーニとの無責任でわがままな人間同士の男女の関係も、なににつけても「ナポレオン・ボナパルトの妹」であることに心の奥底で傷ついていることも伝わる人物でした。
良識を逸脱して人から陰口を叩かれる行動は一種の自傷行為だなぁと。
しかし、こんな闇深い内面を有した女性を登場させながら、「愛するがゆえに」彼に黙って自ら身を退く人物として描かれていたのががっかりでした。
いえ彼女の気持ちは痛いほどわかりました。がっかりだったのはそのことに気づいているのはアーシャだけで、パガニーニにはすこしも響いていないこと。
彼女から与えられるものはしっかり享受していながら、彼女の存在が不都合になったら、彼自身は与り知らぬかたちで彼女自ら退場しパガニーニは無傷のままなこと。
これってけっきょく母親テレーザのときと同じだなと思います。
彼女はパガニーニが都合よく放埓な性愛関係をもつために登場させた人物で、パガニーニと作劇にとって無用になったら退場させる、それでいいと思っている脚本にがっかりでした。

アーシャについてもおなじです。
気ままな猫を気ままに可愛がるように愛玩動物としての存在だなぁと。
すこし優しく接するとオーバーアクションで喜びを表現し、邪険に扱ってもなお彼だけを追いかけてくる存在。
彼が社会的に無責任で自堕落な行動をとってもそこを責めないし(女性関係にも口出ししない)、自己問答代わりの対話相手にもなってくれ、窮地を脱するヒントもくれる。そういうところはイマジナリーコンパニオンに近いともいえるかな。
面倒なことは求めず、彼が得意なことについての教えを請い、無条件に励まし彼自身を肯定してくれるとても都合の良い存在。
アーシャ自身のためではなくパガニーニのために存在する、それがアーシャでした。

パガニーニ自身はそんな都合の良い人びとたちに囲まれてケアされながらその誰とも向き合っていない。
彼女たちの人生なんてどうでもよい。
女性たちだけではなく、執事のアルマンド(山寺宏一さん、Wキャスト)ともそんな関係だったと思います。
これはパガニーニの姿に仮託したテイカーを描いた物語だったのかなとモヤモヤが残る観劇でした。

CAST

中川晃教 アムドゥスキアス
相葉裕樹 ニコロ・パガニーニ(Wキャスト)
有沙 瞳 アーシャ(Wキャスト)
元榮菜摘 エリザ・ボナパルト
坂元健児 コスタ/ベルリオーズ
山寺宏一 アルマンド(Wキャスト)
春乃寿美礼 テレーザ

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2024/05/13

ここにあなたはいます

4月27日に久留米シティプラザ ザ・グランドホールにてブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」を見てきました。

すごくアメリカ人好みな脚本だなということと、チケット代はほぼキャスト代だなというのが見終わった直後の率直な感想でした。
アイリッシュな音楽が心地よかったです。

別の9.11の物語

作品の舞台はカナダの大西洋側にあるニューファンドランド島の小さな町ガンダー。そこに見知らぬ人びとが大勢押し寄せることになる。
そこからはじまる物語でした。

その理由というのがあの「9.11」アメリカ同時多発テロ事件。
かつてない非常事態にアメリカ領空が閉鎖され、ヨーロッパ方面からアメリカに向かう航空機はこの島にあるガンダー国際空港に緊急着陸を命ぜられたのだそう。その数39機、乗員乗客総勢約7,000名。これは島民の人口とほぼおなじとのこと。

ガンダー国際空港は、いまみたいに航空機が無給油で長距離飛行できなかった時代に給油拠点として整備拡張された空港で、昔はたくさんの航空機が経由していたけれど、いまはその役目を終えた空港だそう。
そんな状況説明が冒頭で住民たちによって早口でされていました。
(客席で見ている私はそれを聞き取り理解するのに必死でした)

はじめは小さな田舎の町のコミュニティから。
これはいつもの顔ぶれなんだな。いつもの朝いつもの出勤いつものパブ。バスのストライキも。
いつものようにはじまり、いつものように1日が終わるはずだったんだな。
そんな1日がはじまったばかりという頃、まさに青天の霹靂のように島の人口とおなじ数の見知らぬ人びとを受け容れなくてはいけなくなった住民たち。
寝る処は?食事は?着替えは?ほかに困り事は? 短時間で現状を把握し、たくさんの決断をする。脳みそもフル回転カラダもフル回転。まさに非常事態にアドレナリンが放出されまくってるかんじ。
(主に島民ビューラ役の柚希礼音さんが笑)

さまざまな理由でアメリカ本土を目指して飛行機に乗っていた国籍もさまざまな乗客乗員たち。
さいしょはどうしてこの小さな町に緊急着陸しなくてはいけないかも知らされていなくて。
ようやくTVニュースであの映像を見た衝撃。世界はどうなってしまうのか。家族や知人は無事なのか。なにをするすべもなく自分はいつまでここに滞在しなくてはいけないのか。
わからないことだらけ知りたいことだらけで寝食そっちのけで用意された公衆電話に長い列を作る人びと。
スマホはなくSNSもない時代、海外との連絡方法は国際電話かPCによるメール、BBS、チャットだったと記憶しています。

そんな5日間を描いた舞台でした。

驚嘆の舞台展開とキャスト陣

舞台上の役者たちは1人で何役も演じるけれど、上着や被り物を変えるだけで衣装替えはなし。
セットは木々らしきものと椅子とテーブルくらい。
それを役者たちが演じながら動かして、パブに見立てたり飛行機の客席に見立てたり、秒単位で転換していく。
さまざまなきっかけで飛行機の客席になったりバスの中になったりパブになったり臨時宿泊所の学校になったり。
演じる人たちも大変だなと思うけれど、見ているほうも目まぐるしい。
セリフの内容と発声でいまこの役者は誰を演じているのか判断する。
技術と運動能力が高くてよほど訓練された人たちでなくてはできない舞台だなと思いました。
とにかく演者が皆凄い!と思わずにいられない作品で。そこを評価できるかどうかかなというのが見終わってすぐの印象でした。

ちいさな棘たち

見終わった時は「よかったね」「凄かったね」という感想しか浮かばなかったのですが、あとになってだんだんと「ああ!」という気づきがある作品でした。
見ている時に自分が感じた棘のようなもの(その時点では何かわからなかったもの)の正体や理由があとになってわかってきたように思います。

親切で行動的でタフな島民たちがこの緊急事態にとった行動はとても素晴らしいと思う一方で、私は善良なキリスト教徒的な同調圧力に息が詰まりそうでした。
時に善意の人びとほど恐ろしいものはない、そう感じたことがある人は、ここではひっそりと息を潜めて生きていくしかないのではとか。そんなことを思いながら見ていました。
感じないようにしていた喉の奥の小さな棘の違和感を思い出させられたようで。
乗客の中に見かけたラビ(吉原光夫さん)に小さい頃に島に来て以来一切伏せていた出自を語ったあのジューイッシュの人(橋本さとしさん)が、短い場面だったのに強く心に残っていました。

言葉がわからずパニックになるアフリカ系の乗客(加藤和樹さん、森公美子さん)とは、お互いが持っている異言語の聖書の一説を指さすことで心が通じる一方で、ムスリムのアリ(田代万里生さん)に向けられるまなざしがどんどん敵意と憎悪を孕んでいくのも怖かったです。
彼が国際的ホテルのマスターシェフだとわかって皆の態度があっさり溶解するのだけど、そうじゃなかったら?という疑問が最後まで拭えませんでした。自分たちが認める価値観の中に身を置いていない異教徒だったらどういう扱いを受けたのだろうと。

アメリカンエアライン初の女性機長ビバリー(濱田めぐみさん)のエピソードはとてもわかりやすく、共感するところも多々ありました。
拍手が起きるような大きなソロナンバーがあったのは彼女だけだったと思います。このキャラクターに託したい思いが、脚本を書いた人にはあるのだなぁと思いましたし、2020年代のいまだからこそ大きな声で歌い上げても受け容れられるのだなぁと。
この場面が、このストレートな主張が、そっくりそのまま30年前に上演できただろうか、それが果たしていまと同じように受け容れられただろうかと。
時代性を最も感じたところでした。

緊急着陸した大勢の乗客たちを臨時の宿泊所まで移動させなければいけないのに、その日は折悪しくバスがストライキ中。
バスの運転手で労働組合のリーダーであるガース(浦井健治さん)の交渉相手はガンダー町長(橋本さとしさん)だったのでバスは町営なのかな。
いつもの朝の情景の時から町長はあまり相手にしたくなさそうだったけど、航空機の緊急着陸が決まってからはもうとにかくバスを動かしたい一心でガースにバスを動かすことを要請。
でもガースだって組合員の生活がかかったストライキをしているのだから簡単に「はい」とは言えない。

舞台を見ている私は、彼に早くストライキを中止して運行を承諾してほしいと思っていて、そんな自分の気持ちに気づいてとても怖かったです。
「緊急事態」とはこういうことなんだと。
個人の意思や願いが通らなくなる。周りを囲む1人ひとりからの圧力によって悪条件の労働を強いられても文句を言えなくなる状況になるということなんだなと。
皆とおなじ方向を向いていないと、コミュニティが「善」としたことを一緒にしないと、非難の目を向けられる状況なんだなと。

町長の要請を承諾したガースの本心はわかりません。使命を感じたのか渋々なのか。そこを深掘りするようには演出されていなかったので。見ていてわかったのは、そうするしかないと思ったのだなということだけ。
バスの運転手たちも、それぞれに誇りをもってやったかもしれないし嫌々だったかもしれない。いろんな人がいたのだろうなというのが私の想像です。

見知らぬ滞在者たちのために5日間寝食も忘れてありとあらゆるリソースを提供した人びとが称賛されるのは肯けますが、誰一人報酬を受け取りませんでしたと強調するのはどうなのかなぁと思いました。
レジオン(在郷軍人会)に属するビューラ(柚希礼音さん)をはじめ登場するパワフルな島民にとってはエキサイティングな5日間だったかもしれないけれど、皆が皆おなじ熱量ではないだろうなぁと、私はここに登場しない人びとのことを考えていました。

私自身の経験から思うのですが、島民たちのこれは「他所から来た人びと(カムフロムアウェイズ)」をもてなす文化だと思いました。「スクリーチイン」などまさに。
都人は喜んで享受するけれど、それで心をゆるして移住しようものなら関係は一変する。
客人をもてなす陰で透明化されている人びと(属性)が必ずいることを経験上知っています。

フレンドリーな島民のもてなしに心をゆるしてその流儀を容易に受け容れることができるケビンT(浦井健治さん)に対して、どうしても溶け込むことができないケビンJ(田代万里生さん)も小さな棘の一つでした。
たった数日で心を開くのが難しい人もいるでしょう。
蟠りなく溶け込めるケビンTはきっと育ちが良い人なんだろうなぁ。
でもケビンJのように露悪的な言動で自分を鎧わずには人前に居られない人もいる。人と人との関係をスイスイ泳げる人もいれば、うまく泳げず溺れかけてしまう人もいる。

突然投げ込まれた大海原でどうにか浮いているのが精いっぱいのケビンJはケビンTにそばにいてほしいのに、泳ぎが得意なケビンTは1人でどんどん遠くへ泳いで行ってしまう。
ケビンTにはその失望感はわからないんだろうなぁ。それは責められることではないし、その後一緒に遠泳できそうなロビン(加藤和樹さん)を新しいパートナーにしているのを「ああそうだよねぇ、それがいいよねぇ」と思いました。
あのあとケビンJはどうしたかなぁ。あの出来事を契機に心新たに幸せに生きていたらいいなぁと思います。

安否がわからず心配し続けていた息子がWTCの崩落で命を落としていたことがわかった人(森公美子さん)、互いに国籍も生活環境も人生観もちがっていてこの出来事がなければ一生出遭うこともなかったはずなのに終に人生のパートナーになった2人(安蘭けいさん、石川禅さん)、はじめは取材相手に舐められるくらいのヒヨッコだったのに激動の濃い5日間の取材を1人で担い成長を遂げた新人リポーター(咲妃みゆさん)とか。
登場する人物は皆人生観が変わる5日間を経験をして。
乗客たちは見返りも求めず親身にもてなしてくれた島民に感謝の念を抱きながら島を去って、そこから数年後、ニューファンドランド島に集っていました。

あのときの感謝を伝えるため、変わらぬ友情を確かめるため、そしてあの島での経験から得た人生観・価値観などをベースに築いていった自分の「いま」を報告し合うために。
そんな彼らの幸せな報告に「良い話だったな」と思いつつも、私の心の奥には小さな抜けない棘が残りました。
ここに集い、あの経験から得たものを肯定的に語る彼らは似通った社会通念(現代の西洋思想)を共有する人びとなんだなぁということ。
彼らには見えていない人びとがいるんだよなぁということ。
(9.11以来深まっていった断絶の要因がここにもあるなぁということ)

これは決して人と人のハートウォーミングな物語というだけでは終わらない作品だったのだと思います。
あえてなのかどうなのか、日本人に理解しやすくしたせいなのか、脚本にはたくさんの課題が散りばめられているにもかかわらず焦点が絞られ過ぎているように見えたのが残念だなぁとも思います。
観劇後に思い起こしながら、これはとてつもない情報量でたくさんのことを示唆し考えさせられる作品だったのだと思いました。

そして、ほんとうはこの豪華キャストを集めて演る必要はない作品なのではないかと思うのだけど、このキャストでなくては興行が成り立たないのが本邦のエンタメ界の現実なのかもしれないなぁとも思いました。

CAST

安蘭けい ダイアン/クリスタル/ブレンダ/管制官/パイロット/乗客/地元住民/町役場職員
石川 禅 ニック/ダグ/パイロット/乗客/地元住民/町役場職員/アップルトン住民/心臓専門医
浦井健治 ケビンT/ガース/パイロット/乗客/地元住民/ブッシュ大統領/町役場職員/心臓専門医/CBCリポーター/動物たちの声
加藤和樹 ボブ/ムフムザ/地元住民/管制官/パイロット/乗客/町役場職員/ブリストル機長/心臓内科医/ロビン
咲妃みゆ ジャニス/客室乗務員/ブリトニー(ウォルマート店員)/乗客(パーティーガール含む)/地元住民/ヒンドゥー教徒/動物たちの声
シルビア・グラブ ボニー/マーサ/管制官/パイロット/乗客/町役場職員/地元住民/ヒンドゥー教徒/AI Jazeeraリポーター
田代万里生 ケビンJ/アリ/ドワイト/管制官/パイロット/乗客/地元住民/町役場職員/心臓内科医/BBCリポーター
橋本さとし クロード/エディ/テキサス人乗客/管制官/パイロット/乗客/地元住民/ブレンダの兄/ダーム(アップルトンの町長)/ガンボの町長/ルイスポートの町長/心臓内科医
濱田めぐみ ビバリー/アネット/管制官/乗客/地元住民/町役場職員
森 公美子 ハンナ/マージ―/ミッキー/管制官/パイロット/乗客(パーティーガール含む)/ムフムザの妻/地元住民/町役場職員/イスラム人乗客
柚希礼音 ビューラ/ドローレス/管制官/パイロット/乗客/地元住民/町役場職員/税関職員
吉原光夫 オズ/ジョーイ/マイケルズ先生/ラビ/テリー/マッティ/管制官/パイロット/乗客/地元住民/税関職員/心臓専門医のリーダー/CTVリポーター

スタンバイ:上條 駿 栗山絵美 湊 陽奈 安福 毅

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2024/04/21

戦っていたの

4月14日に梅田芸術劇場メインホールにて宝塚歌劇雪組全国ツアー公演「仮面のロマネスク」と「Gato Bonito!!」を見てきました。

演じきった後の成長がたのしみ

全国ツアー公演ではありがちですが、柴田侑宏先生の作品を上演するには主要人物に役者が揃っていないなぁというのはやはり感じました。
恋愛巧者の主役の2人さえ出し抜くジェルクール伯爵の憎たらしいほどの自己評価の高さ「俺は出来る」感が、序盤の2人のやりとり(悪巧み)に説得力を与えるのだと思うのですが、ジェルクール役の咲城けいさんを頑張っているなぁと微笑ましく見つつ、いやいやいやこの役は「頑張っているなぁ」では期待値には届いていないんだなぁとも思いました。

2016/2017年に花組全国ツアー公演で2度上演された時は、主役の明日海りおさんより上級生の2番手(鳳月杏さん、瀬戸かずやさん)がいた頃だったので、いい塩梅にその二方がこのジェルクールに配役されていたんだったなとあらためて思いました。
とはいえそのほうが稀ではあるので、経験値の浅い人がいかにしてこの役をものにするのかというのが見ものでもあるのかなと思います。
臆せず自分の思う演技プランに沿って演じていると見えた咲城さんのポテンシャルは十分に感じられました。

彼女以外の下級生もおそらくここまでセリフがある役ははじめてなのかもと思える状態ではありましたが、このように実践で鍛えられるのが柴田作品の良さでもあるのかなと思います。お屋敷の下働きの3人組はこのツアーで芝居の間を自分のものにしていくだろうなと思いました。
この公演で卒業の千早真央さんが演じられるヴィクトワールはロベール(真那春人さん)とともにこの作品の要となる役で、2人の居方、眼差しがあるからメルトゥイユ侯爵夫人を多面的に見るきっかけにもなると思うので、卒業のその日まで役を深めて作品をより高めてほしいなと思いました。

私が観劇したのは初日から3日目。ツアー終盤のライブ配信ではどれだけ深化した芝居が見られるか、楽しみにしています。

2024年のいまだからこそ感じられた「仮面のロマネスク」

主役のヴァルモン子爵ジャン・ピエールが雪組2番手の朝美絢さん、ヒロインのメルトゥイユ侯爵夫人フランソワーズがトップ娘役の夢白あやさんという配役のバランスもあるのでしょうか、今回の「仮面のロマネスク」はなんだかいつもと違うなと思いながら見ていました。

法院長様(透真かずきさん)が自分の奥方を指して「これ」と言ったり、自分が留守のあいだ彼女をローズモンド邸に「預ける」と言うのを、「虎に翼」でいう「妻の無能力」の思想の一端だなぁと思ったりもしました。貞淑な妻とはこれを受け容れ弁えるのが当たり前で、トゥールベル夫人(希良々うみさん)もそういう人なのだろうなぁと。
いまの時代を生きているからこその目線で見ていたように思います。

ヴァルモンとメルトゥイユ侯爵夫人の「恋の駆け引き」感はそれほどでもなかった気がします。
お互い手玉に取りあっているという感じがあまりなかったというか、むしろ2人とも芯は真面目なんだなと。やっていることはあれですがどこかに一途さが見え隠れしていたような。
じゃあなんで2人はこんなことをしているの?と、いままであたりまえにわかっていると思っていたことがそうじゃないような新しい感覚の「仮面のロマネスク」だなぁという印象で、それはそれで面白く見ていたのですが、ラスト近くのメルトゥイユ侯爵夫人のセリフでハッとしました。
「私も戦っていたの」と独白する夢白メルトゥイユ夫人に。
このセリフの意味を今回ほどはっきりと感じたことはなかったなぁと思いました。彼女が何と戦っていたのかをこんなにはっきりと意識したのははじめてでした。

いままでは、それは仮面を被らないといられない彼女自身のプライドやおなじく本音を晒さないヴァルモンに対しての戦いのように漠然と思っていたのですが、「〇〇はかくあるべき」と縛り付ける世間とのあいだで駆け引きを挑み戦っていたのだとハッとしました。
女性は、既婚女性は、未亡人は、貴族は、(タカラジェンヌは)―――。
いまにも通じる戦いを彼女は続けていたんだなぁと、夢白メルトゥイユ夫人の誇り高い面(おもて)を見てそう感じました。

つねづね柴田先生は女性にやさしいなぁと私は思っています。
半世紀前の意味でいうところの「フェミニスト」。家父長制を大前提にしてその中で生きる女性に心を寄せ、彼女たちが生きやすい道を示そうとしてくれているのだなと感じます。
シャルドンヌ夫人(アルジェの男)やセシルの母ブランシャール夫人(愛羽あやねさん)のような弁えた年長の女性にどういう心持ちでいれば社会的無能力者とされる女性が苦しみ少なく心穏やかに生きられるかを説かせていたり、シャロン(琥珀色の雨に濡れて)やパメラ(フィレンツェに燃える)のような悪女と見做される女性の内心の純粋さを描いてみせて、そのように生きざるを得ない女性にやさしいなまざしを注いでいるように思います。

メルトゥイユ侯爵夫人もまたそういうキャラの1人だという認識でいたのですが、夢白メルトゥイユ夫人はこれまでとは違って見えました。
彼女は「そのように生きざるを得なかった」のではなく能動的に家父長制の価値観と戦っていた人だったのだと思いました。価値観に従ったふりをしながら壮絶に。
その覚悟をした人の顔だなぁと思いました。
2024年のいまだからこその視点を得て見えたものかもしれないし、演者もいまだからこそ湧き出づるものがあるのかもしれない。
おなじ脚本なのに演ずる人見る者のそれまでの積み重ねが、以前とは違うなにかを見せる。生で見ることに意味があるのだとしみじみと感じた演劇体験となりました。

美の圧に体感10分のショー

ショーは「Gato Bonito!!」。望海風斗さん主演で大劇場で上演された作品です。
生で見るのは初めてでしたが藤井大介先生らしさ満載でとても楽しかったです。

望海さんの時は相手役の真彩希帆さんともども「歌の圧」が印象的でしたが、この全国ツアーでは「美の圧」が凄まじかったです。
「私はマリア」で客席通路に佇む朝美絢さんにスポットが当たった瞬間、私が見たのは後ろ姿でしたが、その美しさに度肝を抜かれました。
ラテンの客席降りでは目の前で夢白あやさんと縣千さんが交差してあまりの美しき圧にどこを見るべきかと目が回り・・後になってなぜしっかりと網膜に焼き付けておかなかったのかと悔いることしきりです涙。
その後も美し過ぎるせいで人の心を煩わせてしまうことに悩む美しき猫様を堪能しあっという間に終わってしまいました。
楽し過ぎて美し過ぎて体感で10分のショーでした。
(もっと見て浴びていたかった―――!!)

お芝居もショーも余韻をかき集めてまたあの幸福感を欠片でも味わいたいと思える公演でした。
いまはただひたすらライブ配信を楽しみにしています。

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2024/03/20

ヒールで1マイル歩いただけでわかったと思わないで

3月16日に博多座にて山崎育三郎さん主演のミュージカル「Tootsie」を見てきました。
とてもクオリティの高い舞台でした。

女性とキャリアのリアル

悩みながら傷つきながらも目指すものに対して一生懸命で正直、自然体な感性のジュリー(愛希れいかさん)がいいなぁと思いました。
役者を目指すなかで心の支えだった恋人が子どもを欲しがり別れを選択したことを語るくだりはせつなかったです。キャリアを積む時期と出産適齢期が重なる問題、キャリアを積みたい女性にとって二者択一を迫られる現実、その選択は子どもを持つ持たないだけではなく様々な問題に派生し愛情関係の清算に及ぶこともある。
キラキラのミュージカルコメディ然とした作品ながら、こういうリアルな問題から目を背けていないのがこの作品に関わる人たちを信用できるなと思いました。

役者の性別と役の性別がちがってもいいよね?

マイケル/ドロシー(山崎育三郎さん)については、ふだん宝塚歌劇や歌舞伎を見ているので、役者の性別と役の性別がちがっても人気が出たならどんどんやればいいやん?って思いました。
(役柄にもよりますが新派の女形は女性の役者に混じっても素敵だと思います)
なので「女性から役を奪った」という理屈には頭が???となりました。じゃあ女性だったら誰が演じてもいいのかっていうと違うわけだし。
このあたりの感覚はアメリカのショービズの世界とはちがうのかなぁ。
ただ役者自身が自分の身体の性別を偽るのはダメだと思います。

女性として生きること

言えるのは、マイケルはしばしのあいだでも女性として生きたからこそ気づいたことがいろいろあったんだなということ。
男性として女役を演じたのだったらこの気づきはなかったと思います。
そこにこの作品の面白さがあるのだと思いました。
女装して女性として存在していると相手に寄り添った考え方ができたのに、素の男性にもどると相手に対する認知が歪むのが不思議だなぁと思いました。マイケルに限らずロン(エハラマサヒロさん)もマックス(おばたのお兄さん)もですが、男性でいると目の前の人の意思を無視して話をすすめるようになるのはどうしてだろうと思いました。3人とも男性像としては、ちょっとステレオタイプに描かれ過ぎなのかもしれませんが。

サンディの生きづらさ

サンディ(昆夏美さん)は混乱しているなぁと思います。
一度インプットしたら上書きができなくて人生が大変になってしまっているみたい。俳優になる夢も人生のパートナーも。とっくに「これじゃない」と判断を下す段階は過ぎていると思うのに。それができないことが彼女自身を生き難くさせているみたいだなぁ。
さいごにマイケル以外の男性の魅力に気づいたことで、世界の見え方が変わったかな? これまでの自分の人生を踏まえ肥やしにして、幸福だと思える人生を歩めるといいなぁと思いました。なぜか応援したくなるキャラでした。

こんなふうにショービズの世界のみならず、現代にリアルにある問題を考えさせられる脚本はいいなぁと思いました。
変にストレスを感じることもなくて、ストーリーに没入できたのが満足度の高さに直結した気がします。

CAST

マイケル・ドーシー/ドロシー・マイケルズ(山崎育三郎)
ジュリー・ニコルズ(愛希れいか)
サンディ・レスター(昆 夏美)
ジェフ・スレーター(金井勇太)
マックス・ヴァン・ホーン(おばたのお兄さん)
ロン・カーライル(エハラマサヒロ)
スタン・フィールズ(羽場裕一)
リタ・マーシャル(キムラ緑子)

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2024/02/22

たゆたえども沈まず

2月15日に宝塚大劇場にて花組公演「アルカンシェル」~パリに架かる虹~を見てきました。

観劇直後は唖然とするばかりでしたが、これはちゃんと怒るべきなんじゃないかと思えてきました。
この脚本にGOサインを出してしまう(出さざるを得ない?)、そこに宝塚歌劇を危機たらしめている要因が潜んでいるのではないかと。
なかったのは時間? それとも別の何か?

わざわざ「ドイツ占領下のパリ」~「パリ解放」という特殊な時代を物語の舞台に選んでいるのだから、密告、猜疑心、自己保身か正義かの葛藤など、極限状況で揺れる感情や人間模様を丁寧に緻密に描かないと意味がないと思いました。分断や集団による私刑を招く群集心理も。
そこからいまにも通じる普遍的な人間の有り様、人間の尊厳や崇高な魂を見出すことができたら素晴らしい観劇体験になっただろうに。
なぜこうなってしまったのだろうと思いました。

フリードリッヒの当事者意識のない能天気さ

永久輝せあさん演じるフリードリッヒ・アドラーは、ホーゼンフェルト大尉(WW2中にユダヤ系ポーランド人ピアニストのシュピルマンらの命を救うも終戦後にソ連の強制収容所で死去したドイツ人将校)を念頭に創作されたのかなと思ったのですが、このお気楽さはなんなのだろうと呆然としました。

「エンターテインメントは世界をひとつにする」をお題目に、ナチス上層部を欺いて禁止されているジャズを上演するように柚香さん演じるマルセルたちに提案しますが、自分が当のジャズを禁止しマルセルたちパリ市民を苦しめているナチス政権下のドイツ将校(文化統制官)である自覚のないこと、ディートリッヒの亡命を語る時の軽さにしても、戦争も虐殺も自分には関係のないところで起きている他人事のように認識している人物でした。
ただただ自分が好きなエンターテインメントをやりたいだけの人物。そのためにマルセルたちに危険を冒させることにも無頓着。
キラキラしたスローガンで情緒的に訴えるやり方は薄ら寒ささえ感じました。

そのフリードリッヒの提案というのが、表向きはウィンナワルツのショーを上演していることにして、実際にはジャズの演目を上演するというもの。
そのために並行して2つのショーを構成・制作し、両方のショーができるように稽古をし、ナチスの前ではウィンナワルツを、それ以外ではジャズの演目を上演するという、思いつきはイージーだけど上演する側にはハードなもの。
これが露見すればどうなるか。相手は収容所送りや拷問もするナチスです。

フリードリッヒがマルセルたちにジャズを上演するよう説得する時に、「占領下のパリで観客の多くを占めるドイツ兵が求めているのはジャズだから」と言っていたことにもフリードリッヒの人間性を疑いました。
マルセルたちがどういう状況下に生きているかを理解していたらこういう言い方はできないでしょう。
フリードリッヒをとことん馬鹿に描こうとしているのか、もう訳が分かりませんでした。
そしてこの提案にのるマルセルたちもよくわかりません。
マルセルの側にそこまでしてもジャズを上演したいという動機があるように描かれていないので。

マルセルたちがジャズに自分たちの自由精神を託してなんとしてもやりたいと、表現者として手段を考え、それにフリードリッヒが協力する設定ならわからなくもないですが、あくまでフリードリッヒ主導なのが、その彼が自分の立場の自覚もなく、万一発覚した場合はどのような手立てがあるのかについての言及もなく、とてつもなく能天気なのが「どうゆうこと?」でした。

作品の見せ場として『ウィンナワルツのショーを上演する体でジャズショーを上演し、軍幹部の入場を知るや急遽ウィンナワルツに変更というスペクタキュラーな展開の場面を作る』のが目的なのかな?とも思いましたが(そうなら見てみたかったりはしたのですが)そういう場面はありませんでした。

加えて、彼のアネット(星空美咲さん)への積極的すぎるアプローチも疑問でした。
まともな大人なら、占領側のナチスドイツの将校である自分が被占領側の女性と特別な関係になるとはどういうことか、彼女がどういう目で見られるか考えられるはずなのに、その視点がないこと。彼女に対して本気であれば葛藤があると思うのにそれもないのかと。
自分のことしか考えられない、いつまでも大人になりきれていない人物なんだなと。ラストの言葉も含めてそう思いました。

占領下のパリで、人を踏みつけにしている側である自覚もなく(つまりナチスドイツに些かの非も感じていない)、自分に悪意がないから踏みつけにしている相手からも受け容れられると信じて疑わない様子も、虐げられている人びとの中から1人だけをピックアップして救出する残酷さの自覚もない、その独善さに何度も抵抗を感じました。
このキャラクターを「いい人」と描く脚本に疑問を抱かずにいられませんでした。

歴史的事実を軽んじていること/茶番が過ぎる

偽ってジャズをやっていることはすぐに発覚し、フリードリッヒは降格の上前線の任務に。
劇団は無期の公演中止でマルセルはSSによる厳しい取り調べ(拷問)を受け、星風まどかちゃん演じる花形歌手カトリーヌは交換条件をのまされて無理やり単独ドイツ本国に巡業へ。劇団員の1人ぺぺ(一樹千尋さん)は言動をとがめられて思想犯として子どもを残して強制労働収容所送りに。
結果はかくも悲惨です。

フリードリッヒの計画は最初から能天気すぎるし、占領軍を欺いたことが露見すればこうなることは当然予測できたことですが、にもかかわらず「のった俺たちもわるかった」と『フリードリッヒ無罪』みたいなダニエル(希波らいとさん)の軽いエクスキューズも含め、なんだこの茶番は?と思いました。
親を連行された少年イブ(湖春ひめ花さん)に対する周りの態度も鬼かと思いました。「思想犯として収容所に送られる」ということがどういうことか、歴史的事実の認識が軽すぎて容認できませんでした。
さらにその後のぺぺ救出茶番劇には、こんな描き方がゆるされるのかと疑問でいっぱいになりました。

公演中止が解かれたのち、一座の花形カトリーヌを失った劇団はアネット(星空美咲さん)を中心に華やかにラテンショーを上演。ジャズは禁止だけどラテン音楽はOKなんだそうです。
えーそうなんだ、あの危険極まりない無謀なジャズの上演とはなんだったのか状態です。
あれだけのことを引き起こしておきながら、どうしてもジャズでなければならなかった理由付けが弱すぎだと思います。

さらにナチスがジャズを解禁すると、それをフリードリッヒが自分たちの勝利のように言うことも、ちょっと待った、と思いました。
ナチスは彼らに屈したのではなく、ジャズの人気が侮れないことを察知してプロバガンダの喧伝に利用しただけ。いくらフィクションでもそこは曲げてはいけないと思います。
エンターテインメントをプロバガンダに利用するのに長けていたのがナチスドイツだし、日本においても宝塚歌劇が戦争に利用されていた時代もあるくらい。
能天気な「エンターテインメントは世界をひとつにする」は危険で害悪だと思います。

プロットをなぞるだけの2幕/占領下のパリの人々の解像度の低さ

1幕のあいだはまだ華やかなレヴューシーンや柚香光さん&星風まどかさんのトップコンビの美に目が喜んでもいたので、これを2幕でどう収拾するのだろう? フリードリッヒの背景や事情を知ったら納得できるのかも? などと思ったのですが、期待は裏切られ・・2幕はプロットをそのまま、なにも肉付けせずに見せられているようでした。
時間が足りていなかったのは間違いなさそうです。

なぜ上手く事が運んだのか、どんな葛藤がそこにはあったのか、主人公まわりの人々(劇団員たち)はそれぞれどんな背景をもつ人々でそれぞれに何を考えてそういう行動をしているのかの描写が二幕を通じてありませんでした。
レジスタンスに入るかどうか1つとっても人それぞれに葛藤や背景があるでしょうに。まるで部活の勧誘のような軽さで、露見したら拷問や収容所送りになるかもしれない重い決断であることも伝わってきませんでした。
ドイツに協力的な人、そうせざるを得ない人、反独感情が強い人、ユダヤ人への感情などさまざまな人がいるはずなのにそれもわからない。
そもそもなぜ彼らは占領下のパリにいるのか、パリを離れる選択だってできたはずなのに。家族は恋人は。
せめてアルカンシェルのダンサー役の帆純まひろさん、希波らいとさん、美羽愛さんくらいにはストーリーがあっていいんじゃないのかな。
せっかく見た目は目立っているのにもったいないと思いました。

パリ解放に至っても一様に喜ぶのっぺりとした人々がいるだけになっていて、あえてこの設定にする意味があったのかと疑問でした。
パリ解放後の対独協力者への私刑(特にドイツ兵の恋人を持った女性に対して)を知っていれば、アネットはもちろんカトリーヌも無事だったのかと心配になるのは当然だと思うのですが、その後についてはなにも触れられず、ハッピーエンドでめでたしめでたし。
人々が苦難を強いられた時代背景を拝借して実相とはかけ離れた安易な世界観で描くことに嫌悪感がありました。
積み重ねてきた歴史や命の重みを疎かにしていること、しかもこのやっつけ感に憤りを覚えました。

好きだったところ/まどかちゃんのドレス姿と役

柚香光さんのピエロのマイムはもっと見ていたいほどでしたし、このスーツ姿と完璧な後頭部も見納めかと思うとせつなさでいっぱいになりました。
星風まどかちゃんのお芝居の衣装は過去最高に好きでした。腰高で細いウエストに高い胸の位置、ゴージャスなまどかちゃんの体型にぴったりで。やっとまどかちゃんの美しい肢体にフィットしたドレス姿が見れたと嬉しかったです。
柚香さんとまどかちゃんが向き合っている横からのシルエットが美しくて愛おしかったです。
そしてまどかちゃんの役が、人生に仕事に責任をもって生き、愛し苦悩するカトリーヌという自立した女性だったのもエモーショナルでした。何か(誰か)に巻き込まれる役やキャンキャンした役が続いた頃もあったのに、見事に大人の女性の役で卒業するのだなぁと。

つくづくこんなにセンシティブで難しい時代設定でなくてもよかったのになぁと思えてなりません。
せめて占領下のパリでレヴューの火を絶やさないように奮闘する人々のお話ではだめだったのかなぁ。
永久輝さんは潜伏するレジスタンス運動家でエトワール歌手をめざず星空美咲さんと恋に落ちる設定とか。
もしドイツ人を絡めるなら、若いドイツ兵と淡い恋に落ちる美羽愛ちゃん、相手のドイツ兵は若手のたとえば希波らいとさんとか・・。(お2人が可愛くてとても目立っていたのにストーリーがなかったのがとても残念で・・)
ジャズやシャンソンなどあの時代ならではの音楽や歌でをふんだんにちりばめ、苦難の時代に屈しない人々の群像劇だったらなぁ・・(妄想)。

ともあれ東京公演では良くなっていることを切に願っています。

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2024/02/04

ホームズは生きていた

2月1日に東京宝塚劇場にて雪組公演「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」「FROZEN HOLIDAY」を見てきました。
昨年の11月に宝塚大劇場で見るはずの公演でしたが、中止になってしまったので1回限りの観劇になりました。

生田先生、アタマ沸いてる?

作者のコナン・ドイルと架空のシャーロック・ホームズの対話という興味深い発想に期待して見た「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」は、生田先生アタマ沸いてる?という作品でした。
このかんじ、「Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜」の時と一緒だ・・期待が大きいとこうなるんだ・・涙。
生田先生の作品解説がすこぶる刺さって甚大な期待で見てしまい撃沈・・このパターンを何度か繰り返しています。
着眼や発想は面白そう!とっかかりも面白い!・・けれどいつしか行方知れずの迷作に・・迷い込んだ感覚に陥ってしまう。
今回、ポスターもプログラムも刺さりまくったためにその感覚が大きいです。
生田先生は自分ひとりで散々楽しんで、アウトプットする頃には飽きてしまうのかしら・・。

ルイーザやばいよ?

受け容れ難かったのは、過剰に妻にケアされて当然なドイルの感覚です。
妻ルイーザのあのテンションは心を病んでいるんじゃないかと思いました。
ひたすらドイルのことばかりに一生懸命で、彼を鼓舞するためにつねにハイテンションで明るく振舞い、彼ができない出版社との交渉にも出かけて、アルコール依存症で施設に入所しているドイルの父親にも会いに行き心を尽くす。そんな場面が次から次に織りなされていて。
家族的な幸福に恵まれなかったドイルの願いを知っているから。彼が医者であることより作家になりたいのを知っているから。本当に書きたいのはホームズシリーズではなく歴史小説なのを知っているから。
・・なのでしょうが、それにしても自分のことは一切捨て置いてドイルの希望を叶えることばかり。
いったいどうして?と思わずにいられませんでした。彼女の心の中には得体の知れない不安が巣食っているように見えました。まるでドイルの落ち込んだ顔を目にすることに強迫観念があるみたいに。
この人(ルイーザ)やばいよ・・?と思いながら見ていました。
いつかプツンといってしまうよ・・と。
(劇中で彼女自身については、日常のこともバックボーンにも一切触れられていないのも疑問でした)

精神がプツンといってしまう前に、ルイーザは病(結核?)に倒れてスイスに療養に行くことになりましたが、そこでもケアされるのは彼女ではなくてドイルのほう。
ドイルは彼女を療養させる資金は出しているのかもしれないけれど、彼女の心身のために何一つするではなく、反対にチアされてホームズシリーズを再開させる。
それがうまくいってルイーザの病気も完治して手を取り合って大団円??でしたが、これはもうドイルの妄想の世界だよねと思いました。
ルイーザが亡くなったことを認められない最後まで身勝手な人だったんじゃない?と。

家族に対してもおなじで、自分がほしかった家族的な幸福を再建するために豪華な容れ物を用意して、個々の気持ちはおかまいなしに呼び寄せようとする。
彼の夢を邪魔するでもなく自分の人生を生きている母親の立場も考えずに。

コンポジションは観客にお任せ

『現実を生きている人びとや、目の前にいる妻のこともまともに見もせず、対話もできず、妄想の中に生きているコナン・ドイル』を描きたい作品だったのかな?
シャーロック・ホームズたち、妻、父母、妹たち。物語を面白くしそうなピースをあちこちに置くだけ置いて、コンポジションは観客にまかせるパターン?
作者が散々ひとりで楽しんだ玩具を、ハイッどうぞ!こんどは君が好きなように楽しんでね!と渡されたようなそんな感覚になった作品でした。
役者も物語のピースも私には魅力的だっただけに戸惑いが大きいです。
(プログラムの彩風咲奈さんのドイル、どれもこれも好きです)
(次の作品解説にもまたわくわくして、こんどはと信じて見に行ってしまうんだろうなぁ)

「FROZEN HOLIDAY」

「FROZEN HOLIDAY」は雪組らしいピュアで美しいショーでしたが、雪に覆われた館のホリデーシーズンという縛りが強すぎて、各スターのもっと別の魅力も見たかったなぁと思いました。
時空を飛び越えてアジアンテイストな春節などもあったらよかったのになぁと。
夢白あやちゃんのいちごのショートケーキみたいなドレスがとても可愛かったです。
和希そら君の空気を操る感じが素敵でした。卒業さみしいです。

CAST

アーサー・コナン・ドイル(彩風咲奈) シャーロック・ホームズシリーズの作者
ルイーザ・ドイル(夢白あや) アーサー・コナン・ドイルの妻
シャーロック・ホームズ000(朝美 絢)ドイルの書いた小説の主人公
ハーバート・グリーンハウス・スミス(和希そら) 「ストランド・マガジン」の編集長

チャールズ・ドイル(奏乃はると) アーサー・コナン・ドイルの父
ヘンリー・シジヴィック(透真かずき) 心霊現象研究協会の現職の会長
ウィリアム・ブート(諏訪さき) 「ストランド・マガジン」の副編集長
ロティ・ドイル(野々花ひまり) アーサー・コナン・ドイルの妹
ミロ・デ・メイヤー教授(縣 千) 心霊現象研究協会に招かれてやってきたフランスの催眠術師
ビアトリス・エリザベス・B・ハリスン(音彩 唯) 「ストランド・マガジン」の編集部員
アーサー・バルフォア(華世 京) アイルランド問題担当大臣、心霊現象研究協会の会長

 

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2024/02/03

怪盗紳士現る!

博多座にてミュージカル・ピカレスク「LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」の1月22日初日と24日マチネ、そして28日千穐楽を見てきました。

豪華なキャストとスタッフによるライトなエンタメ

華やかな出演者+小池修一郎×ドーヴ・アチアによる新作ミュージカル、果たしてどのような作品になるのかと思いましたが、豪華な演者とスタッフによる遊び心満載のライトなエンタメというかんじの作品でした。
名場面やあっという仕掛けがあるという訳ではなく、演者のパフォーマンスを愉しむ趣向で面白かったです。
「純潔」連呼とか女性参政権運動の描写などは感覚が古い気がしてどう受け止めたらよいのか戸惑うところもありました。

私は古川雄大さん目当てで見に行ったのですが、私が見たかった古川君とはちょっと違ったかな。ミステリアスなゴシック・ロマンス的な雰囲気を期待していたのです。ご本人はとても楽しそうに演じられていて、だんだんと見ている私も愉しくなりました。
ほかの演者の皆さんも楽しそうで、これはそういうところを面白がって見る作品なんだなと思いました。

真彩希帆さんのクラリス最高

劇中でいちばんツボだったのは、真彩希帆さん演じるクラリスです。
3階から躊躇なく飛び降りたり、自分をめぐって美男2人が戦うのを目を皿のようにして見物してたり、特段活躍したわけでもないのに「財宝は君のものだ」と言われたら遠慮なく受け取っているのも、挙動のいちいちがツボにはまってしまって、クラリスいいわぁと思いました。
なにより彼女には未来に目的があるのがいいなと思いました。夢を叶えるにはお金が必要なのです。
ロマンスを夢見たりもするけれど恋愛依存ではなくて、自ら責任のあるポジションに就いて自分の人生を歩んでいるのが凄く好きでした。
原作とはちがってこのクラリスなら長生きしそう!きっと幸せになりそう!と見ていて楽しくなりました。
どのみちルパンはアバンチュール(冒険)をやめられないのだから、クラリスも自分がやりたいことに夢中になるのがいいよねと。
真彩希帆さんの明るい個性が活きている役でした。もちろん歌は抜群。

柚希礼音さんと真風涼帆さんのカリオストロ伯爵夫人

カリオストロ伯爵夫人ことジョジーヌ役は柚希礼音さんと真風涼帆さんのWキャスト。
柚希ジョジーヌは博多座公演は初日の1回のみの出演でチケットが手に入るかドキドキでしたが、幸運なことに見ることができました。
スワローテールを翻してルパンと踊ったり、ドレス姿でルパンにタンゴを教えたりするミステリアスな悪女で、華と存在感が半端ないちえさん(柚希さん)にピッタリの役だなぁと思いました。柚希ジョジーヌを見終わった後は、同じ役を真風さんが演じるのが想像ができないなぁと思ったのですが、真風さんは真風さんでまったくタイプの異なる色香の漂う魅惑的なジョジーヌでした。
柚希ジョジーヌはモーションが大胆でどこにいても目を惹くセレブリティなかんじで、真風ジョジーヌはどの角度から見てもエレガントなマダムな雰囲気がありました。
なにより2人ともとても大部屋俳優には見えません。ゆえによくも化けおったなぁと思いました。才能ありすぎ笑。

立石俊樹さんのボーマニャン

「世界をこの手に」と歌ういかにも小池作品の悪役らしいボーマニャンは博多座では立石俊樹さんがシングルで演じていました。
キャスト発表の時にいちばん驚いたのがこのボーマニャン役のお2人(もう1人は黒羽麻璃央さん)でした。ルパンよりずっと年上なイメージがあるボーマニャンに若手俳優さんがキャスティングされていたので。
ですが舞台を見ていたらすでにルパンは怪盗紳士として世間に名を馳せている設定だったので(20歳そこそこの若造ではない)合点がいきました。
小池作品らしく、古川ルパンの美しき敵役がボーマニャンという設定なんだなと。
立石俊樹さんは去年の「エリザベート」のナルシスティックに悩めるルドルフ役がお似合いの役者さんという認識だったので、ボーマニャン役で躊躇のない悪役を活き活きと演じられていてさいしょはびっくりしました。
さらにどこから湧いて出たのか怪しい手下たち(黒鷲団)を率いて「俺はルシファー 神に見放された・・」と歌いだしたときは、どどどうした?!と頭がついていきませんでした。いきなりそんなあなた。いったい過去に何があったのかと彼の過去が気になりすぎて初見はその後のストーリーを見失いかけました。
全編を通してかなりクラリスに執着はあるのだけど、でもそれは恋とか愛情とかではなさそうで、ではなぜ?と私なりに考えた結論としては、自分が大好きゆえにクラリスが自分を選ばない現状が受け入れられないのではと。そのクラリスが選んだ相手であるがゆえにルパンに対する敵対心も強烈なのかなとも思いました。自分をないがしろにするルパン(認知のゆがみ)を叩きのめさないと生きていられないのかなと。
エギュイーユ・クルーズでの古川ルパンとの決闘シーンはとてもカッコよくて見入ってしまいました。うん、絶対にあるべきシーンだなとしみじみ思いました。古川雄大さんと立石俊樹さんがキャスティングされている意味をしっかりと回収していたなと。
ボーマニャンが行動してくれなかったらクラリスの愛よりアバンチュール(財宝発見と伯爵夫人の誘惑)に奔った挙句にまんまとしてやられて無様を晒すところだったルパン。歪で華やかな敵役として、主人公の面目を保つ役割を果たしたボーマニャンは最後まで良い仕事をしていたと思います。

加藤清史郎さんのイジドールと小西遼生さんのホームズ

イジドール・ボードルレ役の加藤清史郎さん、非の打ち所がない良い役者さんでびっくりでした。
歌も良いし間も良いしセリフも明瞭だしすばしっこい身のこなしも・・ホームズ役の小西遼生さんとガニマール警部役の勝矢さんとの連係プレーもいつも面白くて信頼を寄せて見ることができる役者さんに出遭ったなぁと脳内メモリに記録しました。
小西遼生さん演じるシャーロック・ホームズは、ルパンシリーズに出てくるホームズ(ショルメ)よりかはドイルの原作に近い気がします。ベーカー街221Bのワトソンに電報を打っていたりしてましたしコカイン常用など本家のホームズに通じる符号が。自分を出し抜く悪女に惹かれるところも本家ホームズっぽいかなぁと思いました。
でもおマヌケなかんじは本家とは別物で、いつのまにかイジドール君とコンビとなっていて面白かったです。ルパンを永遠のライバルと見做して自らの女装についてもルパンとのクオリティの差を検証しているところとかも小西さんがいい味を付けていてくすりとさせられました。
クラリスとルパンの愛の抱擁を阻む自分勝手な決闘宣言も、クラリスといっしょに『え?』となりました笑。でもたしかに見たいルパン対ホームズ笑。本家ではボクシングにフェンシングの名手で日本武術にも通じているし、ルパンもボクシングと日本武術の使い手ですしね。
ルパンが主役だから勝利はルパンのはずと見ていたら、いいかんじに投げ飛ばされて・・大団円への布石、古に張られた仕掛けを回収という超重要な役割を果たすんですね。毎回ちゃんとあの位置に飛ばされるの凄いなぁと感心しました。

古川雄大さんのアルセーヌ・ルパン

古川雄大さんのルパン、登場は腰の曲がった考古学者のマシバン博士で声もおじいさん、デティーグ男爵家の夜会ではアメリカ帰りの実業家ヴァルメラで若干声が高めなキザ男、アジトでの本名のラウール・ダンドレジーの時はピュアな青年のよう、赤毛の新聞記者のエミールは腕まくりのあまり冴えない風貌で、カンカンダンサーのアネットの時は声もうんと高くてしぐさも可愛い女の子になりきり、そして伯爵夫人の誘惑をためらいもなく受け入れるアルセーヌ・ルパンといくつもの顔を見せていました。
母親のアンリエットのような清廉な令嬢タイプを前にした時だけ、クラリスが感じた少年のような純粋な人格が顔を出すのかも。とはいえアルセーヌ・ルパンの人格でいる時間の方が長いし、それ以外のさまざまな人格にも変貌してしまうし、ラウールでいる時間はほんのつかの間のような・・。
このルパンとクラリスが今後もおつきあいするなら、そのつかの間を愛して、それ以外の時は自分がやりたいことに夢中になっていたほうがクラリスらしくいられるよ、とおせっかいなことを思いました。
ルパンもきっとそんなクラリスが好きだよねと。アバンチュール(冒険)は絶対にやめられそうにないから。
クラリスもルパンの女装にすこぶる協力的だったり(彼が歌えないキーを舞台裏で歌ってあげてるし)、面白いことには前のめりですよね笑。ルパンの冒険譚も面白がって聞いていそう。悲劇が似合わない2人でとても素敵だなと思いました。

その他キャストと千穐楽カーテンコール

そういえば、フレンチカンカンの場面、女性参政権運動のご婦人方とフレンチカンカンのメンバーを合わせると女性キャストの人数が足りなくない??と不思議に思っていたところ、カンカンに男性キャストも混じってる??と気づいたのですが、女性参政権運動のご婦人方にも男性キャストが混じっていたんですね。いやちょっとそんな気配は感じていたのですが・・汗。
カッコイイ黒鷲団にも女性がいて、皆さんなんでもできて素敵だなと思いました。
そして20世紀騎士団は良いお声の持ち主にしかボーマニャンさんの入団許可がおりないのかなと。秘密のお話のはずなのに皆さん声が通り過ぎ・・笑。

千穐楽のカーテンコールでは最初から客席スタオベで、挨拶が長くなることを見越して古川君が着席を促したら、その横でぺたんと舞台上に座ってニコニコ古川君を見上げていた真彩希帆さんと小西遼生さんが可愛かったです笑。こんなお茶目ができる雰囲気のカンパニーなんだなぁと思いました。
そして千穐楽の1月28日はクラリスのパパ、デティーグ男爵役の宮川浩さんのお誕生日で還暦を迎えられたそうで、カーテンコールでは舞台と客席の皆でバースデーソングを歌いました。
宮川さんが帝劇の舞台に初めて立ったのが36年前、古川君が生まれた年だそうです。今年生まれた子が帝劇の舞台に立つまで自分も舞台に立ち続けると古川君が決意表明をされていました。
そんな古川君曰く『エモい』お話の流れから急に話しを振られた立石君、宮川さんへの思いをしっかりとお話されてて古川君的には苦笑だったようでした。(突然だから辞退されると予想されていたようです)
古川君のツッコミもよくわかってないようで場を『かっさらって』いた立石君、さすがだなぁと微笑ましかったです。舞台ではあんなに闇落ちしているボーマニャンを演じていた彼の素の雰囲気、そして宮川さんへの思いを知れて個人的には嬉しかったです。
こんなに和気あいあいとしたカンパニーで何か月も過ごして来られたのだなぁと思いました。

博多座の後は公演最終地で古川君の故郷でもある長野での公演が控えています。
公演日程発表時には長野公演に行く計画も立てたのですが、あれよと言う間に完売で諦めました。(真冬の公演でなければもっと真剣に計画したのに・・と思っていましたが長野公演千穐楽の配信が発表されて良かったです)
佳き大千穐楽を迎えられますように。

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2024/01/23

ナートゥをご存知か?

1月16日と17日に宝塚大劇場にて星組公演「RRR×TAKA”R”AZUKA~√Bheem~」「VIOLETOPIA」を見てきました。

暁ラーマ事変

暁千星さん演じるラーマがカッコよすぎて大変です。
歩き方、体重の乗せ方、肩の上げ方下げ方、少し振り向く時、髭眉毛額後頭部横顔脚胸板、私の喜びのツボをすべて圧していかれる感じです。
どの動きも隙の無いソルジャーなのにビームといるときだけはラフなお兄さんなのも素敵です。
険しい表情の時と甘い瞳のギャップも危険です。
弓を弾く暁ラーマに射抜かれとどめを刺されました。
暁千星ラーマ事変です。
(自分で何を言っているのかよくわからない)

「Dosti」の尊さ

「Dosti」の尊さはその後の展開を知ればこそ。
2回目の観劇では泣きました。
諸行無常。
1回見た後だと礼真琴さん演じる“あの超人的なビーム”がラーマ兄貴に懐く姿がよりいっそう愛おしくなりました。
(礼さん相手に兄貴ぶっている暁さんがたまらないと騒ぐもう1人の私がうるさくて大変)

圧巻の「コムラム・ビーム」

礼さんビームが歌う「コムラム・ビーム」は圧巻でした。
表現力に震えました。
鞭打たれるたびに体を震わせ、あの体勢で、どうしてあんなに歌えるのかと。
ラーマの真実を知って覚醒後の長槍を投げる構えは、それだけで類稀な身体能力がわかる完璧な美しさでした。

天晴れの宝塚化

映画を見て、その綿密な脚本力とそれをなんとしても映像化しようとする強烈な意志に驚き、果たしてこれをどう舞台にするのだろうと思っていましたが、宝塚歌劇ならではの舞台美術・技術、そして演者の能力をもって見事に「宝塚化」したなぁと思います。

ビーム役の礼真琴さん、ラーマ役の暁千星さんの身体能力、歌唱力は言わずもがな。
冒頭のWATERRR男女の希沙薫さん水乃ゆりさんのダンスで「これは宝塚のRRRなんだなぁ」と印象付けてからの、深い森に心地よく響くマッリ役の瑠璃花夏さんの歌声で一気に心は「RRR」の世界へ。

スペクタクルな場面を水と火の群舞で表現されているのも、タイミングを計算された電飾もわくわくさせられました。
SINGERRRの美稀千種さんと都優奈さんが本当に良い仕事をされていて「RRR」を見ているのだという気持ちが盛り上がりました。
映画でビームとラーマの属性がそれぞれ水と火であったように、水と火それぞれのダンサーたちが2人の登場に合わせて心情や情景を表現するのも見応えがありました。
WATERRR女の水乃ゆりさんの優美で涼やかな表現と、FIRRRE女の鳳花るりなさんの目力のある力強さが対照的で目を引きました。

「インドの誇り」は薄め

映画で強く感じた「インドの誇り」は宝塚版では薄めに感じました。
映画ほどスコット総督(輝咲玲央さん)は憎々し気ではないし夫人のキャサリン(小桜ほのかさん)も残酷ではないので、英国の統治下で虐げられるインドの人々の印象が薄いからでしょうか。のちにインド独立運動の英雄となる2人の前日譚という印象はほぼないかなと。

「ナートゥ」の場面は映画では、白人の価値観が唯一無二で世界を統べるとばかりに得意げに西洋のダンスを踊って見せ、それを知らないインド人を貶める英国人に対して、自分たちの踊りで彼らの度肝を抜いて周囲を席巻し相手側の英国人女性たちの称賛の的になるという、英国に対するインドの誇りと高揚(とてもホモソーシャル的な勝利)が描かれているなと思いましたが、そこもふんわりになっていたように思います。
ビームを侮辱するジェイク(極美慎さん)の描かれ方が英国紳士の可笑しみを纏う憎めないやつ(というかむしろ愛すべきやつ)になっていることもあり、宝塚版では英国人全般の印象がそれほど悪くないのだと思います。ジェニー(舞空瞳さん)はもちろんだし。

そして上記のようにスコット提督夫妻がそこまで悪辣に見えないので、インドを支配する大英帝国の象徴であるスコット提督とその軍隊を相手に戦う2人というよりは、マッリという少女を救出するため個人的に共闘する2人という意味合いに変貌していました。
(ビームを主役においてラーマの過去がばっさり割愛されているのでそうなるよねと思います)
宝塚版でいちばん憎々し気なエドワード(碧海さりおさん)でさえもやっぱり憎めず「ほうほう言いよるな」とすら思ってしまうのは私がヅカファンゆえですかね。(さりおちゃん良いなぁ~としみじみ思ってました)
やはり全体を通して映画ほど残酷な場面がないからですよね。きっと。

「RRR」に嵌った俄か者の戯言

映画で個人的にツボだった場面がほぼすべて割愛されていたのはしょうがないかなぁ。しょうがないよねぇと思います。
水と森と大地とともに生きるゴーンド族のビームがそのへんの薬草でなんでも治してしまうのとか、ジェニーが話す英語がわからないところとか、虎さえ倒すビームがやたらと可愛いところのすべてとか。

映画では偽名を使って潜伏するビームを親身になって居候させ、ともに逃亡もしてくれる(ビームを当局に売るほうが簡単だし利益になるにもかかわらず)親切なムスリムの親方とその一家が描かれていましたが、宝塚版ではその親方(大輝真琴さん)とその一家がムスリムの装束ではなかったのが気になりました。
毒蛇の解毒もゴーンド族のビームよりも心得ていそうだし、やはりあの親方一家はムスリムではない設定なのかな。
ビームを匿うのがムスリムの人たちであることに意味があると思うのでその設定はなくしてほしくはないのですが。

それとシータがビームたちを助ける場面やラーマ王子とシータ姫の祠の前に腰かけるシータの場面がとても好きだったのですが(ようはシータが大好きだったんです)、ラーマを主役にしていないので割愛されてもしょうがないのかな。しょうがないとは思いつつもっとシータ(詩ちづるさん)に登場してほしかったのでした。
3時間の映画を1時間半の舞台にするのだから諦観大事。。

「映画を見ておいた方が宝塚版をより楽しめますよ」とアドバイスを受けて、そのためにだけに見たつもりなのにあまりにも緻密にできた脚本に目を瞠り、描かれる内容の社会性や細部に宿る気配りに感銘を受けたばかりの俄か者の戯言ですね。
宝塚歌劇で上演するにあたって日本ではなじみのないディテールを入れて観客を混乱させては意味がないですから。
映画でツボったところは映画で楽しもうと思います。
(Amazonプライムでレンタルして見たのですが、宝塚観劇後思わず購入してしまいました)

「ダウントンアビー」に登場するシュリンピーことフリントシャー侯爵(ローズの父)が高官としてインドに赴任するとかなんとか言っていたのがちょうどこの「RRR」の頃だなぁとか。スコット提督がナイトに叙勲されたパーティを開くってことは、彼は貴族の出身ではないのだなぁ。その彼が提督に登りつめたということはそうとうなやり手で本国に対してのアピールも凄かったんだろうなぁ。なんて思います。

「RRR」最高!!

舞台や映画を見ていろいろ考察するのもまた楽しいものです。
そんな機会を与えてくれたこと、なによりこの作品に出会わせてくれたことに感謝です。
そして映画の世界観を崩さず宝塚化し、楽しませてくれた星組と宝塚歌劇のスタッフに心からの敬意を。

「VIOLETOPIA」

併演のショー「VIOLETOPIA」は指田珠子先生の大劇場デビュー作でした。
指田ワールドが心地よかったです。
個人的にいちばん盛り上がったのは「ハイウェイ・スター」から「リストマニア」の場面です。
このナンバーを歌いこなし踊りこなすタカラジェンヌに時代は変わったなぁとしみじみしました。
礼真琴さんのヘビのダンスもとても印象的でした。
パレードで大羽根を背負って降りてきた暁千星さんを見ておもわず涙ぐむ幸せ(・・ただの1観客でしかないのに・・)これが宝塚だなぁ。

両演目とも浮世を忘れてとても楽しかったです。
宝塚歌劇に幸あれ。

CAST

コムラム・ビーム(礼 真琴)
ジェニー(舞空 瞳)
A・ラーマ・ラージュ(暁 千星)
ジェイク(極美 慎)

バッジュ/SINGERRR男(美稀千種)
ネハ(白妙なつ)
オム(大輝真琴)
スコット提督(輝咲玲央)
ペッダイヤ(天華えま)
キャサリン(小桜ほのか)
エドワード(碧海さりお)
ジャング(天飛華音)
シータ(詩ちづる)

ヴェンカテシュワルル(ひろ香祐)
ロキ(紫 りら)
ヴェンカタ(朝水りょう)
ステファニー(澪乃桜季)
FIRRRE男(夕渚りょう)
ジェームズ(天希ほまれ)
カマル(世晴あさ)
ユクタ(七星美妃)
ポピー(二條 華)
WATERRR男(希沙 薫)
ヘンリー(煌えりせ)
アヴァダニ(颯香 凜)
オリヴァー(夕陽真輝)
リリー(彩園ひな)
ルードラ(奏碧タケル)
SINGERRR女(都 優奈)
ロバート(鳳真斗愛)
WATERRR女(水乃ゆり)
マッリ(瑠璃花夏)
チャーリー(紘希柚葉)
アルジュン(碧音斗和)
カーター(御剣 海)
FIRRRE女(鳳花るりな)
ラッチュ(稀惺かずと)
ライアン(大希 颯)

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