カテゴリー「♖ 観劇 」の396件の記事

2017/05/22

帰ろうよ。

5月11日と18日に博多座にて宝塚月組公演「長崎しぐれ坂」と「カルーセル輪舞曲」を見てきました。

「長崎しぐれ坂」上演が発表になった時点で、なぜこの演目なんだろうという思いが拭えませんでした。
年に一度のこの時期だけは地元で数週間、好きな時に宝塚を見に行けることを楽しみにしている身としては。
でも生で見たら気持ちは変わるんじゃないかと期待して1回目の観劇をしましたが、やはり気持ちは盛り上がりませんでした。

博多座には盆もセリもあるのに一切使わず、書き割りとカーテン前の芝居の繰り返し。
まるで大衆演劇を見ているようで宝塚を見た時に感じる高揚を感じることができませんでした。
脳内麻薬に支配されるあの感じを楽しみにしていたのに。

昔のバスガイドのような轟悠さんのセリフ回しがもともと苦手ではあるのですが、今回の伊佐次はとくにそのクセが強烈なのもダメでした。
こざっぱりとした江戸言葉が聞きたかったのに。
どすを利かせればいいというものではないと思うのです。

轟さんもトップの珠城さんももの凄く熱演されているのは伝わってくるので、そんなふうに思う自分が嫌になって客席にいるのがいたたまれなくなってきます。
なんでこんな思いをしながらここにいるのだろうと。

とはいえ1週間前よりも格段に芝居が上達している暁さんに感動したり、愛希さんの和物のお化粧もきれいになっているのに気づいて嬉しくなったり。
有限の日々の中で精いっぱいに努力し成長されていく生徒さんを見るのは宝塚を見る喜びであり愉しみであることをあらためて思いました。
私がもとめる宝塚は、瑞々しい夢を見せてくれる世界であることです。
技術は及ばないところがあっても輝くものを持っている宝石たちを演出や舞台効果で手厚くフォローし輝かせて見せてくれる世界が好きなのです。
もちろんその手厚いフォローに甘んじず惜しまず自分を発する姿がそこにあってこそですが。

私としてはもっと宝塚らしく華のある舞台を期待していたのでがっかりではあるのですが、こんなに地味なお芝居でも、客席が集中しているのは、轟さん珠城さんをはじめとする出演者の芝居力が高いからだと思います。
皆セリフがクリアで聴きやすいです。

「カルーセル輪舞曲」は大劇場で見たとき以上に楽しくて、このショーを見るため、そしてお芝居で成長していく生徒さんたちを見るためにリピートするか、それともショーだけの幕見をするか、愛を試されている気がしています。

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2017/03/30

うっとりします。

3月25日、福岡市民会館にて宝塚歌劇花組公演「仮面のロマネスク」とショー「Exciter!! 2017」を見てきました。

みりおちゃん(明日海りおさん)、頼もしいトップさんになったなぁと思いました。
すごく充実している感じが伝わってきました。

新トップ娘役の仙名彩世さんは明日海さんと並ぶと『絵柄』がちがう印象でした。
(仙名さんは花郁悠紀子さんが描く女性っぽいなぁと思いました)
ヒロイン芝居を封印してきた弊害なのかもしれないけれど、芝居が固い印象でした。
作品のヒロインとして心が閃く一瞬が見えるように、見せる芝居を期待したいです。

「仮面のロマネスク」はあらためて復古王政時代の描き方に惚れ惚れしました。
貴族たち、ブルジョワたち、庶民たち。自然に語られるそれぞれの立場からのセリフが時代を表現してて。
貴族階級の中にも異なる立ち位置がさりげなく描かれていて。
それが物語の主題ではないのだけど、確実に登場人物たちの心に影を落としているから物語が運ばれていくのだなぁとわかる。凄いなぁと思います。

そして、やはり柴田先生の作品は娘役を選ぶなぁと思いました。
なぜだかはわかりませんが、メルトゥイユは人間不信なところがありますよね。
だから人を試してしまう。
ヴァルモンの態度に本当は傷ついているし嫉妬もしているけれど、世間や男性を見下して自分はさも打算で生きているように見せかけることで自分の弱いところ、自分の本心を押し隠そうとする彼女独特の矜持がある。
そんな強がりが魅力的で愛しくて、宝塚にはまりたての頃にCS放送で見た初演のメルトゥイユに私は心を掴まれました。
そのちょっとした可愛らしさが今回のメルトゥイユには感じられなかったな。

ヴァルモンが感じているはずの彼女の仮面に隠された魅力を私も感じたかったなぁと思いました。
そこが感じられないとヴァルモンがただの美貌だけの浮気おとこに見えてしまうから。
ヴァルモンの動機になりうるメルトゥイユかどうかが大事だと思います。

また今回はどういうわけか零落した子爵家を持ち直したヴァルモンの影の苦労や仮面に隠したメルトゥイユへの愛が印象づかなくて、結果的に女誑しぶりだけが強調されてしまったような気がします。
メルトゥイユにもヴァルモンにも仮面に押し隠している真の部分がある。
それが仄見えた一瞬にはっとさせられるから、その仮面を今生の別れとなるかもしれないギリギリのところで外すラストシーンが感動的なのになぁ。
2人の「あなたがいたから」という繊細で久しい想いが優美なロマネスクになった瞬間のなんともいわれぬ感動を味わいたかったな。

と思ってしまうのも、“初演信者”ゆえかもしれません。(しかも映像の)
ハードルが高くなってしまってる自覚が大いにあります。
いろいろ言いながらも見たいんですよねcoldsweats01
見たくもない作品や出演者ならはなから見ないですもん(笑)

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2017/03/13

天使の歌が聞こえた。

3月1日と2日梅田芸術劇場メインホールにてミュージカル「ロミオ&ジュリエット」を見てきました。

1回目の観劇では設定などに気をとられてしまうところもあったのですが、2回目の観劇では1幕バルコニーの場面から涙がとまらず自分でもびっくりしました。

古川雄大さんのロミオは見目麗しいオタクってかんじだなぁとさいしょは思って見ていました。
親友たちの話も上の空。
まだ見ぬ恋人を想って心そこにあらず。
家同士の憎悪や確執とも一歩も二歩も退いたところにいて。
「この地上のヒーローはここにいる俺たちさ♪」と煽っておいて現実をあんまり見ていない理想主義者だなぁって。
それでも仲間に好かれて夢を見せることができる魅力がある人なんだなぁ。

こんなに荒んだ街に育ちながらお坊ちゃまでいられるのはやっぱり過保護なママのおかげかしらとか。
モンタギューの若者たちはちょっとダサくて単純な不良ってかんじ。
大人たちの闇もそんなに深そうではない。
一族の若者たちの成長を見守っている大きくて強くてそれなりに弱みも見せちゃうパパとママに見えました。

それにひきかえキャピュレットの闇の深さは。
父も母も従兄も――。
こんな闇の中でよくもこんなに純粋な娘が育ったものだと思う生田絵梨花ちゃんのジュリエット。
乳母さんの愛情のおかげかなぁ。

キャピュレット家の不幸は、皆がそれぞれに自分は蔑ろにされていると思っているところだなぁと思いました。
そこから唯一外れているのがジュリエットなのかな。
ロミオ追放後の傷心に追い打ちをかけるように無理やりパリス伯爵と結婚されそうになって、きっと生まれて初めて真っ向から親に逆らった「私の親ではない! あなたも! あなたも!」
あの場面で両親にそう言い放てるのはすくなくとも愛されていることを疑いながら育ってきた娘ではないからだと思います。

キャピュレット卿も心を許すことができない人間たちの中にあって娘のことだけは全力で守っているのかもと思いました。
ひどい父でありひどい夫だけれど、娘を思う気持ちはすごく信用できる気がする岡幸二郎パパでした。

キャピュレット夫人にとってのジュリエットは自分自身の写し絵なのだなと思いました。
だからジュリエットを傷つけることは自傷行為とおなじだなぁって。
ジュリエットに愛のない結婚を強いることはもう一度自分自身を傷つけることにほかならないのに。それなのにあんなことを言っちゃう。
本当は愛されたかった人なんだと思いました。
愛する人に愛されるジュリエットを見つめることで傷ついた自身の傷を癒せる可能性もあるのに。闇の深い香寿ママでした。

闇の深い両親だけれども、それぞれに歪んだ愛だけれども、ジュリエットはまちがいなく愛されて育った娘なのだと思いました。
乳母さんというフィルターを通して両親の愛はエッセンスだけをジュリエットに注がれていたのだと。
ジュリエットの魅力は愛された娘の自己肯定感と生命力だなぁと思いました。
だからロミオは彼女に惹かれたのだなぁと思いました。

親友の話にも上の空だったロミオは、ジュリエットと出会ってはじめて現世に着地したよう。
このジュリエットの存在によってロミオは生命を得たんだと思えて胸の中に温かいものが溢れてきました。

近未来の廃墟のような街と荒んだ人びとの中でそれぞれにそれなりに大事に育てられてきた2人が出逢った瞬間に魅かれあうのは必然かもしれないなぁと思えました。
魅かれるべき魂に出逢って、天使の歌が聞こえてしまったんだからもう仕方がないよねぇと思えるロミオとジュリエットでした。

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2017/02/02

ファビュラス。

1月23日博多座にて「シスター・アクト~天使にラブソングを~」のソワレを見てきました。

蘭寿とむさんを目当てに気軽に見に行ったのですがとてもよかったです。
1幕は蘭寿さんさすがスタイルいいな。お胸ホンモノだわ。退団後もお歌凄いレッスンされてるんだなぁ。なんて冷静に見ていたのですが、2幕は引き込まれるように見てしまって。
わかっているストーリーなんですが、シスターたちがカーティス一味から命がけでデロリスをかばうあたりは思わず涙していました。
私はやっぱり舞台の皆の意気が一点に集中してトルネードみたいに盛り上がるかんじが好きだなぁと思います。
そんなシーンに感動しちゃうんですよね。

エディ役の石井一孝さんはいるよねアメリカ映画にこんなキャラ(笑)と思える暑苦しいいいやつでした。
こんな自分にも人生で一度はヒーローになる瞬間が訪れると夢見ているあたりもアメリカンだなぁと思いました。

オハラ神父役の今井清隆さん、さすがいい声~~♡ ギンギラの法衣でお説教をしたり客席(信者?)キャッチも凄くて面白さ全開でした。最後までソロ歌がなかったのには驚きでした。もったいない起用だなぁ。

修道院長の鳳蘭さんもさすが。間の取り方とか声色の変化とか。強弱オンオフの切り替え鮮やかだなぁと思いました。笑わせるところはしっかり笑わせるし。
彼女がデロリスをかばう言葉には温かさがこもっていてじんとしました。

修道女見習いのメアリー・ロバート役の宮澤エマさんも素直な歌声で素敵な女優さんだなぁと思いました。
家に帰ってプログラムを見たらシスター役の方たちはこれまでいろんな作品で見たことがある方たちばかり。
シスター・メアリー・ラザーラスが春風ひとみさんだったとは気づかなかったsweat02
大月さゆさんにも気づかなかったぁwobbly
・・・それくらい気軽に見てしまったのでした。

こんなに豪華な出演者揃いで脚本も音楽も素晴らしい作品を気軽に見られるのも地元に博多座という劇場があるからこそ。
ありがたやありがたや・・(-人-) ことしはなかなか観劇遠征ができないので切実にそう思います。

カーテンコールでは客席も一緒に踊れて平日の夜なのにこんなに盛り上がって大丈夫?ってくらい楽しかったです。
なかなか帰らない客席のコールに応えて登場してくれた蘭寿さん、輝いていたなぁ。
また博多座に出演していただけたらうれしいなぁと思います。

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2017/01/28

旨酒を飲もう。

1月16日に宝塚大劇場にて月組公演「グランドホテル」とショー「カルーセル輪舞曲」を、1月17日に「グランドホテル」の新人公演を見てきました。
月組新トップ珠城りょうさんの本拠地お披露目公演でした。


フェリックス・アマデウス・ベンヴェヌート・フォン・ガイゲルン男爵役の珠城さんは異例の研9でのトップ就任で学年のわりに地に足の着いた落ち着いた雰囲気を持つ男役さんでした。
大きな欠点もなく安心して見られるタイプだなぁと思いました。
いかにも貴族で上流風だけど、ちょっといわくありげな男爵といったかんじが良く出ているなぁと思いました。

エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ役の愛希れいかさんはさすが!でした。
どこか現実とは乖離した感覚の女性。名高いバレリーナとして若い頃はロマノフ王家とも親交があり沢山の贈り物と栄誉を授かっていた人が革命と重ねた年月によって残酷にも多くのものを失ってしまって。
唯一残った彼女にとっての人生そのものであったはずの踊ることにさえも喜びを失いかけていた時に若い男爵と恋に落ちて生きる喜びを取り戻す。
そのもう若くはない女性のキャリアや人生を感じさせる役づくりで、心の動きの見せ方も素晴らしかったです。
珠城さんとのボレロの場面は最高でした。珠城さんの肩から降りるときの脚の流れの素晴らしいこと。
もう娘役の域を超えてしまってるかなぁとも思えました。女優さんだなと。
彼女見たさに劇場に行きたくなるジェンヌさんです。
実咲凜音さんが「双頭の鷲」に出演したみたいにさらにハイレベルな作品に出演する機会があるといいのになぁと思います。

オットー・クリンゲライン役の美弥るりかさんはしょぼしょぼの役でも華があるのが宝塚らしくていいなぁと思いました。宝塚スターが演じるオットーという感じでした。
「We'll Take A Glass Together」での男爵との掛け合い、とても愛嬌があって魅力的でした。あの場面とてもいいですねぇ♡

役替わりのフラムシェン(フリーダ・フラム)は海乃美月さんが演じていました。
歌、芝居、ダンスともにお上手で娘役として出来上がってる方だなぁと思いました。
上昇志向でチャンスのために自分自身の女性性を駆け引きに使ってしまうという宝塚の娘役さんが演じるには珍しいタイプの役ですがちゃんとそんな女の子に見えましたし、こういう女の子たちがいたのが1928年のベルリンなのだろうなと思えました。
その上で上品さも残っている娘役さんらしさが海乃さんの持ち味なのかなと思いました。
彼女に対してプライジングがとても酷い男に見えました(笑)。

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2017/01/21

兵の情は健やかなるを主とす。

1月17日宝塚バウホールにて星組公演「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-」2公演を見てきました。
七海ひろきさんが主役の竹中半兵衛を演じていました。

これは時代物ではなく戦国ファンタジーなのだと思って見ました。なにもかもが半兵衛の手柄にされていて突っ込みだしたらキリがないので。
戦国BASARA同様にゲームのキャラクターだと思えばいいのかな。
このキャラにこの言葉を言わせたかったのねという感じ。そうよね、いまならあすなろ抱きさせたいよねとか。
ドラマにリアルはありません。リアルは役者の感情にありました。
で、まんまと泣かされましたcoldsweats01

バレバレのフラグを立てては回収を繰り返す脚本で、逆に言えば楽に回収できる以上のことはしていないので、もうちょっと意欲的でもいいのではという気持ちになりました。
知的な満足を求めるのではなく、気軽に見て泣いて笑って、あとで役者についてあーだこーだと話すのが楽しい作品かなと思います。

かいちゃん(七海ひろきさん)の竹中半兵衛は、竹中半兵衛の姿を借りたかいちゃんそのものでした。
主役なのに張りがないのはそのせいかな。せっかくコスチュームなのに中の人が素のままなので、大きさや華が足りないと思いました。
首から上と首から下の情報量の落差が気になりました。具足姿なのに重心所作が侍らしくなく手持無沙汰に見えました。
心はもの凄く入っているから客席も泣いちゃうけど。
でもその心はかいちゃん以上のものではなくて。かいちゃんがかいちゃんのまま具足や陣羽織を着てかいちゃんの感情のままに泣いている感じで、役としてはどうなの?と思います。
どういうスタンスで舞台に立っているのかな。最近のちょっと浮足立っている感じが私は苦手だな。
以前のようにもっとストイックに役作りをしてほしいと思うのですが。

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2017/01/05

ひとごろし。

12月9日キャナルシティ劇場にてミュージカル「貴婦人の訪問」を見てきました。
(感想を書きかけたまま時間がなくて年を越してしまい・・・新年早々こっそりアップですsweat01

2015年秋に見て今回は2回目の観劇でしたが、前回は山口さんのアルフレッドが全体から浮いていて違和感だったのですが、今回はいい具合の浮き方に感じました。
前回は若いクレアに同情してマチルデのことも可哀想に思って見ていた気がします。アルフレッドをどう描こうとされているのかクレアの真意はどこにあるのかを探るように見ていました。
今回は2015年に見たときよりもアルフレッドとクレアのあいだに愛が見えた気がしました。
それがほんとうに愛なのかを考えながら見ていました。贖罪なのか執着なのかそこにほんとうに愛はあるのか。
いまの2人それぞの互いに対する思いとはいかほどのものなのか。

2人みつめあえばいまも愛し合っていた頃の熱くせつない気持ちが甦るのか。でもそれは昔の気持ちが地層を超えていまに湧きあがるのであって、いまのお互いを愛しているのとはちがうのではないかとか。
それをいまの気持ちと錯覚してしまうアルフレッドの甘さと、シビアなクレアの別の気持ちが見えたような・・・。
いまに至るまでの2人の現実の過酷さの差が見えたような気がしました。

さらに今回はギュレルの人たちの怖さがつよく印象に残りました。
アルフレッドが殺された時にクレアが市民に向かって「人殺し!」と叫びますが、それはアルフレッドを殺したことを言っているのではなくて、「こんなふうにあなたたちは人殺しなのだ」と言っているのだと思いました。
アルフレッドがギュレル市民から糾弾をうける図は、数十年前のクレアがされたこととおなじ。
正義の名のもとに不公正に裁かれ、若い娘にとっては殺される以上の冷酷な扱いをうけた。
数十年前もそうだし、いまも正義を隠れ蓑にした利己主義によってあなたたちは平気で人殺しをする者たちなのだと言っている気がして、クレアの目的はこれだったのかもとも思いました。

アルフレッドを私刑にしたあとの彼らがとても怖かったです。正義の名のもとに己を欺瞞にかけ殺人を犯したことをまったく恥じていない彼らがうすら寒くかんじました。
私もいつアルフレッドや若いクレアにされるかわからない。いつギュレル市民になるかわからない。そんな怖さを感じました。

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2016/12/27

いつだって世界は誰にもやさしくない。

12月4日キャナルシティ劇場にてミュージカル「黒執事〜NOAH'S ARK CIRCUS〜」を見てきました。

お芝居もパフォーマンスも素晴らしくて脚本も演出もよかったです。2.5次元ミュージカル侮りがたしです。
なによりも舞台の上の皆さんの集中力と情熱にやられました。
その舞台を見上げる客席の雰囲気やリアクションも暖かくて、一体感を感じてそこにいることができましたし、こんなだったら奇跡も起きちゃうよねぇと納得でした。
舞台っていいなぁと見終わって幸せな気持ちになりました。

ストーリーも昨年の「地に燃えるリコリス」よりも私はこちらが好きだなと思いました。
動機や展開に唐突さがなかったし、原作の無機質さに巧く肉付けされて体温を感じられるものになっていたのが私の好みでした。
目の前で感情をさらけ出す登場人物を直に感じることで原作では頭で理解していたことが心でわかったり、ぼっちゃまの印象的なセリフにもさらに深みを感じることができました。

「いつだって世界は誰にもやさしくない」
「傲慢でない人間などいない」
小さな少年伯爵がこんな実感を持っている世界観が私は好きです。
そして、ないことにされてしまいそうな部分を言葉にして共有できる作品の懐深さも好きだなぁと思います。
闇と悲哀と笑いがぎゅっと詰まって大満足で、あっという間の3時間でした。

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2016/12/14

あくがれいでた二つの魂どこへ誘う。

11月28日(月)宝塚大劇場にて花組公演「雪華抄」「金色の砂漠」を見てきました。

お芝居「金色の砂漠」、私これすごく好きだぁと思いました。
号泣したりカタルシスがあるかんじではないのですが、心にひたひたと何かが溜まる物語でした。見終わって水槽から溢れそうなものをギリギリのところで堪えている感覚に陥りました。

ストーリーは「私これ知ってる」という既視感があり、とくにひねった感じではないのですが(昔の少女漫画やパラレル系二次創作でよく見た懐かしい設定(笑))、関係性がすごくよくできていているなぁと思いました。
織り込まれたエピソードが効いていてそこに息づく登場人物たちの性格性や役割がよくわかりました。
登場人物1人ひとりに物語を考えたくなるほどどの役もしっかりと造形されていて、その心模様もわかりやすかったです。
ライトな宝塚ファン目線からも、役が多くてタカラジェンヌ個人をを楽しむのにもってこいな上に、それぞれ役どころが明確なのでストーリーがちゃっちゃと進むのもいいなと(笑)。
少々合理的すぎるきらいもありましたが1時間半で完結させるためには致し方ないと思いました。
設定や人物像が緻密で確かなものであれば総てを言ってしまう必要はないのだなぁと思いました。

設定にツッコミどころがあるとしたら、王女に男の奴隷をつけて身の回り一切の世話をさせておいて間違いが起きたら罰されるというのは、あまりにも非現実的で夢夢しすぎるしきたりだなぁと(^^;
むしろ何かあっても気にもされない大らかさというかいっそ暗黙の不妊対策、後継者対策でもあるくらいじゃないと理解不能だなぁと浮世に穢れた私は思います(笑)。(それも母系主義じゃないと成り立たないですけど)
まぁそれも「宝塚だから」で世間が納得してしまうのが宝塚のすごいところかな。

なによりも、そんなことはどうだってよくなるくらいに矜り高い主人公2人の愛憎の物語りが美しい“みりかの”によく合っていました。
みりおちゃん(明日海りおさん)は矜り高く才能溢れる青年が破滅していく物語がよく似合うなぁ。
というかもはや破滅じゃないのだよなぁ。このラストまでが一つの“美”なんだなぁって思えてしまう青年ギィでした。
永遠に紡がれる叙事詩の主人公がここにいるのだなぁと納得してしまうかんじ。
それはかのちゃん(花乃まりあさん)のタルハーミネもおなじ。

なんど生まれてもタルハーミネは金の砂漠へと走り出し彼女を追いかけ追いついたギィは彼女を抱いて砂塵の中で無垢に還っていくのだろうなぁ。
お互いに「愛している」を認め合うのにこれだけのシチュエーションが必要で。それこそが似つかわしい美しい2人。
美しいものたちはこうして永遠になるのだ。そうして至高の終焉を繰り返す。
(いやぁ美しいってたいへんですねぇ、、、)

そしてその物語りを浮き彫りにしていくエピソードと2人をとりまく人びと。

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2016/12/10

あなたこそ待ち焦がれた愛しい死-“Azrael ”。

11月29日、宝塚バウホールにて宙組公演「双頭の鷲」を見てきました。

有名なジャン・コクトーの戯曲をミュージカルにした作品。面白くないはずがない。引き込まれて見てしまいました。
どうして彼はそう言うのだろう。あのときどうして彼女はああ言ったのだろう。たくさんの何故?を抱きながら見る作品の面白さ。そのわけは見終わった後にゆっくりと考えたい。
11時と14時半公演を続けて見てしまって、しまったと思いました。もっとゆっくりとインターバルを持ちたかった。そうでないなら1回だけ見てじっくりと浸っていたかった。
あのときの顔はそういうことだったのか。あのときあの言葉を選んだのは―― 考えれば考えるほどなるほどと思う、そんな作品でした。

それだけにパパラッチが憶測をごちゃごちゃと語るのが邪魔だなぁと感じてしまいました。
主役たちが心情を歌うのもいらないくらいだなぁと思いました。余白を埋めすぎな感が否めませんでした。見ている私に想像の余地を残してほしかったな。
歌詞が聞き取りにくい部分もあったりして、言葉の裏にあるものを覗くのが面白いのだからセリフで明瞭に聴きたかったと残念と思えるところもありました。
作品が良いのでこちらもより高いところを求めてしまいます。

舞台美術は脚本演出の植田景子先生の美意識そのものって感じ。ちょっと過多にも私には感じられました。(景子先生はまだ足りないわと思っているかも(^-^;)
2幕で、お互いを愛し愛されることを知った2人がこれまで受け入れられなかったものを受け入れると、それまで色のなかった世界(部屋)に色が加わる演出がわかりやすく素敵だなぁと思いました。

齋藤恒芳先生の音楽は作品にぴったりで盛り上げてくれましたが、彼の音楽にはあんまり言葉をいっぱい載せないほうがいいのになぁと思いました。気の利いた少量の美しい日本語が合うのにな。
音楽自体に魅力があるのだから、ちょっと情報が過剰だなぁと思いました。愉しむ余地がほしいなと。
それにしても、みりおん(実咲凜音さん)もずんちゃん(桜木みなとさん)もあの曲をよく歌いこなせるなぁと思いました。歌っているうちに迷子になりそうな曲ですよね。

作品はどう見ても王妃が主役だなぁと思いました。
王妃役のみりおんが相手役の轟さんに遠慮なく相対しているなぁと思いました。思いきりが素晴らしい。
そして王妃姿が彼女史上でもっとも美しくて感銘的でした。景子先生の美意識と相手役の轟さん、そして彼女のキャリアとこの作品に挑む緊張感等々のなせる仕業でしょうか。
ワンショルダーのブラックドレスの後ろ姿やヘアスタイルが彼女の魅力を引き立てていました。
ハープアップに乗馬服も魅力的でした。
(もしかすると高身長揃いの宙組が彼女には気の毒だったのかもしれないなという気もしてきました)

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