手と手を取りあい未来へ
9月29日に梅田芸術劇場メインホールにて、宝塚歌劇星組全国ツアー公演「ダンサ・セレナータ」「Tiara Azul -Destino-II」を見てきました。
星組新トップスター暁千星さんと新トップ娘役の詩ちづるさんのトップお披露目プレ公演でした。
「ダンサ・セレナータ」は、正塚作品は別箱向きなのだなとあらためて実感する作品でした。好みの作品ではないと思っていたのですが、惹き込まれて見ていました。
初演よりも登場人物の関係性や時局などがわかりやすくなっていた気がします。
暁さん演じるイサアクと瑠風輝さん演じるホアキンの場面がとても印象的でした。
ずっと宙組が好きで見ているので、宙組育ちの男役さんが他組に混じった時に一際感じる独特の佇まいにときめくことが多々あるのですが、瑠風さんにもそれを大いに感じてときめきました。
具体的にどこが宙組育ちと感じるのか言い表すことは難しいのですが、長身に映える着こなしとか立ち姿はもちろん、目線の高さも特徴かなぁと思います。
瑠風さんと相対する暁さんも長身でしたので、いっそうその目線の高さが感じられたのかもしれません。
暁さんのイサアクに負けていない目をしたホアキンだったと思います。
正塚作品に登場する男性のなかにはモラハラやマンスプ臭が鼻につく人物がいて、イサアクもそのタイプだなぁと思ったのですが、暁さんが演じると嫌じゃないかもと思いました。
上からの命令口調が嫌だなと思ったりもするのですが、どこか隠せないやさしさが滲み出る人物だったので見ていて救われたのだと思います。
こういう態度になるのにはきっと訳があるにちがいないと思わせるものがありました。(じっさいにシビアな過去のある人だとわかって納得できました)
相手役のモニカを演じた詩ちづるさんがイサアクに対して委縮せずしっかり対峙していたのもよかったと思います。イサアクとモニカのバランス次第では見ていてつらかったかもしれません。
私にはとても良い塩梅の2人に感じられました。
植民地の独立運動に携わる者、秘密警察、それぞれに思惑を抱く軍人たち、革命前夜の混沌のなかで懸命に日常を生きるクラブダンサーたち。演者のひとりひとりがつくり出す時代性が物語に説得力を与えていたと思います。
その重苦しい雰囲気漂う中で張り詰めた気を抜いてくれるクラブの支配人フェルナンド(凛城きらさん)、イサアクの同僚ルイス(大希颯さん)、モニカの友人リタ(乙華菜乃さん)がいかにも正塚作品らしくて、またその役目をしっかりと担っていていいなぁと思いました。
イサアク役の暁さんとの絶妙なかけあいが面白いルイスを見ていて「ホテル・ステラマリス」のガイ・プレスコットを大希さんで見てみたいなぁなどと思いました。あの空気を読まないナチュラルボーンで風変りな人物を笑。
乙華さんはこのところ私の中で急上昇中の娘役さんなので活躍が嬉しかったです。正塚芝居独特の笑いの間をしっかりと表現されていてブラボー!と思いました。
星組で正塚作品を見るのは久しぶりでしたが、丁寧な芝居づくりと情熱、そしてダンサブルなショーシーンがとてもいまの星組に合っているなぁと思いました。
「Tiara Azul -Destino-II」は、大劇場で礼真琴さんと舞空瞳さんの主演コンビで上演された「Tiara Azul -Destino-」が大好きでしたので、新トップコンビ暁千星さんと詩ちづるさんでの続編がどうなるのか楽しみにしていましたが、これまたお2人にピッタリの楽しいショーで大好きになりました。
大劇場公演で2番手だった暁さんが演じたイグナシオ(作中でふられっぱなしでした笑)が、1年後のカルナバルシーズンに自分を見つめなおす旅から戻って来たという設定が面白いなと思いました。
物語のはじまりで礼さんが失恋の傷心を歌っていた曲を歌詞を替えて、こんどは娘役の詩さんが歌っているのも面白くて、これから暁さんのイグナシオと詩さんのクララがどういうラストを迎えるのか興味津々で見ていました。
星組新トップコンビは「すごく宝塚」だなぁという印象でした。身長差とバックハグにときめきました。
詩さんのちょっぴり勝気そうなクララをまるごと包み込む暁さんの包容力が少女漫画のようでした。
イグナシオとクララのふたりだけの夜明けのダンス、そしてフィナーレのデュエットダンス、それぞれ大劇場とはちがうストーリーになっていて、これから新トップコンビとして歩んでいく2人への愛がたっぷりで素敵でした。
タイトルにもなっているティアラは、今回はダンスのはじまりに暁さんが詩さんにつけてあげていて、ティアラをつけて踊るのも可愛いなと。「見上げてごらん夜の星を」の曲で幸せそうに踊る2人におもわずうるっとしてしまいました。
大劇場公演とおなじくショーの中盤は全力カルナバルでとにもかくにも踊りまくり。全国ツアー公演ということで客席降りもあったりしてさらに盛り上がりました。
私個人としては「こんなに激しく情熱的に踊っている瑠風さんをはじめて見たかも?!」と新鮮でした。
星組にとっても瑠風さん個人にとっても良い組替えになったんじゃないかなと思います。
お芝居でもショーでも踊りまくりの公演なのでこれで全国を回るのはなかなかに過酷だなと思いますが、どうか星組の皆さんが元気に千秋楽まで完走できますように。
私は1公演だけですが広島公演を見に行くことができるので、初日間もない梅田芸術劇場公演からの進化を楽しみにしています。

