カテゴリー「♖宝塚観劇-全国ツアー」の37件の記事

2019/09/26

将来のために。

9月8日に熊本市民会館、9月14日、15日、16日に福岡市民会館にて宝塚歌劇宙組公演「追憶のバルセロナ」「NICE GUY!!」を見てきました。

観劇の翌日には熊本城を観光しました。ボランティアの方にガイドをしていただき有意義な時間となりました。しかしとても暑い日でした(笑)。
復興中の熊本城の様子を間近に見ることができる加藤神社には、加藤清正の生前の口ぐせだという「後の世のため」という幟がはためいていて、前日「追憶のバルセロナ」で真風さんが演じていたフランシスコが芹香アントニオと誓い合っていた「将来のために」という言葉に通じるなぁと感慨深かったです。熊本城復興のために尽力している人びとや真風さんが熊本出身ということとも合わせていろいろ思わずにはいられませんでした。
(初演では退団される絵麻緒ゆうさんと成瀬こうきさんが交し合っていたセリフでもあるんですよね。正塚先生はここになにを込めたかったのかなぁとか考えてしまう印象的なセリフでした)

「追憶のバルセロナ」において、フランシスコ(真風涼帆さん)とイサベル(星風まどかさん)の関係とおなじくらい好きなのが、フランシスコとアントニオ(芹香斗亜さん)の関係です。
アントニオの考え方、立場がこの作品の世界観や作者の内心を表現していると思います。どうするべきか、なにを大切にして生きるべきかという問い。
無二の親友でありながら考え方が異なってしまった2人ですが、心からの信頼があればこそ、相手とはちがう考えをぶつけ合える2人の関係が好きでした。

命を懸ければなんでも守れると純粋な情熱に身を任せ戦争に赴いた若い2人が、現実の戦争の辛酸をなめ、1人は現実的な手段で生き残り、裏切者の汚名を着る覚悟で人命を救うために奔走する。
また1人は瀕死のところをロマの人びとに助けられ、社会の底辺で虐げられながらも仲間との強い絆のもと逞しく生きるその生き方に触れ(「ロマの女なんかどうにでもなると思ってやがる」のは決してフランス兵だけではないでしょう)、自分も草の根から人民に呼びかけ同志を増やし、ゲリラ的戦術でフランスの支配からスペインを取り戻す道を選ぶ。
再会するも考え方も生き方も対立する立場になっていた2人。けれど当時のフランスはとうにアントニオが共感した共和制や人道思想が通じる国ではなくヨーロッパ中を征服戦争によって蹂躙、支配しようとする国となっており、それを身をもって知ったアントニオもまたフランシスコと手を結びフランスに抗戦する立場に転ずる。

――というのが2人の生き方のおおまかな変遷かなと思うのですが、アントニオのセリフがバルセロナの状況を表し、またはフランシスコの心を大きく揺さぶるものでもあるのでとても重要だと思うのですが、芹香さんの滑舌が心配になるレベルで不安定なのが気になりました。これからますます重責を負う立場の人ですし将来を望まれている人だから放置せず専門家に相談されていたらよいけど・・・。
「妻になにをした!」というアントニオの咎めを聞いたフランシスコのマスクの下の表情が変わる瞬間が好きだったので、毎回あのセリフが明瞭に響くことを願っていました。
親友を思って歌う新曲はとても良かったです。歌唱力も雰囲気も。歌う時のシリアスめな表情が知的なかんじですてきでした。スマートかつ内心に憂いを秘める役が芹香さんにぴったりだなぁと。
歌がメインの作品なら不安はないのですよね。
個人的には、真風さんと芹香さんで「メランコリック・ジゴロ」や「愛するには短すぎる」などのバディ感のある、正塚先生の軽快なコメディを見てみたいと思っているので滑舌が改善されるといいなと思います。

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2019/09/20

それが惚れるってことじゃないのか。

9月8日に熊本市民会館、9月14日、15日、16日に福岡市民会館にて宝塚歌劇宙組公演「追憶のバルセロナ」「NICE GUY!!」を見てきました。

「追憶のバルセロナ」は正塚先生の作品としては珍しいコスチュームプレイで個人的に好きな作品でもあり、いまの宙組での再演はうれしかったです。
正塚作品独特の間やセリフでありながら現代劇ではなく時代物であることが、いつもよりさらに難易度を上げているかんじで、熊本で見た時はいまひとつ力不足かなと思う部分もあったのですが、1週間後の福岡公演ではそれもかなりこなれて、タカラジェンヌの吸収力と成長は凄いなとあらためて思う次第でした。

往年の柴田作品に対するオマージュでもありつつ、正塚先生世代独特の価値観も随所に見える作品だなぁと、そこに私は惹かれるのかなぁと思いました。
ロマのロベルトに言わせている『惚れた相手が行きたいならそれがどんな所でも一緒に行こうとするんじゃないのか。それが惚れるってことじゃないのか』とか。往年の柴田先生の作品を見て蟠っていたところに刺さってくるのですよね。
おとぎ話だよねとも思うし、戦後生まれの浅薄な理想かもしれないけど。でもそこが好きです。
理想はいつかかたちになるかもしれない。そんな希望が抱ける世界が好きです。

柴田先生の作品ならばきっと「酒場の女」と「良家の令嬢」という属性で分けられたそれぞれの女性は、その垣根の中から決して外へ出たりはしない。
青年貴族である主人公は、市井にある時は片方の属性の女性と燃えるような恋愛をして、みずからの本懐を遂げたのちは心を切り裂いてでもその熱情を断ち、戻るべき場所=もう片方の女性が属する場所へと戻っていく。
主人公目線からすれば、貴族の継嗣に生まれた者が、青春という刹那の時間を生きたのちに、生まれた時から授けられた重責を背負う覚悟をもつまでの心の軌跡を描いたということになるのかもしれないけれど、ヒロインを思うと私は釈然とはしないのです。
『私にはずっと結婚を待たせている心優しい許嫁がいる』と予防線を張って付き合い始めるとか、女性にランクをつけているからこそできるわけで。いまの時代にこういうものを見せられてどう思えというのかと。これがかつての男のロマンなのかとか? 主人公もつらいよねとか?
たしかに一瞬憂いを帯びた美しいお顏にだまされはしましたけど。でももう無理。(完全に「バレンシアの熱い花」を想定中)
かつての名作も、いま上演するなら内容は吟味してほしいと思います。
でもそうは言いつつ、往年の柴田作品ほどのクオリティの脚本が書ける人が現時点でいるかというと難しいのだろうなぁ。

ゆえに、こんなふうに次の世代の作家がオマージュやリメイクをする試みは面白い実を結ぶやもしれないなと思います。
この「追憶のバルセロナ」も初演は17年前。『ずっとそばにいてくれ、それがお前の力だ』『自分のことのようにあんたを思ってる』―― いまならこれが男女逆でもいいのになぁと思ったりもします。でも正塚先生だからそれはないな。いつか若手の女性作家さんの手で描かれる日が来るといいな。

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2019/05/15

愛はどこにいる。

5月9日に広島文化学園HBGホールにて、宝塚歌劇星組全国ツアー公演「アルジェの男」「ESTRELLAS~星たち~」を見てきました。
専科に異動になった愛ちゃん(愛月ひかるさん)の出演が発表になってから観劇遠征を思い立ち、チケットの手配に走ったのも遅かったし、初めてのホールでもあったのでどうなることかと思いましたが、行って本当によかったです。
(広島駅に着いて食べたお好み焼きも柑橘のパフェもお土産のお菓子〈ひとつぶのマスカット〉もめちゃめちゃ美味しくてまた食べたい!広島に行きたい!と夢見ています。まさに美味しい観劇遠征でした♡)

「アルジェの男」はさすが柴田先生の脚本という面白さと、星組メンバーの芝居力が活きて見応えがありました。
いまの感覚で見ると、登場する女性たちがそろいも揃って男性たちに都合がよいなぁと思えるのですが、書かれた当時を考えると、宝塚らしく柴田先生らしく破格に女性に優しい、女性たちへの愛おしみの気持ちのこめた作品だったのだろうなぁとも感じます。

往年の柴田作品には、酸いも甘いも噛み分けた賢夫人たちがしばしば登場しますが、「アルジェの男」にもボランジュ総督夫人(白妙なつさん)とシャルドンヌ夫人(万里柚美さん)という2人の大人の女性が登場します。
男性社会の中で確固とした居場所を築きひとかどの紳士に一目置かれる、タイプの異なる2人の女性は、こういう風に賢く男性に愛されれば女性は幸せになれると示しているようにも感じました。(いまこれが新作だと噴飯ものですが・・苦笑)
1974年の少女時代の私がこの作品を見たらそのようなメッセージを受け取っただろうなぁと思います。
そしてそれが柴田先生の女性たちへの愛なのだろうなぁと思いました。

「バレンシアの熱い花」に登場するマルガリータが大人になったらボランジュ夫人のようになるのかなぁ。イサベラが紆余曲折の末にシャルドンヌ夫人のようになる可能性もあるのかなぁなんて想像したりもしました。
「バレンシアの熱い花」の初演が1976年。まさに当時の柴田先生の理想の女性像なのだろうなぁと思ったり。半世紀近い歳月を経ての上演といのはいろんな感慨を呼び起こさせるものだなぁと思いました。
いまの少女たちにはどんなメッセージになっているのでしょう。訊いてみたい気もします。

主役のジュリアンを演じた礼真琴さん。やはり歌を聴かせるなぁと思いました。聴いていて心が高揚する歌い手さんだなと。
いまを感じさせるというのか、はしるようなクセになるような歌でした。それがジュリアンという若者の生き方に合っていたような気がします。

孤児で気にかけてくれる大人もいない。悪さをすることで仲間と連帯しているような若者。「コロシ(殺人)」と「タタキ(強盗)」以外はなんでもやったと豪語する。頭も良いし口も立つ(女の子に対しても)血気も腕力もある。でもこのままではいずれ街角で野垂れ死ぬだろうそんな若者。
そのことを彼自身がいちばんわかっているのだろうなと。そうはなりたくない。だから荒唐無稽とも思える野望を抱いているのだなと。そこからはじまる物語でした。
このままで終わるには知能もプライドも高い。けれどそのポケットにはなにもない。――With no love in our souls and no money in our coats(R.Stones)だなぁって。
野望が唯一の拠り所なんだろうなぁと思いました。

そんな若者が偶然にもチャンスを掴む。仲間たちに揶揄され袋叩きにも遭いながら信念のもと歯を食いしばって下積みから上を目指しているその眼光。綺麗事が言える身分ではない。利用できるものはなんでも利用しなくては目指すところへは辿り着けないとわかっている。礼真琴さんが見せてくれるジュリアンを非難する気にはとてもなれませんでした。
都会の裕福な家庭に育っていたら、心に闇を抱えることもなく自らの才能を発揮できていたのだろうに。

そしてパリで出逢う彼とは境遇のちがう若者たち。エリザベート、ミッシェル、ルイ、アナベル・・・。
彼らがあたりまえに手にしているものはすべて、彼にとっては自ら勝ち取っていくもの。
彼には、彼らが自分と同じ人間とは思えていないふしがあるような気がしました。彼らに共感すべき心を見出していないような。彼らの感情とは手玉にとり利用するためのもの。成り上がるための道具でしかないんだなぁと。

ボランジュの期待に応えるべく黙々と仕事に精を出し、自分が目指すところへ向かって着々とプランを練り実行していくジュリアン。愛を知らないジュリアン。
一緒に働いているミッシェル(紫藤りゅうさん)とはすこしずつ何かが芽生えてきているのかな?と思えていたその矢先に。
過去と現在が交錯し、過去のためにいまが砕かれようとして、いまのために過去を抹殺しようとして。
ついには自分がやったことの報いを受ける。
そのまえに一瞬でもサビーヌによって愛がいまここにあると知ったことが救いかなぁ。やっとジュリアンの空虚は埋まったのだろうなぁと思えたことが。
でもサビーヌの気持ちを思うとやりきれないなぁ。

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2018/12/06

古い小さな傷痛むように懐かしさが込みあげてくる。

12月1日と2日に福岡市民会館にて宝塚歌劇花組全国ツアー公演「メランコリック・ジゴロ」と「EXCITER!! 2018」を見てきました。

主演の花組2番手スターの柚香光さん、そして助演の水美舞斗さん、ヒロイン格の華優希さんと舞空瞳さんを中心とした若さスパークリングな熱く楽しい公演でした。
貸切公演を含めて4公演見ることができましたが、飽きることなく楽しめました。(それどころかもっと見たいと思うほど・・・)
お芝居だけでなくショーでもうるうるとしてしまったんですが、これってなんなんでしょうね。
命の輝きをいっぱい見せていただいたような・・・そんな気持ちです。

「メランコリック・ジゴロ」は柚香さんと水美さんの同期コンビにとても合っていて掛け合いがとても面白かったです。ナンバー中のさりげないじゃれ合いも。

柚香ダニエルがふと見せる物憂げな表情に惹かれました。
ジゴロを気取って計算づくな生き方をしているようでも薄い皮膚の一枚下には繊細なものが流れていそう。
見る者の想像をかきたてる天性の魅力がある人だなぁと思いました。
オトナになりきれない余裕のなさ、その弱さを魅力にしてしまう人だなぁと。
ノスタルジックな主題歌を歌うときの純朴さと、身にまとったスマートな物憂さがミックスされてとても魅力的に感じられました。
歌詞を聴きながら、彼の過去を様々に想像していました。

計算高く生きようとしているけれどどうしてもお人好しなところが出てしまうダニエル。
ドライに割り切れるスタン。(たぶんそうでないとならない人生を生きてきたのだろうな)
田舎育ちのダニエルと都会育ちのスタンの対比がはっきり見えて面白かったです。

スタンはちゃっかりしてて一見薄情なことを言っているようだけど彼の言うことは一理あって、2人揃って捕まってしまうよりは、どちらか片方つまりスタンだけでも逃げて別動で問題解決にあたったほうが得策ですよね。
過剰な情けは掛けないのは信頼関係があってこそ。
ダニエルをわかっているからこそ任せるところは任せて自分のすべきことを冷静に見極めている。頭の回転が速い人なんだなと思います。
(とはいえ、まぁあれだけど・・笑)

水美スタンの軽妙さが面白くて好きでした。わかってて言っているのか無意識なのか?の絶妙なライン(笑)。
ちょっと危ない話やエキサイトメントな情報を持ち込んでくる陽気な友人の魅力。
柚香ダニエルと並ぶとお互いに魅力倍増でした。

「おまえ居直るとキツイな」というスタンの言葉が好き。
都会育ちな彼は世間慣れに関しては自分にアドバンテージを感じているんだろうな。
初心なところのあるダニエルに「世間ってもの」を教えてやるのは自分だと思っていそう。
でも、ダニエルのそのスレていない純なところを彼はけっこう好きなのではないかな。
おたがい自分にないものを持つ相手に魅かれあっているかんじ。
相手を認めつつも負けん気も発揮しあう同士。
2人の関係を探りながら見るのもたのしい作品でした。

マサツカ作品はややもするとマンスプレイングが鼻につくことがあって、この作品もまた相変わらず女は馬鹿だと思ってるよねーとは思うけれども、登場する男たちもまた主人公を含めてそれぞれが愚かな人間の1人として描かれているのが、人間への愛おしみと感じることができたような気がします。
答えを自分の中の常識の内に落とし込んでしまわない、問いかけは問いかけのままなのがいいのかなと思います。

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2017/12/09

あの瞬きに導かれ。

12月2日と3日、福岡市民会館にて宝塚歌劇月組公演「鳳凰伝」と「CRYSTAL TAKARAZUKA」を見てきました。

「鳳凰伝」。楽しみで仕方ありませんでした。
まずバラクは誰?と思いましたよね。れいこちゃん(月城かなとさん)か、いいではないか、楽しみだなと思いましたよ(笑)。

脚本の部分で物を申したいところもあるのですが、それでもこの作品が好きだなとあらためて思いました。
主演のカラフ役の珠城りょうさんが歌う主題歌にしみじみと聞き入りました。
甲斐先生の曲はいいなぁ。盛り上がるなぁ。木村先生の歌詞もいいなぁ。木村先生なのになぁ。

カラフは実感を求めてさすらっている若者なんだなぁ。
かつての華々しい凱旋も彼には熱き血潮を滾らせるものではなかったのだなぁ。

初演の和央ようかさんのカラフは、圧倒的なビジュアルと比類なき実力のある男、なにもかもがこの世界と乖離している自己を感じずにはいられず、世界との齟齬を埋める何かに出逢うことを夢見ている男に見えていました。
どうしようもなく孤独に生まれついた人だなぁと。
そして、いずれ世界を手に入れる男だぁと。
ゼリムもタマルも心から彼を慕っているけれども、彼らでは彼の心を埋められない。
そんな彼が対等でいられる唯一の男が、バラク。
この人と対になるのはもうトゥーランドットしかないよねと思えるカラフでした。

その初演のイメージとはまったく異なる珠城さんのカラフを読み解くように見るのはとても面白かったです。
珠城さんのカラフは内面が若い印象をうけました。若くて清々しいカラフでした。
孤高ではない。世界を信じている人だなぁという印象を受けました。
国は滅ぼされてしまったけれど不幸ではない。
ただ恵まれていた過去に実感がないのだなぁと。
愛情深い父の存在、自分を心から慕うゼリムやタマルのような人びとが他にもきっとたくさんいて。
皆が自分によくしてくれて、皆を大事にも思っていて。だから感謝の言葉も素直に発せられて。
慈愛に満ちた世界に育ち、うたがいもなく幸福であったのだろうけれど、それゆえに心から渇望するものがない。
恵まれた環境を失ってもそれを惜しいとも思わないでいる青年、それが珠城カラフだなと思いました。

そんな彼の目に飛び込んで来た星。
初めてその熱い血潮を滾らせたもの。
手に入れること以外考えられない希望。
彼に「いま生きている自分」「いのち」を感じさせたもの。
それがトゥーランドットなのだなぁと思いました。

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2017/03/30

うっとりします。

3月25日、福岡市民会館にて宝塚歌劇花組公演「仮面のロマネスク」とショー「Exciter!! 2017」を見てきました。

みりおちゃん(明日海りおさん)、頼もしいトップさんになったなぁと思いました。
すごく充実している感じが伝わってきました。

新トップ娘役の仙名彩世さんは明日海さんと並ぶと『絵柄』がちがう印象でした。
(仙名さんは花郁悠紀子さんが描く女性っぽいなぁと思いました)
ヒロイン芝居を封印してきた弊害なのかもしれないけれど、芝居が固い印象でした。
作品のヒロインとして心が閃く一瞬が見えるように、見せる芝居を期待したいです。

「仮面のロマネスク」はあらためて復古王政時代の描き方に惚れ惚れしました。
貴族たち、ブルジョワたち、庶民たち。自然に語られるそれぞれの立場からのセリフが時代を表現してて。
貴族階級の中にも異なる立ち位置がさりげなく描かれていて。
それが物語の主題ではないのだけど、確実に登場人物たちの心に影を落としているから物語が運ばれていくのだなぁとわかる。凄いなぁと思います。

そして、やはり柴田先生の作品は娘役を選ぶなぁと思いました。
なぜだかはわかりませんが、メルトゥイユは人間不信なところがありますよね。
だから人を試してしまう。
ヴァルモンの態度に本当は傷ついているし嫉妬もしているけれど、世間や男性を見下して自分はさも打算で生きているように見せかけることで自分の弱いところ、自分の本心を押し隠そうとする彼女独特の矜持がある。
そんな強がりが魅力的で愛しくて、宝塚にはまりたての頃にCS放送で見た初演のメルトゥイユに私は心を掴まれました。
そのちょっとした可愛らしさが今回のメルトゥイユには感じられなかったな。

ヴァルモンが感じているはずの彼女の仮面に隠された魅力を私も感じたかったなぁと思いました。
そこが感じられないとヴァルモンがただの美貌だけの浮気おとこに見えてしまうから。
ヴァルモンの動機になりうるメルトゥイユかどうかが大事だと思います。

また今回はどういうわけか零落した子爵家を持ち直したヴァルモンの影の苦労や仮面に隠したメルトゥイユへの愛が印象づかなくて、結果的に女誑しぶりだけが強調されてしまったような気がします。
メルトゥイユにもヴァルモンにも仮面に押し隠している真の部分がある。
それが仄見えた一瞬にはっとさせられるから、その仮面を今生の別れとなるかもしれないギリギリのところで外すラストシーンが感動的なのになぁ。
2人の「あなたがいたから」という繊細で久しい想いが優美なロマネスクになった瞬間のなんともいわれぬ感動を味わいたかったな。

と思ってしまうのも、“初演信者”ゆえかもしれません。(しかも映像の)
ハードルが高くなってしまってる自覚が大いにあります。
いろいろ言いながらも見たいんですよね
見たくもない作品や出演者ならはなから見ないですもん(笑)

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2016/12/09

悲しみが追いかけて深い海に落ちた。

12月3日と4日、福岡市民会館にて宝塚歌劇宙組公演「バレンシアの熱い花」と「HOT EYES!!」を見てきました。

ショー「HOT EYES!!」の感想は先に書きましたので「バレンシアの熱い花」について書きたいのですが、当然のことながら私の脳裏には2007年の同作品の記憶が鮮やかにありますので、それとからめた感想になると思います。


今回の「バレンシアの熱い花」を見終わっていちばんに思ったことは、この9年で宙娘の芝居が変わったなぁということでした。情感を上手に出せるようになってるなぁと思いました。
そのうえで、主要3人の女性役のキャスティングがいい。3人のコントラストがはっきりしてるのが効いているなぁと思いました。

伶美うららちゃんのイサベラが大人っぽくていかにも酒場で生きている女に見え、フェルナンドが他人の目を欺くための「遊び相手」に彼女を選んだことがわかりました。
イサベラも男心をくすぐるのは商売。身なりもよく羽振りもよくてお店にお金をたくさん使ってくれる上得意のフェルナンドと好い仲にならない手はない。
そこまでの関係だったら辛い思いをしなくてもよかったのに。

好きになってはいけない相手を好きになってしまうことはいつの世もあることだし、そのせつない気持ちを責めることはできないけれど。
けれどもやっぱりどうしてフェルナンドはイサベラに愛を告白したその口で待たせている婚約者がいるなんて言うのかな~と思ってしまいます。
そこを受け入れられるかどうかがこの作品の肝なのだよなぁと思います。

その婚約者とフェルナンドが住む世界は自分が住む世界とはちがうのだという残酷な事実を、愛の告白と同時に突きつけられたイサベラ。
あんな予防線を張られて。

もちろんフェルナンドとイサベラが結婚して幸せに暮らせるなどとは思わない。
そのくらいの現実は知っているけれども。
それでも私はフェルナンドを擁護する気になれない。

彼の中では女性には2種類あって、傷つけてもいい女性と傷つけてはいけない女性がいるのだなぁ。
大切にしなければいけない人間と、ぞんざいに扱っても良い人間がいて、それは生まれや育ちで決まるという考えの下で理解される物語なんだなぁ。そこが私は受け入れられないなぁ。
なのでフェルナンドは嫌いです。

一つ気づいたのですが、2人の別れの場面で今回の全国ツアー公演ではイサベラの「私の宝物の時間だった」というセリフがなくなっていました。
9年前は「あなたと過ごした時間はほんとうに楽しかったわ・・・私の宝物の時間だった・・・・・・さようなら」でしたが
今回は「あなたと過ごした時間はほんとうに楽しかったわ・・・さようなら」でイサベラは踵を返していました。

9年前のイサベラはこの夢夢しい台詞を言うことで、彼女の中の純情な乙女心が強調されて(演じていた陽月華ちゃんの個性とあいまって)いったいこの健気な娘とマルガリータとどこが違うの?と見ていてよけいに悲しくなったのだなぁと思いました。
「楽しかったわ」で終わらせることで、退き際をわきまえなければいけない世界に生きるイサベラという女性の立場が際立ったように思います。

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2016/12/07

愛と夢いっぱいに思いきり振りまきたいよね。

12月3日と4日、福岡市民会館にて宝塚宙組公演「バレンシアの熱い花」「HOT EYES!!」を見てきました。

ほんとうは3日の2公演だけのつもりだったのですが、ショーがあまりにも楽しくて4日はキャナルシティ劇場で「黒執事」12時公演を見終わったあとタクシーで15時公演に駆けつけてしまいました
全国ツアーならではの熱い客席。
舞台の上も客席も幸せな興奮がビシバシッ!! 思わぬ奇跡も起こっちゃいますよね。

このホールは古いけれど1階から3階最後列までワンスロープなので、全国ツアー恒例の客席降りで2階3階がおいてけぼりにならないのが好き。
さらにまぁ様は2階前の通路で投げキス連発で客席を煽るしで、盛り上がった客席は皆で手ぶりを合わせてまぁ様の指さし「最高!」戴きました。

真風さんにいたっては3階の客席まで来てくれて、指さし+ウィンク+投げキス+目線とすごくて。まさか2番手さんが3階まで来てくれると思っていなかった客席は沸きに沸きました。
福岡市民会館は通路が多くて複雑なのですが、3日マチネでは通路を1本まちがってしまった真風さんが3列目と4列目の間(通路ではないけど感覚が広め)を通って本来の通路へ戻ったりするものだからもう4列目の人羨ましすぎる。
ロケットがはじまる前には舞台に戻れてギリギリセーフ(笑) そこで終わらず袖に入る時には悪戯な照れウィンクまで残していくものだからその残像でクラクラしちゃいました ほんとうにステキ。
(真風さんに落ちそうで真剣にヤバかったです。ひ孫ちゃんの顔を思い浮かべて耐えました

その後はずっとテンションがあがっていたせいか、真風さんの「エキゾチックアァァァィイズ」では思わず笑いがこみあげてしまいました。それも私だけではなかったようで周りの人たちも(笑)。あの一体感と興奮は忘れられません。
3日のマチネでそれだったものですから、その日のソワレも翌日の公演も私は真風さんばかり見ていたようで、こうして感想を書こうにも細部を思い出せないのです・・
ほんとうに人生なにが起きるかわからないものです・・・(神様ありがとう)

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2016/04/28

人生を選び取る勇気。

4月16日と17日、福岡市民会館にて宝塚歌劇月組全国ツアー「激情」「Apassionado!! III」を見ました。17日はツアーの大千秋楽でした。

14日夜と16日未明に熊本で震度7の地震が起き、福岡でも一晩中スマホが鳴り微震が繰り返す状況で16日は寝不足状態での観劇となってしまいました。16日14時公演ではショーの冒頭で揺れがあり、安全確認のため公演中断、そして最初からやり直しになりました。
その間、主演のたまきちくん(珠城りょうさん)は小林幸子状態で身動きもできず舞台上にいて(たぶん開演前からその状態)、数分間幕もあいたままで、そんなたまきちくんに客席から万雷の拍手が起きました。皆たまきちくんにがんばれーって思ったと思います。
客席にいる人も出演者も同じ眠れない一夜を過ごしいまここにいるんだなぁ。ところどころ不自然に空いた客席は今日来るはずで来られなかった熊本やその他の地域の方たちなのだろうなぁ。皆それぞれの胸になにかを思って劇場にいたのだなぁと思います。

さて、そんな中で見た公演の感想です。

お芝居「激情」は初演とはまったくちがう印象をうけました。キャストのバランスでこんなに見え方が変わるのかと驚きでした。

3公演見ましたが、どうにも私はメリメに共感できませんでした。なぜだろうと考えたのですが、メリメがただの見目良い傍観者に見えてしまったからではないかと思います。
この作品にメリメが登場する意味は? 存在意義が見出せなかったのです。
かちゃ(凪七瑠海さん)のメリメは端正で上品なおぼっちゃまに見えました。その造形はメリメとして正解だろうと思います。が、ホセの生き方に憧れると言いながらも、安全な立ち位置からホセを眺めて彼のことを分析したり同情したりしているだけな気がして、それだけなら客席で見ている私にもできることだと思って、なんのために彼はここに登場しているのかわからなかったのです。

カルメンという決して捕らえられない自由な鳥のような女に強烈に惹かれ、そんなカルメンのためになにもかも捨ててしまうホセという男に心動かされて、自分にはないその勢いと人生に憧れ、それを描き出したいという衝動に突き動かされて、こののちメリメは創作に彼自身の才能と情熱をぶつけることになるのではないのかな。
強く憧れながらも自分はホセのようには生きられない、そんな自分を省みながらも、ホセとカルメンを目の前にしてその時々に彼もまた変わっていく部分があるのじゃないのかな。ホセやカルメンにはない強い自制心ゆえに見せるものもあるのじゃないのかな。そんなものが見たいのに見えなかったから。
分析や同情のためだけに登場されても ―― それならその尺分ホセを演じる珠城さんの芝居をもっと見たいと思ってしまいました。その芝居から、私自身がいろいろと感じたいし考えたいと思いました。
皆に恐れられるジプシーの首領ガルシアとのコントラストは見事でしたが、それだけじゃなくてメリメの役作りではもっと内面も追求してほしかったなぁと思います。メリメの内なる葛藤が感じられなかったので、ただ安全なところから傍観しているだけのモラトリアム青年のように見えてしまったのが、彼にイラついてしまった原因のような気がします。

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2015/12/09

\ ラ /。

11月28日(土)に福岡市民会館にて宝塚歌劇雪組全国ツアー公演「哀しみのコルドバ」と「ラ・エスメラルダ」を見てきました。

ショーの感想を書くつもりが1週間以上経ってしまって・・・。いまさらではありますが、自分のための覚書として思い出すままに書いてみます。

ショーで先ず楽しみにしていたのは、開演前に舞台上に現れる噂の『ラ』の電飾です。見ることができてうれしかったです。
ショーの開演前に舞台上に登場するオープニングセットはどの公演でも、これから始まる華麗でエキサイティングなひとときを期待させてくれるものですが、ことにこの「ラ・エスメラルダ」は大劇場上演中からオープニングのショータイトルの電飾が話題となっていて、私もこの目で見るのを楽しみにしていました。
全国ツアーでなくなってしまっていたらいやだな~と心配していたのですが、梅田のツアー初日にちゃんと登場することを聞いてうれしくて。
どの座席からが見やすいのかな?など頭の中でシュミレーションしてみたりしていました(^_^.)

この目で見たそれは、『ラ』と『エスメラルダ』のバランスといい字体といい、なるほど噂に違わず思わず笑顔になってしまうデザインで(笑)。同じように全ツでの初見を楽しみしていた人にも、何も知らずに見た人にも、それぞれの心を高揚させる効果があったようで、いつものオープニング待ちの客席とはちがう雰囲気が漂っていた気がします。

開演前にすっかりあたたまっていた客席を見て、これも一つの愛のかたちだなと。たのしみに着席して待っている観客に向けられた歓待の気持ち「おもてなしの心」(笑)を感じました。
そんな愛のつまったセットも、オープニングの音楽が始まるや、すすすと舞台の両袖に引き込まれてしまい、たったこれだけのためにあったのかと思うと、その心意気に感嘆しました。

電飾が袖に引っ込みオープニングナンバーとともに生徒さんたちの登場で、さあ楽しむぞ!と気持ちが前のめりに。
ヨシマサ先生×青木先生の元気なオープニングナンバーはちぎちゃん(早霧せいなさん)にぴったり。
初っ端から客席は手拍子で盛り上がりました。

つくづくとちぎちゃんのショーはたのしいなぁと思いました。
どんな役でも演じられるニュートラルな人よりも私は持ち味がはっきりしたジェンヌさんが好きだなぁ。
ショーで芸名でピカッと輝くちぎちゃんっていいなぁと思いました。
どの場面だか忘れましたが、ぜんぜん演出でもなんでもなく、たぶん狙ってもいないと思うんだけど、全力でものすごく高い見事な跳躍を見せたちぎちゃんに、あぁちぎちゃんだぁぁぁ\(^o^)/ととても心が浮き立ちました。
大人っぽい企みを見せる男役さんも大好きですが、こんなちぎちゃんも大好きです。
そしてだからショーって楽しいんだよねぇと思います。

それから、ゆうみちゃん(咲妃みゆちゃん)がとても溌剌と踊っているのが印象的でした。
お芝居とはうって変わって開放された感じで。博多座で見たショー「ファンシー・ガイ!」よりもこの元気なショーのほうがこのトップコンビに合っているかなと思います。
カルメンの場面でちぎちゃんを翻弄するゆうみカルメンものびのびとしていて新鮮に見えて心が躍りました。
私は娘役さんがイキイキと踊っている姿が好きです。その空気感もふくめて。

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