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2022/07/13

アルルカンの哀しみ。

7月5日に宝塚大劇場にて花組公演「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」「Fashionable Empire」を見てきました。

予定では5日と6日はドラマシティで宙組公演「カルト・ワイン」を見るつもりでした。5日の夜はムラでヅカ友さんたちと合流してDVD鑑賞会も予定していました。
しかし数日前から台風4号の動きがあやしく新幹線に遅延が発生するかもしれない、どうしよう前泊したほうがいいかなとやきもきしていました。

4日午後の予報を見ると、どうやら台風4号は速度が遅く5日の移動に影響はなさそうなので予定通り5日の新幹線に乗ることに決め、その旨をヅカ友さんたちに連絡して安堵して・・翌朝は早めの出発だからとさくさく夕食とお風呂を終えてタブレットを開いてみると宝塚歌劇公式アカウントからLINEが・・・。

「公演関係者から新型コロナウィルスの陽性が確認されたため、7月5日(火)~7日(木)の公演を中止させていただきます。」

まさに天国から地獄の心境。呆然として言葉も出ませんでした。

折しもの台風接近により新幹線は手数料なしでキャンセルできる状況でした。どうしよう・・・。
数か月前から計画を立て楽しみにしていた観劇とDVD鑑賞会。鑑賞会だけでも参加する??
混乱する脳みそをほったらかしにして手は勝手に宝塚歌劇公式HPを開いていました。花組の5日の15時半公演は?がーん貸切公演じゃん。

いや待って。さらに検索の手をすすめると「ぴあ貸切」とな。これは渡りに舟かも。ことし宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」が公演中止になったときにぴあ貸切のリセールを買って観劇した経験が。ぴあのサイトを開くと、あった~リセール。そのままぽちっと。
ヅカ友さんたちに「花組15時半を見ることにしたので遅れるけど参加します」と連絡。この数分の自分の行動力に驚き。ふだんは百万回逡巡するタイプなのに。

ということで急遽観劇した花組大劇場公演。
なんの下調べもしていなくて、「巡礼の年」はリストとショパンとサンドが出るのよね程度の予備知識で見たのですが、これが「すごく好きなやつ」でした。
こういう作品を待っていたんだと思えるほど。

リストとダグー伯爵夫人マリーとの関係は、昔父が持っていたクラシック全集のレコードについていた解説で知っている程度だったのですが、星風まどかさん演じるマリーは想像より純情で可愛らしい女性でした。

白皙の美男で突然雷に打たれたように発奮してそれまでの生き方を大きく変えるリストはイメージ通りで、その魂の変遷を全身で表現する柚香光さんに引き込まれました。
そして、肖像画のリストがなぜあのヘアスタイルだったか。彼がピアノを叩くと弧を描くように跳ね上がる麗しい髪束を見て合点しました。乱れる髪の毛さえも音楽的で神がかった美しさでした。
これは当時の女性たちも夢中になったにちがいない。もちろん私もなる、と。

その生涯を1時間半にどんな手をつかって収めるのだろうと思いましたが、駆け足ながらどんどん展開してここに収めたかーと思いました。
夢か現かの場面が効いていたなぁと思います。
リストが少年リストを受け入れる場面は胸にきました。お隣の見ず知らずの方が嗚咽を漏らされたのを聞かなかったら私も危なかったかも。

当時のパリで、ハンガリー出身の野心ある若者がどういう目で見られていたのかも想像できました。
そこには歴然とした格差の壁があったのだろうな。それを必死で乗り越えようとしたのだろう青年リスト。
彼のあのスタイルはそういうことだったのか。
自分を持て囃す他者を嘲笑うことで自尊心を保ち、返す刀で自分自身をも嘲笑っていたのだろうな。
それを見抜いて彼に突きつけたのがマリーだったんだなぁ。
そりゃあ居ても立っても居られないだろうな。

ちょっと意地悪な見方をしてしまうと、知られたくない彼自身の正体を暴いて自尊心を粉々にしたマリーを自分に夢中にさせることで自尊心を取り戻そうとした部分もあるのじゃないかな。
他でもない彼女が自分に夢中になっていることに意味があったのだろうなと思います。
自分のキラキラでも超絶技巧でもなく、精神的な部分で彼女を夢中にさせていることが重要ポイント。

パリを離れ、合わせ鏡のようにお互いだけを見つめることで満たされたかった。
彼女の中の自分を愛していたんだなぁと思います。

世間の批評から逃れて、自分だけを認めてくれる人と同じものを見て悦び同じものを嫌う蜜月に出現した小さな齟齬。
自分が受容しないものを受容するマリーに彼は傷ついたのだろうなと思います。
自分で自分を認めてやれないリストにとってマリーが彼だけを認めている、ということがあのとき彼のすべてだったんだなと思います。

14歳かそこらの彼が経験したことは、世界のすべてから拒絶されるに等しい出来事だったのだと思います。
そのトラウマをずっと引きずっている。
フランス人ではないこと。ハンガリー人であること。エリートではないこと。貧しさ。庇護されないこと。いつも遥か上にあるものを見て生きていること。

こどものような癇癪を起こすリストの葛藤に気づくのが、彼と似た境遇でもあるフレデリック・ショパン(水美舞斗さん)。
リストがもらえなかった神様からの贈り物をもらっている人。
そしてリストの野心と自尊心をよくわかって彼を焚きつけるジョルジュ・サンド(永久輝せあさん)。
良くも悪くも彼の野心とスノビズムを理解し、そのこどものような魂を愛している人。魂の半分。
マリー、ショパン、サンド。三者三様にそれぞれリストと同じ魂を持った人々だと思いました。
その人物配置が巧いなと。

最後まで自制心を保ったストーリー運びで、脱線しなかったのもよかったなと思います。
ダグー伯爵(飛龍つかささん)とラプリュナレド伯爵夫人(音くり寿さん)の役回りも効いていたなと思います。
もっと膨らませたい部分もいろいろあったと思うのですが、1時間半にまとめてあらゆる世代の観客に提供するには絞り込まないとだから。

私は聖乃あすかさんが演じたジラルダンという人が心に刺さって興味が湧いたのですが、そして星空美咲さん演じるデルフィーヌ・ゲーがどんな人なのかもっと知りたかったけど、本筋から逸れてしまうからこれでよかったのだと思いました。
(後で自分で調べたのですが、とても興味深い人物で、いつかこの2人の人物で作品を描いてもらえたらなぁと思いました)

彷徨えるリストに大切なことを気づかせるショパン、そして彼とサンドの会話。
30年後に再会したリストとマリーの対話。
このラストへの流れがとても好きでした。
彼は世界に愛されていたし、彼もこの世界を愛している。それに気づいてここにいるのだと思うと自然と涙が。
なによりもそれを証明するリストの少年たちへのまなざしが心に沁みました。

生田先生が作品に添える副題にはじめて共感できました。(「シェイクスピア」の頃から苦手だったのですが)
このリスト・フェレンツを3か月演じきったあとの柚香さんにどんな変化があるだろう。そんな楽しみを持てた作品に出会えた幸せを感じる観劇でした。

「Fashionable Empire」もビートの効いたちょっと懐かしい選曲がとても好きなショーでした。
この公演で退団する飛龍つかささんと音くり寿さんが同期の方たちに囲まれる場面は思わず感動でうるうる。
聖乃あすかさん中心の場面では、「ぴあ」「ぴあ」言っていた気がするのだけど聞き違いかな。ぴあ貸切だからかな。通常公演を見ていないのでわからないのですが、聖乃さんがくっさくキザっていてときめきました。男役楽しんでいるなぁ笑。

柚香さんと水美さんが競い合うように高速リフトをする場面もびっくりしたなぁ。
音くり寿さんと美風舞良さんが対で歌う場面も聞き惚れながらもう二度と聞けないなんてもったいないことだなぁと思いました。まだまだ聞ける機会があると思っていたのに。

永久輝さんのハスキーな歌声もとても色気があって好きでした。お芝居に引き続きこのショーでも一瞬女役をされていましたよね。男役に早変わった瞬間の開放的な得意顔にフフッとなりました。

フィナーレのデュエットダンスは、難易度のある振り付けを軽々とこなしながらもラブフルな雰囲気はこのコンビ(れいまど)ならでは。
スピーディーな展開で記憶が前後しているのですが、とても楽しめたショーでした。

24時間前にはまさか翌日自分が花組公演を見ているとは思いもしなかったのですが、見ることができてよかったなぁと心から思った公演でした。

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2022/06/04

夢見た大人じゃなくても。

5月24日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」「Gran Cantante!!」を見てきました。
イープラスの貸切公演でした。

この公演は初日開けて数日後の4月26日にマチソワしたのですが、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたため4月30日より公演中止となっていました。
果たして2度目の観劇は叶うのか?と心配だったのですが5月19日より公演が再開され観劇することができました。

お芝居もショーも「礼真琴」を満喫。
「めぐり会い~」の銀橋でルーチェ(礼真琴さん)が
歌う「Love Detective」、これぞ礼真琴。でわくわくしました。

「めぐり会い~」は前回見た時よりも演じている皆さんが楽しんでいるのが伝わりました。
そして私はロナン(極美慎さん)が好きかも。忘れていたオタク心をくすぐられたみたいです

前回見た時はアニス(水乃ゆりさん)がツボり、今回はアニスに加えてロナンが刺さりまくりました。

親の言いなりになるように育てられてしまった人なんだなぁ。
親が示す価値以外を認められないように洗脳されて、それに当てはまらない人を見下すような人に。
オンブルパパ(綺城ひか理さん)めちゃストイックそうだもんなぁ。
フォション(ひろ香祐さん)みたいに、好きな時に好きなだけお菓子を食べる生活なんて考えられなかったんじゃないのかな。
ローウェル公(輝咲玲央さん)を筆頭にローウェル家とオンブル家では家風が違い過ぎるよねと思います。

コーラス王(朝水りょうさん)も大切な娘を預けるにあたって、悪者から命を守ることのみを要件とするならオンブル家が最適と思ったはずなのだけど、娘に甘々な父親の気持ちが加味された結果、ストイックなオンブル家に預けるにはしのびず、のびのびと笑顔いっぱいに成長できそうなノンキな親戚の家庭が最良と選択したのかなと思います。
その感覚こそがやっぱり、コーラス王とオーウェル公が血縁のゆえんでは?
オンブルパパは「血」というけど、血がつながっていれば良いというわけではなくて、血がつながっているゆえの価値観や性質の相似こそがこの決定をもたらした気がします。
オンブルパパには気の毒だけど・・・。

そんな報われないオンブルパパとオーウェル公とコーラス王の若い頃のスピンオフが見たくてうずうずしています。
この関係性に疼きます。
もちろんオルゴン伯爵やマダム・グラファイスも登場して。それにそれぞれの奥方たちもどんな女性か知りたいなぁ。

王女の侍女かと思いきや、剣術の使い手らしいアージュマンド(瑠璃花夏さん)はコーラス王が遣わした侍従兼武官かなにかなのかな。
王女にも自分で自分の身を守れるように剣術の指南もしているのですよね。
だから危急に及んでもアンジェリーク(舞空瞳さん)は果敢に道を開くことができた。
そんな自らの手で剣を振るって窮地を打開するアンジェリークとアージュマンドを目の前にして、ジュディス(小桜ほのかさん)はどんな気持ちだろうと思うと胸がきゅっとなりました。

軽い気持ちで見ることができて、笑いながらもキャラクターの心情を思い、時にはっとさせられたりうるうるさせられる作品に心が解されました。

ライトテイストなお芝居の後には、息つく暇もないような、これでもか、な“ザ礼真琴ショー”「グランカンタンテ」。
リミットなしの「礼真琴」のパフォーマンスが圧巻。
あまりに集中して見て聴いて感じて終演後はぐったり。良い意味で。

「ボニータ」をはじめどの楽曲も、こんなふうに歌って踊ってショーアップされたら本望でしょうと思いました。
礼さんに呼応するように、星組生のパフォーマンスも前回見た時よりもレベルアップした印象で、どの場面も見ごたえがありました。

終始クオリティの高いショーで大満足でしたが、個人的には「ニンジン娘」みたいな場面がもう1こくらいあってもいいかなぁ。とも思いました。
凄すぎて背筋が伸びすぎカチコチになってたので。(お芝居が「めぐり会い~」でよかった~~~)

でもこんなショーが見られるのもいまの星組だからこそ。
礼さんと星組を堪能出来て大満足。高揚して終演後に逢ったヅカ友さんに思いを語りまくってしまいました。
ここにありちゃん(暁千星さん)が加わるなんてもう。。想像しただけで見逃せない思いです。

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2022/05/04

グランカンタンテ。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

ショーはそのタイトルどおり、礼真琴さんが歌い歌い踊るショーでした。
懐かしいスペインものの柴田作品の主題歌や挿入歌を次々に歌い継いでいく場面は宝塚ファンとして心躍りました。
(わたし的にはタニウメで聴いたあの歌を、礼さんと美穂さんで聴いてることに妙なテンションの上がり方をしたり・・笑)
礼さんが大階段で「オンブラマイフ」を歌う場面は圧巻。
クオリティの高いショーを見たなぁ。これなら何回も見れるなぁ。と思いました。(といっても残るチケットはあと1枚なんですけど)

観劇から1週間たってしまったのですが、感想を書こうと思ったら、これが意外と細部を記憶していない・・涙。
全編スパニッシュだったせいかな。礼さんが凄かったのは間違いないんですけど。
鮮明に思い出せる場面は、瀬央ゆりあさんが銀橋で「ニンジン娘」を歌っていた場面。
瀬央さんの後ろで踊っていた極美慎さんの表情だったり。
それから礼さんが闘牛士の場面での牛さんの瀬央さんだったり。
ワッカのドレスの万里柚美さんだったり。太鼓を叩いてた華雪りらさんだったり。
天寿光希さんと音羽みのりさんが歌っている場面もあって、ああ退団されるんだなぁと思ったり。
フラメンコの掛け声がカッコイイと思ったり。
せり上がりして銀橋を渡る極美さんのお顏だったり。
見ている時は夢中で愉しんだんですが、場面の細部をほんとうに覚えていない自分に愕然。

ちょっと言い訳をさせてもらうと、「礼さんとその他大勢」か「礼さんと美穂圭子さんとその他大勢」なシーンが多くて、記憶力の弱い私には難易度が高くて・・。全編スパニッシュというのも記憶が混乱する原因かな。
礼さんだから成立してるショーだと思いますが、星組には素敵な人がいっぱいいたはずなのに、あまりピックアップされていなかった? されていたのに記憶がない?・・どっちだろう。
検証するためにも、もう1回見たいです。(どうか叶いますように・・涙)

美穂圭子さんの歌も素晴らしかったですが、ずっと歌われている印象で。ここぞという場面であの歌声を披露されるほうが記憶に残った気がします。
星組のいろんな人の歌声も聞きたかったなぁ。とくに娘役さんの。

パフォーマンスは本当に素晴らしかったのですが、礼さんと美穂さん以外のパフォーマーの顔があまり見えないショーだったかも・・と思いました。
でも、私の勘違いかもしれないので、もう1回絶対見たいです。
どうか早く公演が再開しますように。切に祈ります。

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2022/04/30

ハウダニット。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」 (タイトル長いけど、どこを省いていいのかわからない!)は、2011年に柚希礼音さん主演で上演された「めぐり会いは再び」のシリーズ3作目で、2作目で登場した礼真琴さん演じる末っ子のルーチェの10年後を描いた作品になっていました。

1作目2作目は地方貴族オルゴン伯爵家のお嬢様の花婿選びの顛末を描いたものでしたが、今回はそのオルゴン家の次男で末っ子のルーチェが訳あって王女様の花婿選びに参加する物語。舞台を彼が住む王都に移して、なぜかスチームパンクの世界観に。この世界線では文明が発達するとこうなるってことかな。

今作の上演発表時にまず気になったのが、1・2作目に出てきた人たちはどうしているのかな?でした。
その気になる面々もちゃんと登場。
音羽みのりさん演じるレオニードがあの困難な恋を成就させてしっかり?ちゃっかり?オルゴン伯爵夫人になってた!(奇人のお兄様押し切られたか!)
持ち前の行動力は健在だし、なにより懐かしい姿が見られてうれしかったです。

万里柚美さん、役名が変わっている?と思ったら、リュシドールと再婚して伯爵夫人ではなくなったからか。お行儀指南というかもはや王家のご意見番ですね。
執事のユリウス(天寿光希さん)は変わらずオルゴン家に仕えてて安心しました。相変わらず女優がお好きなんだな。憧れのエメロード様(美穂圭子さん)にも会えてよかったです。

ていうか、あのエルモクラート(真風涼帆さん)が振り回されていた大女優のエメロード様はこの方だったのか!衝撃。(これは端から手玉にとられていたな)
当時モラトリアム全開だった彼はどうやら劇作家をやめて実家に戻り、いまや辺境伯のご領地を治めているらしい。
そしてそこには某弱小国第24王子の従者ケレス(芹香斗亜さん)がいるらしくて、人生なにかおきるかわかりませんねーという。
そんな細かいところも盛り込んでくれるのは、シリーズを見てきたファンにはうれしいです。
ただ一つだけ、オルゴン伯爵役で英真なおきさんが出演されていないのが本当に残念だなぁ。

さていつの世もどこの世も、都というのは若者が夢を抱いて屯しては失意を味わう場所らしくて。
ここでも萎んでしまいそうな夢を必死に守る若者や教わるべき先達を失い形骸に固執する者、大人や世間に傷ついて逃げ込んで来た者たちが戯れ言やため息を共有しあっている。
心に傷を抱えて前に進めないルーチェも。みんなこのままではいられないとわかっていながら子犬のようにグルーミングしあって巣穴の外をうかがっている。
そんなところから物語ははじまりました。

ストーリー運びは単純で、見ている観客は謎解きなどしなくても登場人物たちが勝手に王女様の正体も真犯人もバラしてくれる。それもけっこう早いうちに。
だから、あとは主人公たちがどうやって学びと覚悟を得て逃げていたものを受け容れるか、を見ていくことになるのだけど。

いちばんの見どころは役者のキャラ立ちだなぁと思いました。
でもそこがなかなか難しいのだなぁと。
私が初見で思ったのは、初演の方たちのキャラ立ちは尋常じゃなかったのだなぁということでした。
とはいえ、私が見たのは初日があけてまだ数日のところ。これから1人ひとりがどんどん個性を発揮していくともっと面白くなるはず!と思います。
このお芝居にかぎっては、意味もなくカッコイイとか、訳もなくラブリーとか、そういうのぜんぜんオッケーだと思うので。

オンブルのみなさんとか花婿候補のみなさんとか、もっともっと美味しくなると思いました。脚本にはそういう場面も用意してあるし。
力自慢の彼(役名お名前わからずすみません)とか騎士の彼(碧海さりおさんですよね)とか。自己紹介の伏線を回収する場面は見得を切るくらいの勢いでやっちゃってもいいのじゃないかなぁ。おお!あの人ね!って応援したいです。第128王子のリドル(咲城けいさん)は強いの?弱いの?笑。
オンブルの追手のみなさんも、せっかく銀橋を使うのだからもっと派手に照れてもいいような笑。
わちゃわちゃしてる場面が多いので、礼真琴とその他大勢にならないで芸名の自分をもっとアピールしてこ笑。と思いました。

私がいちばんもっと美味しくやれるはず、と思ったのは宰相オンブル(綺城ひか理さん)。
ギャップ萌えできるなんてこんなに美味しい役があるでしょうか。
最初はどれだけ憎々しく印象づけるか。
そこからの「気流の関係で機体が大きく揺れることが予想されます」的な気持ちを存分に味わわせることができるキャラ。
だって動機がアレですよ? こんなことで? こんなことある?みたいな。
なっ・・っ・・そんなにもコーラス王(朝水りょうさん)のことがっ???って見ていて照れちゃいました。
美味しくやれる余地がいっぱい残っていると思うんです。
あの脚本をどれだけ埋めたり足したりできるかが役者の手腕だし面白いところだと思います。
そしてラストのコーラス王には、オンブル様への愛をもっと見せてほしいなぁ。相思相愛よろしくお願いします。

息子のロナン(極美慎さん)も同じく。
もっといけ好かなくってもよろしくってよと思います。
オムツをしている時分から「向かうところ敵なし」だったみたいな印象を与える人に見えたらいいな。内心はどうあれ。
美貌はいうことなし。さらにもっと過剰なほどの自信を自分を守る鎧のように身にまとっているといいな。
でもほんとうは・・なんて。こんなに美味しく描かれているキャラがある?って思います。
でもでもどんなに健気な一面があろうとも小憎らしさだけは絶対に失わないで。それが最大の魅力だから♡

本来は宰相オンブルのようなキャラクターを得意とする輝咲玲央氏が今回は「ノンキな親戚」に回っているのも見どころだと思いました。
(オンブルがほんとに悪宰相なら輝咲さんにキャスティングされているのだろうなぁ)

ノンキな親戚チームはさすがだなと笑。
ローウェル公爵(輝咲玲央さん)、意地っ張りの若い2人を心配してこんな計画に手を染めるなんてほんとにノンキでお人好しなんだから。
しかも見込んで助言を求める相手があのレオニードだし。「国家機密」を担っているのにほんとうにお気楽な公爵様笑。
ローウェル公が能天気であればあるほど、オンブル様がムキ~ってなるのもわかる気がします。
王の甥ってだけでなんの取り柄もないくせに~!って。(ローウェル公がコーラス王の甥ってことは、王女様とはいとこ同士? コーラス王はずいぶん遅くに一人娘を授かったのだな。そりゃあ可愛くて心配もするかぁ)

フォションお兄様(ひろ香祐さん)はこんな方だったのかぁ。こりゃあかんたんに妹にクスリを盛られるなぁ笑。
クスリを盛られても目が覚めたら「爽やかな目覚めだわ♡」とかノンキに思っていそう。

こんな大らかで寛容な親戚に囲まれて育ったからレオニードも自分に正直に突き進める女性に育ったのだろうなぁ。
アンジェリーク(舞空瞳さん)も預けられたのがローウェル公でよかったのではないかな。
宰相のところだと窮屈で自由もなかったのじゃないかな。ルーチェとも出会えてなかったかも。

さてこの国では母親は早世しがちみたいで、コーラス家、オルゴン家もそうだったし、オンブル家も母親はどこ?でした。
新公外の星娘たちがひとまとめに花婿選びの審査員と仮プリ(仮のプリンセス)だったのは美味しくないなぁ。
顏覚えが致命的に苦手な私にはつらかったです。誰が誰だかになって。
といってもいまさら役は変わらないので、ならば星娘たるもの、半歩前へ押し出し強く主張してくださるとうれしいです。

中堅どころがわちゃわちゃしているなかで、105期が美味しいなと思いました。
双子のポルックス(詩ちづるさん)とカストル(稀惺かずとさん)、とっても可愛かったしお芝居もお上手だなぁと。
鳳花るりなさんも冒頭の回想シーンでの子ども時代のアルビレオ、お顏がよく見えてセリフも良いお声。(アルビレオは歌うまさんの役でしたね)
大希颯さんのフラーウスも、ルベル(天飛華音さん)やカエルレウス(奏碧タケルさん)と一緒の3人組で。双子と絡むところは長身が活きてました。

星組を見に行くと必ず目が吸い寄せられる水乃ゆりさん、今回はレグルス(瀬央ゆりあさん)、ティア(有沙瞳さん)、セシル(天華えまさん)と一緒に探偵事務所に屯するルーチェの大学時代からの友人アニス役。発明、実験、計算が大好きでかつちょっと生きづらそうなものを持っていそうなキャラが新鮮でした。ハネた三つ編み姿も可愛くて目がとろけました。

アージェマンド役の瑠璃花夏さんは、初演のリゼット役の白華れみちゃん味があってなんども目を凝らして見てしまいました。
(そしてそしてもしかしてまさかのアージェマンドがタイトルロール???笑)
可愛らしくてお芝居もお上手で良いキャラを出してて、これから注目したいなと思いました。

そしてけっきょく聖杯は怪盗ダアトに盗まれてしまったのですよね。
ダアトの正体と盗まれた聖杯のゆくえを追う物語は、いつか見ることができるのでしょうか。
その時は、バートル探偵事務所のみなさんと、ルーチェとアンジェリーク、そしてアージェマンドが活躍してくれるかなぁ。

終わってみるとみんなで大騒ぎした末に大団円という馬鹿馬鹿しいけど罪のない作品でした。
こんなお芝居を2500人もの観客が一緒に見てほっこり涙ぐんだり笑ったりしているって、なんて尊いんだろうとしみじみ思いました。

そしてこれを書いていた4月30日、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたということで公演中止となってしまいました。
宙組大劇場公演につづいて星組も・・・涙。
陽性になった方が罹患症状など残らず無事に復帰されますように。
一日も早い公演再開を心から祈っています。
(どうか2度目の観劇が叶いますように!)

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2022/03/18

ぼくが見ているものを見ようとする。

3月14日に宝塚大劇場にて宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」千秋楽を見てきました。

1週間前に見たときよりさらに、別のスイッチが入ったのかとさえ思うくらいの迫力ある宙組のコーラスを浴びることができました。
今回の舞台の主役は、このコーラスであり、宙組生全員だと思います。1人1人から発せられるパワーと音が合わさって生まれるハーモニーに圧倒されました。

終演後は目の周りがカピカピになっていました。
この作品に心を揺さぶられた後だったから、退団する5名の挨拶そして真風さんの言葉がいっそう胸に響いたのだと思います。
いつの間にか退団者が袴で大階段を降りて客席からの拍手を浴びることが当たり前のことではないのだと思う世の中になっていて、そんないま、この奇跡の瞬間をみんなで分ちあっていることになんともいえない気持ちが溢れました。
この瞬間が幻と消えてしまわないで本当に良かったです。春瀬さん、瀬戸花さん、水香さん、穂稀さん、愛海さん、大劇場ご卒業おめでとうございます。

楽曲もアレンジも素晴らしいなぁと思い、舞台でいまこの瞬間に湧きあがるコーラスに心を振るわせられつつも、冷静な自分が「おそらく私は一生ジョルジュとはわかりあえそうにないなぁ」と思ってもいました。
これは1人のエゴイストの生き様を描いた作品なんだなぁと思いました。

サグラダファミリアの外でエレンがジョルジュを問い詰める場面、エレン役の天彩峰里ちゃんに私は釘付けでした。
激しい言葉で詰るように歌いながらその心がジョルジュの愛を切望しているのが痛いほどつたわる天彩峰里ちゃんの熱演にこちらが泣きそうになりました。
よくこんな主人公がサイテーに見える場面を作ったなぁ。そのことにこそ価値がある場面だなぁと思ました。

「あのひとのどこがわたしよりいいの?」「ぼくが見ているものを見ようとする」
でも、彼女(キャサリン)が見ようとするものを、彼が見ようとはしないってことも私はもう知ってる。
彼にとって大事なのは「ぼくが見ているもの」だけだって。
自分に正直に求めるものを追いかけてそのためには人も傷つける。そういう人間の生き様が描かれているのだなぁと思います。

上昇志向だったパリ時代は、エレンも「ぼくが見ているもの」を見ている人だったのだと思います。高みを目指して彼女を追って新世界に渡ってきた。
あらゆるプライズを手に入れて何不自由のない身分になるともっと別のものに、華やかで享楽的なハリウッドでは見いだせないものが見たくなった。それを「人生の真実」と彼は言う。
エレンとはもう「見ているもの」がちがってしまった。

そんなときに、彼と同じように「人生の真実」をみつけようとしているというキャサリンと出逢う。
彼の理屈では、そんなキャサリンに気持ちが移るのは当然のことなんでしょう。
「君を傷つけたなら殴られてもいい」
人を傷つけたとしても自分が望むものを追い求める。心底自分に正直なエゴイストなんだなぁ彼は。

そしてキャサリンの視線が「ぼくが見ているもの」から逸れていくのを感じると、「彼女のどこに恋したのだろう?」と自問しはじめる。
やるべきことをみつけたという彼女を引き留めて、そばにいてほしいと思う。
でもそれを彼女に言うのはプライドがゆるさない。と葛藤する。
どこまでも勝手な人だなぁ。

「ぼく自身のプライドが」だとか「男のエゴイズムか」だとか四の五の言って彼女とのあいだに「渡れない河」を作っているのは彼自身でしょうに。
彼女を引き止める理由やそうしたい気持ちがあるのなら、それを言葉にすればいいのに、男のエゴイズムだと言われるのはプライドが傷つくから、必死になって引き止めたりはしない。
みっともないことはしたくない。
いっそ清々しいくらいのエゴイズムと自己愛。それこそがジョルジュの本質なんだなぁ。

さらに「ぼくが見ているもの」は変わっていき、キャサリンとも共有できないものになる。
自分がやりたいことをやるためには彼女が足手まといなのだけど、それをさとられるのは沽券にかかわる。
「だから——言いはしないサヨナラだけは、NEVER SAY GOODBYE」
そう言って自分の命だというフィルムを彼女に預ける。とても共有したとは思えない「人生の真実」を君と共有できたという。
欺瞞だなぁ。詭弁家だなぁ。

結局は男としてヴィセントたちに劣りたくないからキャサリンを残して前線に向かうのでしょうに。
子どもができるような関係になった女性と一緒に生き抜く未来ではなく、男同士の社会で誹られない自分になるほうを選びたくなったから。

ヴィセントはもともとそういう側の人間で、オリンピアーダたちとは共に闘う中で絆を深めていった。その仲間意識に憧れて、その絆から弾き出される疎外感に耐え切れず、その一体感に身を置く安心感を選んだ。そんなふうに私には見えました。 
それを「人生の真実」という言葉で誤魔化しているように。

リベラルを気取って知的で洗練された男性として生きてきたけど、自分を解放して本当にになりたい自分を突き詰めたら、女性を粗野に扱って荒々しく生きたい願望にぶち当たったんだな。

自分がやりたいことをするために別れようとしていること。なのにこれはサヨナラじゃないと言うこと。
ジョルジュは自分を正当化できていると思っているかもしれないけれど、潤花ちゃん演じるキャサリンはすべて見透かしたうえで、そのほうが2人にとってベターなんだと理解したから、受け入れたように見えました。

そういうところに男女のリアリティを醸し出すコンビだなぁと思います。
ロマンよりも真実を、このトップコンビに感じました。
面白い2人だなぁと。
男の真実を見せる真風さんと、人間のエゴイズムを包み込むそのホスピタリティが魅力の潤花ちゃん。
それぞれに1人で立っていることができる2人だからこその世界観。
初演のコンビが見せた悲壮感とは、見えるものがだいぶ違うなぁ。

そこまでの人間ドラマは面白かったのですが、その後の描き方がやっぱり物足りなかったなぁ。
私は塹壕の中で交わされるジョルジュとヴィセントとの深い友情の場面とか見たかったなぁ。ヴィセントが孫に語ったジョルジュの勇敢さとか、そりゃあ孫に語るわって納得できる場面を。
もっとヴィセントやオリンピアーダたちとの場面を書き込んで見せてくれたらなぁと。

初演は伝説のトップコンビの退団作品として、2人の別れの場面に全集中だったのは当然だし、そのシチュエーションだけで納得してしまえた部分はあったけれど。
再演にあたって、初演でも薄々感じていた2幕後半の作劇の薄さをもうすこしどうにかしてくれたらよかったのになぁ。
再演は初舞台公演でもないし、加筆してくれると期待したのになぁ。

余談ですが、キャサリンの「私は離婚経験者で、恋愛は3回、あなたで4人目」・・初演では花總さんにそれを言わせるんかい?でしたが(おそらくあえて言わせたなと)、再演ではジョルジュの「ぼくは君に会うために生まれてきた」にあーそれ言っちゃう?って思ってしまいました。
これに関してはジョルジュは悪くないし、当然真風さんも悪くない。(悪いのは小池修一郎)


芹香斗亜さんは、初演の大和悠河さんが演じた如何にもな「ハリウッドが期待するスペインのマタドール」(ラテンラバーとして華やかに登場)かつ「英米人から見たスペイン人」(好意を示すのも怒りをぶつけるのも直情的な人物)とはだいぶ異なるヴィセントを作っているなぁと思いました。

再演で追加されたソロ曲によるところも大きいですが、かなりペシミスティックで感傷的な印象を受けました。
初演だと、ジョルジュと真逆の人生を生きてきたキャラクターという対比が見えていましたが、今回はそんなに単純な感じではなさそうでした。

それゆえ、2幕でジョルジュにキレるところが、えええっそんなことを言う人には見えなかったのに~って思いました。じつは本心では誰にも心をゆるしていないのかしらこの人は?と。
大和ヴィセントは単純に、戦況思わしくなくイライラが募っている矢先にタリックのこともあり、心の闇をぶちまけてしまったんだなぁと見えたのですが。
そして彼が本音をぶつけたことでジョルジュも自分がずっと抱えてきたことを吐き出せたってかんじで、かえって雨降って地固まった印象で、とても単純な流れに見えたんですが。
再演ではそうは見えませんでした。

このシーンはもっと何度も見て考察してみたかったなぁ。返す返すも公演期間が短くなったことが口惜しいです。
オリンピアーダたちのことも、もっと1人1人注目して見たかったです。見えたものがたくさんあっただろうなぁ。
(Blu-rayを買い求めるしかないかぁ。この千秋楽が収録されているというのが唯一の救いかも)

私が持っている東京公演のチケットは1枚だけ。
あとは東京千秋楽を配信で見るのみ。
どうかどうかこれ以上見られる機会が減ることがありませんように。
退団する方たちが幸せに千秋楽を迎えられますように。切に祈っています。

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2022/03/12

たがいのぬくもり感じられたら憎しみも消え去る。

3月8日に宝塚大劇場にて宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」の11時公演と午後の貸切公演を見てきました。

2月5日が初日のはずでしたが、いくどか延期を繰り返して28日に待ちに待った幕が開きました。
それまでに5枚のチケットにサヨナラを言い、やっとのやっとで8日に観劇が叶いました。

幕が開けばつぎつぎに流れてくるどのメロディも懐かしく、それをいまの宙組で聴ける感動と幸せも覚えつつ。こんなに大好きだった楽曲で溢れていたのに、再演を熱望とまではならなかった理由もうっすらとわかったような気がしました。

幕開きに流れてくるギターの音色ですでにうるうる。
その前に開演前のオケボックスから懐かしいフレーズの一部が聴こえただけでも胸が震えていました。

オリーヴの樹が見える丘を目指して2人の人物が花道から登場。これがヴィセントの孫(エンリケ)に抜擢の107期生の奈央麗斗くんかぁ。そしてキャサリンの孫(ペギー)は潤花ちゃん相変わらず見目好いなぁ。2人とも初演よりは大人びて見えるかな。
あれ?いまエンリケ80年前って言った? 初演は70年前って言っていたはずなので、2人が生きている時代が2020年前後にアップデートされたのかな。

初演のとき不思議に思っていたのですが、ペギーの祖父がジョルジュなら、その子は1940年生まれで初演の時でも65歳くらい、2022年のいまなら80歳を過ぎているはずなんだけど、親の年齢がそうならペギーが若過ぎないかな。50歳くらいで子どもを儲けたのかな。
エンリケはもっと若く見えるので、ヴィセントもヴィセントの子も、子どもができるのが遅めだったのかな。
人生さまざまだからなぁ。

真風涼帆さんのジョルジュはハリウッド時代もあまりスカしたプレイボーイという印象ではないのだなぁ。
初演の和央ようかさんのジョルジュがハイスペックなスノッブ野郎といった風情で登場して、キャサリンには第一印象最悪だろうな(苦笑)と思ったのに比べると、そこまでキザなフランス野郎の印象は受けないなと思いました。
むしろ最初から私はジョルジュに好感を持ってしまった。逆に酔っぱらっていきり立つ潤花キャサリンに「あらあらあら(笑)」ってなりました。

「キスしてくれたら」と言う和央ジョルジュには、いつも女性にこんなことを言ってきたのねこのひとはと思いましたが、真風ジョルジュには「えっなんでそんなこというの???」って思ってしまいました。
私は真風さんを全面的に信頼してるんだなー(笑)。
登場からしてジョルジュもキャサリンも初演と印象がまるでちがうので、これは新しいネバセイが見れそうだなと思いました。

再演はジョルジュだけでなくどの登場人物も弁えた好い人たちだなぁという印象で、エゴとエゴのぶつかり合いも控えめだなぁと思いました。
大和ヴィセントめっちゃ怒ってキレまくってたなぁとか、るいちゃんエレンの「ドロボー!!!」キツかったなぁとか、思い出していました。

なんというか、2022年版はみんな最初から纏まっててワンハートでした。たがいを思いやる気持ちが端々から伝わってきます。
楽曲の中でジョルジュの訴えに呼応して徐々に気持ちが1つになっていく感じではなくて。
そのせいか、期待していたダイナミックさには欠けたかなぁ。
ひとことで言うなら「調和」。これがいまの宙組なんだなぁ。

素晴らしいコーラスの纏まり、それでいて1人1人の顔が見える。
たがいに共鳴しあって、ワンハートを心の底から歌いあげたい思いが伝わってきました。
その溢れる思いに心から肯くことができ、そんな宙組がとても愛おしく思いました。その瞬間私の頭の中からは物語の状況は飛んでしまっていました。
そこに内戦を描いているカオスはなかったなぁと思います。

初演の時は和央さんそのものが「壮絶なドラマ」だったものなぁ。そのことと作品の悲壮感が相合わさって胸に迫っていた部分もあると思います。
ワンハートを歌いながら組のメンバーと眼差しを交し合う和央さんを見ているだけで心が震えたことが思い出されます。
2022年のいま、おなじこの宙組の舞台から受ける印象は「愛」と「喜び」でした。

考えるいとまもないような怒涛の勢いで押し切った初演。その作品を再演したことで、見えてしまったものがあるようにも思います。
私の中で流してしまっていたことを流せなくなってしまったというか。
いまのこの世界情勢から感じることも関係あるのかも。

いま目の前にいるオリンピアーダたちは戦況もちゃんと把握できてて冷静に判断できてそうで、それなのに?と思ってしまいました。
ヴィセントの言う愛する者たちを守るとはそういうこと?
自分を根無し草だと言うジョルジュが求めていた「人生の真実の時」ってそれ?
私には命のリアリティが描かれていない気がしました。
アメリカに戻って子どもを産み育てたキャサリンや、ヴィセントを待ち続けたテレサやビルが故郷に残してきた恋人の人生にある「真実」にこそ私は目を向けたい人間なんだなぁと。そんなことを突きつけられたように思いました。
なぜ、人民オリンピックに参加した彼らが祖国に帰らずスペインに残ったのか。どんな人生を生きてきて、その決断にいたったのか。それが知りたかった。
なぜ、ムレータやカメラを棄て銃を手にするのか。私にはわかりませんでした。
彼らはなにと戦っているのか。
無邪気に子どもたちが武器を持つのを見るのも胸が痛い。

1回目の観劇後、考えだすと辛くなってしまったので、2回目観劇の2幕からは考えるのはやめてパフォーマンスだけを愉しみました。
そんな自分も嫌だなぁと思ってしまって、ああだからだと思いました。どの楽曲も大好きだったのに再演を熱望しなかったのは。
初演のときに漠然と誤魔化してしまったものに向き合いたくなかったのかもしれないな。
フランク・ワイルドホーン氏の物悲しい音楽に数日経ったいまも胸のうちをかき乱されています。

 ※奈央麗斗くんの期を間違えていましたので訂正しました

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2022/02/02

恐れさえも分ちあえば光は見えるさ- NEVER SAY GOODBYE -

2月5日に幕が開くはずだった宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」の初日が延期となりました。公演関係者から新型コロナウィルスの陽性が確認されたためということです。

この数週間というもの、大きな期待とそれに比例するドキドキ感と昨今の感染拡大の状況に対する不安とでいっぱいいっぱいの状態でなんとかして初日を見に行こうとしていたのでなんとも言葉にできない気持ちです。

いまも心に深く残っているこのミュージカルの大ナンバーたちをいまの宙組がどんなふうに歌いあげ聴かせてくれるのだろう。
初演当時は思うことがたくさんありずぎてフラットな気持ちで見られなかった気がするこの作品の主題、主人公たちの想いを、いまの私はどんなふうに受け取るのだろう。
などなど、考えだすと気が逸り、これは1日も早くこの目で見ないとなにも手につかなくなりそうと思い、私としては珍しく初日を見に行くことにしていたのでした。(初日の客席の緊張が苦手でして・・ふだんは初日があけて数日後に見ることが多いです。でも今回はそれを見ない数日間が耐えられない気がしました)

5日だった初日は延期。ということで来週初日が開けたとしても見には行けないし(2月は2回遠征予定だったのでそれ以外の予定は来週にまとめてた)、私が見に行けるのは当初2回目観劇予定だった再来週かなぁ。うーんそれまでどうやってこの気持ちを宥めよう。

とはいうものの、これまでとは異なり今回の流行は私の職場や家庭にも多大な影響を与えているのが現状です。
ふつうに学校や保育園に通っている子どもたちに感染が広まっているようで、お子さんが陽性で親御さんが濃厚接触者となり出勤できない、または学校閉鎖で子どもを家でみていなくてはならなくなって出勤できない、などという人が続出で通常の半分の人数で業務を回していたりします。
この状況では、予定通りに初日が開いたとしても観劇できたかというと・・実際問題ムリだったかも。(じつは1月後半の月組観劇は悩んだ結果断念しました)
という間にも夫の職場でも陽性者が出たらしく職場全員でドライブスルーPCRを受検していました。幸いにも夫は陰性だったのですが、陽性も数人いたとのこと(となるとその方々のご家族は濃厚接触者になるのだろうなぁ)。

この様相では、観劇できることは奇跡のような気がしてきます。
決して楽観できる状況ではないかもしれないけれど、それぞれの立場の人が最善を尽くしてくれていると信じて私も自分にできることをしてその日を待っていようと思っています。
—— 一つの心に固く結ばれ 明日を目指し歩いて行こう 友を信じて ——
いまこのときだからこそ、「ONE HEART」「俺たちはカマラーダ」「 NO PASARAN!」などのナンバーに勇気づけられる気がします。
どうぞ初日の幕が無事にあきますように!

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2021/11/22

花はFascination!

11月9日に宝塚大劇場にて花組公演「元禄バロックロック」と「The Fascination!」を見てきました。

「元禄バロックロック」は、華やかなポスターと衣装に期待して見たのですが、ストーリーや設定で感性が合いませんでした。
脚本が甘くて(スウィートじゃないほう)芝居が軽くて、素人臭くて見ていられない気分になりました。
誰がこの芝居を締めるのだろう??と。
芝居を引っ張る人急募。演技指導する人急募。(辛うじて永久輝さんが頑張ってはいたけれど、役に必然性がないのでどうしようもないかんじ)
キャラクターは可愛くて面白いけれどそれだけ。設定で遊ぶゲームみたい。(眼鏡の柚香光さんは反則的に沼でしたが)
これって別エンディングがありますか?というかんじ。(やらないけど)
いつまで甘えてるんだよーとイライラしちゃう。そんなストーリーとキャラクター。
日本語を英語にGoogle翻訳したものをさらに日本語にGoogle翻訳したみたいな日本語も受け付けませんでした。(狙っているのかもですが)
「仇討ち」なら日本的精神としての正当性があるかもだけど「復讐」になっちゃったらクラノスケの正当性がどこにあるのかわからなかったし。
そもそも鎖国をしていない設定ならこうはならないだろうし。と突っ込むのも馬鹿らしくなってしまって。
リクとの場面も面白いとおもって書いたんだろうなぁって白けてしまって。
ショーとしてやるのなら面白そうだけど大劇場で芝居でやる内容じゃないなぁと。
衣装や舞台美術も綺麗だけれど芝居にはうるさすぎて動いている人、セリフを話している人の邪魔になっていました。
ポスターやプログラムだけ眺めていたらじゅうぶん。
ごめんなさい。私には合いませんでした。ギブアップでした。


ショー「The Fascination!」は落ち着いて見れました笑。
踊る踊る踊る!歌う歌う歌う!の正統派に正統派に正統派を重ねたザ・花組!なショーでした。
育ちの良さがこれでもかと迫ってくるかんじ。
御曹司に御曹司に御曹司。
プリンスアンドプリンセス。

トップコンビも好きだけれど、永久輝せあさんから目が離せませんでした。まちがいなく私の趣味。ときどきチギちゃん(早霧せいなさん)っぽいなと思ったり、ちょっと雪組時代の凰稀かなめさんぽいなと思ったり。(うんまちがいなく私好み)

ピアノ・ファンタジィの場面は圧巻でした。スタイリッシュ。
花組の過去の名曲を歌い継ぐ場面も好きでした。
「心の翼」のコーラスが素晴らしくて舞台からエモーショナルな圧が押し寄せてきて言葉にならない感情が込みあげてきました。
フィナーレで舞台に勢ぞろいする紳士たちと淑女たちに中村一徳先生だなぁと笑。
上品を絵にしたらこんなかんじになるのかなぁ。

お芝居には心が折れたけれどショーで持ち直しました。
やっぱり宝塚は素敵。花組素敵と。
生で見られるのはこの1回だけ。
あとはライブ配信をたのしみにしています。

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2021/11/15

愛はさらにさらにさらに強く。

11月1日に宝塚大劇場にて星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の千秋楽を観劇し、引き続き行われた「愛月ひかるサヨナラショー」を見てきました。

開演間にまず座席に貼り付けてあったペンライトに、とうとうこの日が来てしまったかと覚悟をあらたにしました。
お隣には愛ちゃんを「誰がために鐘は鳴る」の新人公演から応援されている方が座られていましたが、ペンライトを手に取り添え書きに点灯する曲として「幸せの鐘の鳴る日」とあるのを目にしたとたん、「泣きそう・・」と目を潤ませていらっしゃいました。
ちなみにですが、添え書きにもう1曲「エル・ミ・アモール」とあったのを私は「マノン」のナンバーだと思ってしまって、曲がはじまって、あ、これじゃないやと思いバッグにしまってしまったのでした涙。
(「シークレットハンター」の主題歌は宝塚の曲でも1・2を争うくらい好きな曲なのですが、日本語タイトルの「大切な人」で覚えてしまっていました・・涙目)

私は「誰がために鐘は鳴る」の頃はあまり宝塚を見ていない時期でもあり、CS
でも本公演、新人公演ともに見たことがなくて、記憶に間違いがなければ、サヨナラショーではじめて愛ちゃんが歌うのを聴きました。楽曲自体はタカラヅカ・スペシャルなどで何度か歌われていて知っているのですけど。
初新公で「誰がために」のロバート、しかも大空祐飛さんの役とは。プレッシャーも含めて大変だっただろうなぁ。それがこんなに堂々と情感を込めて歌えるようになって・・と新公を見てもいないくせに涙目の私。
私ですらこうなのですから、お隣の方はどんなに万感胸に迫っていらっしゃったことかと。聴きながらハンカチで目元を拭っていらっしゃる様子が窺えました。

つづいて流れてきたイントロに、え?え?と。これはシークレットハンター?? そっか初舞台公演! そっか星組公演!!
この時点でペンライトの添え書きの「エル・ミ・アモール」が「シークレットハンター」の主題歌のタイトルだとは気づいていなかったもので驚きとともに、大好きな曲をまさか愛ちゃんの歌声で聴けるとは思っていなかった私の鼓動は跳ね上がりました。
こんなふうに1曲1曲がきっと誰かの心に刺さっていたのだろうなといまになって思います。たくさんの人の心に爪痕を残していたのですよね、愛ちゃんは。

そして大階段の真ん中に立つ愛ちゃんの背後から男役さんたちが、「マノン」より「マドリードへ」のボレロ調アレンジの曲に合わせて降りてきて、黒燕尾の男役群舞へ。
逆三角形の頂点に愛ちゃん。愛ちゃんにピタリと揃えてくる星組男役さんたち。ザ・男役の美学。
黒燕尾の群舞が美しいのはカタチ以上に心映えが重要なのだということをあらためて見せてくれる黒燕尾でした。
愛ちゃんに向かって静かに熱いエナジーが注がれていることを感じることができる黒燕尾の群舞は息をのむほど美しかったです。
(この1回のために皆でお稽古を繰り返してくれたのだなぁ・・)

退団同期の皆さんが銀橋を渡りながら「Bouquet de TAKARAZUKA」の主題歌を歌い継いだ後に、まさかのこれは!!??
それが「うたかたの恋」のプロローグだとわかった瞬間、私はお隣の方にすがりついていました。まさかのまさか。
愛ちゃんが「うたかたの恋」が大好きということは下級生時代から聞いていましたし(それもちょっとやそっとの好きさ加減じゃないってことも)、専科異動から星組異動と激動だった2019年暮れの「タカラヅカ・スペシャル」で「うたかたの恋」のプロローグを舞空瞳ちゃんと演じたときには、心から良かったと思いました。これだけでも星組に異動できてほんとうに良かったと。
まさかふたたび、それも大劇場の大階段で!「うたかたの恋」のルドルフを演じる愛ちゃんを見ることができるとは。それもトップ娘役の舞空瞳ちゃんがマリー役で。しかも2発目の銃声まで聴けるとは。誰にお礼を言えばよいでしょう???(通りもんを贈答させていただきます!)
宝塚大劇場の大階段に白軍服で佇む愛ちゃんの姿、しっかりと脳裏に焼き付いています。

それからまた星組生で歌い継がれる「You Are My Sunshine」。「Ray」のこの場面大好きだったなぁと思い出してうるうる。
大階段の真ん中でトップの礼さんが美声を響かせ最高潮に達したところで、上手袖から愛ちゃん登場。裾の長い白い変わり燕尾? 後ろについているのはモフモフのフェザー? なんて素敵な。愛ちゃんだから着こなせる愛ちゃんのための衣装だぁ涙。
愛ちゃんを交えて星組生全員で歌う「You Are My Sunshine」のなんて温かいこと。みんなみんな好い人すぎて胸がいっぱいで泣いてしまいそうでした。

そして礼さんはじめ舞台の全員が白い衣装。あっ。
つぎは「不滅の棘」だと。これは私でも予測できました。
愛ちゃんと星組の皆さんが「バンバン」を歌い盛り上がりながら幕がおりた瞬間、ああよかったと思うことができました。
幸せそうに輝く愛ちゃんを見ることができて心がいっぱいになりました。
こんなに素敵なサヨナラショーで愛ちゃんを送り出してくれる星組の皆さん、関係者の皆さんの愛を感じることができました。
短い期間ではあったけれど、どうか愛ちゃんが在たことが星組の財産になっていますように。
東京公演のサヨナラショーはライブビューイングで見る予定ですが、またあの感動を味わえるのは幸せに思います。
どうか無事に千秋楽まで東京公演が上演されますように。心から心から祈ります。

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想い出はすべて宝石。

10月31日と11月1日の宝塚大劇場星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の前楽と千秋楽を見てきました。

「モア―・ダンディズム」はやはりあっという間のショーでした。
そのときはすっかり忘れていたのですが前楽はハロウィーンで、プロローグの大階段で礼真琴さんが「Happy Halloween!」と叫ばれて、ひゃあぁぁぁぁ♡となってしまい、それからもうパレードまでそのままのテンションで見てしまった気がします。
さらに油断していたらハードボイルドのキメで超クールに「Trick or treat...!」とつぶやかれてえっ?!いまTrick or treatっておっしゃった??ひゃぁぁぁぁ♡となってしまいました。

それを反芻する暇もなく次々と繰り広げられるクオリティの高いショーを楽しんでいたら、テンプテーションの場面で礼さんが「お菓子くれなきゃ」、愛ちゃん(愛月ひかるさん)が「いたずらしちゃうぞ」と。
このときもまったく予想していなかった私は不意打ちを喰らってしまって、こんなことがあっていいの???と現実を受け入れるのに時間を要しました。そ、そんなかっこよく言われましても・・と頭はパニック。だって「ダンディズム」ですよ?! クールでエレガントにそんな可愛らしいことを?? ちょっと素敵すぎて酸欠状態になりました。

学習能力を置き忘れてしまっていた私は、「ラ・パッション」の銀橋渡りで瀬央ゆりあさんが曲中で「パン・・」「パン・・」とおっしゃっているのに「えっパン???」と頭をハテナ?でいっぱいにしてよくわからないままノリノリで手拍子をしていたところ、「パンプキン大好き」と情熱的にキザっておっしゃったのでずずずーっと座席から滑り落ちそうになりました。
ここまで来たら少しは察しろって話ですが、本当にそんなふうに考えを巡らす暇もないくらい勢いのあるショーだったのです。
それに、礼さんたちがここぞという一瞬にバチッとアドリブをキメられるのに対して、瀬央さんはけっこう強引といいますか独特のテンポ感で発せられ、まさかという思いもありました。(独特のテンポ感といえば真風さんにも通ずるものがあるかもしれません。これもひとつのスター性なのかも??)

そんな感じで前楽はすこしも湿っぽくならずに高揚感のまま観劇を終えることができました。

「ダンディズム!」といえば「キャリオカ」の場面が大好きなのですが、今回の「モア―・ダンディズム」にもその場面があって本当に見ていると気持ちが高揚しました。
男役の端正な美しさ、娘役のしなやかな華やかさが舞台いっぱいに広がってこれぞ宝塚で見たかったもの♡と思いますし、構成の緩急も絶妙で天才~~~と思います。
強弱の「強」のところをどれだけ強く打ち出せるかが勝負なところでもあるので、いまの星組にこそピッタリな場面だなと思います。それだけいまの星組には男役にも娘役にも光る人が多いのだと実感しました。

「ダンディズム!」といえば“その2”、の「ハード・ボイルド」は、昭和から平成に年号が変わる直前に公開された昭和のやくざ者をオマージュした映画の主題歌(PARADISO)に乗せて男役たちがストライプスーツとカラーシャツといういかにもな出で立ちで歌い踊る場面。
歌詞はハードボイルドというより感傷的で自己陶酔的で聴いていてこそばゆくもあり。反社をこんなふうに解釈したかった時代だったかもと思います。
そして初演の頃ってちょうど濵マイクシリーズが流行っていた頃でもあったなぁと。映画に夢が詰まっていた過ぎ去った時代に憧れてオマージュしたくなっていた時代だなぁ。
憧れをそのままストレートに表現するのは気恥ずかしい時代だったのだけど、宝塚はあっけらかんと真っ直ぐに具現化しちゃってたんだなぁ。なんてことを思うのです。それができるのが宝塚で、作り手の夢を詰め込める世界でもあったのだなぁと(それはいまもかな)。
そして2021年のいま、それをどうだカッコイイだろうってやっちゃえるのが宝塚。それを成立させているのがいまの星組の力なんだなぁと思いました。
こそばゆさもあるけれどカッコイイからいっかって思います。つくづく宝塚歌劇って類まれな世界だなぁ。
オマージュのオマージュのさらにオマージュを成立させてしまう世界。

「おもいでは薄紫のとばりの向こう」「ゴールデン・デイズ」そして「アシナヨ」は、もう大劇場でこうして愛ちゃんを見ることはないのだなぁと思うと、千秋楽は言葉にならない気持ちが押し寄せてきました。
白や薄紫の浮世離れしたファンタジーの王侯貴族みたいなコスチュームがここまで似合う人は宝塚でも稀有だと思います。
ドラゴンだってやっつけてお姫様を救出できそう。流浪したってこの高貴さは失われることはなさそう。
この個性が宝塚にとってどれだけ価値があるか。
こんなに宝塚らしいタカラジェンヌが去って行ってしまうんだなぁ。
もって生まれたものも大きいと思いますが、それだけじゃない。長い年月をかけて自分のなかに蓄え、輝ける日々のすべてを賭して学び努力して、ここにこうして表現されているものなのだなぁと思うと、その指先、髪艶、肩幅、表情、etc.すべてが愛おしく胸に詰まりました。

「アシナヨ」で、礼さんに肩に手を添えられる場面は、愛ちゃんの表情がまるで娘役さんみたいだなと思っていましたが、千秋楽は男役も娘役も超越した「慈しみ」が光となって発せられているようでした。「愛」と「死」が融和すると「慈しみ」になるのかな。
そして愛ちゃんをそんな存在にしている礼さんに心からありがとうと思いました。
こんなに愛に包まれて卒業していく愛ちゃんを見ることができるなんて。

もうじき愛ちゃんにとってさいごの東京公演が初日を迎えますが、星組の皆さんとファンの皆さんの愛に包まれて幸せな公演期間を過ごせされることを心から願っています。
そして星組生として大劇場よりもさらにクオリティの高い舞台をめざし、さらに男役を極めてほしいなと願っています。

(サヨナラショーについて書きだすとまた長くなりそうなので、ひとまずこれで)

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