カテゴリー「♖ 宝塚大劇場」の138件の記事

2021/11/22

花はFascination!

11月9日に宝塚大劇場にて花組公演「元禄バロックロック」と「The Fascination!」を見てきました。

「元禄バロックロック」は、華やかなポスターと衣装に期待して見たのですが、ストーリーや設定で感性が合いませんでした。
脚本が甘くて(スウィートじゃないほう)芝居が軽くて、素人臭くて見ていられない気分になりました。
誰がこの芝居を締めるのだろう??と。
芝居を引っ張る人急募。演技指導する人急募。(辛うじて永久輝さんが頑張ってはいたけれど、役に必然性がないのでどうしようもないかんじ)
キャラクターは可愛くて面白いけれどそれだけ。設定で遊ぶゲームみたい。(眼鏡の柚香光さんは反則的に沼でしたが)
これって別エンディングがありますか?というかんじ。(やらないけど)
いつまで甘えてるんだよーとイライラしちゃう。そんなストーリーとキャラクター。
日本語を英語にGoogle翻訳したものをさらに日本語にGoogle翻訳したみたいな日本語も受け付けませんでした。(狙っているのかもですが)
「仇討ち」なら日本的精神としての正当性があるかもだけど「復讐」になっちゃったらクラノスケの正当性がどこにあるのかわからなかったし。
そもそも鎖国をしていない設定ならこうはならないだろうし。と突っ込むのも馬鹿らしくなってしまって。
リクとの場面も面白いとおもって書いたんだろうなぁって白けてしまって。
ショーとしてやるのなら面白そうだけど大劇場で芝居でやる内容じゃないなぁと。
衣装や舞台美術も綺麗だけれど芝居にはうるさすぎて動いている人、セリフを話している人の邪魔になっていました。
ポスターやプログラムだけ眺めていたらじゅうぶん。
ごめんなさい。私には合いませんでした。ギブアップでした。


ショー「The Fascination!」は落ち着いて見れました笑。
踊る踊る踊る!歌う歌う歌う!の正統派に正統派に正統派を重ねたザ・花組!なショーでした。
育ちの良さがこれでもかと迫ってくるかんじ。
御曹司に御曹司に御曹司。
プリンスアンドプリンセス。

トップコンビも好きだけれど、永久輝せあさんから目が離せませんでした。まちがいなく私の趣味。ときどきチギちゃん(早霧せいなさん)っぽいなと思ったり、ちょっと雪組時代の凰稀かなめさんぽいなと思ったり。(うんまちがいなく私好み)

ピアノ・ファンタジィの場面は圧巻でした。スタイリッシュ。
花組の過去の名曲を歌い継ぐ場面も好きでした。
「心の翼」のコーラスが素晴らしくて舞台からエモーショナルな圧が押し寄せてきて言葉にならない感情が込みあげてきました。
フィナーレで舞台に勢ぞろいする紳士たちと淑女たちに中村一徳先生だなぁと笑。
上品を絵にしたらこんなかんじになるのかなぁ。

お芝居には心が折れたけれどショーで持ち直しました。
やっぱり宝塚は素敵。花組素敵と。
生で見られるのはこの1回だけ。
あとはライブ配信をたのしみにしています。

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2021/11/15

愛はさらにさらにさらに強く。

11月1日に宝塚大劇場にて星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の千秋楽を観劇し、引き続き行われた「愛月ひかるサヨナラショー」を見てきました。

開演間にまず座席に貼り付けてあったペンライトに、とうとうこの日が来てしまったかと覚悟をあらたにしました。
お隣には愛ちゃんを「誰がために鐘は鳴る」の新人公演から応援されている方が座られていましたが、ペンライトを手に取り添え書きに点灯する曲として「幸せの鐘の鳴る日」とあるのを目にしたとたん、「泣きそう・・」と目を潤ませていらっしゃいました。
ちなみにですが、添え書きにもう1曲「エル・ミ・アモール」とあったのを私は「マノン」のナンバーだと思ってしまって、曲がはじまって、あ、これじゃないやと思いバッグにしまってしまったのでした涙。
(「シークレットハンター」の主題歌は宝塚の曲でも1・2を争うくらい好きな曲なのですが、日本語タイトルの「大切な人」で覚えてしまっていました・・涙目)

私は「誰がために鐘は鳴る」の頃はあまり宝塚を見ていない時期でもあり、CS
でも本公演、新人公演ともに見たことがなくて、記憶に間違いがなければ、サヨナラショーではじめて愛ちゃんが歌うのを聴きました。楽曲自体はタカラヅカ・スペシャルなどで何度か歌われていて知っているのですけど。
初新公で「誰がために」のロバート、しかも大空祐飛さんの役とは。プレッシャーも含めて大変だっただろうなぁ。それがこんなに堂々と情感を込めて歌えるようになって・・と新公を見てもいないくせに涙目の私。
私ですらこうなのですから、お隣の方はどんなに万感胸に迫っていらっしゃったことかと。聴きながらハンカチで目元を拭っていらっしゃる様子が窺えました。

つづいて流れてきたイントロに、え?え?と。これはシークレットハンター?? そっか初舞台公演! そっか星組公演!!
この時点でペンライトの添え書きの「エル・ミ・アモール」が「シークレットハンター」の主題歌のタイトルだとは気づいていなかったもので驚きとともに、大好きな曲をまさか愛ちゃんの歌声で聴けるとは思っていなかった私の鼓動は跳ね上がりました。
こんなふうに1曲1曲がきっと誰かの心に刺さっていたのだろうなといまになって思います。たくさんの人の心に爪痕を残していたのですよね、愛ちゃんは。

そして大階段の真ん中に立つ愛ちゃんの背後から男役さんたちが、「マノン」より「マドリードへ」のボレロ調アレンジの曲に合わせて降りてきて、黒燕尾の男役群舞へ。
逆三角形の頂点に愛ちゃん。愛ちゃんにピタリと揃えてくる星組男役さんたち。ザ・男役の美学。
黒燕尾の群舞が美しいのはカタチ以上に心映えが重要なのだということをあらためて見せてくれる黒燕尾でした。
愛ちゃんに向かって静かに熱いエナジーが注がれていることを感じることができる黒燕尾の群舞は息をのむほど美しかったです。
(この1回のために皆でお稽古を繰り返してくれたのだなぁ・・)

退団同期の皆さんが銀橋を渡りながら「Bouquet de TAKARAZUKA」の主題歌を歌い継いだ後に、まさかのこれは!!??
それが「うたかたの恋」のプロローグだとわかった瞬間、私はお隣の方にすがりついていました。まさかのまさか。
愛ちゃんが「うたかたの恋」が大好きということは下級生時代から聞いていましたし(それもちょっとやそっとの好きさ加減じゃないってことも)、専科異動から星組異動と激動だった2019年暮れの「タカラヅカ・スペシャル」で「うたかたの恋」のプロローグを舞空瞳ちゃんと演じたときには、心から良かったと思いました。これだけでも星組に異動できてほんとうに良かったと。
まさかふたたび、それも大劇場の大階段で!「うたかたの恋」のルドルフを演じる愛ちゃんを見ることができるとは。それもトップ娘役の舞空瞳ちゃんがマリー役で。しかも2発目の銃声まで聴けるとは。誰にお礼を言えばよいでしょう???(通りもんを贈答させていただきます!)
宝塚大劇場の大階段に白軍服で佇む愛ちゃんの姿、しっかりと脳裏に焼き付いています。

それからまた星組生で歌い継がれる「You Are My Sunshine」。「Ray」のこの場面大好きだったなぁと思い出してうるうる。
大階段の真ん中でトップの礼さんが美声を響かせ最高潮に達したところで、上手袖から愛ちゃん登場。裾の長い白い変わり燕尾? 後ろについているのはモフモフのフェザー? なんて素敵な。愛ちゃんだから着こなせる愛ちゃんのための衣装だぁ涙。
愛ちゃんを交えて星組生全員で歌う「You Are My Sunshine」のなんて温かいこと。みんなみんな好い人すぎて胸がいっぱいで泣いてしまいそうでした。

そして礼さんはじめ舞台の全員が白い衣装。あっ。
つぎは「不滅の棘」だと。これは私でも予測できました。
愛ちゃんと星組の皆さんが「バンバン」を歌い盛り上がりながら幕がおりた瞬間、ああよかったと思うことができました。
幸せそうに輝く愛ちゃんを見ることができて心がいっぱいになりました。
こんなに素敵なサヨナラショーで愛ちゃんを送り出してくれる星組の皆さん、関係者の皆さんの愛を感じることができました。
短い期間ではあったけれど、どうか愛ちゃんが在たことが星組の財産になっていますように。
東京公演のサヨナラショーはライブビューイングで見る予定ですが、またあの感動を味わえるのは幸せに思います。
どうか無事に千秋楽まで東京公演が上演されますように。心から心から祈ります。

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想い出はすべて宝石。

10月31日と11月1日の宝塚大劇場星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の前楽と千秋楽を見てきました。

「モア―・ダンディズム」はやはりあっという間のショーでした。
そのときはすっかり忘れていたのですが前楽はハロウィーンで、プロローグの大階段で礼真琴さんが「Happy Halloween!」と叫ばれて、ひゃあぁぁぁぁ♡となってしまい、それからもうパレードまでそのままのテンションで見てしまった気がします。
さらに油断していたらハードボイルドのキメで超クールに「Trick or treat...!」とつぶやかれてえっ?!いまTrick or treatっておっしゃった??ひゃぁぁぁぁ♡となってしまいました。

それを反芻する暇もなく次々と繰り広げられるクオリティの高いショーを楽しんでいたら、テンプテーションの場面で礼さんが「お菓子くれなきゃ」、愛ちゃん(愛月ひかるさん)が「いたずらしちゃうぞ」と。
このときもまったく予想していなかった私は不意打ちを喰らってしまって、こんなことがあっていいの???と現実を受け入れるのに時間を要しました。そ、そんなかっこよく言われましても・・と頭はパニック。だって「ダンディズム」ですよ?! クールでエレガントにそんな可愛らしいことを?? ちょっと素敵すぎて酸欠状態になりました。

学習能力を置き忘れてしまっていた私は、「ラ・パッション」の銀橋渡りで瀬央ゆりあさんが曲中で「パン・・」「パン・・」とおっしゃっているのに「えっパン???」と頭をハテナ?でいっぱいにしてよくわからないままノリノリで手拍子をしていたところ、「パンプキン大好き」と情熱的にキザっておっしゃったのでずずずーっと座席から滑り落ちそうになりました。
ここまで来たら少しは察しろって話ですが、本当にそんなふうに考えを巡らす暇もないくらい勢いのあるショーだったのです。
それに、礼さんたちがここぞという一瞬にバチッとアドリブをキメられるのに対して、瀬央さんはけっこう強引といいますか独特のテンポ感で発せられ、まさかという思いもありました。(独特のテンポ感といえば真風さんにも通ずるものがあるかもしれません。これもひとつのスター性なのかも??)

そんな感じで前楽はすこしも湿っぽくならずに高揚感のまま観劇を終えることができました。

「ダンディズム!」といえば「キャリオカ」の場面が大好きなのですが、今回の「モア―・ダンディズム」にもその場面があって本当に見ていると気持ちが高揚しました。
男役の端正な美しさ、娘役のしなやかな華やかさが舞台いっぱいに広がってこれぞ宝塚で見たかったもの♡と思いますし、構成の緩急も絶妙で天才~~~と思います。
強弱の「強」のところをどれだけ強く打ち出せるかが勝負なところでもあるので、いまの星組にこそピッタリな場面だなと思います。それだけいまの星組には男役にも娘役にも光る人が多いのだと実感しました。

「ダンディズム!」といえば“その2”、の「ハード・ボイルド」は、昭和から平成に年号が変わる直前に公開された昭和のやくざ者をオマージュした映画の主題歌(PARADISO)に乗せて男役たちがストライプスーツとカラーシャツといういかにもな出で立ちで歌い踊る場面。
歌詞はハードボイルドというより感傷的で自己陶酔的で聴いていてこそばゆくもあり。反社をこんなふうに解釈したかった時代だったかもと思います。
そして初演の頃ってちょうど濵マイクシリーズが流行っていた頃でもあったなぁと。映画に夢が詰まっていた過ぎ去った時代に憧れてオマージュしたくなっていた時代だなぁ。
憧れをそのままストレートに表現するのは気恥ずかしい時代だったのだけど、宝塚はあっけらかんと真っ直ぐに具現化しちゃってたんだなぁ。なんてことを思うのです。それができるのが宝塚で、作り手の夢を詰め込める世界でもあったのだなぁと(それはいまもかな)。
そして2021年のいま、それをどうだカッコイイだろうってやっちゃえるのが宝塚。それを成立させているのがいまの星組の力なんだなぁと思いました。
こそばゆさもあるけれどカッコイイからいっかって思います。つくづく宝塚歌劇って類まれな世界だなぁ。
オマージュのオマージュのさらにオマージュを成立させてしまう世界。

「おもいでは薄紫のとばりの向こう」「ゴールデン・デイズ」そして「アシナヨ」は、もう大劇場でこうして愛ちゃんを見ることはないのだなぁと思うと、千秋楽は言葉にならない気持ちが押し寄せてきました。
白や薄紫の浮世離れしたファンタジーの王侯貴族みたいなコスチュームがここまで似合う人は宝塚でも稀有だと思います。
ドラゴンだってやっつけてお姫様を救出できそう。流浪したってこの高貴さは失われることはなさそう。
この個性が宝塚にとってどれだけ価値があるか。
こんなに宝塚らしいタカラジェンヌが去って行ってしまうんだなぁ。
もって生まれたものも大きいと思いますが、それだけじゃない。長い年月をかけて自分のなかに蓄え、輝ける日々のすべてを賭して学び努力して、ここにこうして表現されているものなのだなぁと思うと、その指先、髪艶、肩幅、表情、etc.すべてが愛おしく胸に詰まりました。

「アシナヨ」で、礼さんに肩に手を添えられる場面は、愛ちゃんの表情がまるで娘役さんみたいだなと思っていましたが、千秋楽は男役も娘役も超越した「慈しみ」が光となって発せられているようでした。「愛」と「死」が融和すると「慈しみ」になるのかな。
そして愛ちゃんをそんな存在にしている礼さんに心からありがとうと思いました。
こんなに愛に包まれて卒業していく愛ちゃんを見ることができるなんて。

もうじき愛ちゃんにとってさいごの東京公演が初日を迎えますが、星組の皆さんとファンの皆さんの愛に包まれて幸せな公演期間を過ごせされることを心から願っています。
そして星組生として大劇場よりもさらにクオリティの高い舞台をめざし、さらに男役を極めてほしいなと願っています。

(サヨナラショーについて書きだすとまた長くなりそうなので、ひとまずこれで)

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2021/11/08

どれもみんな愛しい。

10月31日と11月1日の宝塚大劇場星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」の前楽と千秋楽を見てきました。

「柳生忍法帖」は前回見た時に、ゆら(舞空瞳さん)の恋心が唐突に感じられたので、今回は十兵衛(礼真琴さん)が鶴ヶ城の門前に登場してからずっと彼女の様子が気になって見ていたのですが、彼女は沢庵和尚に反論する十兵衛の口上を真剣な顔で聞いていました。
まるで憎しみの表情にも似た恐いほど真剣な面持ちが、私にはなんだかせつなく愛おしく感じられました。

芦名一族の再興という目的のためには自己を犠牲にして当然という中で生きてきたゆらにとって、
十兵衛の言葉はあまりに衝撃的で容易には受け入れられなかったんじゃないかと思います。
堀一族の女たちの命を差し出して徳川を守らなくてはという局面に、彼女たちを見殺しにしてなんのための武士道かと言い放つ十兵衛から視線を逸らすことができなくなってしまったように見えました。なんとか平静を保とうとはしている様子だけれど。
彼女のこれまでの人生を全否定するような言葉を放った十兵衛に耐えられぬほどの苦しみを与え、その言葉は間違いだったと思い知らせることで自我を守ろうとしたのだと思うけれども、どんな苦しみの中でも揺るがぬ十兵衛の優しさを目の当たりにしてしまい、彼女はわかってしまったんだなと思いました。
自分が本当に望んでいたことを。十兵衛に揺さぶられ惹かれていたことを。芦名再興という名目のために自分が犯してきた罪も。
そんなゆらの最期がかなしくて愛おしくてたまりませんでした。
(あの場面を思い出すと頭の中に「アシナヨ」が流れてきて涙腺が・・彼だけが弔ってやれる人・・涙・・)

堀一族の女たちの運命は過酷すぎるものですが十兵衛みたいな信頼できる師を持てたことは羨ましくもありました。
武家の娘や妻として生きていて、女ゆえの代償(性的なことに限らず)
を一切求められない絆で結ばれた関係を持てるなんて、彼女たちにとってはなかったことではないかなと思います。家族思いの堀主水だって殿様が改心したら娘を差し出しても良いって言っている時代ですから。
安心して自分のままで向き合っていられる“先生”。生きる上でそんな尊敬できる人を持てることは本当に幸せなことだなと思います。
「先生、先生」と童心に返ったみたいに自分を見てほしいというように十兵衛にまとわりつく彼女たちを見ていると、やっぱり泣きたいような愛おしいような気持ちになりました。
そんな彼女たちとの触れ合いから十兵衛の中にも彼女たちがそんなふうにしていられるこの時を守りたいと思う気持ちが芽生えているのではないかなと
思いました。見返りなどいらない彼女たちが幸せでいてくれればよいという思いが。

見返りは求めず注がれる愛情、十兵衛のこともそんなふうに育て見守る人がいることも見ていて嬉しくなりました。
沢庵和尚(天寿光希さん)、千姫様(白妙なつさん)、そして宗矩様(朝水りょうさん)♡ 好きだなぁと思いました。

愛ちゃんこと愛月ひかるさん演じる芦名銅伯のラスボス感は凄かったです。あまり表情を変えないのにその身の内には沸々と湧きあがる情念のようなものや、なにかとてつもないものが冷えて凝ってあるような。
まだ黒髪の麗しい頃には、ともに戦い散っていった芦名の者たちの辛苦や無念を思って感情を昂らせ泣きもしていたのに。齢100歳を超えたいまでは妄執だけで存在しているように見えました。

打って変わって双子のあの方は、同じお顏でありながら毒気のない苦し気な慈しみのまなざしで千姫を見つめ、堀一族の千絵(小桜ほのかさん)を見つめておられました。
法衣の頭巾がまるで狂言の美男鬘のようにも見えてそのアセクシャルな魅力に私は心奪われました。
かつての彼も泰平の世を築くためには1人の女の絶望は仕方がないことと口を塞ぎ黙らせた側の人。しかしこたびは、天下泰平のためになにがなんでも成し遂げようとしてきた天台相承を己の執着と見極めたなのだなぁと。こんなに偉大な大僧正であっても齢百歳を超えても、人との出会いによって悟ることがあるのだなぁと思いました。

仏法も武士道も同じところに行きつき、こうであってほしいという理想が描かれていることになんともいえない悦びがありました。心のうちにすこしずつ澱のようにたまっていたかなしみが癒されるような感覚を得ました。
こういう瞬間のために私はフィクションを求めているのかもと思います。

ラストの十兵衛が歌う歌には、彼という人が如実に表されているなぁと思います。なにかを探し求めて彷徨うことができる根底には、人を人として信じ慈しむことができる優しさがあるからだなぁと思いました。
その十兵衛と礼さんが重なって礼さんの優しさを感じた気がしました。そして礼さんや出演されていた皆さんのこの先の幸せを願いたい気持ちになりました。



「モア―・ダンディズム」そして愛月ひかるサヨナラショーについても書きたいことがあったので、記事タイトルを「アシナヨ」の歌詞からつけたにもかかわらず、「柳生忍法帖」の感想が長くなってしまってたどり着けませんでした・・。
10月からずっと観劇とプライベートで目まぐるしくてなかなかPCに向かうことができません。
星組のショーのことはもちろん、月組博多座公演千秋楽についてや花組「バロックロック」そして宙組「プロミセス・プロミセス」に全国ツアーとこれから観劇する舞台についても感想を書き残しておこうと思うのですが、記憶が朧になるまえに。
(続きは後日にきっと書くつもりです・・)

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2021/10/21

俺は人でいい。

10月16日に宝塚大劇場にて星組公演「柳生忍法帖」と「モア―・ダンディズム!」を見てきました。

「柳生忍法帖」はとってもエンタメでした。
原作を読んだことがないので、どんどん展開するストーリーにどうなるのかな??と思いながら見ていました。

主人公は言わずと知れた剣の天才柳生十兵衛(礼真琴さん)。
非道な藩主に弄ばれ、そのために肉親を失い居場所をなくした女たちの無念を晴らすため、指南役を引き受ける。

ヒーロー(十兵衛)が弱きをたすけるストーリーではあるんですけど、可哀想な人をただ守るんじゃなくて、無力な彼女たちが力をつけ強く生きられるように鍛え、学びを与えるという視点が素敵だなと思いました。あくまでも主体は彼女たちという体で。
女たちを叱咤激励しながらそっけなくも温かいまなざしを向ける十兵衛がいいなぁ。きっと十兵衛のことをそんなふうに育てた人がいるのだろうなぁと思いました。
おそらく生まれて初めてひとりの人間として扱われ、学びの場を与えられて生き生きとしている女たちの姿もいいなぁと思いました。

女性にとって地獄の世の中は、男性にとっても地獄だなと思いました。
力のある親の子どもに生まれなければ惨めに虐げられて生きるしかない地獄。
力を誇示する者に逆らえば、人間らしく生きることもできず、死ぬことでさえ人としての尊厳を貶められる地獄。

芦名一族も、過去の恨みを晴らして自分たちが復活するためにどんな非道なことでもする時点で、自分たちを滅ぼした者たちと同じなんだよなぁと思いました。
彼らの目指す先には救いがないなぁと。

そんな中で人々と触れ合いながら十兵衛が到達する境地がうれしかったです。
けっきょくのところお坊ちゃまなのだけど、それでも、たとえ現実は簡単にその希いどおりにはいかないものだとしても、ONE FOR ALLではなくALL FOR ONEを標榜して行動するヒーローを見たかったのだなぁ私は。
大野先生の書く本は、途中はまぁいろいろあれでもラストは(この世の中は、人間は)棄てたものじゃないなと思えるところが好きです。

礼真琴さん演じる十兵衛は、独りで求道しながら生きている人なんだけど、彼にはちゃんとその成長を見守りつづけている人がいるんですよね。
それが礼さん自身の立場とも重なって好きでした。
恋愛心理はおそらくどうでもよくて、特上の異性から好きと言われたらそれで一つの達成(上がり)なのが、大野先生の前作「エル・ハポン」でも感じたけれど少年漫画的だなと思いました。
「双六」なんですよね。それはそれでいっかと思えるエンタメ作品に仕上がっている感でした。

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2021/08/22

あの日すれ違った道は。

7月29日と30日そして8月3日に宝塚大劇場にて宙組公演シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」を見てきました。8月3日は千秋楽でした。
(お盆に大雨に新型コロナの感染拡大等々に振り回されているうちに東京公演の初日を迎えていました)

千秋楽は2階から、30日は前方センターで観劇(お隣にはひっそりとOG娘役さんがお座りでした)。
初見の頃は思ったほど奇人ではないホームズにもの足りなさを感じていましたが、おちゃめで誠実な真風ホームズも見慣れて楽しめるようになっていました。
ショーも苦手なところから目を逸らすタイミングも覚えてひたすら多幸感に浸り夢の中にいる心地で過ごした数時間でした。

両作品とも中堅から下の出演者に見せ場が用意されているのも楽しめた理由の一つだったなと思います。
生徒さんたちのステップアップを喜ぶことができるのも宝塚を見つづける理由であることをしみじみと感じる公演でした。
千秋楽には恒例の胸元のコサージュ、そして退団者のアドリブや見せ場に拍手。
パレード後に並んだ時には退団者にスポットも当たっていて、スタッフさんの心づくしに温かい気もちになりました。
愛しい生徒さんたちが卒業していくのがこの公演でよかったと思えたことが私にとってなによりも幸せなことでした。

毎年40人の生徒(と呼ぶ劇団員)を受け入れる宝塚歌劇団ですから、毎年それくらいの生徒さんが退団していかれるのは経営システム上仕方のないことだとは思っています。
彼女たちの有限で尊い時間を売り物にするというある意味とても残酷ともいえるシステムで成り立つ世界。
そこに惜しみなく青春のすべてを懸ける彼女たちへのリスペクトと、その輝ける時間を個人
の楽しみのために消費していることに対する罪悪感とで、言葉では言い尽くせない思いが胸に渦巻いているのですが、それゆえに幸せに卒業の日を迎えてほしいと願い、そののちも1人ひとりが誇りをもって新しい人生を歩んでゆかれることを心から願わずにいられません。

そして始まったばかりの東京公演が千秋楽まで無事に上演され、退団される皆さんを無事に見送ることができますように。
昨今さまざまな舞台の公演中止のニュースを聞くたびに、そう切に切に願わずにいられません。
そのためにもどうか、客席もご協力をと。

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2021/07/14

ブローニュの森の奥で。

7月6日に宝塚大劇場にて宙組「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」のぴあ貸切公演を見てきました。

Délicieux!」はベルエポックからレザネフォルの時代のパリの雰囲気を甘やかで可愛いお菓子たちになぞらえ、これでもかと可愛いや華やか楽しいを盛り盛りに盛ったショーでした。
クリームでデコレーションしたケーキの上にカラフルなマカロンやフルーツ、さらにさまざまな砂糖菓子を食べきれないほどのっけたみたいな欲張りな甘くて甘くて甘いショーでした。

例年だと7月にホテル阪急インターナショナルで開催されている巴里祭を贅沢に大劇場でやったらこんな感じでしょうか。
プロローグからLEDの彩り華やかな大階段がドーン、お菓子の箱をひっくり返したように段上から次々に繰り出してくるホワイトにラベンダーカラーがアクセントのアイシングクッキーみたいなコスチュームの出演者のパフォーマンスに心躍り、宙組生、初舞台生も総出のフレンチカンカンまで体感時間あっという間でした。
舞台花道銀橋に居並ぶタカラジェンヌたちの真ん中で真風さんがお遊戯指導の先生みたいに一緒に踊りましょうとマカロン型スティックをフリフリしてた絵は意味がわからなくなるくらいリッチでファンシーなパノラマでした。

つづいて大階段をしずしずと降りてくるローブアラフランセーズ(輪っかのドレス)の長身の美女、マリー・アントワネットの芹香さん。プティトリアノンで退屈しのぎにスウィーツをご所望。
マカロン男爵の紫藤りゅうさんとご友人の留依蒔世さん、すべてが可愛い夢の世界でなにを血迷いマッチョを目指すのか、あんな可愛い上着を着て(笑)。あえて意外性を突いて王妃さま(と観客)を攪乱させる作戦なのかなぁ。

ガトーフレーズの風色日向さん、亜音有星さん、大路りせさんの苺可愛いアイドルトリオ、ポージングとウィンクが鼻につくくらい可愛いくて胸きゅん。ですが王妃さまのお好みには合わないみたいで残念。
ヴィオレット・クリスタリゼ(菫の砂糖漬け)の瑠風輝さんと鷹翔千空さん、このどこぞの辺境伯のご子息だといういかにもな宙組の貴公子たちに思わずオペラグラスでロックオン。すみれ色の宮廷服が映える超絶スタイルに金縁眼鏡、憂いと知性を宿したお顔立ちと美声が鬱になるほど素敵。ですがやっぱり王妃さまはお気に召さないご様子。
クレープ侯爵(公爵?)の和希そらさんはキザりと甘く深い美声でアントワネットさまを虜にする作戦だったようですが功を奏さずアントワネットさまの厳しいツッコミが。

そこにアントワネットさまのお好みを知り尽くしたあのお方がご登場。
その手にはアイスクリームの銀の器が。これまでとはアントワネットさまの食いつきがちがいます。アイスクリームになのかフェルゼン伯爵になのか・・その両方、彼女を喜ばせるためにアイスクリームを選ばれたフェルゼン伯爵にでしょうか。アントワネットさまはたいへん暑くていらしたようなのです。あーそんな慎みのないお姿で、おみおみおみおみおみ足を~~(素敵)。
金髪ロングヘアの麗しい真風さんを見るのはいつぶりでしょう。もしかして王妃の館以来??

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2021/07/09

かならずおまえに辿り着く。

7月6日に宝塚大劇場にて宙組「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」のぴあ貸切公演を見てきました。

4回観劇して初の2階席でしたが、2階席から見ると舞台セットやライティング、フォーメーションなどがダイナミックでとても見応えがありました。
ホームズがアイリーンの楽屋を訪れる時のノックは、ライティングとノックの音と真風さんの仕草が絶妙にスマートで素敵だなぁと思いました。2階席からじゃなかったら気づかなかったなぁと思います。
ほかにもセットに投影された鎖やライヘンバッハの滝の映像も壮観でしたし、ロンドンの街は舞台奥にいる人々の様子も見えて物語の世界観により浸ることができました。

1週間前の観劇では作品の世界観を掴めず戸惑いましたが、今回はすっと問題なく入り込んで見ることができました。
前回はいちいちショックを受けたり戸惑っていたりしていたのでそれぞれのキャストのお芝居も頭の中で整合性がとれず意味がよくわからずにいたのですが、今回は芝居の方向性や塩梅も自然に受け止められ面白く見ることができました。
そのうえでホームズが落ち着いてきたなぁという
印象をうけました。なにもセリフのない間を安心して見ることができました。
“真風ホームズ”が存在していました。

ホームズを取り巻く人びとのキャラ立ちも面白かったです。
遥羽ららちゃん演じるハドスン夫人はホームズに振り回されてお怒りになりながらもその実とても協力的でいつもご苦労様!って思いました。本当はホームズのことが大好きなんだなと(笑)。
天彩峰里ちゃんのメアリーの浮世離れしているようで核心を突くひと言にその瞬間誰もがなにかを察することができている感じがとても良かったです。ワトスンぜったい彼女を手放しちゃだめだぞと思いました。ワトスンにとってメアリーとホームズは両極の対となる存在なんだなと思いました。
そしてやっぱり凜城きらさんのマイクロフトが好き。弟に甘いんだから~~と思います。
芹香斗亜さんのモリアーティも見慣れてきたゆえ、ストーリーを面白く見ることができたと思います。(前回はモリアーティが登場するたびに、おー、おぉ、おー?って感じで最後まで慣れませんでした笑)

潤花ちゃんのアイリーン・アドラーが人を出し抜くかんじのシーンが好きで、マイリンゲンでのモリアーティとのやり取り、ラストの墓地でのホームズとのやり取りはたのしくて仕方がないです。潤花ちゃんの話し方のペースとか耳障りのよい声音とか含めてお芝居が好きです。
アイリーンに非難がましいことを言われているホームズも好き。相手が自分を責めるのを黙って聞いている時の真風さんが好きなのかも。懐の大きいかんじが。彼女との信頼関係が見える気がして幸せな気持ちにさせてもらいました。

桜木みなとさん演じるワトスンのメアリーに向けるまなざしが好きでした。とくにメアリーが不思議と真実をついたひと言を発した時。彼女に対する深いリスペクトが感じられました。
ホームズが滝から落ちてからの一連の深い感情表現は唐突に感じられ、そんなに?と思い
ました。それというのもそれまでにホームズとの深い絆を感じさせるエピソードが描かれていなかったせいだなと思います。ワトスンとしてのその感情は正解なのだと思うけれども。ちょっと置いてけぼりな気持ちになりました。

ポーロックの瑠風輝さん、モラン大佐の鷹翔千空さんがカッコよくて加点倍増でした。それぞれの魅力を引き出せる役になっていて生田先生わかってらっしゃる。
美声揃いのスコットランドヤードのメンバー(和希そらさん、留依蒔世さん、希峰かなたさん、真名瀬みらさん、湖風珀さん、風色日向さん、亜音有星さん)が歌い継ぐ場面も好きでした。美声がヤードの採用条件? それとも配属されたら毎日歌の鍛錬があるのかな。

そして今回も、モリアーティチーム(芹香さん、松風輝さん、紫藤りゅうさん、瑠風さん、鷹翔さん)からホームズチーム(真風さん、凛城さん、桜木さん、和希さん、留依さん、遥羽ららちゃん、瑠風さん、希峰さん、天彩峰里ちゃん)と歌い継ぐ「The Game Is Afoot!」は最高に気持ちが盛り上がりました。真風さんがちょうカッコイイし。

女王陛下(瀬戸花まりさん)とマイクロフト、そして大臣たちのやりとりも関係性が面白くて好きでした。
これはエンタメ作品なんだとわかって見ると見どころがいろいろみつかって、リピートが楽しみです。

見終わった後で、ホームズが歌っていた曲の1フレーズが頭をぐるぐる。「かならずおまえに辿り着く」って“おまえ”って誰なのかなぁ。
帰宅してプログラムを見ると「真実」に“おまえ”のルビが。
生田先生こういうのお好きですよねぇ。

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2021/07/03

雨が降らなければ虹は出ない。

6月28日と29日に宝塚大劇場にて宙組公演「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」を見てきました。

「Délicieux!」はベルエポック、レザネフォルのパリに可愛いアイシングをかけたような世界観。おそらく地上のどこにもない空想上の「パリ」という憧れの世界を具現化したような多幸感でいっぱいになるショーでした。

でも、甘やかなシャンソンを歌い継ぎ、舞台上のタカラジェンヌと客席とがペンライトで愉しくシンクロしたり甘く美しい狂騒のカンカンで最高潮に盛り上がったり、プチトリアノンで王妃さまと個性的なスイーツを愉しんだりした後で、突如としてR指定の世界になるのがどうしても受け入れられませんでした。
初めはけっこうリアルな小道具たちだなぁ、なかなか本気のボンデージファッションだなぁと思って暢気に見ていたのですが。
だんだん、えっ・・これ・・?となりました。

様式や設定にそうしたものを取り入れたショーならこれまでもありましたが、性的な嗜好そのものをショーとして見せていたものはなかったと思います。
どうぞ性的対象として見てくださいというような。その中には盲目の少女までいて。

これが閉じられた劇場の中だけで完結するならまだいいのですが、映像となってネットにでも流れたら取り返しのつかないことになりはしないのかと心配です。
その前にこれは放送しても良いものなのかも疑問です。
「清く正しく美しく」というモットーは、彼女たちが性的対象として見られないようにと守ってきたものでもあったのではないのでしょうか。
それを自ら破ってしまってどこへ向かおうというのでしょうか。

このあとのラテンの場面からはまた盛り上がって、キュートな娘役さんたちの銀橋渡りやキャンディーケーンを手にした軽快なスウィング、マカロンカラーの衣装が目に涼やかで美しいコーラスの場面ではこの公演での退団者のピックアップもあったりして胸がいっぱいになりました。
カッコイイ男役スターさんたちの歌とダンスに心でキャーキャー叫んで、とてつもなく可愛いピンクのドレスとハットの娘役さんたちに囲まれた芹香さんが華やかに大階段で名曲を歌ったり、黒燕尾の男役さんたちがペアでタンゴを踊った後は、シフォンのブルードレスの潤花ちゃんが登場して芹香さんの歌で真風さんとデュエットダンス・・・こういうのが見たかった!と思うものがこれでもかこれでもかと噴水のように溢れてきて、
最後は振り切れるほど幸せな気分になれるのでまた見に行くのが楽しみなのですが。
切にあの場面は変更を加えてほしいなぁと思います。
安心して宝塚を見に行きたいから。

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2021/07/02

The Game Is Afoot!

6月28日と29日に宝塚大劇場にて宙組公演「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「Délicieux!-甘美なる巴里-」を見てきました。

シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」は期待していた方向と違っていて初見は戸惑いました。
生田先生の余計な設定を膨らませる癖は治らないのかなぁ。
ホームズが女性嫌いの傾向だからこそアイリーン・アドラーが稀有な存在として輝いているのに過去の恋人を創作する必要があるのかな。(アドラーを登場させない映画等ではヒロインとして原作にはいないホームズの恋人が登場する場合もあるけど)

世界観が幼い気がするのもイマドキなのかなぁ。物語上意味のあるワードが軽いのも気になりました。
これはアイリーンではないアイリーン、モリアーティではないモリアーティ、ホームズではないホームズと思って見るのが良さそうです。
モリアーティの一味からホームズの仲間へと歌い継ぐ「The Game Is Afoot!」は声の良いメンバー揃いで耳に最高だし、ザ男役の真風さんがとってもカッコよくてこのうえなく気分が高揚したのでこのシーンのためにリピートできると思いました。そこからラストにかけては隙なく好きだったので、だからこそいろいろと惜しいなぁと思いました。

主演の真風涼帆さん演じるホームズ像はどうもしっくりきませんでした。
真風さんって男役のなかでも最高な部類の素材だと思うんですけど、その魅力を活かしきれていなくてもやもや。
ホームズの造形としてのカッコよさもない。高い声で抑揚がつきすぎる話し方、過去の恋人を思って苦悩する等、どう考えても原作とは程遠い。
これは“あのホームズ”ではないと思って見るべきなのだなと思うけど、じゃあこの作品のホームズはどんな人物?となると見えてこない。なので魅力的な人物に思えない。
それでいてワトスンとの掛け合いの歌では原作の設定を引用していて、もはやどうしたいのかよくわからない。設定は使っていながらそのワトスンへの反論の仕方がホームズらしくない。
見ている側としては過去の作品のスタンやディミトリに似ていて混乱する。真風さん引き出し少ない?と思ってしまう。
人を見透かしたような態度の偏屈な英国紳士が思わぬリアクションを見せた時、それがとてつもなくチャーミングに見えるのがホームズの魅力だと私は思っているのだけど、そういうところが見えなかったのが肩透かしでした。
いつもはぞんざいに扱っているワトスンを実はかけがえなく思っているのが見えたり、女性嫌いかと思っていたらリスペクトしてる女性がいたり、クールだと思っていたら子供っぽい面があったり情熱的に悪と対峙したり、前提条件が明確にあるからホームズは面白いのになぁ。

アイリーン・アドラーもあのアイリーン・アドラーではないなと思いました。
でも演じている潤花ちゃんがとても華やかで上流階級でスキャンダルの中心になるのはなるほどと思いました。お衣装部さんも頑張り甲斐がありそうです。どのドレスも着こなしていて素敵だなと思いました。
ただ生田先生のこだわりかヘアスタイルに縛りがあるみたいで、どのドレスを着ていても同じように見えたのが面白くないなと思いました。ドレスに合わせたいろんなヘアスタイルが見られたらよかったのになと思います。
女王陛下主催の祝祭に出席する時も旅着でドーバーを超える時もおなじなんてアニメみたいでなんだかなと。いやアニメでも、ここぞという時はいつもとちがったヘアスタイルで登場してわぁっと言わせるものですが。
潤花ちゃんがこんなにたくさんの
セリフを話す作品を生で見たのは初めてでしたが、日本語のイントネーションに癖がなくて綺麗な話し方ができるのがとても素敵だなと思いました。

芹香斗亜さんのモリアーティの造形はもう原作のイメージとはかけ離れていました。
宝塚ですから役づくりが若くなるのは予想していましたしポスターを見てもそれはわかっているつもりでしたが、想像以上に子どもっぽい役づくりで「黒執事」に出てきそうなキャラだなぁと。
ヘアスタイルもアイリーンと同様にアニメっぽいアッシュ系カラーとカットで2.5次元ミュージカルのキャラみたい。
といいますか舞台セットも「黒執事」みたいだなーと思ったし、もしかして生田先生は2.5次元ミュージカルをやりたかったのかな。(本当は「憂国のモリアーティ」をやりたかった??)
そうならそうと最初から言ってくれればいいのに——!
新潮文庫を読んでいるつもりが電撃文庫を読んでいた!みたいな(誰かがカバー掛け替えた??)感覚に陥ってどうしていいのかわからなかった時間を返して。
生田先生の場合、たびたび公演解説と実際の舞台のテイストがちがう問題が。
見る側も初見で受け入れるのに戸惑うけど、演じる側も戸惑うんじゃなのかな。舞台上に存在する人びとにも齟齬があった気がします。19世紀の写実主義な人びとの中にデジタル彩色の人がいる印象でした。

ほかに気になったところは、レストレード警部(和希そらさん)がマイクロフト(凛城きらさん)を殴る場面。
ガチガチの身分社会であるヴィクトリア朝時代に法と秩序を守る立場のスコットランドヤードが一門の紳士を殴ったりするかな。あれくらいのことで。それも政府高官を・・と。設定崩壊してるなぁと見るたびにあーあとなりました。

若手スターや娘役の起用の仕方とか、顔見世的場面を作ったりとか(地下の武器工場の場面やロイヤルオペラハウスの場面など)、役者それぞれに愛がある作り方がされているのは見ていて嬉しいし、ラストの趣向もとても好きなので、世界観がまとまって「んん??」と思わずにすむといいなぁと思います。
次の観劇では好きなところをたくさん見つけてきたいと思います。
——まだ獲物は飛び出したばかり!

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