カテゴリー「♖ 宝塚大劇場」の149件の記事

2022/12/14

夜明け色に咲いた愛の物語を。

12月12日と13日に宝塚大劇場にて星組公演「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」「JAGUAR BEAT-ジャガービート-」を見てきました。
13日は千秋楽でした。

「ディミトリ」は、この1か月のあいだに個々の役を演じる人たちがそれぞれの解を見つけ出しそれを目指して深めていったんだなぁと感動する出来栄えでした。
時に涙したり見蕩れたりもしましたが芝居が正解を導き出すほどに、どうしても興が醒めてしまう部分が残りもやもやしました。

終演後ファン友さんに思いをぶつけて気づかせてもらったのですが(・・恐縮)、どうやら私は一段と生田先生には厳しいみたいです。
どうしてかな?と考えたところ、目にとまった(耳にとまった)ディテールで期待を膨らませた結果、それほどでもなく・・期待外れでプンスカ💢しているみたいです。

意図して置かれたにもかかわらず回収が拙いのか、無造作にそのへんにあったものをもってきて置いただけでどうする気もないものなのか、それすらもわからないものに期待しては裏切られている感覚とでもいいましょうか。
そういうことが何作も続いているかんじです。
それに勝手に憤っているみたいです。
相対評価は高いのですが、私憤が混ざって絶対評価になると辛口になってしまうようです。

もっと高い所に行けそうなのにと思うと口惜しさに地団駄を踏みたくなるのです。
いつもは封をしているけど、そのもっと高い所の作品を心の底では求めているんだなぁと思います。

それを一瞬見せてくれそうな気がしてしまうんですよね。生田先生のもったいぶった言い回しや演出は。

だいぶ話が飛んでしまいますが、劇場も舞台装置もとても豪華でそれに携わる人々も演じるタカラジェンヌたちも並々ならぬ努力で舞台を作っているのだから、それに相応しく脚本も一級品であってほしいなというのが心の奥にあります。
繰り返し再演できるような、また見たくなるようなオリジナル作品を作り上げることが宝塚歌劇の未来には必要なのではないかなと思います。
そのためには、これはという作品はブラッシュアップして再演していくこともあってもいいのじゃないかなと思います。再度、時間とお金をかけて人的にも劇団の総力をあげて元の脚本を磨き上げていくことも。
「ディミトリ」をそのようにして何年か後にまた見せてもらえたらなぁと思います。

そしてまさに見てきたばかりの「ディミトリ」についてですが。
まず礼真琴さんが演じたディミトリはこんなに簡単に描いて終わる人物じゃないだろうになぁと思います。
この役を演じるのはとても難しかっただろうなぁと思いました。
彼という人物を主役として描くなら、もっと深いところ触れてもよさそうなのになと思います。

幼くして異教の国に人質に出された少年の寄る辺なき心。
人質にされた国の王女に救いを見出しのちに彼女の王配となるも、その出自によって宮廷中から疎まれる身で自分の居場所を定めるまで。
たった1人の味方であり彼の人生の意味そのものであった愛する妻=女王の許しがたい裏切り(不貞)からの幽閉の身となったこと。
そして王配としては憎むべき敵国の帝王に命を助けられ、彼の慈悲と寵愛を受けて生かされる立場となり愛する国が蹂躙されるさまをその傍らで見る思い。
その恩義ある帝王を、自分を裏切り苦境におとしめた女王への愛のために命を捨てても裏切る決意にいたること。
オーストリア皇后やフランス王妃に劣らないドラマティックな人生の物語が見れそうなんですが。

この不安定な立場の中で彼がアイデンティティをどう形成していったかを見たかったなぁと思います。
ヒロインにとって都合の良い夫、ヒロインに都合の良いおとぎ話で終わってしまったのがもったいないなぁと思います。

ルスダンは、それが夫の命を奪うことになっても、それが自分自身の心を抉ることになっても、女王としての決断を重んじた。ジョージアの女王であることが彼女にとって自分の生きる意味にまでなっていた。
ディミトリは、ルーム・セルジュークの王子でもディミトリでもなく、ジョージアの王配だという言葉に満足して息絶える。
これは対称なのか非対称か、微妙に思えます。そうともとれるし、ちがうともとれる。
そこももやもやが残るところだったなぁと思います。

ディミトリのおかげでルスダンは背負うものが軽くなったよ、よりは、ディミトリの死を背負ってルスダンはその後の人生を苦しみながらも果敢に生きて死の時を迎えた、のほうが私は好きです。
原作にあった「狐の手袋」のエピソードにいちばん心が震えたのもそれかなと思います。

うまく言えないのですが、「ディミトリ」と「曙光に散る、紫の花」の中間ぐらいの物語を見たいなと思います。

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2022/11/29

マジ!マジ!マジック!

11月17日と18日に宝塚大劇場にて星組公演「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」「JAGUAR BEAT-ジャガービート-」を見てきました。

「JAGUAR BEAT」は外連味たっぷり、齋藤吉正先生ワールドてんこ盛りのショーでした。
ゴージャスなコスチュームがスタイルの良い星組生にはまって眼福。
サウンドエフェクトが強めで目眩く色彩の洪水。情報量が多くて目がぐるぐるしました。

猫耳の可愛い娘役さんたちがいたんだけど、どの場面だったっけ?
お顔を確認しようと思ったのに、かっこいい人たちにも気を取られているあいだにうたかたのように消えてしまいました。

キラッキラにキュートな舞空瞳さんに目を奪われ、胡散臭く発光してる瀬央ゆりあさんに思わずのけ反りそうになったり、超絶スタイルの極美慎さんの笑顔にクラクラしたり、美人な女豹の天華えまさんに釘付けになったり、なんかいっぱいキラキラの組子出た~!あっあそこに朝水りょうさん♡などと目まぐるしく視線を動かしているといつの間にか礼真琴さんが登場してて、え?こんなことってある?
ふつうトップさんの登場には拍手があるんじゃなかったっけ??
みたいな場面もあったりして、なんというか見知らぬ街のイルミネーションの眩惑と喧騒のクリスマスマーケットで迷子になってしまったようなそんな感覚に陥りました。

2回観劇したのに記憶がぐちゃぐちゃで、どの記憶がどの場面だったかさっぱりわからない状態です。
具体的な記憶より印象が勝る感じといいますか、わたし的には舞空瞳さん、瀬央さん、極美さんが最高に素敵に見えたショーでした。
舞空さんメインにしたダンシングショーを見てみたいなぁなんて思ったり。

前回「グランカンタンテ」を見て宝塚らしいショーに感動したのですが、今回の「JAGUAR BEAT」も真反対だけどこれもまた宝塚らしいショーだったと思います。
ただ「グランカンタンテ」みたいなショーが見られると思って客席にいたので、初見はショーのスピードに脳みそがついていけてなかったです。
翌日2回目を見るときにはちゃんと覚えていようと思ったのに、やっぱり無理でした。

ちょっと残念に思ったのは、音をいじりすぎて礼真琴さんの伸びのある歌声を堪能できなかったこと。
ジャガーの咆哮をかぶせるよりも、礼さんの歌声そのものをもっと聞きたかったなぁと思うけれど、作品的に無理な発声をしそうなので(無理をするとどんなシャウトでも出せそうな礼さんなので)、歌いまくるであろう次回作の「赤と黒」や「1789」までその伸びやかな歌声は温存してもらったほうがいいかなと思いました。

さらに言うと「グランカンタンテ」に大満足だったものの、礼さん以外の星組生の活躍をもっと見たいなぁとも思っていた私には、この「JAGUAR BEAT」はそこの部分が満たされているのが嬉しく楽しかったです。
あっちが満たされればこっちが足りない・・といろいろわがままな要求ばかりですね。

この作品で星組大劇場のショーデビューとなる暁千星さんの印象は「真面目だなぁ」でした。
月組の時よりも高く飛び跳ね踊り動きまわっている印象もあり、たくさん活躍できそう。
新しい環境に慣れてさらにこのマーリンという役割の悪の余裕と色気が増すのを楽しみにしています。

どの場面だったか、暁さんの手下のような役をしていた水乃ゆりさんの柄タイツの脚に目が釘付けになり頭がバグを起こしそうになりました。
マレーネ・ディートリッヒみたいな水乃ゆりちゃんが見たいなぁ。そう思いませんか齋藤先生。
悪い暁さんの隣には大輪の牡丹のような娘役さんが合うなぁと絶賛"ありゆり”推しになりました。

クラブみたいな場面で、パニエたっぷりミニドレスの舞空瞳ちゃんにも頭が爆発しそうになりました。可愛さ∞。「満天星大夜總会」のHANACHANG(花總まりさん)を彷彿しました。
この場面の後方でボーイ役の極美慎さんと水乃ゆりちゃんからも目が離せなくなって、どこを見ていいか困ったのでした。舞空瞳ちゃんと瀬央さんの勝負の行方も気になるのに!
瀬央さん、暁さん、極美さん、綺城ひか理さん、天華えまさんの五色のスタイル戦隊みたいなコスチューム場面も爆上がりました。
ほかにも猫耳、車いす、迷彩のミリタリーコスチューム等々、齋藤先生の趣味嗜好がてんこ盛りだなぁと思いました。
終演幕に映し出される礼さんの「See you!」も笑。

なんだかんだ訳がわからなくなりながら夢中で見終わったショーでした。
さらに進化した舞台を、また見に行きたいです。

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2022/11/23

君と生きた夢を。

11月17日と18日に宝塚大劇場にて星組公演「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」「JAGUAR BEAT-ジャガービート-」を見てきました。

「ディミトリ」は、冒頭の物乞い(美稀千種さん)とリラの精たち(小桜ほのかさん、瑠璃花夏さん、詩ちづるさんほか)の場面から、愛ゆえの別れを語るバテシバ(有沙瞳さん)の場面までがとても秀逸で美しく盛り上がって、これは名作の予感!と期待したのですが、だんだんと尻すぼみに。
幕が下りた時には、スン・・(虚無)となっていました。
なぜこんなに盛り上がらなかったのだろう。題材はとてもいいのに。

翌日の2回目の観劇は、筋はわかっていたので登場人物の気持ちを自分なりに補完しながら見たせいかとても感動したのですが、よくよく考えたらこれってほぼ私の脳内劇場だったのかもしれません。
ネタはよいので、想像の翼はどんどん拡げられます。
美しい姿と属性をつかって勝手に夢を見られる。
盛り上がるであろう場面はやらずに、さほどでもない場面をセリフにしていくのはなぜだろう。
ゆえに見たいことは想像するしかなかったというのが正解かな。

それから初日があけて間もない頃にありがちな、役者個々の技量の差が顕著に出てしまっているのも大きかったように感じます。
導入の場面は力量のある人たちが魅了してくるのに対して、それを受けての場面に出てくる人たちがまだ役を掴めていないようなのも、何を描こうとしているのか行方不明にしていた要因かと思います。
ルスダン(舞空瞳さん)、ジャラルッディーン(瀬央ゆりあさん)、アヴァク(暁千星さん)に頑張ってもらわないとこの作品は面白くならないと思います。
足りない情報は芝居で埋めてもらうしかない。
そして物語が転じるきっかけを担うミヘイル(極美慎さん)にもなんとか役の肉付けを頑張っていただいて大きな見どころにしてほしいです。
せっかくのヒロインと絡む役ですから、これを美味しくしない手はないでしょう。

気になったところを上げると。

賢者(物乞い)が見掛け倒しだったなぁと思います。
もっと効果的に語り部&進行の役割を担えただろうに。
異教の国々との境目に位置するキリスト教国ジョージアの地理的、歴史的状況を紐解いて語らせてもよかったのでは。
モンゴルやホラズム朝の脅威がいかほどのものかわかるように。
冒頭の誰もいない土地は、いつのどこなのだろう。
王都トビリシならば、ジャラルッディーンに占領された後は再びジョージアが奪還して、ルスダンも王宮に戻った描写でラストシーンになっているので、舞台では描かれていないそれよりもっと後の再びモンゴルに攻められて灰燼となったトビリシでしょうか。
だとしたら、それを描くことに意味があるのでしょうか。ラストと繋がらないのに。
踏み出しと着地がちぐはぐな心地悪さが残りました。

それからルスダンが暴君に見えたこと。
とってつけたような名づけのシーンは何を見せたかったのか。横暴な王女とそれを許す母女王?
わざわざ挿入するならどうしてその名にしたのか、名付けたルスダンに好感を抱けるような理由がほしい。放置しないで。
異教の国に人質として送られた少年の心許なさを見せてほしかったし、彼がルスダンに惹かれる理由を見せてほしかったな。
男女を逆にしたら、古来から使い古された話だなぁと思いました。
異教の国から連れて来られて、暴君以外に寄る辺のないヒロインがすれ違いの末に愛に殉じたことで最終的に認められるという。
DV男をDV女に変換しただけに見えないように願いたい。

ジャラルッディーンの登場はもっとカッコよく演出できなかったのかな。
牢獄の登場も間が抜けたように感じたし。
もはやこれまでかという危機一髪で登場し、手負いのディミトリを抱き起すようなシーンが見たかったなと思います。ジャラルッディーンの下に身を置く以外に道はないディミトリの境遇が推し量れるように。
そしてトビリシを破壊するジャラルッディーンの下に身を寄せる自分をディミトリがどう思っているかも大事なところだと思うんだけどなぁ。
主人公は何をするか以上に何を感じるか、それを観客に届けられるかが大事だと思います。

モンゴルももっと猛々しく脅威として演出してほしかったです。
ジャラルッディーンのホラズム朝を滅ぼしジョージアまでも侵攻しようとするモンゴル。
国土を失ったジャラルッディーンがジョージアを狙うこととなった元凶であるモンゴルの脅威を。

アヴァクが手下にする指令も漠然としすぎだなぁと思いました。
ディミトリの暗殺も彼の指令だと印象づくように描けばラストのルスダンとのやりとりが感動の場面になるのにもったいないなと思いました。

再会のシーンも盛り上がりに欠けたなぁ。
別れた時とは何もかもが変わっている2人を見たかったです。なにより少女時代とは別人のようになったルスダンを。
相容れない関係になったディミトリにすがりつく娘の姿は泣ける場面になるはずなのに。幼子を挟んだ2人の姿も。

もったいなさすぎていろいろ言いたくなってしまい、ついには勝手に想像して脳内劇場に浸ってしまうこの感じは、「白夜の誓い」と同じだなぁと思いました。
来月も見る機会があるので、不足していた情報量が芝居の力で埋められていたらいいなと思います。

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2022/09/11

キミは黙ってるほうがステキだよ。

9月1日と2日に宝塚大劇場にて宙組公演「HiGH&LOW」「Capricciosa!!」を見てきました。

正直なところ「HiGH&LOW」 は私の趣味の範疇ではなく、原作ドラマも公演解説も見ないで観劇したのですが、これが意外にもう1回見に行けないかなぁと思うくらいに楽しめました。
舞台上で所狭しと飛び跳ねる宙組生を愛でることができる作品になっているのがよかったです。
いつもの宝塚の演目とはちがうせいもあるかもですが、100期以下の皆さんがイキイキと活躍しているように感じました。
一言でまとめると「目が足りない!」

開演前はヴェローナ(ロミ+ジュリ)みたいな世界観と思っていればいいのかな?と思っていたのですが、そこまで拗らせてはいなくて。
コブラ(真風涼帆さん)周辺の人々は邪気もなくて、ちゃんと勤労しててえらいねと思いました。親世代との関係も良好みたいだし。
「笑顔が可愛い得なやつ」(亜音有星さん)は私も好みです。
山王街=モンタギューと思えば、たしかに居心地が良さそうなのはわかる気はします。
敵の「舞踏会」に変装して潜入するのもロミジュリリスペクトですよね。

帰属意識に溢れた若者たちがチームごとにイズムやテリトリーを持っていて、互いに反目しあっているのはわかりました。90年代っぽくも感じました。
冒頭でコブラが言う「この街を守りたかっただけだ」とはなんだったんだろう。それはさいごまでわからず終いでした。

1回目の観劇はストーリーを追っていたのでえ?で終わってしまったのですが、2回目はこれはこういうパフォーマンスなんだと思って見ることで役になりきった彼らが舞台で
花を開かせる瞬間を目の中に収めることができて面白かったです。

潤花ちゃん演じるカナは、余命わずかと言いながら明るく元気にふるまうフレンドリーな女性で、潤花ちゃんはやっぱり可愛いなぁと心が潤いました。
小学生以来会ってなかった相手にいきなり「私死ぬの」って言うのはちょっと???でしたが。
あれはいま言わなくちゃって彼女なりに勇気を振り絞った結果なのかなぁ。でもすごく軽く宣っていて、絶対にシリアスにしたくないって決意の表れなのかな。

そして余命宣告されて「やりたいこと」っていうのがあれなんだなぁ。ほかのことを思い煩う必要がないくらい家族に愛されている人なんだなぁと思いました。
そんな愛されて育ち恵まれた人が、見捨てられた人々が棲む無名街の闇市で買い物をしたい♡と連れて行ってもらって嬉しそうにはしゃいでいる姿がぞわぞわしました。
そこで見て経験したことをワクワクした♡とニッコニコの彼女に困惑。私は野口先生の作品のこういうさりげなく挿入される描写が残酷でグロテスクに感じられて苦手なのだなぁ。

ロッキー(芹香斗亜さん)はちょっととぼけた雰囲気もあり紳士的なふるまいだけど一転して凄味のある人みたい。
舞台では上辺しか描かれていないけれど原作ではもっとイズムがある人なんだろうな。と勝手に思いました。
彼の舞踏会の客人や従業員を無個性にせずキャラクターをつけて見せてほしかったなぁ。エピソードがない分、1人ひとりの存在にストーリーを感じられたらいいのにと思いました。
ナンバー2役の風色日向さんは、カチッとした身なりとスマートな身のこなしながら得体の知れない雰囲気がよかったです。本家もこういう人なのかな。

スモーキー(桜木みなとさん)がとても心に刺さりました。
あの朧かながら存在感のあるなんともいえない雰囲気。異空間に迷い込んだような不思議な感覚に陥りました。
RUDE BOYSのナンバーがとても良かったです。歌が凄い。そして秋音光さんや優希しおんさんなど身体能力が高いメンバーによる同時多発的なパフォーマンス。本当に目が足りなくて、ぜったいに見逃してしまっていると思います涙。

お祭りの場面は着流しの浴衣姿の真風さんを見られてよかったです。
祭り太鼓も本格的で心が沸き立ちました。けど季節はいつなんだろう。浴衣だから夏祭り?? にしてはほかのシーンが夏っぽくないんだなぁ。
コブラは達磨一家が仕切っている祭りだとわかっていて出向いているのかな。だとしたらそうとうむちゃなリクエストを叶えてあげているんですね。カナのために。

殴り合いの場面を見ていると、アドレナリンと脳内麻薬物質に支配されてる状態だなぁさらに興奮状態を求めてエスカレートするやつやん。セルフコントロールが効く人ならいいけれど。と心配になりました。
コブラも限度ってものを知らないヤカラがいるって言っていたけど。

「キミは黙っているほうがステキだよ」というのはカナのセリフですが、これを「冷静さを保て」という意味だと自分に落とし込むコブラは深慮の人なんだなぁと思いました。
私には、カナは自分が聞きたくない言葉をコブラに言わせないためにそう言っているように思えたから。
でも状況を冷静に見る目こそが最良の生き残るすべだし、そんなコブラは決して暴力行為の依存症ではないのだなと思いました。

苦邪組のリン(留依蒔世さん)は5つのチームの本拠地に火を放ったりしてSWORDを敵に回して何か得することがあったのかな。
チーム同士で潰し合いをさせる方向でもっと緻密に計画実行すればよかったのに。いろいろ雑だなぁと思いました。
SWORDに火をつけて闘って敗れるまでがお仕事なんでしょうけど。なんか間尺に合わないなぁ。
宝塚オリジナルのチームらしいので、もうやりたい放題好き放題やっちゃって爪痕を残してほしいなと思いました。
春乃さくらさんをはじめとする七姉妹のチャイナドレスの着こなしがとても美しくて好きでした。
そういえばバイフー(小春乃さよさん)、メイナンツー(泉堂成さん)と、役名といい服装といい、苦邪組ってチャイニーズマフィアかなにかなのかな。

レディースの女の子たち。そんなにパワーに溢れているんだからもっと大きな夢が持てるよ。とは思うんだけど、それほどにここ(山王街)は居心地がいいのかなぁ。
女の子を傷つけるのは夜の街だけじゃないからなぁ。
純子さん(天彩峰里さん)も本気でなにがなんでも「コブラの女になってやる」っていうよりは、いまの状態でいることが大事なのかなと思いました。
仲間を気にかけてあげたりチームでいることが。
集まっているメンバーもどこかで寂しい思いをしてきた女の子たちなのかなと。

それぞれの登場人物たちの関係性を見る人の観点でさまざまに好きなように落し込んで愉しむ作品なのかなと思いました。


「Capricciosa!!」は大介先生のショーにしてはまったりしていた印象でした。
いつもだったら神妙にお芝居を見てショーで盛り上がるというのが定番ですが、今回は1幕目の「HiGH&LOW」 でアドレナリンをそうとう放出しちゃった後だったからでしょうか。
それぞれの場面は大介先生クオリティで楽しかったです。
チョンパはやっぱり良いですね。

宙組の歌上手さんたちが各所で活躍していた印象が強いです。
とくに天彩峰里さんが目立って活躍されていたように感じました。彼女が歌いだすと注目せずにいられません。
若翔りつさんと朝木陽彩さんのデュエットもこれ聞きたかったやつだぁと思いました。
留依蒔世さんはさすがのよい声。中詰めも、圧巻のエトワールも。退団されるのが残念でなりません。

私にとっての
心のスイーツ♡水音志保さんが目立つポジションにいたのがうれしかったです。
紫藤りゅうさんとのペア、2輪のバラのようで素敵でした。それから真風さん芹香さん桜木さんとのデュエットダンスの場面は組む相手ごとに異なった雰囲気を楽しめて至福でした。
「ミ・アモーレ」のドレスを翻すときのキュートな表情が鮮やかに記憶に残っています。

潤花ちゃんの笑顔には肯定されるような救われるような気持になります。まさに衆生を救う笑顔。
スカラ座の場面、白いドレスで真風さんと踊る姿は夢物語のようでした。
この場面はプリマドンナの春乃さくらさんも素敵でした。歌声も。

夢物語といえば、ヴェネツィアの場面も。
ゴンドリエーレ瑠風さんと帽子の美女桜木さんの絵がとても美しかったです。

「HiGH&LOW」の反動か、娘役さんたちに魅了されたショーでした。
宙組のすらりとして楚々と品の良い娘役さんたちを堪能しました。

スカラ座の場面からフィナーレに向けて、あれ?これは?と思う演出が心をざわつかせました。
まるで真風さんへのはなむけのような。
もしかして東京公演では客席の涙を誘うことになるのかしらと。

血潮が騒ぐというタイプの作品ではなかったけれど、パフォーマーの技量ともども質の良いショーという印象を受けました。
終演後のロビーの階段で「かっぷりちょ~ぉざ~ぁかっぷりちょ~ざ~♪」と小さな女の子が楽し気に歌いながら降りていた姿に遭遇し、良いショーだったのだと実感しました。
中詰めのお衣装が全体として見たときにのっぺりとしているように感じられていまいち気分が上がらなかったので、そこだけ改善されたらいいのになぁと思います。

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2022/07/13

アルルカンの哀しみ。

7月5日に宝塚大劇場にて花組公演「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」「Fashionable Empire」を見てきました。

予定では5日と6日はドラマシティで宙組公演「カルト・ワイン」を見るつもりでした。5日の夜はムラでヅカ友さんたちと合流してDVD鑑賞会も予定していました。
しかし数日前から台風4号の動きがあやしく新幹線に遅延が発生するかもしれない、どうしよう前泊したほうがいいかなとやきもきしていました。

4日午後の予報を見ると、どうやら台風4号は速度が遅く5日の移動に影響はなさそうなので予定通り5日の新幹線に乗ることに決め、その旨をヅカ友さんたちに連絡して安堵して・・翌朝は早めの出発だからとさくさく夕食とお風呂を終えてタブレットを開いてみると宝塚歌劇公式アカウントからLINEが・・・。

「公演関係者から新型コロナウィルスの陽性が確認されたため、7月5日(火)~7日(木)の公演を中止させていただきます。」

まさに天国から地獄の心境。呆然として言葉も出ませんでした。

折しもの台風接近により新幹線は手数料なしでキャンセルできる状況でした。どうしよう・・・。
数か月前から計画を立て楽しみにしていた観劇とDVD鑑賞会。鑑賞会だけでも参加する??
混乱する脳みそをほったらかしにして手は勝手に宝塚歌劇公式HPを開いていました。花組の5日の15時半公演は?がーん貸切公演じゃん。

いや待って。さらに検索の手をすすめると「ぴあ貸切」とな。これは渡りに舟かも。ことし宙組大劇場公演「NEVER SAY GOODBYE」が公演中止になったときにぴあ貸切のリセールを買って観劇した経験が。ぴあのサイトを開くと、あった~リセール。そのままぽちっと。
ヅカ友さんたちに「花組15時半を見ることにしたので遅れるけど参加します」と連絡。この数分の自分の行動力に驚き。ふだんは百万回逡巡するタイプなのに。

ということで急遽観劇した花組大劇場公演。
なんの下調べもしていなくて、「巡礼の年」はリストとショパンとサンドが出るのよね程度の予備知識で見たのですが、これが「すごく好きなやつ」でした。
こういう作品を待っていたんだと思えるほど。

リストとダグー伯爵夫人マリーとの関係は、昔父が持っていたクラシック全集のレコードについていた解説で知っている程度だったのですが、星風まどかさん演じるマリーは想像より純情で可愛らしい女性でした。

白皙の美男で突然雷に打たれたように発奮してそれまでの生き方を大きく変えるリストはイメージ通りで、その魂の変遷を全身で表現する柚香光さんに引き込まれました。
そして、肖像画のリストがなぜあのヘアスタイルだったか。彼がピアノを叩くと弧を描くように跳ね上がる麗しい髪束を見て合点しました。乱れる髪の毛さえも音楽的で神がかった美しさでした。
これは当時の女性たちも夢中になったにちがいない。もちろん私もなる、と。

その生涯を1時間半にどんな手をつかって収めるのだろうと思いましたが、駆け足ながらどんどん展開してここに収めたかーと思いました。
夢か現かの場面が効いていたなぁと思います。
リストが少年リストを受け入れる場面は胸にきました。お隣の見ず知らずの方が嗚咽を漏らされたのを聞かなかったら私も危なかったかも。

当時のパリで、ハンガリー出身の野心ある若者がどういう目で見られていたのかも想像できました。
そこには歴然とした格差の壁があったのだろうな。それを必死で乗り越えようとしたのだろう青年リスト。
彼のあのスタイルはそういうことだったのか。
自分を持て囃す他者を嘲笑うことで自尊心を保ち、返す刀で自分自身をも嘲笑っていたのだろうな。
それを見抜いて彼に突きつけたのがマリーだったんだなぁ。
そりゃあ居ても立っても居られないだろうな。

ちょっと意地悪な見方をしてしまうと、知られたくない彼自身の正体を暴いて自尊心を粉々にしたマリーを自分に夢中にさせることで自尊心を取り戻そうとした部分もあるのじゃないかな。
他でもない彼女が自分に夢中になっていることに意味があったのだろうなと思います。
自分のキラキラでも超絶技巧でもなく、精神的な部分で彼女を夢中にさせていることが重要ポイント。

パリを離れ、合わせ鏡のようにお互いだけを見つめることで満たされたかった。
彼女の中の自分を愛していたんだなぁと思います。

世間の批評から逃れて、自分だけを認めてくれる人と同じものを見て悦び同じものを嫌う蜜月に出現した小さな齟齬。
自分が受容しないものを受容するマリーに彼は傷ついたのだろうなと思います。
自分で自分を認めてやれないリストにとってマリーが彼だけを認めている、ということがあのとき彼のすべてだったんだなと思います。

14歳かそこらの彼が経験したことは、世界のすべてから拒絶されるに等しい出来事だったのだと思います。
そのトラウマをずっと引きずっている。
フランス人ではないこと。ハンガリー人であること。エリートではないこと。貧しさ。庇護されないこと。いつも遥か上にあるものを見て生きていること。

こどものような癇癪を起こすリストの葛藤に気づくのが、彼と似た境遇でもあるフレデリック・ショパン(水美舞斗さん)。
リストがもらえなかった神様からの贈り物をもらっている人。
そしてリストの野心と自尊心をよくわかって彼を焚きつけるジョルジュ・サンド(永久輝せあさん)。
良くも悪くも彼の野心とスノビズムを理解し、そのこどものような魂を愛している人。魂の半分。
マリー、ショパン、サンド。三者三様にそれぞれリストと同じ魂を持った人々だと思いました。
その人物配置が巧いなと。

最後まで自制心を保ったストーリー運びで、脱線しなかったのもよかったなと思います。
ダグー伯爵(飛龍つかささん)とラプリュナレド伯爵夫人(音くり寿さん)の役回りも効いていたなと思います。
もっと膨らませたい部分もいろいろあったと思うのですが、1時間半にまとめてあらゆる世代の観客に提供するには絞り込まないとだから。

私は聖乃あすかさんが演じたジラルダンという人が心に刺さって興味が湧いたのですが、そして星空美咲さん演じるデルフィーヌ・ゲーがどんな人なのかもっと知りたかったけど、本筋から逸れてしまうからこれでよかったのだと思いました。
(後で自分で調べたのですが、とても興味深い人物で、いつかこの2人の人物で作品を描いてもらえたらなぁと思いました)

彷徨えるリストに大切なことを気づかせるショパン、そして彼とサンドの会話。
30年後に再会したリストとマリーの対話。
このラストへの流れがとても好きでした。
彼は世界に愛されていたし、彼もこの世界を愛している。それに気づいてここにいるのだと思うと自然と涙が。
なによりもそれを証明するリストの少年たちへのまなざしが心に沁みました。

生田先生が作品に添える副題にはじめて共感できました。(「シェイクスピア」の頃から苦手だったのですが)
このリスト・フェレンツを3か月演じきったあとの柚香さんにどんな変化があるだろう。そんな楽しみを持てた作品に出会えた幸せを感じる観劇でした。

「Fashionable Empire」もビートの効いたちょっと懐かしい選曲がとても好きなショーでした。
この公演で退団する飛龍つかささんと音くり寿さんが同期の方たちに囲まれる場面は思わず感動でうるうる。
聖乃あすかさん中心の場面では、「ぴあ」「ぴあ」言っていた気がするのだけど聞き違いかな。ぴあ貸切だからかな。通常公演を見ていないのでわからないのですが、聖乃さんがくっさくキザっていてときめきました。男役楽しんでいるなぁ笑。

柚香さんと水美さんが競い合うように高速リフトをする場面もびっくりしたなぁ。
音くり寿さんと美風舞良さんが対で歌う場面も聞き惚れながらもう二度と聞けないなんてもったいないことだなぁと思いました。まだまだ聞ける機会があると思っていたのに。

永久輝さんのハスキーな歌声もとても色気があって好きでした。お芝居に引き続きこのショーでも一瞬女役をされていましたよね。男役に早変わった瞬間の開放的な得意顔にフフッとなりました。

フィナーレのデュエットダンスは、難易度のある振り付けを軽々とこなしながらもラブフルな雰囲気はこのコンビ(れいまど)ならでは。
スピーディーな展開で記憶が前後しているのですが、とても楽しめたショーでした。

24時間前にはまさか翌日自分が花組公演を見ているとは思いもしなかったのですが、見ることができてよかったなぁと心から思った公演でした。

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2022/06/04

夢見た大人じゃなくても。

5月24日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人-」「Gran Cantante!!」を見てきました。
イープラスの貸切公演でした。

この公演は初日開けて数日後の4月26日にマチソワしたのですが、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたため4月30日より公演中止となっていました。
果たして2度目の観劇は叶うのか?と心配だったのですが5月19日より公演が再開され観劇することができました。

お芝居もショーも「礼真琴」を満喫。
「めぐり会い~」の銀橋でルーチェ(礼真琴さん)が
歌う「Love Detective」、これぞ礼真琴。でわくわくしました。

「めぐり会い~」は前回見た時よりも演じている皆さんが楽しんでいるのが伝わりました。
そして私はロナン(極美慎さん)が好きかも。忘れていたオタク心をくすぐられたみたいです

前回見た時はアニス(水乃ゆりさん)がツボり、今回はアニスに加えてロナンが刺さりまくりました。

親の言いなりになるように育てられてしまった人なんだなぁ。
親が示す価値以外を認められないように洗脳されて、それに当てはまらない人を見下すような人に。
オンブルパパ(綺城ひか理さん)めちゃストイックそうだもんなぁ。
フォション(ひろ香祐さん)みたいに、好きな時に好きなだけお菓子を食べる生活なんて考えられなかったんじゃないのかな。
ローウェル公(輝咲玲央さん)を筆頭にローウェル家とオンブル家では家風が違い過ぎるよねと思います。

コーラス王(朝水りょうさん)も大切な娘を預けるにあたって、悪者から命を守ることのみを要件とするならオンブル家が最適と思ったはずなのだけど、娘に甘々な父親の気持ちが加味された結果、ストイックなオンブル家に預けるにはしのびず、のびのびと笑顔いっぱいに成長できそうなノンキな親戚の家庭が最良と選択したのかなと思います。
その感覚こそがやっぱり、コーラス王とオーウェル公が血縁のゆえんでは?
オンブルパパは「血」というけど、血がつながっていれば良いというわけではなくて、血がつながっているゆえの価値観や性質の相似こそがこの決定をもたらした気がします。
オンブルパパには気の毒だけど・・・。

そんな報われないオンブルパパとオーウェル公とコーラス王の若い頃のスピンオフが見たくてうずうずしています。
この関係性に疼きます。
もちろんオルゴン伯爵やマダム・グラファイスも登場して。それにそれぞれの奥方たちもどんな女性か知りたいなぁ。

王女の侍女かと思いきや、剣術の使い手らしいアージュマンド(瑠璃花夏さん)はコーラス王が遣わした侍従兼武官かなにかなのかな。
王女にも自分で自分の身を守れるように剣術の指南もしているのですよね。
だから危急に及んでもアンジェリーク(舞空瞳さん)は果敢に道を開くことができた。
そんな自らの手で剣を振るって窮地を打開するアンジェリークとアージュマンドを目の前にして、ジュディス(小桜ほのかさん)はどんな気持ちだろうと思うと胸がきゅっとなりました。

軽い気持ちで見ることができて、笑いながらもキャラクターの心情を思い、時にはっとさせられたりうるうるさせられる作品に心が解されました。

ライトテイストなお芝居の後には、息つく暇もないような、これでもか、な“ザ礼真琴ショー”「グランカンタンテ」。
リミットなしの「礼真琴」のパフォーマンスが圧巻。
あまりに集中して見て聴いて感じて終演後はぐったり。良い意味で。

「ボニータ」をはじめどの楽曲も、こんなふうに歌って踊ってショーアップされたら本望でしょうと思いました。
礼さんに呼応するように、星組生のパフォーマンスも前回見た時よりもレベルアップした印象で、どの場面も見ごたえがありました。

終始クオリティの高いショーで大満足でしたが、個人的には「ニンジン娘」みたいな場面がもう1こくらいあってもいいかなぁ。とも思いました。
凄すぎて背筋が伸びすぎカチコチになってたので。(お芝居が「めぐり会い~」でよかった~~~)

でもこんなショーが見られるのもいまの星組だからこそ。
礼さんと星組を堪能出来て大満足。高揚して終演後に逢ったヅカ友さんに思いを語りまくってしまいました。
ここにありちゃん(暁千星さん)が加わるなんてもう。。想像しただけで見逃せない思いです。

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2022/05/04

グランカンタンテ。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

ショーはそのタイトルどおり、礼真琴さんが歌い歌い踊るショーでした。
懐かしいスペインものの柴田作品の主題歌や挿入歌を次々に歌い継いでいく場面は宝塚ファンとして心躍りました。
(わたし的にはタニウメで聴いたあの歌を、礼さんと美穂さんで聴いてることに妙なテンションの上がり方をしたり・・笑)
礼さんが大階段で「オンブラマイフ」を歌う場面は圧巻。
クオリティの高いショーを見たなぁ。これなら何回も見れるなぁ。と思いました。(といっても残るチケットはあと1枚なんですけど)

観劇から1週間たってしまったのですが、感想を書こうと思ったら、これが意外と細部を記憶していない・・涙。
全編スパニッシュだったせいかな。礼さんが凄かったのは間違いないんですけど。
鮮明に思い出せる場面は、瀬央ゆりあさんが銀橋で「ニンジン娘」を歌っていた場面。
瀬央さんの後ろで踊っていた極美慎さんの表情だったり。
それから礼さんが闘牛士の場面での牛さんの瀬央さんだったり。
ワッカのドレスの万里柚美さんだったり。太鼓を叩いてた華雪りらさんだったり。
天寿光希さんと音羽みのりさんが歌っている場面もあって、ああ退団されるんだなぁと思ったり。
フラメンコの掛け声がカッコイイと思ったり。
せり上がりして銀橋を渡る極美さんのお顏だったり。
見ている時は夢中で愉しんだんですが、場面の細部をほんとうに覚えていない自分に愕然。

ちょっと言い訳をさせてもらうと、「礼さんとその他大勢」か「礼さんと美穂圭子さんとその他大勢」なシーンが多くて、記憶力の弱い私には難易度が高くて・・。全編スパニッシュというのも記憶が混乱する原因かな。
礼さんだから成立してるショーだと思いますが、星組には素敵な人がいっぱいいたはずなのに、あまりピックアップされていなかった? されていたのに記憶がない?・・どっちだろう。
検証するためにも、もう1回見たいです。(どうか叶いますように・・涙)

美穂圭子さんの歌も素晴らしかったですが、ずっと歌われている印象で。ここぞという場面であの歌声を披露されるほうが記憶に残った気がします。
星組のいろんな人の歌声も聞きたかったなぁ。とくに娘役さんの。

パフォーマンスは本当に素晴らしかったのですが、礼さんと美穂さん以外のパフォーマーの顔があまり見えないショーだったかも・・と思いました。
でも、私の勘違いかもしれないので、もう1回絶対見たいです。
どうか早く公演が再開しますように。切に祈ります。

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2022/04/30

ハウダニット。

4月26日に宝塚大劇場にて星組公演「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」をマチソワしてきました。

「めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-」 (タイトル長いけど、どこを省いていいのかわからない!)は、2011年に柚希礼音さん主演で上演された「めぐり会いは再び」のシリーズ3作目で、2作目で登場した礼真琴さん演じる末っ子のルーチェの10年後を描いた作品になっていました。

1作目2作目は地方貴族オルゴン伯爵家のお嬢様の花婿選びの顛末を描いたものでしたが、今回はそのオルゴン家の次男で末っ子のルーチェが訳あって王女様の花婿選びに参加する物語。舞台を彼が住む王都に移して、なぜかスチームパンクの世界観に。この世界線では文明が発達するとこうなるってことかな。

今作の上演発表時にまず気になったのが、1・2作目に出てきた人たちはどうしているのかな?でした。
その気になる面々もちゃんと登場。
音羽みのりさん演じるレオニードがあの困難な恋を成就させてしっかり?ちゃっかり?オルゴン伯爵夫人になってた!(奇人のお兄様押し切られたか!)
持ち前の行動力は健在だし、なにより懐かしい姿が見られてうれしかったです。

万里柚美さん、役名が変わっている?と思ったら、リュシドールと再婚して伯爵夫人ではなくなったからか。お行儀指南というかもはや王家のご意見番ですね。
執事のユリウス(天寿光希さん)は変わらずオルゴン家に仕えてて安心しました。相変わらず女優がお好きなんだな。憧れのエメロード様(美穂圭子さん)にも会えてよかったです。

ていうか、あのエルモクラート(真風涼帆さん)が振り回されていた大女優のエメロード様はこの方だったのか!衝撃。(これは端から手玉にとられていたな)
当時モラトリアム全開だった彼はどうやら劇作家をやめて実家に戻り、いまや辺境伯のご領地を治めているらしい。
そしてそこには某弱小国第24王子の従者ケレス(芹香斗亜さん)がいるらしくて、人生なにかおきるかわかりませんねーという。
そんな細かいところも盛り込んでくれるのは、シリーズを見てきたファンにはうれしいです。
ただ一つだけ、オルゴン伯爵役で英真なおきさんが出演されていないのが本当に残念だなぁ。

さていつの世もどこの世も、都というのは若者が夢を抱いて屯しては失意を味わう場所らしくて。
ここでも萎んでしまいそうな夢を必死に守る若者や教わるべき先達を失い形骸に固執する者、大人や世間に傷ついて逃げ込んで来た者たちが戯れ言やため息を共有しあっている。
心に傷を抱えて前に進めないルーチェも。みんなこのままではいられないとわかっていながら子犬のようにグルーミングしあって巣穴の外をうかがっている。
そんなところから物語ははじまりました。

ストーリー運びは単純で、見ている観客は謎解きなどしなくても登場人物たちが勝手に王女様の正体も真犯人もバラしてくれる。それもけっこう早いうちに。
だから、あとは主人公たちがどうやって学びと覚悟を得て逃げていたものを受け容れるか、を見ていくことになるのだけど。

いちばんの見どころは役者のキャラ立ちだなぁと思いました。
でもそこがなかなか難しいのだなぁと。
私が初見で思ったのは、初演の方たちのキャラ立ちは尋常じゃなかったのだなぁということでした。
とはいえ、私が見たのは初日があけてまだ数日のところ。これから1人ひとりがどんどん個性を発揮していくともっと面白くなるはず!と思います。
このお芝居にかぎっては、意味もなくカッコイイとか、訳もなくラブリーとか、そういうのぜんぜんオッケーだと思うので。

オンブルのみなさんとか花婿候補のみなさんとか、もっともっと美味しくなると思いました。脚本にはそういう場面も用意してあるし。
力自慢の彼(役名お名前わからずすみません)とか騎士の彼(碧海さりおさんですよね)とか。自己紹介の伏線を回収する場面は見得を切るくらいの勢いでやっちゃってもいいのじゃないかなぁ。おお!あの人ね!って応援したいです。第128王子のリドル(咲城けいさん)は強いの?弱いの?笑。
オンブルの追手のみなさんも、せっかく銀橋を使うのだからもっと派手に照れてもいいような笑。
わちゃわちゃしてる場面が多いので、礼真琴とその他大勢にならないで芸名の自分をもっとアピールしてこ笑。と思いました。

私がいちばんもっと美味しくやれるはず、と思ったのは宰相オンブル(綺城ひか理さん)。
ギャップ萌えできるなんてこんなに美味しい役があるでしょうか。
最初はどれだけ憎々しく印象づけるか。
そこからの「気流の関係で機体が大きく揺れることが予想されます」的な気持ちを存分に味わわせることができるキャラ。
だって動機がアレですよ? こんなことで? こんなことある?みたいな。
なっ・・っ・・そんなにもコーラス王(朝水りょうさん)のことがっ???って見ていて照れちゃいました。
美味しくやれる余地がいっぱい残っていると思うんです。
あの脚本をどれだけ埋めたり足したりできるかが役者の手腕だし面白いところだと思います。
そしてラストのコーラス王には、オンブル様への愛をもっと見せてほしいなぁ。相思相愛よろしくお願いします。

息子のロナン(極美慎さん)も同じく。
もっといけ好かなくってもよろしくってよと思います。
オムツをしている時分から「向かうところ敵なし」だったみたいな印象を与える人に見えたらいいな。内心はどうあれ。
美貌はいうことなし。さらにもっと過剰なほどの自信を自分を守る鎧のように身にまとっているといいな。
でもほんとうは・・なんて。こんなに美味しく描かれているキャラがある?って思います。
でもでもどんなに健気な一面があろうとも小憎らしさだけは絶対に失わないで。それが最大の魅力だから♡

本来は宰相オンブルのようなキャラクターを得意とする輝咲玲央氏が今回は「ノンキな親戚」に回っているのも見どころだと思いました。
(オンブルがほんとに悪宰相なら輝咲さんにキャスティングされているのだろうなぁ)

ノンキな親戚チームはさすがだなと笑。
ローウェル公爵(輝咲玲央さん)、意地っ張りの若い2人を心配してこんな計画に手を染めるなんてほんとにノンキでお人好しなんだから。
しかも見込んで助言を求める相手があのレオニードだし。「国家機密」を担っているのにほんとうにお気楽な公爵様笑。
ローウェル公が能天気であればあるほど、オンブル様がムキ~ってなるのもわかる気がします。
王の甥ってだけでなんの取り柄もないくせに~!って。(ローウェル公がコーラス王の甥ってことは、王女様とはいとこ同士? コーラス王はずいぶん遅くに一人娘を授かったのだな。そりゃあ可愛くて心配もするかぁ)

フォションお兄様(ひろ香祐さん)はこんな方だったのかぁ。こりゃあかんたんに妹にクスリを盛られるなぁ笑。
クスリを盛られても目が覚めたら「爽やかな目覚めだわ♡」とかノンキに思っていそう。

こんな大らかで寛容な親戚に囲まれて育ったからレオニードも自分に正直に突き進める女性に育ったのだろうなぁ。
アンジェリーク(舞空瞳さん)も預けられたのがローウェル公でよかったのではないかな。
宰相のところだと窮屈で自由もなかったのじゃないかな。ルーチェとも出会えてなかったかも。

さてこの国では母親は早世しがちみたいで、コーラス家、オルゴン家もそうだったし、オンブル家も母親はどこ?でした。
新公外の星娘たちがひとまとめに花婿選びの審査員と仮プリ(仮のプリンセス)だったのは美味しくないなぁ。
顏覚えが致命的に苦手な私にはつらかったです。誰が誰だかになって。
といってもいまさら役は変わらないので、ならば星娘たるもの、半歩前へ押し出し強く主張してくださるとうれしいです。

中堅どころがわちゃわちゃしているなかで、105期が美味しいなと思いました。
双子のポルックス(詩ちづるさん)とカストル(稀惺かずとさん)、とっても可愛かったしお芝居もお上手だなぁと。
鳳花るりなさんも冒頭の回想シーンでの子ども時代のアルビレオ、お顏がよく見えてセリフも良いお声。(アルビレオは歌うまさんの役でしたね)
大希颯さんのフラーウスも、ルベル(天飛華音さん)やカエルレウス(奏碧タケルさん)と一緒の3人組で。双子と絡むところは長身が活きてました。

星組を見に行くと必ず目が吸い寄せられる水乃ゆりさん、今回はレグルス(瀬央ゆりあさん)、ティア(有沙瞳さん)、セシル(天華えまさん)と一緒に探偵事務所に屯するルーチェの大学時代からの友人アニス役。発明、実験、計算が大好きでかつちょっと生きづらそうなものを持っていそうなキャラが新鮮でした。ハネた三つ編み姿も可愛くて目がとろけました。

アージェマンド役の瑠璃花夏さんは、初演のリゼット役の白華れみちゃん味があってなんども目を凝らして見てしまいました。
(そしてそしてもしかしてまさかのアージェマンドがタイトルロール???笑)
可愛らしくてお芝居もお上手で良いキャラを出してて、これから注目したいなと思いました。

そしてけっきょく聖杯は怪盗ダアトに盗まれてしまったのですよね。
ダアトの正体と盗まれた聖杯のゆくえを追う物語は、いつか見ることができるのでしょうか。
その時は、バートル探偵事務所のみなさんと、ルーチェとアンジェリーク、そしてアージェマンドが活躍してくれるかなぁ。

終わってみるとみんなで大騒ぎした末に大団円という馬鹿馬鹿しいけど罪のない作品でした。
こんなお芝居を2500人もの観客が一緒に見てほっこり涙ぐんだり笑ったりしているって、なんて尊いんだろうとしみじみ思いました。

そしてこれを書いていた4月30日、公演関係者に新型コロナウィルス陽性者が確認されたということで公演中止となってしまいました。
宙組大劇場公演につづいて星組も・・・涙。
陽性になった方が罹患症状など残らず無事に復帰されますように。
一日も早い公演再開を心から祈っています。
(どうか2度目の観劇が叶いますように!)

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2022/03/18

ぼくが見ているものを見ようとする。

3月14日に宝塚大劇場にて宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」千秋楽を見てきました。

1週間前に見たときよりさらに、別のスイッチが入ったのかとさえ思うくらいの迫力ある宙組のコーラスを浴びることができました。
今回の舞台の主役は、このコーラスであり、宙組生全員だと思います。1人1人から発せられるパワーと音が合わさって生まれるハーモニーに圧倒されました。

終演後は目の周りがカピカピになっていました。
この作品に心を揺さぶられた後だったから、退団する5名の挨拶そして真風さんの言葉がいっそう胸に響いたのだと思います。
いつの間にか退団者が袴で大階段を降りて客席からの拍手を浴びることが当たり前のことではないのだと思う世の中になっていて、そんないま、この奇跡の瞬間をみんなで分ちあっていることになんともいえない気持ちが溢れました。
この瞬間が幻と消えてしまわないで本当に良かったです。春瀬さん、瀬戸花さん、水香さん、穂稀さん、愛海さん、大劇場ご卒業おめでとうございます。

楽曲もアレンジも素晴らしいなぁと思い、舞台でいまこの瞬間に湧きあがるコーラスに心を振るわせられつつも、冷静な自分が「おそらく私は一生ジョルジュとはわかりあえそうにないなぁ」と思ってもいました。
これは1人のエゴイストの生き様を描いた作品なんだなぁと思いました。

サグラダファミリアの外でエレンがジョルジュを問い詰める場面、エレン役の天彩峰里ちゃんに私は釘付けでした。
激しい言葉で詰るように歌いながらその心がジョルジュの愛を切望しているのが痛いほどつたわる天彩峰里ちゃんの熱演にこちらが泣きそうになりました。
よくこんな主人公がサイテーに見える場面を作ったなぁ。そのことにこそ価値がある場面だなぁと思ました。

「あのひとのどこがわたしよりいいの?」「ぼくが見ているものを見ようとする」
でも、彼女(キャサリン)が見ようとするものを、彼が見ようとはしないってことも私はもう知ってる。
彼にとって大事なのは「ぼくが見ているもの」だけだって。
自分に正直に求めるものを追いかけてそのためには人も傷つける。そういう人間の生き様が描かれているのだなぁと思います。

上昇志向だったパリ時代は、エレンも「ぼくが見ているもの」を見ている人だったのだと思います。高みを目指して彼女を追って新世界に渡ってきた。
あらゆるプライズを手に入れて何不自由のない身分になるともっと別のものに、華やかで享楽的なハリウッドでは見いだせないものが見たくなった。それを「人生の真実」と彼は言う。
エレンとはもう「見ているもの」がちがってしまった。

そんなときに、彼と同じように「人生の真実」をみつけようとしているというキャサリンと出逢う。
彼の理屈では、そんなキャサリンに気持ちが移るのは当然のことなんでしょう。
「君を傷つけたなら殴られてもいい」
人を傷つけたとしても自分が望むものを追い求める。心底自分に正直なエゴイストなんだなぁ彼は。

そしてキャサリンの視線が「ぼくが見ているもの」から逸れていくのを感じると、「彼女のどこに恋したのだろう?」と自問しはじめる。
やるべきことをみつけたという彼女を引き留めて、そばにいてほしいと思う。
でもそれを彼女に言うのはプライドがゆるさない。と葛藤する。
どこまでも勝手な人だなぁ。

「ぼく自身のプライドが」だとか「男のエゴイズムか」だとか四の五の言って彼女とのあいだに「渡れない河」を作っているのは彼自身でしょうに。
彼女を引き止める理由やそうしたい気持ちがあるのなら、それを言葉にすればいいのに、男のエゴイズムだと言われるのはプライドが傷つくから、必死になって引き止めたりはしない。
みっともないことはしたくない。
いっそ清々しいくらいのエゴイズムと自己愛。それこそがジョルジュの本質なんだなぁ。

さらに「ぼくが見ているもの」は変わっていき、キャサリンとも共有できないものになる。
自分がやりたいことをやるためには彼女が足手まといなのだけど、それをさとられるのは沽券にかかわる。
「だから——言いはしないサヨナラだけは、NEVER SAY GOODBYE」
そう言って自分の命だというフィルムを彼女に預ける。とても共有したとは思えない「人生の真実」を君と共有できたという。
欺瞞だなぁ。詭弁家だなぁ。

結局は男としてヴィセントたちに劣りたくないからキャサリンを残して前線に向かうのでしょうに。
子どもができるような関係になった女性と一緒に生き抜く未来ではなく、男同士の社会で誹られない自分になるほうを選びたくなったから。

ヴィセントはもともとそういう側の人間で、オリンピアーダたちとは共に闘う中で絆を深めていった。その仲間意識に憧れて、その絆から弾き出される疎外感に耐え切れず、その一体感に身を置く安心感を選んだ。そんなふうに私には見えました。 
それを「人生の真実」という言葉で誤魔化しているように。

リベラルを気取って知的で洗練された男性として生きてきたけど、自分を解放して本当にになりたい自分を突き詰めたら、女性を粗野に扱って荒々しく生きたい願望にぶち当たったんだな。

自分がやりたいことをするために別れようとしていること。なのにこれはサヨナラじゃないと言うこと。
ジョルジュは自分を正当化できていると思っているかもしれないけれど、潤花ちゃん演じるキャサリンはすべて見透かしたうえで、そのほうが2人にとってベターなんだと理解したから、受け入れたように見えました。

そういうところに男女のリアリティを醸し出すコンビだなぁと思います。
ロマンよりも真実を、このトップコンビに感じました。
面白い2人だなぁと。
男の真実を見せる真風さんと、人間のエゴイズムを包み込むそのホスピタリティが魅力の潤花ちゃん。
それぞれに1人で立っていることができる2人だからこその世界観。
初演のコンビが見せた悲壮感とは、見えるものがだいぶ違うなぁ。

そこまでの人間ドラマは面白かったのですが、その後の描き方がやっぱり物足りなかったなぁ。
私は塹壕の中で交わされるジョルジュとヴィセントとの深い友情の場面とか見たかったなぁ。ヴィセントが孫に語ったジョルジュの勇敢さとか、そりゃあ孫に語るわって納得できる場面を。
もっとヴィセントやオリンピアーダたちとの場面を書き込んで見せてくれたらなぁと。

初演は伝説のトップコンビの退団作品として、2人の別れの場面に全集中だったのは当然だし、そのシチュエーションだけで納得してしまえた部分はあったけれど。
再演にあたって、初演でも薄々感じていた2幕後半の作劇の薄さをもうすこしどうにかしてくれたらよかったのになぁ。
再演は初舞台公演でもないし、加筆してくれると期待したのになぁ。

余談ですが、キャサリンの「私は離婚経験者で、恋愛は3回、あなたで4人目」・・初演では花總さんにそれを言わせるんかい?でしたが(おそらくあえて言わせたなと)、再演ではジョルジュの「ぼくは君に会うために生まれてきた」にあーそれ言っちゃう?って思ってしまいました。
これに関してはジョルジュは悪くないし、当然真風さんも悪くない。(悪いのは小池修一郎)


芹香斗亜さんは、初演の大和悠河さんが演じた如何にもな「ハリウッドが期待するスペインのマタドール」(ラテンラバーとして華やかに登場)かつ「英米人から見たスペイン人」(好意を示すのも怒りをぶつけるのも直情的な人物)とはだいぶ異なるヴィセントを作っているなぁと思いました。

再演で追加されたソロ曲によるところも大きいですが、かなりペシミスティックで感傷的な印象を受けました。
初演だと、ジョルジュと真逆の人生を生きてきたキャラクターという対比が見えていましたが、今回はそんなに単純な感じではなさそうでした。

それゆえ、2幕でジョルジュにキレるところが、えええっそんなことを言う人には見えなかったのに~って思いました。じつは本心では誰にも心をゆるしていないのかしらこの人は?と。
大和ヴィセントは単純に、戦況思わしくなくイライラが募っている矢先にタリックのこともあり、心の闇をぶちまけてしまったんだなぁと見えたのですが。
そして彼が本音をぶつけたことでジョルジュも自分がずっと抱えてきたことを吐き出せたってかんじで、かえって雨降って地固まった印象で、とても単純な流れに見えたんですが。
再演ではそうは見えませんでした。

このシーンはもっと何度も見て考察してみたかったなぁ。返す返すも公演期間が短くなったことが口惜しいです。
オリンピアーダたちのことも、もっと1人1人注目して見たかったです。見えたものがたくさんあっただろうなぁ。
(Blu-rayを買い求めるしかないかぁ。この千秋楽が収録されているというのが唯一の救いかも)

私が持っている東京公演のチケットは1枚だけ。
あとは東京千秋楽を配信で見るのみ。
どうかどうかこれ以上見られる機会が減ることがありませんように。
退団する方たちが幸せに千秋楽を迎えられますように。切に祈っています。

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2022/03/12

たがいのぬくもり感じられたら憎しみも消え去る。

3月8日に宝塚大劇場にて宙組公演「NEVER SAY GOODBYE」の11時公演と午後の貸切公演を見てきました。

2月5日が初日のはずでしたが、いくどか延期を繰り返して28日に待ちに待った幕が開きました。
それまでに5枚のチケットにサヨナラを言い、やっとのやっとで8日に観劇が叶いました。

幕が開けばつぎつぎに流れてくるどのメロディも懐かしく、それをいまの宙組で聴ける感動と幸せも覚えつつ。こんなに大好きだった楽曲で溢れていたのに、再演を熱望とまではならなかった理由もうっすらとわかったような気がしました。

幕開きに流れてくるギターの音色ですでにうるうる。
その前に開演前のオケボックスから懐かしいフレーズの一部が聴こえただけでも胸が震えていました。

オリーヴの樹が見える丘を目指して2人の人物が花道から登場。これがヴィセントの孫(エンリケ)に抜擢の107期生の奈央麗斗くんかぁ。そしてキャサリンの孫(ペギー)は潤花ちゃん相変わらず見目好いなぁ。2人とも初演よりは大人びて見えるかな。
あれ?いまエンリケ80年前って言った? 初演は70年前って言っていたはずなので、2人が生きている時代が2020年前後にアップデートされたのかな。

初演のとき不思議に思っていたのですが、ペギーの祖父がジョルジュなら、その子は1940年生まれで初演の時でも65歳くらい、2022年のいまなら80歳を過ぎているはずなんだけど、親の年齢がそうならペギーが若過ぎないかな。50歳くらいで子どもを儲けたのかな。
エンリケはもっと若く見えるので、ヴィセントもヴィセントの子も、子どもができるのが遅めだったのかな。
人生さまざまだからなぁ。

真風涼帆さんのジョルジュはハリウッド時代もあまりスカしたプレイボーイという印象ではないのだなぁ。
初演の和央ようかさんのジョルジュがハイスペックなスノッブ野郎といった風情で登場して、キャサリンには第一印象最悪だろうな(苦笑)と思ったのに比べると、そこまでキザなフランス野郎の印象は受けないなと思いました。
むしろ最初から私はジョルジュに好感を持ってしまった。逆に酔っぱらっていきり立つ潤花キャサリンに「あらあらあら(笑)」ってなりました。

「キスしてくれたら」と言う和央ジョルジュには、いつも女性にこんなことを言ってきたのねこのひとはと思いましたが、真風ジョルジュには「えっなんでそんなこというの???」って思ってしまいました。
私は真風さんを全面的に信頼してるんだなー(笑)。
登場からしてジョルジュもキャサリンも初演と印象がまるでちがうので、これは新しいネバセイが見れそうだなと思いました。

再演はジョルジュだけでなくどの登場人物も弁えた好い人たちだなぁという印象で、エゴとエゴのぶつかり合いも控えめだなぁと思いました。
大和ヴィセントめっちゃ怒ってキレまくってたなぁとか、るいちゃんエレンの「ドロボー!!!」キツかったなぁとか、思い出していました。

なんというか、2022年版はみんな最初から纏まっててワンハートでした。たがいを思いやる気持ちが端々から伝わってきます。
楽曲の中でジョルジュの訴えに呼応して徐々に気持ちが1つになっていく感じではなくて。
そのせいか、期待していたダイナミックさには欠けたかなぁ。
ひとことで言うなら「調和」。これがいまの宙組なんだなぁ。

素晴らしいコーラスの纏まり、それでいて1人1人の顔が見える。
たがいに共鳴しあって、ワンハートを心の底から歌いあげたい思いが伝わってきました。
その溢れる思いに心から肯くことができ、そんな宙組がとても愛おしく思いました。その瞬間私の頭の中からは物語の状況は飛んでしまっていました。
そこに内戦を描いているカオスはなかったなぁと思います。

初演の時は和央さんそのものが「壮絶なドラマ」だったものなぁ。そのことと作品の悲壮感が相合わさって胸に迫っていた部分もあると思います。
ワンハートを歌いながら組のメンバーと眼差しを交し合う和央さんを見ているだけで心が震えたことが思い出されます。
2022年のいま、おなじこの宙組の舞台から受ける印象は「愛」と「喜び」でした。

考えるいとまもないような怒涛の勢いで押し切った初演。その作品を再演したことで、見えてしまったものがあるようにも思います。
私の中で流してしまっていたことを流せなくなってしまったというか。
いまのこの世界情勢から感じることも関係あるのかも。

いま目の前にいるオリンピアーダたちは戦況もちゃんと把握できてて冷静に判断できてそうで、それなのに?と思ってしまいました。
ヴィセントの言う愛する者たちを守るとはそういうこと?
自分を根無し草だと言うジョルジュが求めていた「人生の真実の時」ってそれ?
私には命のリアリティが描かれていない気がしました。
アメリカに戻って子どもを産み育てたキャサリンや、ヴィセントを待ち続けたテレサやビルが故郷に残してきた恋人の人生にある「真実」にこそ私は目を向けたい人間なんだなぁと。そんなことを突きつけられたように思いました。
なぜ、人民オリンピックに参加した彼らが祖国に帰らずスペインに残ったのか。どんな人生を生きてきて、その決断にいたったのか。それが知りたかった。
なぜ、ムレータやカメラを棄て銃を手にするのか。私にはわかりませんでした。
彼らはなにと戦っているのか。
無邪気に子どもたちが武器を持つのを見るのも胸が痛い。

1回目の観劇後、考えだすと辛くなってしまったので、2回目観劇の2幕からは考えるのはやめてパフォーマンスだけを愉しみました。
そんな自分も嫌だなぁと思ってしまって、ああだからだと思いました。どの楽曲も大好きだったのに再演を熱望しなかったのは。
初演のときに漠然と誤魔化してしまったものに向き合いたくなかったのかもしれないな。
フランク・ワイルドホーン氏の物悲しい音楽に数日経ったいまも胸のうちをかき乱されています。

 ※奈央麗斗くんの期を間違えていましたので訂正しました

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