「もう1人の僕」
7歳で父親を亡くしたスチュアート。
夫を亡くしたという現実を受け入れられない母。
彼なりにそんな母と幼い妹を守らなければと思ったんだろうなぁ。
息子に亡き夫と同じ道を歩むことを願う母。
幸か不幸か、彼には才能と、へこたれずに頑張れる強さが備わっていた。
そこに目をつけた大人たち。
母の願いと自分の夢が同じではないと気づいたとき、
スチュアートは彼なりに母と話そうとしたのだと思う。
けれど、あの通り、母は聞きたくないことは耳に入れず
にっこり微笑んで上手に話を逸らす。
「そんなことより、あなたの好きなジンジャークッキーはいかが?」
描写から「機能不全家族」の状態が垣間見える。
そのわりに、スチュアートはめちゃめちゃ「いい子」に育っているんですよね。
いや、「機能不全家族」の子だから、「いい子」(=AC)なのか。
そんな彼の心の中で育ったのが、パラダイス・プリンス。
「どんなときも無邪気に笑うもう1人の僕」。
周りの期待を一身に背負い、
表面は笑っていても、心から無邪気に笑えなかった子ども時代を過ごしていたのだろうなぁ。
長い時間をかけて、機が熟して、ようやく母親に理解してもらえて良かったなぁ。
私には、そのハッピーエンドが、なによりも嬉しかったです。
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